高浜原発再稼働を認める「審査書案」にノーを! パブリック・コメントを出そう! 原子力規制を監視する市民の会 [2014.12.30 版] 原子力規制委員会は、高浜原発について関西電力の申請を認める審査書案を提示しまし た。1 月 16 日を期限にしたパブリック・コメントが実施されています。みなさんで、審 査書案を認めないぞ!再稼働を認めないぞ!との声を集中しましょう。 イラスト:高木章次 パブリック・コメントは、原子力規制委員会のサイトから直接出すことができます。 審査書案もあります。http://www.nsr.go.jp/public_comment/bosyu1 41218_01.html FAX や郵送で出すこともできます。〒106-8450 東京都港区六本木 1-9-9 六本木ファーストビル 原子力規制庁 安全規制管理官(PWR 担当)宛 FAX:03-5114-2179 高浜原発審査書案への「パブコメのタネ」 □審査全般にかかわる項目 □審査書案に触れられていない項目 [P1:審査の位置づけ/P430:審査結果] ◆結果は公開で審議して反映を<P1/P430> ◆安全を保証するものではない<P1/P430> ・ 川内原発の審査書案では、寄せられた意見と 反映の仕方について、原子力規制委員会の定例 会合で簡単な報告があっただけで、多くの意見 が反映されませんでした。 ・ 少なくとも適合性審査の会合を開いて、反映 寄せられたパブリック・コメントについては、公 開の場で慎重に審議した上で、きちんと反映して ほしい。 原子力規制委員会田中俊一委員長の述べるよう にこの審査書が「安全を保証するものではない」 のであればそれを明記し、説明すべきです。 1 の仕方について公開で議論すべきです。 ・ 審査書案の確定の前に、住民からの意見を直 接聞く公聴会を合わせて開催すべきです。 常の運転と同じ扱いとなっています。プルサー マル運転の危険性について十分考慮されてい ません。 ・ MOX燃料を用いた後に生じる使用済MOX 燃料は、再処理ができず、冷却に非常に長い時 間がかかります。搬出のめどはなく、地元に長 期間留め置かれることになります。その意味で も、プルサーマル運転を認めるべきではありま せん。 ◆工事計画認可・保安規定も<P1/P430> 多くの項目で「申請者が…する方針としているこ とを確認した」とあるだけで具体的な中身やその 審査について書かれていません。具体的な中身を 書き込むべきです。工事計画認可や保安規定に反 映されるのであればそれと合わせてパブリック・ コメントにかけなければ意味がありません。 ◆原子力防災計画の欠落<P1/P430> 重大事故を想定した避難計画を含む原子力防災 計画が適切で実効性のあるものかどうかを確認 する法的な手続きがなく、適合性審査でも検討の 対象となっていないのは重大な欠陥です。 ・ 審査は①設置変更許可②工事計画認可③保安 規定の3つがセットになっています。しかし今 回パブコメにかかるのは、①の設置変更許可に 関する審査書案だけです。 ・ 原発の重要な機器が基準地震動に耐えられる かどうかを確認する工事計画認可や重大事故 時の対応手順を確認する保安規定については、 まだ検討途中です。 ・ パブコメを実施するのであれば、これらをセ ットで行わなければ意味がありません。 ・ MOX燃料はウラン燃料とは異なり、燃料が 溶融する温度が低く溶融しやすい、制御棒の効 きが悪い、臨界に達しやすいなどの危険性があ り、安全余裕が削られます。このことは、政府 も関電も認めています。 ・ MOX燃料の場合、長寿命核種の影響で、重 大事故で放出される放射能はウラン燃料より も多くなり、被害が拡大します。 ・ 新規制基準では、重大事故対策が新たに加わ っていますが、審査書案では、MOX燃料を用 いた場合の解析がなく、ウラン燃料を用いる通 ・ 「避難計画を案ずる関西連絡会」が実施した 自治体アンケート2によると、福井県・京都府 の避難先となっている兵庫県内の避難所につ いて、兵庫県下 41 市町の内、24 市町で、土砂 災害等の危険区域に設定されたままです。避難 所数では、全避難所 599 ヶ所の内、約3割の 184 ヶ所に達します。 ・ 避難所が危険区域にあることは、改正された 災害対策基本法及び原子力災害対策特別措置 法に抵触します。