Kwansei Gakuin University Repository

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Title
絶対値補間と標本点列についての一考察
Author(s)
原田, 純一
Citation
関西学院大学
Issue Date
URL
http://hdl.handle.net/10236/12325
Right
http://kgur.kawansei.ac.jp/dspace
2013 年度 修士論文要旨
絶対値補間と標本点列についての一考察
関西学院大学大学院理工学研究科
数理科学専攻 北原研究室 原田純一
チェビシェフ多項式の零点や絶対値が 1 となる点を標本点列とすると,多項式補間を考える
際によい近似結果が得られることが知られている.そこで,本論文では,チェビチェフ多項式
の絶対値が 1 となる点列に近いような性質をもつ標本点列を見つけることを目的としている.
絶対値補間を考察するにあたり,1970 年に Micchelli と Rivlin が提出し,DeVore が 1974 年に
肯定的に解いた問題がある.この問題の内容をふまえ,次のような標本点列について考察した.
区間 [−1, 1] 上の関数系 {1, x, · · · , xn } において,x0 , x1 , · · · , xn を相異なる標本点列とする.
このとき,
|u(xi )| = 1, i = 0, 1, · · · , n
となる u ∈ Span{1, x, · · · , xn } のうち,u の [−1, 1] における零点が n 個であるものがちょうど
2 つであるとき,相異なる標本点列 x0 , x1 , · · · , xn は MR(Micchelli and Rivlin) 標本点列と呼ぶ
ことにする.
上記の内容について,多項式関数系において,0 次から 4 次までについて MR 標本点列となる
条件についての考察を行った.0 次と 1 次の場合は任意の相異なる標本点列が MR 標本点列と
なった.2 次の場合は標本点列と関数値から多項式関数を求め,零点の個数を調べ,3 次の場合
は標本点列を −1, −ε, ε, 1 (0 < ε < 1) とし,4 次の場合は標本点列を −1, −ε, 0, ε, 1 (0 < ε < 1)
として標本点列に対称性をもたせて条件をみたす多項式関数の零点の個数を調べた.結果,2
次と 4 次の場合においては標本点列に条件が必要であることがわかり,3 次の場合は標本点列
−1, −ε, ε, 1 が MR 標本点列となることが分かった.また,ルンゲの現象にみられるように,等
間隔標本点列では多項式の補間がよい近似を与えるとは限らないことがよく知られているため,
等間隔標本点列に関して MR 標本点列となるかという問題の考察を行った.数値実験の結果な
どを踏まえて,2 次以上の多項式関数において等間隔標本点列は MR 標本点列とならないこと
を示した.このことによって,MR 標本点列は多項式補間を考える際によい標本点列を与えて
いる可能性があることが分かった.
また,多項式関数を含む関数系としてチェビシェフ系を用意し,チェビシェフ系における補間可
能な標本点列と MR 標本点列の定義を行った.そのもとで,チェビシェフ系を {1, u1 , u2 , · · · , un }
とおいて,n = 0, 1, 2 について MR 標本点列となる条件について考察した.n = 0, 1 の場合は任
意の相異なる標本点列が MR 標本点列となり,n = 2 の場合は具体的な標本点列の条件を求め
ることは出来ないが,チェビシェフ系の同値条件から関数値に注目すればよいことが分かった.