【平成24年度大気環境調査結果の概要】 県では、大気汚染の状況を把握するため、関係市(さいたま市、川越市、川口市、所沢市、越谷市、 草加市、戸田市)と連携して大気環境の調査を行っています。 平成24年度の調査結果は、以下のとおりです。 1 大気汚染常時監視 環境基準達成率注1)(達成局数/測定局数) 一般局注2) 自排局注3) 計 二酸化硫黄(SO2) 100% (31/31) 100% ( 5/ 5) 100% (36/36) 二酸化窒素(NO2) 100% (56/56) 100% (27/27) 100% (83/83) 一酸化炭素(CO) 100% ( 6/ 6) 100% (10/10) 100%(16/16) 光化学オキシダント 0% ( 0/56) - 0% ( 0/56) 浮遊粒子状物質(SPM) 100% (55/55) 100% (26/26) 100% (81/81) 微小粒子状物質(PM2.5) 75% ( 6/ 8) 0% ( 0/ 4) 50% ( 6/12) (注1)環境基準達成率 … 所要の測定時間を確保できた有効測定局を対象に評価を行っています。評価は、 光化学オキシダントは短期的評価、他の項目は長期的評価によるものです。 なお、測定は、年間を通じて連続測定を行っています。 (注2)一般局 … 地域全体の汚染状況を把握するための測定局。特定の発生源の影響を受けない地点に設置 しています。 (注3)自排局 … 自動車による大気汚染状況を把握するための測定局。道路からの影響を受ける道路端付近 に設置しています。 (%) 100 100 97.6 100 100 100 100 100 (%) 98.8 100 100 75 75 50 50 25 25 0 100 100 100 100 98.8 18 19 20 21 22 23 100 0 平成17 18 19 20 21 22 23 24 (年度) 図1 二酸化窒素の環境基準達成率の推移 平成17 24 (年度) 図2 浮遊粒子状物質の環境基準達成率の推移 50 23 23 22 20 20 19 20 18 17 10 0 平成17 18 19 20 21 22 23 24 (年度) 図3 二酸化窒素の大気中の濃度の推移 年平均値(μ g/m3) 30 年平均値(ppb) 100 40 33 31 27 30 26 25 23 23 22 23 21 20 10 0 平成17 18 19 20 21 24 (年度) 図4 浮遊粒子状物質の大気中の濃度の推移 2 有害大気汚染物質モニタリング 環境基準達成率 測 定 回 数 (達成地点数/測定地点数) ベンゼン 100% (25/25) 毎月1回、24時間連続採取 トリクロロエチレン 100% (20/20) 同上 テトラクロロエチレン 100% (20/20) 同上 ジクロロメタン 100% (20/20) 同上 ダイオキシン類 100% (23/23) 年4回又は年2回 1週間連続採取 年平均値(pg-TEQ/m3) 0.8 0.68 0.7 0.6 0.5 0.4 0.45 大気環境基準0.6 0.36 0.31 0.31 0.3 0.2 0.17 県の目標値0.3 0.097 0.1 0.069 0.068 0.058 0.058 0.053 0.048 0.044 0.059 0.051 0 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 図5 ダイオキシン類の大気中の濃度の推移 3 詳細 詳しくは、大気環境課の次のホームページをご覧ください。 ○ 大気汚染常時監視結果 http://www.pref.saitama.lg.jp/uploaded/attachment/570221.pdf ○ 有害大気汚染物質モニタリング結果(ダイオキシン類を除く) http://www.pref.saitama.lg.jp/uploaded/attachment/569955.pdf ○ ダイオキシン類大気常時監視結果 http://www.pref.saitama.lg.jp/uploaded/attachment/569728.pdf (年度) 各環境基準設定物質が健康や環境に及ぼす影響について 1 二酸化硫黄(SO2) 無色、刺激臭のある気体であり、化石燃料に含まれる硫黄(S分)の燃焼、酸化により生ずるほか、火山 活動などの自然現象によるものもある。 主な発生源は、工場、事業場、軽油を燃料としたディーゼル自動車などである。 人体影響としては、0.5ppm ~ 1ppmで臭気を感じ、5ppm ~ 10ppmで鼻腔に不快な刺激を与える。慢性的な 症状としては、ぜんそく、気管支炎等を起こす。 また、森林や湖沼に影響を与える酸性雨の原因物質となる。 2 二酸化窒素(NO2) 赤褐色の気体で、大気中の窒素酸化物(NOx)の主要成分である。 空気中で燃料などを燃焼させるとその過程で窒素酸化物が必ず発生し、燃焼温度が高温になるほど多く発 生する。発生源では、窒素酸化物の多くが一酸化窒素(NO)として排出されるが大気中で酸化されて二酸化 窒素(NO2)となる。