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印欧語の視点による日本語の重複動詞の分析
中村, 幸一
一橋論叢, 111(3): 572-586
1994-03-01
Departmental Bulletin Paper
Text Version publisher
URL
http://hdl.handle.net/10086/10830
Right
Hitotsubashi University Repository
一橋論叢 第111巻 第3号 平成6年(1994年)3月号 (104〕
印欧語の視点による日本語の重複動詞の分析
オ寸
幸
詞の重複について、主として上代まで溺ることのでき
れる︵く①昌g︵岩零二〇。N︶︶。本小論ではこのうち動
る。印欧語の動詞においては強調、反復、継続、完了
^1︶
などを表し、また感情的、特殊な意味の名詞にも現わ
世界中の言語に重複冨旨呂sユ8という現象があ
う︶、希哀§︷ミH羅Oq一雪O、梵亘げき1−羅繧事、ゴ
方語根の語頭音のみを繰り返す例、梵巨事胃庄︵担
希ミ§β膏s︵輝く︶、古スラヴ①q−鍔o−き︵話す︶。一
す現象とに分けられる。前者の例としては、梵α彗・
︵2︶
臣ま︵粉砕する︶︵島−の強意活用。通常は身量ε、
印欧語の重複は語根の全体、あるいは一部を繰り返
以上は現在時制における重複である。現在形の重複
^3︶
のうち、後半のみの重複を示している。
等々。梵身吾州邑︵語根g3立つ︶は語根の二子音
る日本語について同じ見地から観察し、その重複の表
の である。
ート①目品O目彗11古英、古サクソン、古高独寝畠彗
印欧語の動詞に於ける重複の概要
中
している意味・ニュアンスの考察を試みようとするも
序
5η
{105〕 印欧語の視点による日本語の重複動詞の分析
は起源的には本来、強調などのニュアンスを持ってい
たが、これはサンスクリツトの強意活用などに残るの
みで、その他の重複に細かな意味の差は看取できない
とされている︵ω鳥目①忍目首︵岩8﹄oooo︶︶。つまりサ
ンスクリヅトの重複形の幾つかは生産的で、重複のな
い形をも併せ持つが、他言語では、すでに重複した形
態の方しか保存していないということであろう。︵痕
跡的に残っている例、羅ω8\ω卑o、︵oq︶轟ω8\阻管o。
こういった種類の重複の意味、機能の分析という印欧
語固有の問題は別論に譲りたいと思うが、例えぱ、蜆−・
90は﹁立たせる﹂という意味をもつから、無色透明な
9◎に﹁使役﹂の属性を付加している重複と考えられ
二 日本語の重複
ニニ 重複の定義
通常日本語の動詞で重複ないし畳語というと﹁そこ
なひそこなふ﹂、﹁かすみかすむ﹂、﹁やらひやる﹂、﹁こ
ひこひて﹂、﹁やせにやす﹂といった現象を言うのであ
ろうが、本小論の重複とはこれらのように語根全体を
繰り返す形式ではなく、印欧語の例の後半の形式、即
ち、羅ω8\ω一・go式に語根の一部のみを反復している
と推測される動詞である−斤目÷冒一・⊆︵衛、含︶、8・
oα昌.⊆︵留、止、留︶、伽o−ωo斥占、ヨ・雪片と︵疹︶
等々。日本語においては畳語と言われている語根全体
の重複の方がはるかに数が多く、語頭音のみを繰り返
す方が多い印欧語とは対照的である。外見上子音が重
る。︶一方、現在形と違って依然として生産的であっ
た、時制を担う重複の例、︵アオリスト︶梵邑邑昌くg
複している動詞は古語で百以上あるが、これは印欧語
の方は上代に溺る動詞についての考察である。
るものは含まれていない。以下、少なくとも非重複形
冒印.昌◎﹃・目︵目守るV守る︶の様な明示的に合成語であ
と比較して非常に多いと言える。もちろんこの中には
︵語根守亭走る︶、希蕎ミ曾ミ︵良−ミ§命ずる︶、
︵完了︶梵Oぎ胃ぎ︵語根号伽・︶11希まきbkミ
︵まミ§ミ見る︶、羅一g彗昌︵訂邑o広げる︶、肩亘阻
︵寝握o決める︶、ゴート竃邑8︵色8彗眠る︶、
サ凹旨讐↓︵ブ堅↓ψ目呼ぶ︶。
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(106〕
第111巻第3号 平成6年(1994年)3月号
一橋論叢
二・二 非重複形を併せ持つ重複動詞
二・二・一 利益の重複
ω胃と︵磨、擦、摩、耗︶\撃ω旨と︵摩、擦︶の意味の
差異は何かというと、前老は一回性の二とも有り得る
が、後老は一回のみということはなく、必ず反復して
いるという物理的な違いがある。更にそれだけではな
