リスク管理 - kamakuranet.ne.jp

2014/4/13
農業生産に関連するリスクの種類
1.
生産リスク

2.

3.
農業経済論 講義スライド その9
リスク管理
4.
5.

農業生産に必要な人が得られないリスク
リスクの定量評価
頻度×深刻さ

頻度: 悪い事がどれ位の頻度で発生するか?
 深刻さ: 悪い事が発生した場合、深刻さはどれ位か?


金利や為替レートなどが農業生産に与えるリスク
人的資源リスク

リスクの大きさ
新技術の適用に関連するリスク
財政的リスク

6.
農業政策(補助金,安全基準,貿易政策)の変更に起因す
るリスク
技術的リスク

青山学院大学 経済学部 松本茂
主として生産物の価格変動に関連したリスク
規制リスク

参考文献: CLARIE SCHAFFNIT-CHATTERJEE. RISK
MANAGEMENT IN AGRICULTURE. DEUTSCHE BANK
RESEARCH SEPTEMBER 17, 2010.
気候や病虫害などに起因する農産物の生産ロス
価格リスク
Coefficient of variation

相互関連性
どれ位の人が同時に悪影響を受けるのか?
 個人固有のリスク(例: 病気,価格変動)
平均値に対する標準偏差の大きさ
年度
2010年
2011年
2012年
価格
90円
110円
100円




システマティックリスク(例: 洪水、地震、旱魃)

中間的なリスク


平均価格 100円
標準偏差 14.14円
90
 Coefficient of variation

各農家は自分でリスク分散をすることができる。
多くの場合、政府が大きく関与する。


農産物の価格変動はなぜ大きくなるのか?
価格
一般的な財
価格
100
100
110
リスク: 予測できる変動
不確実性: 予測できない変動
在庫による調整
農産物
弾力性 小

Figure 4. Stocks to
use ratio

P0
P1
P0
P2
量
100
0.14 = 14.14/100
リスクと不確実性

保険市場を利用したリスク分散がはかられる。
100
農産物中には在庫
調整ができるものが
あり、それらの農産
物は在庫調整を行う
ことで、価格変動の
影響を緩和すること
ができる。
量
1
2014/4/13
リスクをどの様に管理するか
農家がどの様にリスクを評価しているか。

Figure 1. Rating
sources of risk

農家は、価格リスクと
生産リスクがもっとも
重要なリスクだと考え
ている。
リスク削減
農家 / 家計/ コミュニ
ティー
市場
政府
技術選択
リスク管理の訓練
マクロ政策
災害防止
動物の病気の予防策
リスク緩和
生産の多様化
先物市場
所得平準化税制
分益小作
保険
反循環的政策
垂直統合
伝染病蔓延防止のための水際対策
生産販売契約
販売時期の分散
資産分散
農外就業
リスク収拾
近隣・親戚らからの借り入れ
資産の売却
災害復旧
コミュニティー内の募金
銀行預金と借入
社会的支援
農外所得
農業支援策
リスクをどの様に管理するか
分益小作とは
地主が所有地を小作農に貸与する際、小作料として収
穫物の一定の割合を徴収する制度
 悪天候などによる生産不良のリスクを地主と小作人の間
でシェアすることとなる。

リスク削減
出展: Schaffinit-Chaterjee (2010)
農家 / 家計/ コミュニ
ティー
市場
政府
技術選択
リスク管理の訓練
マクロ政策
災害防止
動物の病気の予防策
リスク緩和
生産の多様化
先物市場
所得平準化税制
分益小作
保険
反循環的政策
垂直統合
伝染病蔓延防止のための水際対策
生産販売契約
販売時期の分散
資産分散
農外就業
リスク収拾
近隣・親戚らからの借り入れ
資産の売却
災害復旧
コミュニティー内の募金
銀行預金と借入
社会的支援
農外所得
農業支援策
垂直統合・生産販売契約
リスク対策の代替性と補完性
垂直統合とは、特定の工程に関与する複数の企業など
が統合することをいう。
 農業部門では、農産物を生産する農家と農産物を購
入・加工・販売する企業などが、契約などを結んで事業
を行うことを意味する。
 農家の方は、決められた価格で決められた量の農産物
を購入してもらえるようになるので、リスクを減らすことが
できる。
 また、企業の方も決められた値段で規格化された農産
物を購入できるようになるため、リスクを減らすことができ
る。


代替性
特定のリスク対策を普及させることが別のリスク対策の利用を
減らす場合がある。
 所得補償が準備されているようだと、農家は先物市場を利用
して価格リスクを緩和しようとはしなくなる。
 農産物の生産に保険が利用できるようなら、農家は色々な
作物を栽培してリスクヘッジをしようとはしなくなる。


