初産牛と経産牛の授精適期の推定が可能

技術の窓 No.2036
H 27.1.26
歩数計から得られた発情開始時刻から
初産牛と経産牛の授精適期の推定が可能
乳牛は、育種改良や飼養管理技術の改善などによって泌乳能力が飛躍的に向上しましたが、
繁殖成績は年々低下し、分娩間隔の長期化などによって乳生産性が低下しています。これらの
原因は様々で、繁殖に関する研究が数多く行われていますが、高泌乳牛を対象とする発情行動
等に関する報告は少ない状況です。そこで、宮崎県畜産試験場では、歩数計型発情発見装置(歩
数計)を装着した乳牛を用いて、発情行動の解析を行いましたので紹介します。
☆ 技術の概要
1.ホルスタイン種搾乳牛延べ 86 頭(初産牛 40 頭、2 産以上の経産牛 46 頭)での発情開始
時刻は、初産牛では半数が 0:00~6:00 を示しましたが、経産牛では一定の傾向はありませ
んでした。
2.発情の持続時間は、初産牛の 80%が 5~11 時間、経産牛の 60%が 8~14 時間でした。初
産牛では、持続時間が長い牛ほど受胎率が高い傾向を示しましたが、経産牛では持続時間の
受胎率への影響は認められませんでした。
3.発情時の歩数増加倍数(発情時歩数/非発情時歩数)は、初産牛、経産牛ともに 2~5 倍
の増加倍数を示し、増加倍数が大きいほど受胎率が高い結果を示しました。
4.発情開始から人工授精までの時間と受胎率との関係では、初産牛では 18~21 時間、経産
牛では 12~15 時間の場合に高い受胎率が得られました。
写真1
牛の乗駕行為
写真2
歩数計
写真3
発情発見システム
☆ 活用面での留意点
初産牛と経産牛で異なる授精適期を示すことから、発情開始時刻を的確に把握することが、
乳牛の受胎率向上に寄与します。詳細は、宮崎県畜産試験場酪農飼料部 西村慶子(TEL:
0984-42-1122)にお問い合わせください。
(日本政策金融公庫農林水産事業本部 テクニカルアドバイザー 加茂幹男)