く、両老とも﹁擦る﹂行為は共通しているのだが、後
者は重複によって﹁利益、効果﹂の意味が付加されて
いる。蟹−ω胃とは、ただω昌−仁のではなくその擦り方
が柔らかく、癒すというポジティヴなニュアンスを持
つ。︵後の例から分かるように大低の重複音節の母音
は語根母音と同じであるからこれはやや例外的である。
しかし二・四・二華7⊆\。片占を参照。︶
蟹甲=︵障︶\竃−ω亀・=︵支、障︶。ω員全は無色透明な
動詞であったが、ωら占は明らかに否定的な意味を持
つ−﹁塞へて入れざりき﹂︵古事記 中・二五七︶︵数
字は﹃日本古典文學犬系﹄の頁︶、﹁人か禁ふらむ︵万
と歌番号︶、﹁誰か障ふれかも﹂︵万葉集 一一.二三八
葉集 四・六一九︶︵﹃日本古典文學大系﹄、数字は巻数
○︶。一方、竃−ω笥占は上代には無いが、現代語にも
伝わる﹁支える、防ぐ﹂であり、目的語が無生物の場
合はギリシャ語の中問態に相当するような﹁動作主の
利益﹂となる行為を表している。もっとも目的語が人
問であっても、間接的には動作主の利益になるのでは
ないか。両老に共通する語根竃司は何かある物理的
あるいは抽象的、精神的な流れを遮るような意味を持
つ。非重複形は動作の及ぷ側に対する不利益に焦点が
当たるが、一方、重複形は動作主の利益が意識される
ようである。両老は同じく誰かを﹁はばむ﹂意味であ
っても、ω亀・⊆は他人、他の事物が自分の不利益とな
るように﹁はばむ﹂のであり、一方、竃・窒句占は自分
が当人の利益のために﹁はばむ﹂のである。従って、
このペアーにおいては重複形は利益だけでなく、態の
変化にも寄与しているのではないか。言いかえれぱ、
動詞の意味内容の利害の到達点、すなわち、動作主の
関心は重複によって﹁他人﹂から﹁自分﹂へ移るよう
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(107) 印欧語の視点による日本語の重複動詞の分析
は馬、船、髪であったが、馬は放っておくと自分の望
まない所へ行ってしまうし、船もそうである。髪も現
である。
二.二・二 反復 の 重 複
状のままにしておくと不快感があるH自己の意志と反
ろうか。後者は続けて何回も突くことだから、基本的
け鼻−=︵衝、突︶\巨・g斤・仁︵潰︶のベアーはどうであ
に意味の確定に少しは近づくのではないか。
力を加えるなどして自分の利益につなげるというよう
が目的語となっていることを考えて、手でおだやかな
すといった意味が浮かぴ上がるが、これが馬、船、髪
測されるであろう。すると手で単発的に激しくなく押
色透明に、非強調的、非反復的にした動詞であると推
﹃冨.冨斤.冒の関係を考えると↓算−自は、冨・冨テ目を無
るいは後述する様々な非重複・重複のベアーと冨τ
ω一旨.仁一竃・吻胃・一﹄、ヨ苧三ヨ白寿・⊆、窒勾・E窒−竃句■目あ
できないのであれぱ、これまでの例を参考にして、
3.↓算1=ではないだろうか。もし↓芽との意味が確定
して、思い通りの結果を生じさせようとする行為が
が冨斥.=であろう。このけ芽占を一層積極的に、反復
する訳であって、これらを自分の意のままにする行為
雲斥.目︵痛︶\ヨーヨ苧=︵疹︶。前者はひきつる、萎え
るの意味であるが、後老は、ひりひりする、ずきずき
痛む、であるから、勾津−⊆状態が反復される動詞であ
る。︵あるいは次項二・二・三の強調の重複と考える
こともできるであろう。︶
次の例では反復と効果の両方の意味が感じとれる1
↑芽.⊆︵緒︶\冨−↓芽−o︵敲、叩︶。↓芽と︵紺︶は万葉集
にしか見出されず、﹃時代別国語犬辞典 上代編﹄︵以
下﹃上代編﹄とする︶では意味は未詳とされ、﹁何かの
手の動作を表す語﹂としている。﹃古語大辞典﹄︵以下
﹃犬辞典﹄とする︶ではかき上げる、縄、手綱、櫓、擢
を操る意味とし、語源は﹁手﹂を﹁活用﹂させたもの
と見ている。いずれにしても一算・仁は自分の意志通り
に行かないものを自分の意志の下に置く、つまり、放
って置くと動作主の不利益につながると見られる対象
物を、不利益とならないように自分の支配下に治める
行為であろう。万葉集の例において、一芽−⊆の目的語
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平成6年(1994年)3月号 (108〕
には反復を表す重複である。前老の方が突く力が強い
印象があるが、万葉集 ニハ・三八八○、﹁小螺︵した
だみ︶を⋮突き︵都追伎︶破り﹂から判断すると今の;.