補完性

作物保険が充実するとより多くの農産物を栽培し、また価格
変動リスクを回避するためのヘッジングをより積極的に利用
しようとする。
2
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どの様なリスク管理手法が利用されているか。
ヨーロッパの農家

Figure 7. Risk
Management in
use
ヨーロッパの農家は
アメリカの農家に比
べて先物取引を利用
していない。
 穀物保険や資産保
険を利用している。
 多くの農家が馴染み
の薄い方法を利用し
ようとは考えていない。
政府の参入
1.
国際市場の価格変動を直接的に受けないように国境調整措
置を実施する。
 国際市場の価格が下落した場合には、関税をあげて輸入量
を減らすことで、国内の農産物の価格が低下し過ぎないよう
にする。

政府の参入
2.
在庫調整への介入

輸入品の価格が低いときは基準輸入価格に満たない部分を
関税として徴収して国内養豚農家を保護する一方、価格が
高いときには低率な従価税を適用することにより関税負担を
軽減し消費者の利益を図る仕組み
 しかし、上手く機能していないという指摘が多々ある。
政府の参入
3.
備蓄を用いた価格調整
 豊作の場合には農作物を備蓄し、凶作の場合には備蓄を供
出することで価格の安定化を図る制度
 政府がやる必要があるのかとの指摘もある。
1.
先物市場

2.
別スライドで解説
保険市場

以下解説
価格支持政策




年間消費量は800万トン程度であるが、適正備蓄水準が
100万トン程度とされている(平成24/25年度)。
市場ベースでのリスク管理
価格への介入

例: 米の場合

例: 豚肉の差額関税制度



貿易への介入

殆どの国で、価格支持政策の利用は限定的になってきている。
過去の経験から、価格支持政策は適正に機能しないことが知られ
ている。
詳しくは来学期に説明。
所得補償政策
直接支払制度
要件を満たす生産活動に従事する農家の所得を直接補償する制度
で、近年利用されるようになってきている。
 事後的支払
多くの国で何らかの制度が導入されている。生産保険の代替制度と
なる。

リスク削減に対する支払い額
特定のリスクを削減するために、社会は費用を負担しな
ければならないが、リスク削減の便益をどの様に評価す
ることが可能だろうか?
 リスクの削減のために人々がどれだけお金を支払う意思
があるか(リスク削減への支払い意思額)を調べ、その
金額をリスク削減の便益とする場合がある。

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環境経済学13
18
3
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期待効用の理論1


報酬額を x とする。
2つの状態が出現する可能性があり、ある人は



期待効用理論2


状態Aが出現した場合に xA の
状態Bが出現した場合に xB の


報酬を得るものとする。
また、それぞれの状態が出現する可能性は、πAと(1-
πA)= πB である。
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環境経済学13
それぞれなる。
注: これらの効用は不確実性が解消された後に事後
的に与えられるものである。
環境経済学13
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リスクプレミアムの図示
ある状態で得られる利得とその状態の出現確率を
人々が同時に合理的に評価するようなら、人々は
次の期待効用(Expected Utility)
状態Aのもとでの効用U(xA) に、状態Aが出現する確率πA
をかけたものπAU(xA)
状態Bのもとでの効用U(xB) に、状態Bが出現する確率
(1-πA)をかけたもの(1-πA) U(xB)を足したもの
EU = πAU(xA) + (1-πA)U(xB)
を最大化する様に行動する。
 こうした関数を、提案者に因んで、フォンノイマン・
モルゲンシュタイン型効用関数とよぶ。
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
状態Aの下での効用水準はU(xA)に
状態Bの下での効用水準はU(xB)に
19
期待効用理論3

この人の効用水準は、U(x)で示される。
従って、
環境経済学13
21
リスクプレミアム
効用水準
所得の限界効用は逓減すると思われる
ので、効用関数は以下の曲線の様に描
かれる。
U(x)
CEとEPの差を U(xB)
リスクプレミアムRP
という。
一方、期待効用はU(xA)とU(xB)の真ん
中になるのでEUになる。
EU
状態Aと状態Bが1/2づつの確率で出現
するなら、報酬の期待値はxAとxBの真ん
中になるので
EPになる。
U(xA)
xA
RP
CE EP
報酬額
xB
EUの水準の効用は、確実性等価(Certainty Equivalent)
の水準の報酬を保証してやれば十分である。これは、XAとXB
の半分の報酬額EPより小さい。
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環境経済学13
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リスクプレミアムの例
状態1 状態2
報酬
100
0
出現確率
1/2
1/2
環境経済学13
期待報酬額 EP
= 100×1/2+0×1/2
= 50
 確実性等価(CE)
= 45
 リスクプレミアム(RP)
= 5

