第5回の宿題の解答

経済数学入門 — 初歩から一歩ずつ —
第 5 回の宿題の解答
練習 1 需要曲線から導かれる面積 1 と供給曲線から導かれる面積 2 を求
めなさい.その値は消費者の純効用 (消費者余剰) と企業の利潤の式のどの
部分に当たるのか述べて下さい.
価格
面積 1
供給曲線
1
2
面積 2
需要曲線
1
2
数量
図 1: 市場均衡と余剰
答え 1
三角形の面積の公式より,図の面積 1 と面積 2 は,共に 1/2 · 1/2 · 1/2 = 1/8 に
なる.
純効用 (消費者余剰) を U (度々記号を代えてすいません) とすると,
1
1
U (q) = − (q − (1 − p))2 + (1 − p)2
2
2
となり,最大点は q = 1−p のとき,最大値 U (q) = 12 (1−p)2 となる.均衡価格は,p = 1/2
なので,q = 1/2 である.この時,最大値 U (1/2) = 12 (1 − 1/2)2 = 1/8 となり,上図の面
積 1 に等しい.
企業の利潤は,
1
p2
π(q) = − (q − p)2 +
2
2
となり,最大点は q = p のとき,最大値 π(q) = p2 /2 となる.均衡価格は,p = 1/2 なの
で,q = 1/2 である.この時,最大値 π(1/2) = (1/2)2 /2 = 1/8 となり,上図の面積 2 に
等しい.
1
練習 2
次の数列の和を求めてください.x は定数であるとする.
∑3
∑n
∑3
(1)
(2)
(3)
i=1 3(i + 1)
i=1 3(i − 1)
k=1 xk
答え 2
(1)
∑3
i=1 3(i+1) = 3
(∑
3
i=1 (i
)
(∑
)
∑3
3
+ 1) = 3
i
+
1)
= 3 ((1 + 2 + 3) + 3 · 1)) =
i=1
i=1
3 (6 + 3) = 27
(
)
∑n
∑n
∑n
∑n
(2) i=1 3(i−1) = 3 ( i=1 (i − 1)) = 3 ( i=1 i − i=1 1)) = 3 12 n(n + 1) − n · 1) =
(1
) 3 2
3 2 (n(n + 1) − 2n) = 2 (n − n) = 32 n(n − 1)
∑3
∑3
(3) k=1 xk = x k=1 k = x(1 + 2 + 3) = 6x
練習 3
∑10
下の数列が等しいことを確かめてください.
∑11
i=1 (2i + 1) =
k=2 (2k − 1)
答え 3
∑10
i=1 (2i
+ 1) =
∑11
i=2 (2(i
− 1) + 1) =
∑11
i=2 (2i
− 1) =
∑11
k=2 (2k
− 1)
練習 4 毎年配当を 40 円支払う株式会社があるとする.割引率が 3% のと
き,この会社の株を無限に保有する時の配当金額の割引現在価値を求めて
ください.株価は関係ないものとする.
答え 4
永久年金公式に代入すれば良い.
PV =
x
40
=
= 1333.3 · · ·
r
0.03
毎年 40 円の配当を支払う企業の株を買う無限に生きる個人がいるとする.その人が一生
その配当を受け取る金額は,現在価値に換算すると割引率 3% で大体 1333 円となる.こ
の人は,もし株価がこの値よりも高ければ購入するだろう.もしこの株を保有していたな
らば,この値よりも低い株価が付いていたならば,この株を売却するだろう.よって,こ
の問題の仮定が正しければ,この株価の理論値は,1333 円となる.
平成 26 年 3 月期に配当を合計 40 円支払う予定の富士重工業 (株) の株価は,2014 年 4
月 18 日の終値で 2,821 円であった.この株価は高いだろうかあるいは低いだろうか?割引
率は,業界の平均的な ROE (return on equity,株主資本利益率) で考えたらどうだろう
か?大方の市場参加者は,この企業の業績は上向く—従って配当が増加する—と予想して
いたらどう評価できるだろうか.
今回の新しい宿題です
練習 1
今回の宿題の解答において U (q) と π(q) に対して,
W (q) = U (q) + π(q)
2
を定義します.次の問いに答えて下さい.
(1) W (q) に価格 p が入っているか.
(2) W (q) を最大化する q を求めなさい.
(3) それは何に等しいか.
練習 2 今回の宿題の解答において,価格 p を明示的に取り扱い新たに
π(q, p) を定義します.
π(q, p) = pq −
q2
2
このとき,π(q, 1/4),π(q, 1/2),π(q, 1) の式を導出して,p − π 平面にそれ
らのグラフを描いて下さい.
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