SURE: Shizuoka University REpository http://ir.lib.shizuoka.ac.jp/ Title Author(s) Dye-sensitized and Semiconductor-sensitized Solid State Solar Cells Utilizing CuSCN and CuI as Hole Conducting Materials Dematage, Nilupulee Citation Issue Date URL Version 2013-12 http://hdl.handle.net/10297/7971 none Rights This document is downloaded at: 2015-02-01T04:35:33Z (課程博士・様式9) 審 査 要 旨 (1,000 字程度) 本論文は、低コスト次世代型太陽電池として期待される色素増感太陽電池の固体 化について、正孔輸送材料(HTM)および光吸収材料の開発に関する研究成果につい てまとめられている。 第1章では、研究の背景および色素増感太陽電池の現状と課題について、その固 体化および無機系色素を用いた超薄膜光吸収体(Extremely thin absorber: ETA)の 研究開発の背景を中心に述べられている。第2章では、チオシアン酸銅(CuSCN) を固体正孔輸送層とする全固体型色素増感太陽電池について、述べられている。従 来の研究により、CuSCN 溶液を空気中放置して酸化を進めることにより、この溶 液を塗布して作製される CuSCN 層の導電性が向上し、高い変換効率が得られるこ とが分かっていた。ここでは、種々の導電性炭素材料を CuSCN/対極界面に導入す ることにより、さらなる効率向上がみられることを明らかにしている。とくに、 carbon paste を用いた場合にこれまでで最高の変換効率 4.26 %を達成している。 第3章では、従来の有機色素に代わる無機色素として硫化アンチモンを用いた全固 体型色素増感太陽電池について、述べられている。TiO2/Sb2S3/HTM 型太陽電池で は、HTM として CuSCN を用いて、2.8 %の変換効率が報告されているが、ヨウ 化銅(CuI)を HTM とするものは、知られていない。実際、太陽電池 TiO2/Sb2S3/CuI を作製したところ、0.94 %という低い変換効率であった。暗電流測定、インピーダ ンススペクトル解析の結果から、低効率の原因は、Sb2S3/CuI 界面における電荷再 結合であることが示唆された。これに対し、TiO2/Sb2S3 界面に従来の色素増感太陽 電 池 で 用 い ら れ る ル テ ニ ウ ム 錯 体 色 素 N719 を 吸 着 さ せ た 太 陽 電 池 TiO2/Sb2S3/N719/CuI では、短絡電流密度 Jsc、開回路電圧 Voc ともに向上し変換 効率 2.5 %を達成した。ここで、色素 N719 の効果は、光増感過程によるものでは なく、電荷再結合の抑制であることを、暗電流測定、インピーダンススペクトル解 析の結果から、明らかにしている。第4章では、色素として Sb2S3、HTM として CuSCN を用いた全固体型色素増感太陽電池について、述べられている。第2章で 見出された carbon paste の効果、および第3章の N719 色素の効果はここでも同 様に認められ、TiO2/Sb2S3/ N719/CuSCN/carbon paste 型太陽電池で変換効率 2.92 %を達成した。第5章には、本論文の結論および固体型色素増感太陽電池のさ らなる高効率化と実用化に向けての今後の展望について述べられている。 以上の通り、本論文では、固体型色素増感太陽電池の高効率化に対して、太陽電池 を構成する正孔輸送材料および光吸収材料についての幅広い検討がなされ、太陽電 池効率向上へとつながる結果および指針が示されている。従って、博士(工学)の 学位を授与するに十分な内容を有するものと認められる。
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