一般社団法人 日本保健物理学会 倫理規程 規程第 A-4 号 平成 23 年 8 月 12 日 前文 一般社団法人 日本保健物理学会(以下、[本会]と呼ぶ。)の目的は、放射線安全に関す る学術の発展及び技術の開発を促進し、その成果を社会及びに実務に反映させることによ って、広く人類の繁栄に寄与することである。すなわち、産業の活動や公衆の生活の中で の放射線安全を向上させ、社会の発展と福利の向上に貢献することである。また、放射線 防護の専門家集団として、国や国際機関が行う諸規制等へ適切に提言することも必要であ る。 保健物理学は社会との関わりの中で発展していく学問であり、とらえるべき視野と課題 は今日のグローバルな環境問題の中で、より大きくなっている。"持続可能な発展"は21世 紀の人類にとっての最大の課題であるが、その実現のためには、技術社会の発展の中で、 公衆(職業人を含む。以下同様)の健康と安全の確保及び環境との調和が必要である。 そのため、会員は、放射線安全に関わる知識と技術及び防護の理念の先導者となり、その 研鑽の成果を、正当な方法で社会に還元することにより、社会の健全な発展に貢献しなけ ればならない。また、会員は、常に公正中立であることが社会から求められていることを 自覚し、活動しなければならない。 本会が、保健物理学の分野において新しい展開を目指し、国際社会におけるより大きな 役割を指向している今日、その構成員たる会員の行動の規範を明らかにし、本会への社会 的信頼性確保に資することが必要であると考え、本倫理規程を定める。 倫理綱領 1.<情報と技術の社会への還元> 会員は、公衆の安全・安心のため、正しい情報を発信し、技術を社会に還元するように 努める。 2.<公衆の福利と安全> 会員は、原子力・放射線利用に伴う公衆の福利と安全に努める。 3.<個人と生活への配慮> 会員は、専門的諸活動において、個人の人権と生活への配慮に努める。 4.<自己研鑽> 会員は、絶えず自己研鑽に励み、関連する知識と技術の向上に努め、社会規範及び科学 的事実の探求に最善を尽くす。 5.<自己認識> 会員は、自らの学識・経験を正しく認識して、専門家としての活動を行うように努める。 6.<相互連携> 会員は、専門学術情報の交換及び放射線安全確保のための支援連携体制の醸成に努める。 行動の手引き 〔情報や技術の発信源としての役割〕 1.会員は、放射線安全に関して得た、新しい知見、情報、及び技術を最も適切な方法で公 表し、誤った情報の是正に努め、公衆の安心感醸成のため、放射線のリスクに関する正 確で公平な情報の提供に努める。 〔専門家としての情報提供〕 2.会員は、公衆の安全・安心に関して、情報提供を要請された場合、自らの専門知識に関 わる情報の提供に努める。 〔公衆の福利と安全を一義とする行動〕 3.会員は、自己の行為が公衆の福利と安全に資すると判断したときには、特定集団の利益 や意思に左右されることなく、自らの良心と公正な科学的判断に基づき、科学的な意見 を述べ、最善の行動を行うように努める。 〔情報と技術の社会への還元〕 4.会員は、放射線利用の社会における役割や、放射線のリスクに関して、公衆との相互理 解と安心感醸成のため、専門知識を生かした広報、宣伝、及び教育活動を行い、科学的 に正しい情報や技術を適切な方法で社会に還元するように努める。 5.会員は、放射線安全に関する事柄を公衆へ説明する際、わかりやすい表現を用いるよう に努める。 〔関与する個人と生活への配慮〕 6.会員は、放射線安全の専門家として知り得た情報等について、それを守秘すること自体 が非倫理的又は違法でない限り、守秘義務を持つ。 7.会員は、公衆から専門情報の提供を要請された場合、その情報が科学的に正確であって も、情報に含まれる個人の人権が侵されないように努める。 〔自己研鑽〕 8.会員は、絶えず自己研鑽に努め、放射線安全に関する新知識を習得し、放射線安全文化 の醸成に努める。 〔自己認識〕 9.会員は、必要な資格の欠如あるいは専門的能力の不足のために誤った判断・情報発信を するおそれがある場合には、専門的義務を負ってはならない。 〔会員相互の関係及び会員と学会との関係〕 10.会員は、置かれた職責や業務の状況の違いを越えて、相互に最新の知見、情報及び技 術の交流に努める。 付則 本規程は、平成 23 年 8 月 12 日から施行する。
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