主な発生源は、工場・事業場、自動車などである。 人体影響としては、呼吸器の細菌感染などに対する抵抗力を弱め、鼻、喉の粘膜、呼吸器系統への刺激を 与える。 また、酸性雨及び光化学オキシダントの原因物質でもある。 3 一酸化炭素(CO) 無色、無臭の気体で、主として物の不完全燃焼により生ずる。過去では、道路渋滞による自動車からの排 出が問題となったが、現在は、燃焼改善などにより改善されている。 生体に有毒で血液中のヘモグロビンとの結合力が酸素の約210倍であるため酸素の供給を阻害する。 また、温室効果ガスである大気中のメタンの寿命を長くすることが知られている。 4 光化学オキシダント(Ox) 大気中の窒素酸化物や炭化水素類などの汚染物質が、太陽光線(紫外線)によって複雑な光化学反応を起 こして作られる酸化性物質の総称であり、主成分はオゾンである。特に夏期、日差しが強く風の弱い日に発 生しやすく、その影響は、目がチカチカする、咽が痛いなどの健康被害の他視程障害、植物の葉の組織を破 壊するなど広範囲に及ぶ。 大気汚染常時監視では、光化学オキシダントとしてオゾンを計測している。 5 浮遊粒子状物質(SPM) 大気中に浮遊する粒子状物質のうち、粒径が10μm(1000分の10mm)以下の粒子の総称である。 主な発生源は、工場・事業場のばいじん、粉じん、ディーゼル自動車の黒煙のほか、これらが大気中で反 応した二次生成物質や土壌粒子、海塩粒子など多岐にわたっている。 呼吸により体内に入る。特に粒径の小さな物質については、肺胞に留まり、溶解性の物であれば、血液に とり込まれるが、不溶解性のものであると、そのまま肺組織に留まり生体に悪影響を及ぼす。 6 微小粒子状物質(PM2.5) 大気中に浮遊する粒子状物質であって、主に粒径が2.5μm(1000分の2.5mm)以下の微細な粒子の 総称である。 構成物質としては、ディーゼル自動車、工場・事業場での燃料燃焼などからの一次生成物質と、ガス状で 排出されたものが大気中で反応した二次生成物質がある。 呼吸により体内に入る。粒径2.5μm以下と小さいため、肺の奥深くまで入りやすく、肺がん、呼吸器系 への影響に加え、循環器系への影響が懸念されている。 7 ベンゼン 常温では特徴的なにおいを持つ無色透明の液体で、水に溶けにくく、大気中で気体になりやすい揮発性物 質である。基礎化学原料として広く使われている。また、ガソリン中にも含まれている。 主な発生源は、自動車の排ガス、化学工場などからである。煙草の煙からも排出されている。 大気中のベンゼンは呼吸により取り込まれる。人体への影響としては、発がん性があることや造血器に障 害を引き起こすことが報告されている。 8 トリクロロエチレン 塩素を含む有機化合物で常温では無色透明の液体で、水に溶けにくく、大気中で気体になりやすい揮発性 物質である。さまざまな有機物を溶かす性質があり、機械部品の加工段階で用いた油の洗浄に使われている。 また、現在では代替フロンの原料としての使用が増えている。 主な発生源は、化学工業や金属製品製造工業などの工場・事業場である。 人体影響としては、高濃度のトリクロロエチレンを長期間取り込み続けると、肝臓や腎臓への障害が認め られ、比較的低濃度では頭痛、めまい、眠気など神経系への影響が認められる。 9 テトラクロロエチレン 塩素を含む有機化合物で常温では無色透明の液体で、水に溶けにくく、大気中で気体になりやすい揮発性 物質である。引火性が低く、さまざまな有機物を溶かす性質があるため、ドライクリーニングの溶剤や精密 機器の加工段階で用いた油の洗浄に使われている。また、現在では代替フロンの原料としての使用が増えて いる。 主な発生源は、洗濯業や金属製品製造工業などの工場・事業場である。 人体影響としては、高濃度のテトラクロロエチレンを長期間取り込み続けると、肝臓や腎臓への障害が認 められ、比較的低濃度では頭痛、めまい、眠気など神経系への影響が現れることがある。 10 ジクロロメタン 塩素を含む有機化合物で常温では無色透明の液体で、大気中で気体になりやすい揮発性物質である。さま ざまな有機物を溶かす性質があり、金属部品の加工段階で用いた油の洗浄に使われている。また、さまざま な製品を製造する際の溶媒としても使用されている。 主な発生源は、化学工業や金属製品製造工業などの工場・事業場である。 人体影響としては、高濃度のジクロロメタンに長期間さらされた場合、吐き気、だるさ、めまい、しびれ などの神経系への影響が報告されている。 11 ダイオキシン類(DXN) ダイオキシン類とは、PCDDs(ポリ塩化ジベンゾジオキシン)、PCDFs(ポリ塩化ジベンゾフラン)及び コプラナーPCBを合わせた総称である。 排出源としては、廃棄物焼却炉、製鋼用電気炉や焼結炉及び非鉄金属の精錬工程等がある。 ダイオキシン類が影響するホルモン異常により、次世代の子供に知能指数の減少、精子の運動能力減少等 の影響が生じる可能性がある。
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