タ イ ト ル : 『日本語教育における反転授業の実践-文法教育における試みと課題』 著 者 : 古川 智樹(関西大学 留学生別科) 本研究は、日本語教育における反転授業の効果検証を行うものである 本学の大学・大学院進学を希望する留学生42名を対象に、日本語科目における文法 教育を中心に反転授業を行い、授業時間における産出の機会を増やすとともに、実際 に学習者の理解度、正確度が向上するかどうか、反転授業の有効性の検証を行った。 データ取得期間は2014年4月から10月であり、分析は、①学習成果分析(本学LMSの ログ分析及び予習動画視聴率と日本語科目の最終試験結果との相関分析、予習動画 視聴率の上位群・下位群の成績比較分析)、②アンケート調査及び半構造化インタ ビュー調査を行った。 以上の調査を行った結果、動画視聴率は徐々に下がっていくものの、平均で約70% あり、最終試験結果との相関では0.48で、中程度の有意な正の相関が確認された。 また、動画視聴率の上位群と下位群で、最終試験結果に差が見られるかどうか、t検 定を行ったところ、有意差が確認され、平均で約20点の差(100点満点)があることがわ かった。 そして、アンケート、インタビュー調査では、学習者は予習動画を高く評価しており(肯 定的評価が81%)、それらによって文法の理解度が高まり、授業にも入りやすくなったと いう意見が多数を占めた。 またLMSのログ分析では予習だけではなく、授業後あるいは試験前の復習として複 数回視聴している学生が多数おり、反転授業で用いられる予習動画が様々な用途で 有効に用いられていることがわかった。
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