2014/2/3 第13章 マクロ経済の 短期モデル • • • • • • 13.1 名目価格の硬直性 • 短期モデルとは 現実には、長期モデルの前提が成立していることはまれ。 景気循環が存在、財政政策、金融政策が行われる。 長期モデルでは説明できないことが多すぎる! 「短期」では「長期」の仮定が成立していない。 どの仮定? • 名目価格の硬直性 名目価格はすぐには変わらない。 「硬直的」=全く変わらない? 「硬直性」というより「粘着性」が適切だが Pは短期的には一定 P = P として分析。 13.1 名目価格の硬直性 短期モデルとは、名目価格の硬直性 13.2 財市場と貨幣市場 貨幣市場、企業の生産活動、資本ストックと労働、 財市場における「短期均衡」、短期モデル、数式による表現 13.3 総生産の決定 45度線分析 13.4 財政政策と民間需要ショック 拡張的財政政策と45度線分析、民間需要と45度線分析, 総供給と45度線分析 13.5 貨幣市場 貨幣市場と利子率、金融政策ルール:ターゲット利子率、 ターゲット利子率の変更 13.6 政策効果の分析 財市場と貨幣市場の分析の統合、 財市場におけるショックの影響:ターゲット利子率一定の場合 ターゲット利子率変更の影響、貨幣の非中立性 ターゲット利子率が可変的な場合 1 13.2 短期における財市場と貨幣市場 • 短期モデルにおける貨幣市場 貨幣市場は迅速に均衡する。 財市場の調整はSlow=> 不均衡が発生。 • 短期モデルにおける企業の生産活動 価格調整:需要増(減)=>P up(down) 数量調整:需要量に応じて供給を調整。 • 短期モデルにおける資本ストックと労働 • 資本ストック、Kは一定 供給(生産)の変化にはKの稼働率、労働 投入Lは残業・時短で調整。 • 財市場における「短期均衡」 Y = YD 読み方: 左辺:総生産 を 右辺:総需要 が決定する 2 短期モデルの表現 • 短期モデル、数式による表現 • 物価 P=P (13‐1) • 財市場均衡条件 総生産は総需要で決定される Y = YD (13‐2a) • 総需要の中身 YD = [c(Y‐T) + C]+[‐br+I]+G+NX (13‐2b) • 貨幣市場均衡条件 M e (13‐3) P = a0+a1Ya2(r+ ) 長期モデルと(それほど)変わらない? 3 4 1 2014/2/3 13.3 短期における総生産の決定 図13‐1 45度線分析 45度線分析 財市場に注目 Y = YD YD = [c(Y‐T) + C]+[‐br+I]+G+NX Y YD (13‐2a) (13‐2b) システムを図示 横軸: 総生産 Y 縦軸: 総需要 YD DD E Y D c(Y T ) C br I G NX 45度線 と YD線の交点E0が均衡点 対応する横軸の値 Y# 短期均衡GDP Y# 5 13.4 短期における財政政策と 民間需要ショック • 6 図13‐2 45度線分析と財政政策 拡張的財政政策と45度線分析 政府支出増 G変化 (ΔG = G1 ‐ G0) Y YD DD1 図から均衡総生産Y up How much? 均衡では Y = [c(Y‐T) + C]+[‐br+I]+G+NX (13‐2) 書き直せば、 1 Y = {[‐cT + C]+[‐br+I]+G+NX} (13‐2’) ሺ1−c) ΔG=1 => ΔY=1/(1‐c) 政府投資の乗数 1/(1‐c) ・ 政府投資1単位増はGDP 1/(1‐c)増をもたらす。 C=0.8 なら 1/(1‐c)=5 もうひとつの見方(ΔG=1の効果) 1st round Y 1up 2nd round C cx1 up => Y c up 3rd round C cxc up => Y c2 up 4th。。。 合計は 1+c+c2+…+cn +…= 1/(1‐c) E1 E0 Y0# 7 Y c (Y T ) C br I G1 NX DD0 D Y D c (Y T ) C br I G0 NX Y1# 8 2 2014/2/3 図13‐3 消費と投資の変化率の推移 45度線分析(続き) • 民間需要と45度線分析 C, I, NX 増はGと同じ効果 乗数 1/(1‐c) 民間消費、民間投資I、純輸出NXの増加 Iのシェアは小さいが振れ幅は大(図13‐3) Iの変動は乗数を通してYの変動を引き起こす。 • 総供給と45度線分析 企業の生産性上昇 均衡のYは不変 (需要YDを変化させないから) 9 13.5 短期における貨幣市場 10 図13‐4 短期モデルにおける貨幣市場 価格の硬直性P=P • 貨幣市場と利子率 M = a0+a1Ya2(r+e) (13‐3’) P とりあえず、Y, eは不変と考える。 (図13‐4参照) 貨幣市場はrを決める ΔM>0 => Δr<0 • 短期の金融政策ルール:ターゲット利子率 (図13‐5) 貨幣需要変動に対し r = r# (13‐4) 需要増減に合わせて供給を同じ量増減 • ターゲット利子率の変更(図13‐6) ターゲット r# 引き下げ 貨幣供給増 引き上げ 減 11 12 3 2014/2/3 図13‐6 拡張的金融政策(「利下げ」 ないし「金融緩和」と貨幣市場 図13‐5 貨幣需要が変動したときに どのようにしてターゲット利子率を 維持するのか 13 14 図13‐7 拡張的金融政策と財市場 13.6 短期における政策効果の分析 ちょっと待った!話が合わん! • 財市場と貨幣市場の分析の統合 r = r# (13‐4) (13‐2a) Y = YD (13‐2b) YD = [c(Y‐T) + C]+[‐br+I]+G+NX Y = YD YD = [c(Y‐T) + C]+[‐br#+I]+G+NX (13‐2a) (13‐2b’) Y YD DD1 E1 Y D c(Y T ) C br1# I G NX DD0 図13‐7参照 E0 財市場におけるショックの影響:ターゲット利子率一定の場合 財市場の分析はこれまで通り。 • ターゲット利子率変更の影響 利下げ(金融緩和、ΔM>0 貨幣供給増) 投資増、Y増 金融政策はY増に有効 • 貨幣の非中立性 Pの硬直性があれば成立 • ターゲット利子率が可変的な場合 Y D c(Y T ) C br0# I G NX • Y0# 15 Y1# 16 4 2014/2/3 図 各国GDPの推移,2007年から2011年 (2007年第1四半期における値を100とする) 練習問題 • 13‐1 短期モデルの政策効果 ID=130‐200r, r=r#=0.3, G=70, T=100, c=0.8, C=80, NX = 0 (a) Y (b) ΔG=1の時Yは? (c) ΔG=ΔT=1の時Yの増加は?(均衡予算乗数) (d) r#=0.2、 Yの変化は? • 13‐2 予想インフレ率変化の効果 (e上昇) (a) ターゲット実質利子率(r)一定 (b) ターゲット名目利子率(i)一定 • 13‐3 Yの輸入への効果 IM(Y) NXD = NX‐mY (0<m<1 限界輸入性向) 17 18 5
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