農政をめぐる情勢 - JA愛知中央会

農 政 対 策 資 料
平成26年12月
農政をめぐる情勢
目
次
Ⅰ
水田農業をめぐる情勢・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
Ⅱ
TPP交渉をめぐる情勢・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
J
A
愛
知
中
央
会
今月号のあらまし
Ⅰ
水田農業をめぐる情勢
農林水産省は、11月28日、平成 26/27 年の米の需給見通し、平成27年
産米の生産数量目標等を内容とする「米穀の需給及び価格の安定に関する基本
指針」を「食料・農業・農村政策審議会食糧部会」に諮問し、了承を得た。
愛知県の生産数量目標は、134,970トン(面積換算値26,620h
a)で、26年産比では1,360トン(面積換算値270ha)の減となっ
た。
また、都道府県段階において、自ら需要の動向を把握し、戦略的に主食用米
や非主食用米の生産量を考えようとする機運を高めるため、生産数量目標の設
定にあわせて「自主的取組参考値」が今回初めて付記された。
Ⅱ
TPP交渉をめぐる情勢
12月7~12日、米国ワシントンでTPP首席交渉官会合が開催された。
8日から行われた首席交渉官全体の会合では、難航分野のうち、国有企業と環
境の両分野で一定の進展があったとされている。また、9~10日には、農産
物関税をめぐる日米実務者協議が首席交渉官会合と並行して行われたが、衆議
院選挙の中で政治判断を必要とする大幅な進展はなかったとの見方が強く、交
渉妥結に向けた見通しは依然不透明な状況である。
Ⅰ
水田農業をめぐる情勢
―
生産数量目標決定
本県は前年比 1,360 トン(270ha)減の
134,970 トン(26,620ha)―
1.「米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針」の内容
○
農林水産省は11月28日、
「食料・農業・農村政策審議会食糧部会」に27
年産米の生産数量目標を含めた「米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針」
の変更について諮問し、了承を得た。
(1)26/27 年の需給見通し
○
25/26 年(平成25年7月から平成26年6月までの1年間)の需要実績(確
定値)を787万トンとし、26年6月末の民間在庫量を220万トンと確定
させた。そして、26年産主食用米等の生産量を789万トン(平成26年1
0月15日現在の平成26年産米水稲の予想収穫量(主食用))とし、26/27
年の主食用米等の供給量を1,009万トンと見通している。
○
26/27 年および 27/28 年の全国の需要見通しについては、8/9 年以降から直
近の 25/26 年までの全国の需要実績を用いたトレンド(回帰式)により、26/27
年を778万トン、27/28 年を770万トンとした。その結果、27年6月末
の民間在庫量は230万トンになると見通している。
<平成 26/27 年の主食用米等の需給見通し>
(単位:万トン)
主食用米等
平成26年6月末民間在庫量
A
220
平成26年産主食用米等生産量
B
789
C=A+B
1,009
D
778
E=C-D
230
平成 26/27 年主食用米等供給量計
平成 26/27 年主食用米等需要量
平成27年6月末民間在庫量
(注)表示単位を万トンとしているため計と内訳が一致しない場合があります。
○
なお、需給見通しの注釈として、
「平成26年産米のふるい下米や青死米等は、
天候不順の影響に伴う登熟不良等により例年に比べ多く発生している状況にあ
ることから、実際に主食用米等として流通する量は、例年よりも17~20万
トン程度減少し、これにより平成27年6月末民間在庫量も減少する可能性が
ある」としている。
1
(2)27年産米の生産数量目標
○
27年産米の全国の生産数量目標は、26年産米の10月15日現在の作況
指数が「101」であり、ふるい下米の増加分を除いても、生産量が6万トン
増加したことや、近年のトレンドにおいて需要が毎年8万トン減少しているこ
とを勘案し、26年産米の生産数量目標765万トンから14万トン(6万+
8万)減の751万トンと設定された(別紙1)。これで、目標が前年を下回る
のは6年連続となった。
○
都道府県別の生産数量目標については、従来からの方法により、全国の生産
数量目標を基に都道府県ごとの過去6年の需要実績中、中庸4年分の平均値の
シェアで算出することを基本としており、27年産米についてもこの方式によ
り設定された。
○
都道府県ごとの需要実績の算出に当たっては、これまでと同様、米の需給調
整への取組等に対する一定の配慮措置(①作付面積が生産数量目標(面積換算
値)を下回った実績、②都道府県間調整による生産数量目標の減少、③過去政
府に売り渡され備蓄米となっている数量、④東日本大震災に伴う都道府県間調
整)を行っている。
○
本県に対しては、26年産から1,360トン減の134,970トンが通知