片鼻−ζよりも強い力を含意しているようであるから現
在感じられる力の差は重複に因るものとは観ない方が
良いであろう。
参照。
い動詞を二例挙げたが他のこうした例は二.三以下を
想定されよう。参考までに、今、重複形しか存在しな
交替を示しており、ω呉あるいはω艮といった語根が
れども、ω艮・=︵塞、急︶とは同語源であろう。①\oの
しく事をする﹂8−8斥占にも同じく.8τ目が無いけ
湧︶も反復感のある動詞である。同音の﹁急ぐ、せわ
り非重複形.ωo干=を持たないが、8・ωo干目︵注、灌、
九六六・二二一︶︶、同様に反復を表すとみたい。やは
いう﹃日本書紀﹄における意味から判断して︵丸山︵一
つ.ヨH−oを持たないが、﹁ひらひらと飛び上がる﹂と
上ではその非重複形、即ち、﹁飛ぷ﹂に類する意味を持
ヨーヨ﹃占︵沖、沖︶﹁飛び上がる﹂は少なくとも文献
第111巻第3号
橋論叢
二・二・三 強調の重複
着昌・⊆︵病︶\く苧着亭目。後老は﹁ひどく悩む、ま。す
ます苦しむ、患う﹂意味であり、烹員;状態が甚だし
くなる事態の描出であろう。﹃大辞典﹄は、いや︵弥︶や
︵病︶むの約か、としているが、﹁いや﹂の語頭音﹁い﹂
が脱落して﹁や﹂で始まっていると考え得る語はあま
り存在しないが︵いよだつVよだつ︶、語頭音消失の無
い﹁いや﹂に始まる語は多いーいやざかる︵弥離︶、い
やさきだつ︵弥先立︶、いやしく︵弥頻︶、いよたつ︵弥
立︶、そして還行音が連続するが﹁い﹂が落ちていな
い、いよやか等々。
二・二・四 努力感の重複
暮昌−目︵止、留、泊︶\8・き昌・⊆︵留、停、止︶。前老
は静的であるが、後老は動的である。け0=−き昌.口は
8昌占よりも止める対象物の低抗力が大きい、つまり、
暮−ま冒占の方がより努力を必要とするであろう。﹁動
いているものや動こうとしているもの﹂︵﹃大辞典﹄︶を
引き止めるのが8・ま昌・仁である。これは努力感を示
す反復と考えられる。
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{109〕 印欧語の視点による日本語の重複動詞の分析
は、巨斥・冒︵着︶\↓o−き〒目︵届︶である。一〇と鼻とは
8昌−目\8ま亭目と意味上、類比的に感じられる動詞
た結果生ずる動作であろう。本釆ある行為を遂行した
勾甲σ芽彗−=は向算胃占という行為を心の中で反復し
遠慮されるというのが霊・罫ζ﹃・自であろう。それは
いのだが不可能である、ないし無理をすれぱ可能だが、
に﹁つく﹂行為を表している。従って、けOと鼻・=よう
当事者が自分のおかれた状況を繰り返し﹁霊訂はか﹂
﹁つく﹂か﹁つか﹂ないのか不確実、不確定である場所
にさせる方が巨苧目ようにさせるよりも努力が要ると
れぱ、その動作主体の努力感を感じとることができる。
場合は勿論のこと、自動詞の時でも、主語が有生であ
整、斉︶。このペアーでは二種類の母音変化を伴って
形が結果を表す18量甲自︵唱、称︶\享8暮甲冒︵調、
勺印ぎ7ミ︸甲す算胃・⊆と同様に、次の動詞でも重複
った結果であろう。
あるいは主語が無生で、動作主体自身に到着への意識
いる。徴視的には母音変化と言えるであろうから、参
感じられる。一〇と鼻・⊆は﹁とどける﹂意味の他動詞の
はないにしても、話老の意識はその動作主体に思い入
に寄与している例がある︵阪倉︵一九六六・二六二−
考のために母音交替の例を挙げると、語根前半部一冒・
的に思い入れをしていないのではないだろうか。つま
八︶を参照︶。語根後半部分墨句と目亀における印\0:
れをして自分自身が到着するかのような努力感を感じ
り重複を通して努力感が示されていると考えられるで
の交替は同書二五〇1二頁にあるように例は多い1
と↓0=目・におけるO\αについては例は少ないが、副詞
あろう。
○蟹︸口於佐倍の城︵万葉集二〇・四⋮三︶\o8勺Eオ
ているのではないか。一方、吋鼻・目は努力ということ
二 ・ 二 ・ 五 結 果 の 重 複
ソハシム掩山背犬兄王等斑鳩︵日本書紀二四・一九
ぎ\岸αで甲類と乙類の母音交替が細かい意味の分化
勺芽”﹁⊆︵量、計︶\勾甲す芽彗・口︵揮︶。︵︸Vげの変化
九︶︵数字は巻数、﹃國史大系﹄の頁数︶。↓昌篭・=は万
がそれほど必要でなく、話者がその行為の遂行に精神
例は合成語の︸印・げ鼻・⊆︵羽振︶︵︿句︸十︸寿占︶等。
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一橋論叢 第111巻 第3号 平成6年(1994年)3月号 (110〕
葉集には一四・三四六八にあるだけだが︵﹁唱ふべみ
こそ︵刀奈布倍美許曽︶﹂︶、﹁︵呪文や経文などを︶声高
鹿の妻ととのふと鳴く聲のL︵声によって並ばせる
意︶、二〇・四⋮三﹁東男は⋮朝風に水手︵かこ︶整
記には無く、日本書紀では﹁言う、述べ言う﹂︵丸山
四二五四1﹁わご犬君の−物部の八十伴の男を撫で賜
う命令、威厳によって整える意味と考えられる一九.