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確実性等価(Certainty Equivalent)が保障され
るなら、人々はリスクを取った結果に期待される報
酬(Expected Payoff)よりも少ない金額で満足する。
 確実な報酬水準CEと報酬の期待値EPの差をリス
クプレミアム(Risk Premium)といい、先図の様に
限界効用が逓減するようなら、リスクプレミアムRPは
正になる。
 これが、人々がリスクを回避するために支払っても
良いと考える金額である。

24
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環境経済学13
23
4
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保険市場の限界

リスク分散の限界
全員が影響を受ける様なシステマティックリスクへの対応は
保険市場が設立しにくい。
 国際保険市場を活用した再保険
 政府補償による裏付け


農業保険の種類1
1.

個々の農家が利用する保険
個別リスクに対応した保険

作物保険: あらゆる悪天候による収穫ロスを補償
複数災害保険: 収穫が閾値を下回った場合に補償
 収入保険: 価格補償と収穫補償の組み合わせ
情報の非対称性


保険を販売する人は保険を購入する人の行動を完全に
チェックすることはできない。
 モラルハザード
 アドバースセレクション


火災保険
複合リスクに対応した保険

収量の減少
人々の合理性の限界

心理学者は、人々が適切な確率計算できないことを指摘し
ている。
価格の下落
補償対象
補償対象外
補償対象
収入保険
価格保険
補償対象外
作物保険
農業災害補償制度
農業保険の種類2
相互安定化基金
メンバー同士で基金を作ることで、災害を被った人を助
ける仕組み
 農家はお互いのことをよく知っているので、モラルハ
ザードは生じにくい。
1.

日本では、農家が出し合った共済掛金を原資として、自
然災害により被害に遭った農家に、被害程度に応じて
共済金を支払う仕組みが設けられている。
 対象農産物



穀類(米、麦)、畑作物(たくさん)、家畜(牛、馬、豚)、果樹
(たくさん)、園芸作物
国の関与

国は、共済掛金・運営費の補助、再保険を実施している。
出展:
農林水産省 (2013)
各国の農業保険の概要
農林水産政策研究所(2010)
農林漁業セーフティネット資金(日本政策金融
公庫)
自然災害や社会的・経済的環境変化等により、農林漁
業経営の維持安定が困難な農林漁業者に対し、一時
的影響に緊急的に対応するために必要な長期資金を
融資する制度
 低利の借り入れができる。
アメリカ
フランス
スペイン
ギリシャ
制度創設
1938年
2002年
1978年
1961年
1947年
実施主体
民間保険会
社
民間保険会
社
民間保険会
社連合組織
政府機関
農業共済団
体等
保険料補助
60%弱(補償
水準により
38~100%)
65%
50%程度(グ
ループごとに
補助率を積み
上げ)
なし
50%(例外あ
り)
運営費補助
連邦政府が全
額負担(保険
料の一定割
合)
付加保険料
補助
付加保険料
補助
なし
国が定額補助
公的再保険
あり(一部民
案活用)
なし
あり(一部民
間活用)
なし(政府保
証による借入
れ)
あり(民間活
用なし)
加入
すべて任意加
入
すべて任意加
入
すべて任意加
入
一部義務加
入
一部義務加
入
収入保険
実施
未実施
未実施
未実施
一部災害PQ
方式

日本
5
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農産物の価格変動
農産物
大豆価格
CME(シカゴ商品取引所)の先物価格
(USドル/トン)

65000
天候に左右されるため、価格変動は非常に激しい。
天気が悪いと収穫量が減ってしまうが、天気が良く収穫量が
増えると安くしか売れなくなる。
 家畜に飼料を与えないといけないけれども、飼料の価格も激
しく変化する。
 なんとか、農産物の価格リスクの影響を緩和し、安定的な経
営をすることはできないものだろうか。
 こうした期待に応えるため、農産物市場では古くから先物市
場が開発されてきた。

