「HYA」の大量生産に向け、京都本社にて研究棟を新たに稼働

腸管の炎症を抑える脂肪酸「HYA」の大量生産に向け、京都本社にて研究棟を新たに稼働
OTC 医薬品の製造販売を手がける日東薬品工業株式会社(本社:京都府向日市、代表取締役社長:北尾 哲郎、以下「日東
薬品」)は、機能性脂肪酸 10-ヒドロキシ-シス-12-オクタデセン酸(以下「HYA」)の研究棟(日東薬品 京都本社)を 2015 年 1 月か
ら新たに稼働しました。
HYA は脂質代謝の異常を改善する効果や、腸管の炎症を抑える効果を持つことから、肥満防止や潰瘍性大腸炎[*1]、クロー
ン病[*2]などの治療に役立つ可能性があると考えられます。今後、HYA の大量生産技術を確立し、2018 年度までの実用化を
目指します。
この研究は、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構[*3](以下「NEDO」)の支援を受けたものであり、京都大学
大学院農学研究科 小川 順教授(以下「京都大学大学院」)と日東薬品とで実用化を目指し共同研究を行っています。
HYA 試作研究棟
HYA 製造に使用する培養タンク
■腸管の炎症を抑える「HYA」 ― 潰瘍性大腸炎、クローン病などの難病治療の可能性
HYA は、植物油に含まれるリノール酸を乳酸菌で反応させることで作られる脂肪酸です。日東薬品は、京都大学大学院との
共同研究をとおして、HYA が脂質代謝異常を改善する効果や、腸管の免疫力を高める効果を持つことを明らかにしています。
さらに、広島大学大学院生物圏科学研究科 田辺 創一教授との研究により、HYA が腸管の炎症を抑える効果を持つことが
新たにわかりました。これにより、潰瘍性大腸炎やクローン病など、腸管の炎症が原因となる難病の治療に HYA が役立つ可能
性があると考えられます。この結果については、The Journal of Biological Chemistry に 1 月 30 日に掲載されました[*4]。
■HYA 製造に必要な設備を全て備えた研究棟
これまで、日東薬品は京都大学大学院と、HYA の実用化に向け小規模で試作を進めてきました。この度、NEDO からの支援
を受け、量産化の検討を始めるため日東薬品 京都本社でパイロットスケール[*5]の研究棟を稼働しました。
この研究棟は実用プラントとほぼ同じ機能を持ち、HYA の製造工程で必要となる培養タンク、発酵タンク、抽出・精製装置など
の設備を備えています。また、1 回の生産で数十~数百 kg の植物油を変換する能力を持ち、商用生産により近いスケールで検
討を行うことができます。
この研究棟で商用生産に向けた検討を行い、大量生産技術の確立を目指します。
この成果は、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業の結果得られたものです。
[*1] 潰瘍性大腸炎
炎症性腸疾患の一種で、指定難病。大腸の粘膜(最も内側の層)にびらんや潰瘍ができる大腸の炎症性疾患。これまで原因と
して、腸内細菌の関与や自己免疫反応の異常、食生活の変化などが考えられていますが、まだ完全にはわかっていません。患
者数は日本国内に 16 万人以上。
[*2] クローン病
炎症性腸疾患の一種で、指定難病。主に若年者にみられ、小腸の末端部のほか、口腔から肛門にいたるまで、消化管のさま
ざまな部位に炎症や潰瘍(粘膜が欠損すること)が起こります。これまで原因として、遺伝的要因、結核菌類似の細菌や麻疹ウイ
ルスによる感染、食事成分が腸管粘膜に異常な反応をひきおこしていることなどが考えられていますが、まだ完全にはわかって
いません。患者数は日本国内に 3 万人以上。
[*3] 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
「エネルギー・地球環境問題の解決」と「産業技術の国際競争力の強化」の実現を目指し、大学、企業などに技術開発支援を
行う独立行政法人。「研究開発型新事業創出支援プラットフォーム」の一環として、「イノベーション実用化ベンチャー支援事業
(研究開発型ベンチャー企業等の有する優れた先端技術シーズや有望な未利用技術を活用した実用化開発を支援する制度)」
を実施しています。京都大学大学院と日東薬品は、平成 25 年度のイノベーション実用化ベンチャー支援事業に採択されまし
た。
[*4] 出典
Junki Miyamoto, Taichi Mizukure, Si-Bum Park, Shigenobu Kishino, Ikuo Kimura, Kanako Hirano, Paolo Bergamo, Mauro
Rossi, Takuya Suzuki, Makoto Arita, Jun Ogawa and Soichi Tanabe (2015) A Gut Microbial Metabolite of Linoleic Acid,
10-Hydroxy-cis-12-octadecenoic Acid, Ameliorates Intestinal Epithelial Barrier Impairment Partially via GPR40-MEK-ERK
Pathway. The Journal of Biological Chemistry, 290(5), 2902?2918
[*5] パイロットスケール
商用生産の 10 分の 1 以上の規模。