CTD 第 2 部
2.2 緒言
MSD 株式会社
バニプレビル
2.2 緒言
カプセル剤
目次
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略号及び用語の定義..................................................................................................................................... 2
2.2 緒言..................................................................................................................................................... 3
2.2 緒言
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バニプレビル
2.2 緒言
カプセル剤
略号及び用語の定義
略号
HCV
PEG-IFN
SVR24
正式名称(英語)
Hepatitis C virus
Pegylated interferon
Sustained Viral Response 24
正式名称(日本語)
C 型肝炎ウイルス
ペグインターフェロン
投与終了後24週時点の HCV RNA 持続
陰性化
2.2 緒言
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バニプレビル
2.2 緒言
2.2
カプセル剤
緒言
バニプレビルは、Merck Sharp & Dohme Corp., a subsidiary of Merck & Co., Inc., Whitehouse
Station,N.J., U.S.A.が C 型慢性肝炎治療薬として開発した経口抗ウイルス剤である。バニプレビル
は、C 型肝炎ウイルス(HCV)の NS3/4A プロテアーゼ阻害剤であり、エラスターゼやトリプシ
ンなど他のセリンプロテアーゼに対して優れた選択性を示すが、キモトリプシンに対する阻害活
性は中程度である。また、バニプレビルは、genotype 1b のレプリコンアッセイで、ウイルス複製
を強力に阻害し、40%正常ヒト血清存在下でも大きな変化を示さないことが確認されている。
HCV キャリアは全世界で1億7000万人、本邦では150万~200万人と推定されている[資料5.4: 4]。
HCV は自然に排除されにくく、慢性肝炎の継続により線維化が進展し、肝硬変へ移行する場合が
多く、更に線維化が進行すると肝細胞癌が発症しやすくなる。本邦の肝細胞癌の死亡者は毎年約3
万5千人にのぼり、この約7割が HCV 感染によるものとされているため、感染者からの HCV 排除
が重要である[資料5.4: 6]。HCV には複数の遺伝子型があるが、日本人では genotype 1b が約70%、
2a が約20%、2b が約10%の構成となっている[資料5.4: 5]、[資料5.4: 8]。
近年、C 型慢性肝炎の治療は、ペグインターフェロン(PEG-IFN)及びリバビリン2剤併用療法
の登場により、HCV RNA 持続陰性化率は、
「genotype 1かつ高ウイルス量」の未治療患者に対す
る48週間治療で40~50%まで上昇した[資料5.4: 1]。また、2011年に承認されたテラプレビルは、
PEG-IFN/リバビリンとの3剤併用療法で高い有効性を示し、SVR24率は、未治療例で73.0%、前治
療再燃例で88.1%であった。これらの患者集団に対する抗ウイルス効果の増強がみられた反面、
前治療無効例の SVR24率は34.4%にとどまっている[資料5.4: 2]、[資料5.4: 3]。一方、安全性につい
ても、テラプレビルとの3剤併用投与により、従来の PEG-IFN/リバビリンの2剤併用でみられる副
作用に加え、発疹(まれに重篤な皮疹)
、そう痒感、嘔気、下痢、ヘモグロビン値の低下、高尿酸
血症及び血中クレアチニン増加(腎障害)といった副作用が認められている[資料5.4: 5]、[資料5.4:
1]。
このように C 型慢性肝炎に対する既存の治療法は、有効性及び安全性の観点で未だ十分とは言
えず、特に、前治療無効例に対する有効な治療の必要性は極めて高い。これらの患者に対し、既
存の治療法よりも効果が高く、より安全かつ忍容な薬剤の提供が急がれる。
本邦でのバニプレビルの開発は、日本人に多い genotype 1を対象として行われた。バニプレビ
ル及び PEG-IFN/リバビリンとの3剤併用療法(12週間又は24週間)は、日本人 C 型慢性肝炎患者
を対象とした3つの第Ⅲ相試験で、未治療例、前治療再燃例及び前治療無効例での有効性が示され
た。また、これらの臨床試験で発現頻度が高かった有害事象は、いずれも2剤併用療法でも報告さ
れている既知の事象であり、その多くは軽度又は中等度の可逆的な事象であった。
さらにバニプレビルを含む3剤併用療法の臨床試験では、日本人 C 型慢性肝炎患者に対し、2剤
併用療法よりも短い治療期間で、これを上回る高い有効性及び同程度の安全性プロファイルが示
された。よって、本剤は C 型慢性肝炎治療薬として、新たな治療選択肢となりうると考え、本邦
で製造販売承認申請を行うこととした。
2.2 緒言
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