60000
55000
50000
45000
40000
35000
30000
2012年7月
先物契約

先物契約とは、将来のある時点において商品を納入す
る時の価格を本日決める契約をいう。

例: 農作物の植えつけ時期に購入者と農家の間で収穫期
の農作物を売買価格を事前に決めておく



価格が下がれば農家は得をして、
価格が上げれば購入者は得をすることとなる。
先物価格契約では、農家は価格リスクを購入者にシフトし、
適当な価格で生産費の回収をすることが可能となる。
2012年10月
2012年4月
2012年1月
2011年7月
2011年10月
2011年4月
2011年1月
2010年7月
2010年10月
2010年4月
2010年1月
2009年7月
2009年10月
2009年4月
2009年1月
2008年7月
2008年10月
2008年4月
2008年1月
2007年7月
2007年10月
2007年4月
2007年1月
25000
契約農業
農家は決められた生産方法で農産物を生産する代わり
に、収穫した農産物を購入者に決められた価格で販売
できるようになる。
 決められた価格で決められた量を購入して貰えるので
農家は価格リスクを無くすことができる。
 購入者の方も規格化された農産物を決められた価格で
定量分購入できるのでリスクを減らすことができる。

先物取引に関与する人々
売買取引
先物取引とは先物市場において規格化された契約で
取引をする取引のことをいう。
 Speculator(投機家)





契約の買い手

価格の決定

取引所


価格の変動リスクを少なくしようと行動する人
Exchange(取引所)


価格の変動リスクを受け入れて利益を得ようと行動する人
Hedger(ヘッジャー)


先物契約では価格以外について全ての交換条件が基準化された取
引が行われる。
商品の交換契約
契約の売り手

Speculator と Hedger が先物取引する場を提供することで
取引所は手数料収入を得る
アメリカ Chicago Board of Trade (穀物,脂肪種子)Chicago
Mercantile Exchange (家畜)
 日本 東京穀物商品取引所 コメ、とうもろこし、一般大豆、小豆、ア
ラビカ、粗糖





特定の時間(契約の満期時)に、特定の場所に、特定の商品を定められた量だ
け届けることを契約する。
特定の時間に、特定の場所で、特定の商品を、定められた量だけ買い入れるこ
とを契約する。
商品の交換価格は契約設立時に決定される。
価格に関する合意がなされた場合、取引所は販売者と購入者の間で、それぞ
れ別々に契約を結ぶ。
取引所は売りと買いを同時に実施するので商品の受渡し受入れに責任を負わ
なくなる。
また、買い手と売り手の間に対してニュートラルな立場をとることとなる。
6
2014/4/13
OPENING AND CLOSING CONTRACT

Open Contract (未決済約定)


取引の成立後、反対売買または現物の受渡しによる決済が
行われていない先物契約の総数をいう。
OPENING AND CLOSING CONTRACT

Bさんは、
12月に
1ブッシェルあたり3ドルで
5000ブッシェルの
とうもろこしを
引き受ける
買取契約をする。
売買取引が行われてから、反対売買または現物の受渡しに
よる決済がなされていない先物契約をいう。
Open Interest(未決済約定総数)

商
品
取
引
所
Bさんは、
12月に
1ブッシェルあたり3ドルで
5000ブッシェルの
とうもろこしを
届ける
販売契約をする。
例 CLOSE CONTRACT (決済約定)
Open Contract (未決済約定)


Aさんは、
12月に
1ブッシェルあたり3ドルで
5000ブッシェルの
とうもろこしを
引き受ける
買取契約をする。
売買取引が行われてから、反対売買または現物の受渡しに
よる決済がなされていない先物契約をいう。
Open Interest(未決済約定総数)


例 OPEN CONTRACT (未決済約定)
取引の成立後、反対売買または現物の受渡しによる決済が
行われていない先物契約の総数をいう。
商
品
取
引
所
Aさんは、
12月に
1ブッシェルあたり3ドルで
5000ブッシェルの
とうもろこしを
届ける
販売契約をする。
商
品
取
引
所
Cさんは、
12月に
1ブッシェルあたり3.5ドル
で5000ブッシェルの
とうもろこしを
引き受ける
買取契約をする。
1月
Close Contract(決済約定)
Bさんは、
12月に
1ブッシェルあたり3.5ドル
で5000ブッシェルの
とうもろこしを
届ける
販売契約をする。
取引通りの現物の受け渡しを所定の日に実施する。(2%)
 反対売買を行う。買取契約をしていたなら販売契約をする、
販売契約をしていたなら買取契約をする。(98%)

6月
先物商品価格はどう決まるのか?