示的な声ではないが、声に準ずるか、ないしは声を伴
へ﹂︵呼ぴ揃える意。二〇・四四〇八も同様︶。また明
︵一九六六・七六︶︶である。﹁声に出す﹂意味の
ひ斉へ賜ひ⋮﹂。従って、ε;勾占とその重複形8・
に発する、読み上げる﹂︵﹃犬辞典﹄︶意味であり、古事
8畠句占と、﹁整える﹂意味の季8昌甲仁は一見関係
8暮甲=は原義を考えれぱ密接なつながりがあり、
﹁となふ﹂ことを反復したその結果が﹁ととのふ﹂であ
が薄いように感じられるが必ずしもそうではないであ
す︶ことを﹁反復﹂して、その結果、有生物を
ると言うことができよう。またここには二・二・一の
ろう。意味の通時的な流れとしては8墨甲仁︵声に出
8・↓0:昌甲自︵整える︶ことである、と考えられる。声を
ω冒占\墨・ω膏・自のような効果の重複の要素も感じとる
あって、声を出すことが含意されているー二・一一九
みても、ほとんどが﹁音、声によって整える﹂意味で
形とを比較して重複という言語形式が持つ意味を考察
について、その時代の、あるいは後代に発達した重複
前節二・二では非重複形が上代にまで湖り得る動詞
二・三 非重複形を併せ持たない重複動詞
ことができる。
使わずに、無生物を整える用法は上代ではまだ少なく、
﹁声を使って整える﹂という原義から派生した二義的
な意味であろう。︵﹃上代編﹄の目的語を持つ十一例の
うち、無生物は恐らく一例しか無い−陀羅尼の御法什
﹁御軍士をあどもひたまひ齋ふる鼓の音は﹂、三.二三
してみた。考え得る動詞は網羅したつもりではある。
巻を写し繕倍⋮︵続日本後紀︶。︶万葉集を例にとって
八﹁網子調ふる海女の呼び聲﹂、一〇・二一四二﹁さ男
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(111〕 印欧語の視点による日本語の重複動詞の分析
形式上はO<︵O⋮︶O・具Oく・O<︵O⋮︶O・⊆の形をして
いても、両者の意味がかけ離れていたり、他の説得力
のある語源解釈があったりして、対︵ベアー︶と見傲す
ことを締めた動詞も数多いが︵3﹃占︵足︶\季ま﹃と、
蟹﹃.仁︵去︶\ω一・ω胃−=︵退︶、ω算−⊆︵退︶ω︷−sテ仁︵退︶
等々︶、もしそれらに、ある意味の共通基盤があると
か、重複部分が有意味でないと考える論老がいれば、
もう少し増える可能性もあるであろう。しかし、一方
で重複形しか存在しないと考えられる動詞もある。勿
論その事実は、例えぱ印欧語の例を考えても全く不思
議ではない。現在時制で非重複形を併せ持っている重
複動詞の方が例外なのである。同じ印欧語でも中世以
降ならぱなおさらのことである。古典語以外の重複動
詞は︵もしそう呼ぶことができるならぱ︶ほとんどが
擬声語、擬態語の類である−英霊事庁、寝露一Φ、仏
忌豆雪、↓三=雪、独斥算①テ、−巴−雪、露美く美養;、
曽曽畠亭等。︵もっとも古代の印欧語の重複の中にも
当然擬声語的なものはある−羅ぎ亭o﹃︵穏やかに吠
る︶、希忘§昔S︵水が音を立てる︶等々。︶さてそう
した非重複形を併せ持たない重複動詞は、それをそも
そも初めから持っていなかったのか、あるいは現存文
献に偶然残らなかったのか、あるいは文献以前に消失
したか、口語レヴェルにとどまっていたのか、様々な
可能性があると思われる。以下そうした重複動詞の考
察である。
二.三.一 語根斥・昌︵甲員斥由︶
末の子音が交替した斥由は、ζ昌−⊆︵醸︶、ぎ∋−α・﹃占
︵4︺
片.昌または語頭の子音が交替した甲昌、または語根
︵籠、隠︶、斥α昌・冒︵込、籠︶、勺印昌・冒︵填、嵌︶、
∼昌.巨、向o昌−目︵踏、践︶、着−oq印昌−⊆︵歪︶等から察せ
られるように、物理的に内向する、内側に包み込む、
力が内側へ向かう、注意が内側へ集中する、閉塞感と
いった意味をもっている。以下重複部分︵Oく・︶と語
したい。
根︵O<O︶の母音の組み合わせによって三通りに分類
二.三・一・一 斥甲斥印昌系︵ψ−印︶
ζ,Oqら昌.具被、蒙︶は上代語である。﹁被天皇之命﹂
︵古事記 下・三二︶﹁麻棄引き被り︵可賀布利︶﹂︵万
5η
橋論叢 第111巻 第3号 平成6年(1994年)3月号 (112〕
葉集 五・八九二︶、﹁命被り︵加我布理︶﹂︵同 二
〇・聖二二一︶等。この動詞と形式上対になる非重複
形の斥φ司膏・目、斥印⋮旨占は〆鍔”向膏・仁V〆彗σ膏.⊆V
ぎ巨昌という、もともと重複形を起源とする後世の
変化であるから︵﹃大辞典﹄三九四頁︶、本論でいう非
重複形に含めることはできない。この訂.蟹︸冒.⊆は
反復 の 陰 騒 を 持 っ て い な い が 、 外 か ら 中 、 上 か ら 下 、
といった方向性を担っているのではないか。また動作
