研究所の動きハイブリッドキャスト放送外マネージドアプリ ∼多様なアプリ利用の実現に向けて∼ ハイブリッドキャストは，当所が研究開発を進め，2013年９月に開始した放送通信連携サービスである。放送波で送られる番組と通信ネットワークで送られるアプリを組み合わせて，便利で豊かな放送サービスを実現することができる。現在，当所ではさらに魅力的なサービスを実現するための研究開発に取り組んでおり，その中の１つが「放送外マネージドアプリ」という仕組みである。現在のハイブリッドキャストでは，放送局が自局の番組に対してアプリを提供するという前提で技術仕様を定めている。放送外マネージドアプリの導入により，放送局に限らず，さまざまな人や組織がアプリを開発し配布できるようになり，新たに以下のような機能を提供できるようになる。（１）さまざまな事業者が提供する多様なアプリの中から，好みのものを選んで利用できる（２）どのチャンネルに切り替えても，アプリを継続して利用できる（３）複数のアプリを同時に利用できる放送外マネージドアプリによって実現可能となる想定サービス例を２つ紹介する。 !「盛り上がり番組通知サービス」：SNS（Social Networking Service）や検索エンジンの分析から，テレビ視聴者の熱気をお知らせする。今盛り上がっている番組がテレビやタブレットに通知され，ボタン一つで選局できる（１図）。 !「番組関連情報配信サービス」：視聴している番組の進行に合わせて，タイミングよく関連情報を表示する。テレビ画面に加え，連携するタブレットにも情報を表示できる。どのチャンネルを見ていても，アプリに表示された関連情報からネットサービスを簡単に利用することができる（２図）。 2014年６月に，放送外マネージドアプリの仕組みが（一社）IPTVフォーラム＊１の拡張技術仕様に盛り込まれ，これを契機に，放送と通信が連携する新たなサービスモデルの構築が期待されている。実用化に向け，今後も研究開発を進めていく。＊１オープンなIPTVサービスを実現するために必要となる技術仕様の策定・運用等を目的とし，NHKや民放，テレビメーカー，通信事業者などが参加する民間の標準化団体。放送局A 盛り上がりランキング CLIMAX CHANNEL 情報まるごとボタン一つで選局放送局B １図盛り上がり番組通知サービス通販サイト放送局 B 放送局 B 放送局 A 放送局 A リンク番組関連情報リンク地図サイト世田谷の小松菜あえ物ハイブリッドキャスト対応受信機タブレット２図番組関連情報配信サービス NHK技研 R&D/No.149/2015.1 61