契約時点の商品の価格+満期日までの貯蔵費用
=契約時点の先物商品価格
例: とうもろこしを1ケ月間保管する費用が1ブッシェル当た
り0.02ドルだとすると、契約日の1月から満期日の12月まで
保管する費用は0.22ドルとなる。
 現在のとうもろこしの価格が2.78ドルならば、12月のとうもろ
こしの価格は3ドルとなる。
 仮に、トウモロコシの価格がこれより高かったり安かったりす
れば、裁定取引が実施される。

(BASIS)


商品の先物価格と現在価格の差をBasisという。
満期が近づくにつれ、Basisは減少していく。
単価
先物契約価格
Basis
現金価格
満期
7
2014/4/13
SPECULATOR
HEDGERS
貴方はお金持ちで、銀行口座に10億円の預金がある。
資産をもっと増やしたい。
 過去の経験では天候不順になると小豆の値段は今から
5割増しになることが知られている。
 天候が良いと小豆の値段は1割減となる。
 3分の1の確率で天候不順になる。
 3分の1の確率で資産を5割増やすことができるなら、ま
あ、1億円位減っても構わないか。
 どうせ金には不自由していないし。









HEDGE
CLOSE CONTRACT(決済約定)
物的決済(1月の価格は 先物市場
1ポンド0.60ドル)
現物市場
3月
$0.80/lbの契約を販売
1月
$0.60/lbの契約を購入
$0.60/lbで販売
純利益(費用)
$0.20/lb
$0.60/lbで販売
$0.80/lb
総利益
非物的決済(1月の価
格は1ポンド1.00ドル)
先物市場
3月
$0.80/lbの契約を販売
現物市場
1月
$1.00/lbの契約を購入
$1.00/lbで販売
純利益(費用)
-$0.20/lb
$1.00/lbで販売
総利益
現在3月だが来年の1月に生産しているオレンジを1ポンド
0.80ドルで売ることのできる先物契約がある。
1箱に6ポンドのオレンジを積めて出荷することを約束すれ
ば、4.80ドルの収益を得ることができる。
過去の経験から、オレンジの生産費は1箱当たり3.80ドルで
ある。
1月の時点でオレンジの価格がどうなってるかを予測すること
はできないが、先物契約をすることができれば1箱あたり1ド
ルの利益を確定することができ、リスクをヘッジすることができ
る。
先物市場で1ポンド0.80ドルの販売契約をすれば、利益を確
定することができる。
では、先物価格が0.63ドルだったらどうするか?
何時、先物取引をすれば良いか?
現物市場と先物市場を併用することで、一方の市場の
損失をもう一方の市場の利益で相殺することができる。
 例えば、現物価格が低下し現物市場で損失が出た場
合には、先物市場の利潤でその損失を相殺することが
できる。
 逆に、現物市場で利益を上げた場合には、先物市場で
は損失を被ることとなる。

$0.80/lb
OPTION
PREMIUM(プレミアム)
特定の価格(Strike Price 権利行使価格)で先物契約
を購入或いは販売する権利
 Call Option




Put Option




販売する権利
以下では、農家の Put Option について考察
American Option

権利行使期間内であればいつでも権利を行使できるオプ
ション契約
European Option


買い取る権利



農家は Put Option を買う場
合、権利行使価格で農作物を
販売できる権利を得ることとなる。
その際、買い手である農家は売
り手に対しプレミアムを支払うこ
ととなる。
オプション契約では、このプレミ
アム以外は全て規格化されて
いる。
プレミアムの金額は権利行使価
格が高くなるにつれて、増加す
る。
これは、高い値段で農作物を
引き取って貰えることを意味す
るからである。
権利行使価格
プレミアム
$5.50/bu
$0.20/bu
$6.00/bu
$0.50/bu
$6.50/bu
$0.90/bu
決済日のみに権利を行使できるオプション契約
8
2014/4/13
OPTION CONTRACT の例






収穫期の12月にとうもろこしの価格が$4.00/bu に下落する
ことを懸念し、1月の時点で$0.50支払って、とうもろこしを
$6.00/bu で販売する権利 Put Option を購入しておく。
決済約定をするためには、12月にとうもろこしを$4.00/bu で
購入する契約をセットですれば良い。
Put Option を行使することで、先物市場で$2.00/bu を得る
ことができる。
また、現物市場で12月にとうもろこしを販売することで
$4.00/bu を得ることができる。
現物市場と先物市場で、合計で$6.00/bu を得ることができる
が、 Put Option を購入した時に$0.50支払っているので、
ネットのリターンは$5.50/bu となる。
将来確実に$2.00/bu を得るために、現在$0.50支払う。
OPTION CONTRACT の例
収穫期の12月にとうもろこしの価格が$8.00/bu に上昇
したらどうすれば良いか。
 権利を行使せずに、現物市場でとうもろこしを$8.00/bu
で販売すれば良い。
 Put Option を購入した時に$0.50支払っているので、
ネットのリターンは$7.50/bu となる。
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Option Contractは、火災保険みたいな役割を担う。
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