の効果が動作主へ向かう、中間態のニュアンスもある。
︵二・二・二参照。︶
ぎ−口目§−⊆︵勾、曲︶、〆甲零冒・饅−﹃−巨︵屈︶。、一の両老
は記・紀・万葉には記録がないが、前老は、﹃播磨風土
記﹄賀古郡﹁﹃古典文學大系﹄二五九頁︶の中の﹁勾﹂
を﹁カガミ﹂と訓むとすれば上代において一例のみ生
じることになる︵﹃上代編﹄一七四頁︶。後老は﹃霊異
記﹄などに数例がある。この二つの動詞には語根
ζ目に何か付加された意味があるだろうか。この語
根には内向性はあるが、これらの重複動詞では、力、
作用が語根ぎヨよりももう一段階角度を深めて更に
中へ内向する意味が感じ取れるので、強調の重複とは
考えられないであろうか。また、好ましくないという
不利益の要素もある。
ぎ・訂司・⊆︵抱︶は自分の力を内側へ向けることによ
って何かを支える動作である。﹁閉じ込める、塞ぐ﹂意
味にも用いられ、こちらの方が語根の原義に近い。こ
の場合の重複は語根ぎ冒には無かった、動作主への
利益を表している。
二・三・一・二斥凹キ冒一系︵苧⊆︶
ぎ・〆員亨目︵囲︶。上代語である1﹁軍園三重﹂︵古事
記 中・二〇九︶、﹁弓矢囲みて﹂︵弓矢囲而︶L︵万葉集
六・一〇一九︶、﹁多に團み居︵左波ホ可久美爲︶﹂︵同
二〇・四四〇八︶等。〆嘗−の語根母音が交替した
ぎ目は前老より一層閉塞感が強いように感じられる
が、ぎ・ぎ目圭はそれに加えて、ぎ−①目”昌占等と異り、
その内向性が動作の及ぷ側の全方位、全方角から与え
られるという点が際だった特色であろう。強調の重複
の一種と考えられる。
二・三・一・三穴亨〆冒一系︵亨o︶
580
(113) 印欧語の視点‘こよる日本語の重複動詞の分析
濁音化する1﹁わが子羽ぐくめ︵羽裏︶﹂︵九・一七九
意。万葉集では必ず霊︵羽︶に接続され、重複部分が
ぎ÷冒一・目︵街、含︶は﹁包む、くるむ、口に含む﹂
九七六.八九︶はこのω芽・目︵咲︶を竃斥・仁︵裂、割︶
き︵幸︶﹂およぴ﹁さかゆ﹁栄﹂の項︶、更に、吉田︵一
ω算と︵咲︶と﹁同源﹂または﹁同根﹂としており︵﹁さ
はもっとも具体的、原初的な﹁裂﹂を起点として、﹁咲﹂
と﹁同根﹂と考えている。とすると意味の変化として
九︶。
﹀﹁栄﹂と文献以前に抽象度を増しつつ意味が分岐し
一︶、羽ぐくみ持ちて︵羽具久美︶L︵一五ニニ五七
汀亭零目占︵屈︶は上代になく、﹁かがむ、曲がる、縮
ていったのであろう。竃あ芽・⊆の重複の意味は例が
この語根の重複形も管見では一例である1華o黛・
二・三・三 語根 けξ
であろう。
︵裂、割︶と明らかに分裂感を共有している同語源の語
代語ω算さ︵退︶︶。墨テ=︵放、離︶も上述の伽算−⊆
ω算もまたω芽と同じく分裂感がある語根である︵上
じとることはできないであろうか。史αの交替による
根よりもわずかぱかりの躍動感が付加されていると感
これ一つであって、確定することは困難であるが、語
む﹂である。﹃夫辞典﹄は中古における斥中血目①冒・⊆V
ぎ・管目占の変化を想定している。この重複の取り得
る意味もぎ・oq∼昌とと同じように﹁︵語根斤”昌より︶
一段深い、好ましくない内向﹂であろう。
句亨片昌一・目︵含︶、ヨ由昌∋・⊆︵含︶、またミoの交替
による句o・句o昌・苧﹃・E︵含︶もぎ−胴昌一・⊆と同様であろ
、つ〇
二・三・二 語根ω芽
この語根の重複形は管見では窒・ω芽・⊆しかないが、
これは現存文献上でも一例しかない語である1﹁古
しない。この語根を含む語は3く・亭9︵弛、解︶、3く・
o−甲o︵漂︶。対となるべき非重複形.けξ・o・甲⊆は存在
一︶。語根ω算はω算山︵幸︶、吻芽−苧着︵栄︶、ω芽・與・ユ
亨昌・⊆︵弛、緩、怠︶、↓ξ・亭屋、一ξ・9s等がある。不
さざきしわれや︵狭ヒ寸為︶﹂︵万葉集 ニハニニ七九
︵栄︶等多くの語にみられるが、﹃大辞典﹄ではこれを
581
平成6年(1994年)3月号 (114〕
第111巻第3号
一橋論叢
表現している点で共通しているので、ここでは斤と
り、それぞれニュアンスを違えながら.も一種の移動を
︵来︶の重複形と考えてみることにしたい。︵語根汗に
安定感を表すこの語銀けξの重複形華註く−◎白・目は
明らかに、以上の四語には感じられないような、水平
接頭辞がついて変格活用が四段活用になる例は汗・目
︵来︶←寿と︵行︶を参照︵吉田︵一九七六.九
方向の不安定な動作の反復を示しているので、この重
七︶︶。ここに挙げた後の二つの動詞は四段活用であ。
複は最も根本的な意味、即ち、二・二・二に示した
﹁反復﹂であろう。︵Sく・亭季甲目︵揺蕩、猶予︶は重複
訂・斤とはテ仁︵来︶の本来の意味に対して、馬の類
る。︶
を伴っていないが、重複形革oξ・◎白−⊆に以た反復感