された。なお、面積換算では270ha減の26,620haとなった。また、
県内の市町村別の生産数量目標は、12月17日、愛知県米需給調整推進会議
において決定される見込みである。
○
なお、28年産米における都道府県別の生産数量目標については、27年産米
における生産数量目標の県別シェアを固定し、生産数量目標の深堀り(生産数量
目標を下回って生産)に伴う不公平感をなくすため、27年産米の生産実績にか
かわらず、28年産米における全国の生産数量目標を当該シェアで按分し設定す
ることを基本とするとしている。
(3)自主的取組参考値の付記
○
25年11月決定された米政策の見直しにおいて、4年後(30年産から)を
目途に、行政による生産数量目標の配分に頼らず、生産者や集荷業者、団体が中
心となって円滑に需要に応じた生産が行える状況になるよう、行政・生産者団
体・現場が一体となって取り組むとしている。
2
○
これを踏まえ、都道府県段階において、自ら需要の動向を把握し、戦略的に主
食用米や非主食用米の生産量を考えようとする機運を高めるため、今回初めて
「自主的取組参考値(以下、
「参考値」とする)」が生産数量目標の設定にあわせ
て付記された(別紙1)。
○
27年産米の「参考値」は、生産数量目標を12万トン下回る739万トン、
面積換算では140万haとされた。「参考値」は、各産地が自主的に飼料用米
などの非主食用米を増やして主食用米を減らし、生産数量目標を超過達成して需
給を安定させるための目安とし、仮に達成した場合は、28年6月末の民間在庫
量が過去の平均水準(199万トン)に近づくこととなるものとして設定してい
る。
○
なお、主食用米以外の生産拡大に向けた自主的な取り組みを促す観点から、主
食用米作付面積が生産数量目標面積を下回る都道府県に対し、産地交付金の追加
配分(10アール当たり5千円)を検討している。
2.平成26年産米の価格下落への対応
○
自民党は、26年産米の対応について、農業基本政策検討PT(宮腰光寛座長)
を中心に検討を重ね、11月13日、政府に対する要請の形式で、「二十六年産
米の価格下落への対応について」をとりまとめた。
○
農林水産省は、11月14日、自民党の要請内容を踏まえ、「平成26年産米
等への対応について(別紙2)」を公表した。
【「平成26年産米等への対応について」の主な内容】
Ø ナラシ対策実質前倒しに相当する資金繰り対策
・ 稲作農家の農林漁業セーフティネット資金の円滑融通
・ 26年産米の生産者向けに農林漁業セーフティネット資金の貸付当初1年間
の実質無利子化
・ 米の直接支払交付金の支払いを基本的に12月15日までに完了
Ø ナラシ対策の運用改善
・ 青死米の大量発生に対応するため、交付金算定に使う収量は国と都道府県が協
議、調整する
Ø 生産出荷団体に概算金の早期追加支払いを要請
Ø 売り急ぎ防止のため、米穀機構の資金を活用した保管料等支援
3
Ⅱ
TPP交渉をめぐる情勢
―
首席交渉官会合
難航分野に一定の進展 ―
1.TPP首席交渉官会合の状況
○
12月7~12日、米国ワシントンでTPP首席交渉官会合が開催された。
7日から一部の作業部会で首席交渉官同士の個別協議が行われ、8日からは全
体の会合が行われた。今回の会合では難航分野のうち、国有企業と環境の両分
野で一定の進展があったとされている。しかし、最も遅れている知的財産分野
は作業部会が開催されず、議論は進まなかったとされている。
○
また、9~10日には、TPP首席交渉官会合と並行して、大江首席交渉官
代理とカトラー次席代表代行らによる農産物関税をめぐる日米実務者協議が行
われた。交渉の内容については明らかにされていないが、一部報道によると、
衆議院選挙の中で政治的判断を必要とする大幅な進展はなかったとの見方が強
いとされている。
2.国外の動向
○
オバマ米大統領は11日、大統領輸出評議会において、TPP交渉の妥結目
標などには言及しなかったものの、
「合意できる可能性は五分五分よりはるかに
高い」と述べ、TPP全体合意について強い自信を示した。
○
また、TPPの合意・批准には、2007年に失効したTPAを米政府が取
得することが必要となることから、
「TPAを復活するため、議会と協力し、野
心的なTPP合意の承認を確実にする」と述べ、TPA関連法の成立に向け、
議会と協議する意向を明らかにした。
3.今後の見通し
○
甘利TPP担当大臣は9日の閣議後の会見で、
「閣僚会合に至る最終段階の環
境整備だという認識で、首席交渉官以下臨んでいる」
「来年の早い時期に閣僚間
で妥結していかないと、全体のスケジュールが不透明になるということもあろ
うかと思う」と述べ、閣僚会合が来年早々にも開催されるとの見通しを示した。
○
TPP政府対策本部は、次回のTPP首席交渉官会合について「日程も場所
も未定」としている。しかし、一部報道によると来年1月26日~2月1日ま
で米国内で開催されるとの情報もあり、TPP交渉の動向に引き続き警戒が必
要である。
7
農 政 を め ぐ る 情 勢
平成26年12月22日
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