第8回 「カウントダウン商売繁盛」

きときと台湾
2015年1月
㈱ジェック経営コンサルタント
台北事務所 賴真以
カウントダウン商売繁盛
一年の終わりと始まりを告げる12月は人の心も街中も特別な雰囲気に変わり、思い付く大きなイベントはクリス
マスと年越しですね。台湾ではクリスマスよりもカウントダウンが重視され、それぞれ思い思いの場所で新しい1年
を迎えます。中でも台湾のイベントの風物詩と言えば「台北市政府」前で開催される音楽ライブと台北101を鮮やか
に彩る花火です。今でこそ世界各国からも多くの観光客が集り、参加者も100万人を超える一大イベントとなりまし
たが、元々台湾には年越しを大々的に祝う習慣はなくその歴史は20年程です。
1995年末、当時の台北市長の「陳水扁」が初めてカウントダウン音楽コンサートを盛大に開催し、若い世代から
多くの支持を受け、また各メディアもこぞって報道しました。その大反響を追い風に翌年以降は、台湾全土にその
イベントが広がりました。台北市でコンサートの会場となるのは「台北市政府」「中正紀念堂」「中華民国総統府」
「台北市立運動場」「三越信義区の中庭」などの主要スポットで、多くの芸能人や歌手が集まり年が明ける12時前
から来場者と一緒にカウントダウンを迎えます。 2004年末には当時世界で最も高いビル(508m)台北101が誕生
し「台北市政府」前のカウントダウンイベントでは、ライブ終了後に台北101を舞台にした花火のショーが演出され、
人々は驚きと喜びに満ち溢れ新年を迎えました。ライブ以上に好評を得た花火は現在、雲林「剣湖山世界」、高雄
「夢時代」「義大世界(遊園地)」などでも開催され台北101に勝るとも劣らない花火のショーが全国各地で開催され
ています。
台北市内の大晦日当日は台北101の周辺の道路をすべて通行止めとし、自動車はもちろんバイクや自転車など
も一切通行できません。一方でMRT(地下鉄)は最大42時間営業となり、帰る時間や方法を心配する必要はあり
ません。また大晦日は商売人も大忙しです。特に会場周辺となる台北市信義区の約40店舗のコンビニでは消費
者に便利でスムーズな買い物が出来るよう、入り口の自動扉を撤去し、店内のガラスケースや冷蔵庫の扉をすべ
て取り除くなど工夫しており、店舗によっては通常の10倍以上の売り上げとなります。また今年の台北101の花火
ショーの予算は約3000NTD(約1億1000万円)とも言われており、これは企業の協賛金によって支えられています。
当日は多くの若者は徹夜で新年を祝い、そして翌朝には「中華民国総統府」へ直行し国旗を掲揚しに行くなど台湾
ならではの風景も見ることができます。このようなイベントを通して、より多くの方に台湾の魅力を知っていただけれ
ばと思います。
花火に彩られた台北101 (出所:中華民國交通部觀光局)