がある。︶
に代表されるような有生物が﹁人力を起えた速度で﹂
行く・来るという意味、つまり強調の重複ではなかろ
二・四 重複語幹 O く O
外見だけで見たときこの形をとる語幹は多い。重複
うか。
を表しているのであろう。斥と︵来︶にはもともと補助
苓斥−仁︵利、効︶は期待していた効果が﹁来る﹂現象
部分の母音は凹のものが最も多く、時代を上代に限ら
なければ、十一例ほど、次いで−、目、oがそれぞれ四、
五例である。これらはもし非重複形、即ち、語根を想
るのでξ・斥・仁は効果ないし利益を表す重複と考えて
動詞としては﹁ある状態が出現する﹂という意味もあ
した一音節の﹁孤立動詞﹂︵吉田︵一九七六・九五−
定するとみな一子音となるー斥・口、ω−仁、けと等々。こう
よいであろう。
﹁出て来る﹂意味と考えられよう。既出の重複の意味
ある︵﹃大辞典﹄︶。一度閉塞感を経てから、開放されて
ぎ・τ⊆︵潜、漏︶は﹁間を漏れて出る、くぐる﹂で
七︶の用語︶は上代では約十七語であるという。
ぎ・斥と︵駈、駈︶、奉斥占︵利、効︶、ぎ−穴・E︵潜、漏︶
二・四・一 語根斥
の三者はいずれも、目の前になかったものが出現した
582
(115〕 印欧語の視点による日本語の重複動詞の分析
には収まらないようであるが、﹁移動﹂という語根オ
の基本的意味に、その移動が滑らかでなく障害がある
とい う ニ ュ ア ン ス を 付 加 す る 重 複 で は な い か 。
以上三つの動詞が斥占︵来︶と無関係ではないと考
えられる動詞であるが、一方、甲o︵来︶とは関係がな
いが、形式面で斥の重複した動詞を挙げておけぱ、
斥算.口︵昇︶、︵掛、懸、賭︶、︵侠、關︶、片寿占︵聞、
聴、訊︶、ぎ斥占︵扱、放︶、斥算・仁︵掻︶、︵書、婁︶で
ある。訂干目︵掻︶は斥・⊆︵来︶とは関係が希薄だが明
らかに反復を表す動詞であろう。
二・四・二 語根片
冨片.⊆︵絶、裁、断︶、巨片・目︵伝︶、8庄占︵閉︶は語幹
末にけを持つが、上代の﹁孤立動詞﹂の一つ、O・目︵11
.一.E︶︵出︶とは意味的に結びつかないようである。た
だ、けg.=︵立、起︶はどうであろうか。植物の発生、
自然現象の発生、月の出現などに用いられる3?目
は.一.=︵出︶と関係があるとみてよいであろう。︵霞立
つ︵万葉集 五.八四六︶、煙立つ︵同 一〇・一八七
九︶、三諸の山に立つ月の︵二・二五二一︶等。︶即
ち、冨一.自は冨÷目と分析されるべき、語根一を共有す
る。一.自の重複形とは考えられないであろうか。運動
感のある中=と比べて静動であり、状態を表している
から、二.二・五に述べた﹁結果の重複﹂であろう。
ちなみにラテン、ゴートと異なり、重複による完了が
支配的になったギリシャ、サンスクリヅトでは本来完
了は﹁結果、状態﹂を表していた。前者では依然とし
て保存されているし︵ミ♀這り喜ミη喜志つ
§帆、ぶ義ミ昔亀ミ︵o,①go、署島巴、m急烏昌g↓ε、昌
昌易算ま巨巴団3需ω8一困邑凧版の訳︶︵向昌号巳員
§o営雪−.ぺ昌︶︶、後老では古典期には単なる過去
になってしまったが、ヴェーダでは本来的な現在の意
味を持つものが多い。︵尚、文献上の中E︵出︶︵色に
︵6︶
づ、漕ぎづる⋮︶が清音.↓・目であつたという説は吉田
︵一九七六・九六︶を参照。︶
二.四二二 語根奉
o︵居、座︶は皇・昌︵居︶の古形であるから、文献
以前の音として。手⊆を想定すると、意味の上で目手⊆
︵植、殖︶と無関係でないように思われる。つまり=手
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橋論叢 第111巻 第3号 平成6年(1994年)3月号 (116〕
Eは重複動詞ξ亭手⊆と考えられないであろうか。
﹁居る、座る﹂のが.手冒であって、。峯亨妻.仁はこれ
を、強調の一種として他動詞化し、植物を﹁居るよう
H能記的な重複は、基本的に、意味的1−所記的な重複
︵H反復︶を表している。その前提の上に、その反復に
由来する、様々なニュアンスの差1︵不︶利益、強調、
ちろんこの分類は再構成・再分類の可能性を持ってい
努力感、結果、躍動感−が生じているのであった。も
る。例えぱ、養冒・具葛・着目占において、この重複を
にさせる﹂という意味を持っているのではないか。
.ミ・口のような上二段の動詞に新たな音節が付いて
無いであろうと考えて分析した仮説の集合が本小論で
かしながら形と意味の両老における同時の偶然はまず
重複が単なる偶然という動詞もあり得るであろう。し
いる場合の推論は確実性が低くなるのは否めないし、
四の一子音動詞のように他に比べるべき語が不足して
が論老によっては生ずるかも知れない。また特に二.