避難計画は違法状態です。 ・ 高浜原発の避難計画は、他にも風向きが考慮 されていない、スクリーニングの場所が高浜原 発から 10 キロ以内にも設定されているなど機 能が果たせない、避難先に十分なスペースが確 保されていない、地震や津波との複合災害が考 慮されていない、放射能が 30 キロ以遠に及ぶ 可能性が考慮されていない、ヨウ素剤の配布が 不十分等々の問題があり、実効性に乏しいもの ですが、これをチェックするシステムがなく、 審査書案も全く触れていません。 ・ 米国では、原子力防災計画の策定が許可要件 に含まれており、米国原子力規制委員会による 審査を受けます。許可が下りないと原発の運転 ができません。 1 2 ◆プルサーマル運転の危険性1<P1/P430> 関電は高浜原発の再稼働時にプルサーマル運転 (プルトニウムを混合したMOX燃料を用いた 運転)を実施するつもりでいるが、審査書案では、 プルサーマル運転の危険性について十分考慮さ れていません。 参考: 「高浜原発3・4号パブコメ用参考メモ」 美浜の会/グリーン・アクション (美浜の会HP http://www.jca.apc.org/mihama/) 2 出典: 「 『避難所が危険区域にあるか』アンケート回答 集計」避難計画を案ずる関西連絡会 /脱原発はりまアクション(美浜の会HPより) 少なくとも既往最大の 1700 ガルにすべきです4。 ◆福島原発事故の検証が不十分<P1/P430> 福島原発事故の検証が不十分であり、原因もわか っていません。津波の前に地震により機器が破損 した可能性についても検証が不十分です。福島原 発事故を教訓にするというのであれば原因の究 明を先に行うべきです。 □重大事故対策 ◆汚染水事故対策なし<P365~412> 適合性審査では、福島第一原発で現に起きている 汚染水事故…格納容器下部が破損して冷却水が 漏れ、汚染水となって外部に放射能が大量に拡散 している…について検討しておらず、防止策もと られていません。これは、格納容器が破損した場 合でも、放射能の大量の拡散を防止する策を講ず るよう要求する新規制基準にも違反します。 ◆クロスチェック解析の実施を<P1/P430> 重大事故対策の有効性評価に関して、事業者の解 析結果の妥当性を、規制委が別の解析コードを用 いて詳しく検証するクロスチェック解析が実施 されていません。原子力安全・保安院/安全委員 会時代に行われていたこの科学的に厳正な審査 手法を取り入れていないことは大きな後退です。 ・ 福島第一原発においては、汚染水の流出によ る土壌汚染、海洋汚染が深刻な状況で、6日目 ごとに5億ベクレルほどのトリチウムが海に 放出され、汚染し続けています。 ・ 汚染水発生の原因は、格納容器下部の破損に よる原子炉冷却水の流出にあります。これに建 屋に入り込んだ地下水が混ざり、大量の汚染水 となり、施設外への大量の放射能放出に至って います。 ・ 設置許可基準規則 55 条では、格納容器の破 損に至った場合等において「工場等外への放射 性物質の拡散を抑制するために必要な設備を 設けなければならない」とされています。 ・ ところが、関電の対策は、格納容器上部が破 損し、気体の放射能が放出した場合、それを放 水砲で叩き落と すというだけで す(写真は規制委 説明資料より) 。 格納容器下部の 破損による原子 炉冷却水の流出 と、それが汚染水という形で、施設外への放射 性物質の異常な水準の放出をもたらす事態に ついては対策はなく、適合性審査で検討もされ ていません。 ・ 原子力規制委員会の組織理念では規制委は 「福島第一原発事故の教訓に学び、二度とこの ような事故を起こさないために、…設置され た」とあります。格納容器下部から外部への流 □地震動想定 ◆地震動想定は約4倍にすべき<P16~18> 断層モデルについて、日本の地震の特性を考慮す れば関電が設定した基準地震動よりも約4倍の 規模のものを想定すべきです。 ・ 震源を特定して策定する地震動について、関 電は、強震動予測手法(レシピ)を用いた評価 を行い、基準地震動を設定しています。しかし レシピは、世界的な地震の平均像を求める手法 であり、そこで用いられている経験式(入倉・ 三宅式)では日本の地震の特性が考慮されてい ません3。 ・ 日本の地震の特性に基づく経験式(武村式) を用いた場合、レシピの4倍程度の地震規模に なります。 ◆620 ガルは過小評価<P20> 震源を特定せずに策定する地震動については、既 往最大の 1700 ガルにすべきです。 ・ 震源を特定せずに策定する地震動について、 2000 年鳥取県西部地震および 2004 年北海道留 萌支庁南部地震を参照して 620 ガルとしてい ます。これは、中越沖地震で基準値を大きく超 えた柏崎刈羽原発の 1699 ガルに比べるとあま りに小さい値です。基準地震動の最大加速度は 3 4 参考: 「高浜原発3・4号パブコメ用参考メモ」 3 参考:石橋克彦『科学』2014 年 8 月号 出という福島での汚染水の実態を踏まえた対 策を、新規制基準の要求事項とし、適合性審査 で検討すべきです。 ・ 汚染水の漏えいが続いていますが、これを止 める対応が進んでいません。原子力規制委員会 は、再稼働のための審査よりも汚染水対策を優 先すべきです。 原発の評価では、水素を生じるジルコニウムの 反応量を解析に依拠せず 100%としているのに 対し、高浜原発の評価では、解析に依拠して約 81%とし、不確かさの度合いを小さくして水素 濃度 13%以下の結果を出しています。 ・ この解析に関電が使用した解析コードMAA Pは、同相互作用が始まったら水素発生が全部 止まるという非安全側の極端な計算特性があ り、相互作用を取り扱う技術レベルにはないこ とを更田規制委員長代理が述べています。 ・ 高浜原発でジルコニウムの反応量 100%(川 内原発と同じ)を想定すると、水素濃度が約 14.8%になり、爆轟判断基準を満足しません。 ◆圧力容器への注水放棄 <P170> 大破断による冷却水喪失と電源喪失により緊急 炉心冷却ができない事態が重なる重大事故にお いて、関電は原子炉圧力容器への注水を放棄し、 格納容器の下部に水をためて、そこに溶融燃料を 落とすという手順を想定しています。これでは、 溶融燃料により格納容器が破損する恐れがあり、 水素爆発や水蒸気爆発の危険性も高まります。 <参考:滝谷紘一『科学』2015 年 1 月号> ◆水蒸気爆発の危険性 <P199~203> 溶融炉心が水と接触して生じる水蒸気爆発につ いて、 「発生の可能性が極めて低いとしているこ とは妥当」とした判断根拠の諸実験結果は、実機 への適用性が確かめられていません ・ 設置許可基準規則 51 条 は炉心冷却設備の設置を要 求していますが、下部キャ ビティに水を導く独自の設 備が設置されていません。 ・ 原子炉容器破損(メルト スルー)まで 1.5 時間しか なく、避難が間に合いませ ん。 (図は規制委資料より) ・ 実験での溶融物の量は実機の千分の1以下と 小規模であり、実機に適用できるかどうか疑問 です。大規模確証試験を公開で実施すべきです。 ◆フィルタ付ベントがない◆免震重要棟がない フィルタ付ベントや免震重要棟が設置されてい ません。必要な安全装置や施設なしに再稼働を認 めることはできません。 ◆水素爆轟(ばくごう)の危険性<P203~214> 新規制基準は、重大事故時に水素が発生しても、 衝撃波をともなう強烈な爆発である爆轟(ばくご う)が生じることがないよう、水素濃度が 13% ◆コアキャッチャーがない 以上になることを禁じています。水素発生量の不 確かさを厳しく考慮すると、水素濃度が 13%を 超え、審査基準不適合が明らかです。 欧州の原発では設置されているコアキャッチャ ーがなく、世界最高水準とはいえません。 ・ 「溶融炉心・コンクリート相互作用」の不確 かさを考慮に入れた水素発生量について、川内 原子力規制を監視する市民の会 http://www.kiseikanshishimin.net/ 〒162-0822 東京都新宿区下宮比町 3-12-302 TEL/03-5225-7213/FAX/03-5225-7214 カンパ歓迎!★金融機関名:ゆうちょ銀行 口座名称: 原子力規制を監視する市民の会 ※ゆうちょ銀行以外から:〇一九(ゼロイチキュウ)店( 019)当座 0449670 ※ゆうちょ銀行から:00140-5-449670 ・加入者払込・払出店:飯田橋駅東口 4
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