ど明示的ではないにせよ︶合成動詞と判断されるもの
れて、重複動詞ではなく、昌苧昌實・oのような︵これほ
た。この中には重複部分︵O<・︶が、有意味と判断さ
も意味的に重複11反複していない動詞も少なくなかっ
得る訳ではないであろう。また形式的に重複していて
ので、明確にどれか一つのカテゴリーの中へ峻別され
強調としておいたが、わずかながら反復感などもある
.峯亨手目のような下二段の他動詞を作る例は昌.仁
︵曲︶←冨台白︵矯、操︶、。峯占︵居︶←弩.峯.目︵据︶
を参照。
二・四・四 その 他 の 重 複 動 詞
竃ω占︵差、指、射⋮︶、ω易・仁︵煤︶、句印司.⊆︵這、
延︶、旨o冒−o︵撰︶などがあるが、後半の二つは動作が
反復している。
結び
以上主として少なくとも非重複形の方は︵もし存在
するならば︶上代に湖り得る動詞を中心にして重複の
表している意味を考察してきた。二.二においては非
重複形との比較、二・三では非重複形を持たないもの
について他の同語根の動詞との比較を行った。形式的
584
117) 印欧語の視点による日本語の重複動詞の分析
ある。
︵1︶ 重複名詞の例としては希ミ§ミミ︵壊疽︶︵中
世羅oq彗宵竃畠として借用されて後、仏旧彗宵竪①︶
.庁幸①.巨印−︶等︵竃⑦昌g︵岩彗﹄ミ︶︶。
羅8昌雪︵蟹︶、古英語−ミ8一、=ミ8巨︵輸︶︵︿
︵2︶ ﹁動作が強度にまた反復して行なわれることを示
︵3︶ 原則としては語頭音が繰り返されるのであるが、
す。﹂︵辻︵一九七 六 ・ 一 八 五 ︶ ︶
言語によって方法が異なる。語根が歯擦音十閉鎖音で
始まる時、サンスクリツトは冨音凹邑に示されてい
るように、後考の閉鎖音のみ重複させるが、他の言語
では前老の歯擦音を重複させる−希気§−、羅祭8、
古アイルランド器色膏。もっとも完了形の重複では
ラテン語、ゴート語は両老を繰り返す1羅mqo曇
︵蜆q目︷。︵切る︶の完了形の古形︶、ゴート県豊ω忍号
︵4︶ ︵句の交替については阪倉︵一九六六二一三八−
︵ω忍巳彗分ける︶︵竃①昌g︵岩ωゴ畠−−N︶︶。
九︶を参照−8句亀・目︵咀几誼 ノロヒトホフ︶︵日本書
紀九.二五九︶\8斥oヲo︵誼 トコヒテ︶︵同一四・三
六〇︶。ミ昌の交替は同蓄二≡二−五を参照。
︵5︶ 二.二.五で阪倉︵一九六六︶のo\αの交替が担
う細かい意味の差違に言及したが、この例ω算−=\ω算−
Eでも同様に、共通の語義基盤としての﹁離す、離れ
る﹂は維持しながら、それぞれの母音の変化はニュア
は、茅.o︵退︶とあまり大きな違いはないが、同じ離れ
ンスをも変えている。ω算とは﹁放く﹂、﹁離く﹂の場合
る行為でもω芽占には対象物に対する嫌悪感があって
ω窯.目︵退︶にはそういう否定的な意味はないであろ
自分の利益のためにそれから離れるという意味がある。
一6一、.−二費茎竃暮二8肩①目彗;§↓⋮。二。
う。一方、﹁割く﹂、﹁裂く﹂の場合は﹁離す﹂様子が非
常に激烈となる。
○彗ω宗ωsω︷彗o量巨窃一’:、、︵勾雪oεΩ§§§ミミ
、鍛、麦声一⋮一星菖8;.邑§ω彗ざ=一−濤
§竃き;婁一、また、、掌①員︷賢g§§ユω芋
竃亭①、①害岸o︷與肩g&ぎ①日凹g一昌−、.︵峯団ao冨=一㌧
sξ實o、①留鶉亭⑦8邑葦昌斗冨︸目&耳乎o彗亘①g
さミoo§§§ミさ、婁ミぎ戸ω昌︶。
参照文献
一次資料
倉野憲司 他︵校注︶一九五八﹃古事記 祝詞﹄日本古
典文學大系 岩波書店
黒板勝美 他。︵編︶一九五一−二﹃日本書紀 前編 後
585
第111巻第3号 平成6年(1994年)3月号 (118
橋論叢
編﹄新訂増補 國史犬系 吉川弘文館
高木市之助 他︵校注︶一九五九−六二﹃万葉集 一−
四﹄日本古典文學大系 岩波書店
阪倉篤義 一九六六﹃語構成の研究﹄角川書店
二次資料
上代語辞典編集委員会︵編︶一九八三﹃時代別国語大辞
典上代編﹄三省堂
ωs昌R曾貝oω峯雪巳H竃o尊慧守§奏ぎき“§磧§.
き§昏 留§きミ蒙“§oミー−︶凹∋一g注■ ミμ窃彗.
辻直四郎 一九七四﹃サンスクリツト文法﹄岩波書店
ω︸巴昌o訂︸g冨窃色−ωoぎ津︵ま①斗①>呂品①︶・
中田祝夫 他︵編︶一九八三﹃古語大辞典﹄小学館
丸山林平 一九六六﹃定本日本書紀 辞典.索引﹄講談
竃①≡g一>津9鶉岩竃ぎ、§きoぎミ∼、、“§昏sミさ§.
杜
ぎ曇ざ§8ぎき−§§sミ§1員≧き彗費
;ぎ易ξ。;事彗二・窪−言幕毒似葦昌一・
吉田金彦 一九七六﹃日本語 語源学の方法﹄大修館
旨ω二寿①亮旨呂畠一&く胃雰ぎ−邑9向昌o潟竃−竃.
管鍔鶉一誓庄麸ω嘗穿ま、“ざ罫oミ暮盲ベミ。、ミ、・
−津弐昏員峯①饒まぎ05−凹眉冨器ω嘗8ωoきo︷
く①︸ω−寿①沖茎ミ§s §§s竃㎞茎ミ亀ミ、息ミ*ミ・
↓訂器8旨昌gま昌ωω自享気9彗oq①;①冒8己畠o︷
艘ooユ魁昌−さ︸ω−↓ぎくo豊訂o5窃邑&ヲ8器く.
胃巴唱昌員暮8己巨鷺o夢①オ峯ξωo︷簑o。ま①目艘o
艘oo﹃邑轟二ざー奉①臣き−目まo窒∋Ω峯ξ﹃&=呂8.
昌彗冨。二訂§=目・顯器艮−き二ぎ二昌
異竃旨邑邑ぎざ目凹婁s易き毒目§冨け。
息宗s嘗﹂鳶膏ぎ穿o峯H①きo=8庄昌o︸、①潟津ざ戸
饒o目o︷σ8g二目亭①℃巴﹃婁§︸目o吻§ミ§一峯ざ亮竃
き§ミ彗o嚢§ミ尻苧os詔o︷﹃&ε=s庄昌o︷
幕易ξ彗Oミ§§葦①目書8ξ暮ま;葦
。き冒。?馨三目膏ざぎ§一;昌冨ω蔓事9畦冨一
§§きω8昌貧o異肩o窃異↓H與o寓◎ユ.幸①饒邑冨旨呂.
○岸&きoくpω8冒ε訂く①−易二ざマ◎ユ風目巴旨H0o亭
膏ぎ§.竃彗く﹃&ξ=o津&く①︸9冒饒ぎ穿o旨8
呂s需o きH冨 守o冒 婁巨oプ 亭聖 プ邑 胃一ωg・
ξ言§蔓§ぎぎぎ§ミ彗oぎ沖ミ§ミ三艘;g
ω身亭斗亭①冒ま昌sけ−gぎ艘①需s需ω巨まs一窃
ぎ§︵ぎ§︶胃①窒︸o暮冒旦鶉.幸①斥昌峯︸二巴言昌.
ωo目①8房︷卑o二美o望=凹匡①巴津①ぎ沖ぶ迂ぎ一ぎぎ・
茎8き窪冒邑・呂婁①匝ぎけ①︷昌〇一邑sξ
8冒鼻&きま妻①ぎ§一奪§q§彗包奏§・
ぎミ嘗匝・§ミ§s.↓訂く8邑oσ9巴亭oo①自プ庁鶴oσま.
○冨亭昌ooξ睾=凹巨oく①ま9﹃&筍=og&︷oコ易o︷
ぎ㌧ぎ嘗o.§ミ冨省8まき︷ ︵一橋大学講師︶
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