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Doctoral Dissertation / 博士論文
Thrombin-Activatable Fibrinolysis Inhibitor
Protects against Acute Lung Injury by
Inhibiting the Complement System
内藤, 雅大
三重大学, 2014.
内容の要旨・審査結果の要旨 / 三重大学大学院医学系研究科生命医科学専攻病態制御医学講座呼吸器内科学分野
http://hdl.handle.net/10076/14004
学位
三ム
吉岡
文の要旨
重 大 学
所潟
甲
三重大学大学院医学系研究科
生命医科学専攻 病態制御医学講座
呼吸器内科学分野
氏名
内藤雅大
主論文の題名
Thrombin-Activatable Fibrinolysis Inhibitor Protects against Acute Lung
InjurybyInhibitingtheComplementSystem
主論文の要旨
急性柿障害は、重度の低酸素血症を引き起こす死亡率が約 30~40% の重篤な疾患です。しかし、
現時点で急性肺障害に対する有効な治療法はありません。
肺障害の病因は、肺胞と間質における凝固系の促進と線溶系の抑制l
に関連しているとされていま
す。抗凝固剤を投与すると肺障害が改善するという報告があり、その例が活性型プロテイン C で
す。活性型プロテイン C は、凝固系を抑制し、線溶系を促進し、炎症性サイトカインを抑制する
ことで肺障害を軽減するとされています。とのように、炎症と凝固線溶系の問には密接な関係が存
在しています。
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)は、主に肝臓から合成されるカルボキシペプ
チダーゼであり、不活性化した酵素前駆体として血流を循環しています。 TAFIは、トロンビンと
トロンボモジュリンの複合体によって活性化されます。活性化した TAFIは、フィプリンからリジ
ン残基を分解し、組織型プラスミノーゲンアクチベーターによるプラスミノーゲンからプラスミン
への活性化を阻害することで、線溶系を抑制する作用を有しています。最近の報告によると、活性
化した TAFIには、この抗線溶作用に加えて、補体因子である C3aと C5a、オステオポンチンを
不活性化することによる抗炎症作用があるときれています。しかし、依然、急性肺障害における
TAFIの役割は不明です。
今回我々は、 TAFIは C5aを不活性化することによヮて、急性肺障害を抑制する役割があるとの仮
説を立てました。
研究には、生後 8 週間で体重 19~22g の雄の C57B Ll6 マウスにて、 Wild
Type(W
T
)マウス、 TAFI
KnockOut(KO)マウスを使用しました。
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(
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)を投与しでも、補体系の活性
過去の報告によると、マウスの肺へ低量の L
、2
0
0
/
1gをそれぞれマウスに経気管
化を認めないとされていました。まず、 LPS100μg、150μg
、F
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rD を測定しました。 6時間後では、
投与を施行し、 6時間後と 24時間後に、肺組織の C5a
LPS150μg群と 200μg群においてコントロール群と比較して肺組織の C5a、F
a
c
t
o
rD が有意に
、 150μg群
、 200μgl
tF
においてコントロール群と比
高値であり、 24時間後では、 LPS100μg群
較して肺組織の C5a、F
a
c
tコrDが有意に高値でした。この結果を踏まえ、今回の研究では LPS150
μgを使用し、急性肺障害を誘発しました。
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gを経腹膜投与し、麻酔したマウスに、 LPS150μg(
生理食塩水 75μlにて
SAL)75μ1を経気管投与したマウ
溶解)を経気管投与し、急性肺障害を誘発しました。生理食塩水 (
スは、コントロールとして使用しました。経気管投与 2
4時間後に、気管支肺胞洗浄液
(
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dBALF)、血紫、肺組織を採取しました。マウスは、 WT/SAL、TAF1
KO/SAL、WT/LPS、TAF1KO/LPSの各群に分類しました。
BALFの総細胞数、好中球数は、 WT/LPS群と比較して TAFIKO/LPS群が有意に高値であり、
BALFの総蛋臼、 I
L
6、I
L
1s、TNF-α 、血竣の 1
L
6は
、 WT/LPS群と比較して TAF1KO/LPS
群が有意に高値でした。一方、凝固線溶系を表す、 BALFの TAT
、D
-dimer、肺組織の TATにお
いては、 WT/LPS群と TAF1KO/LPS群の聞に有意差は認めませんでした。また、 BALFの C5a、
、 WT/LPS群と比較して TAF1KO/LPS群が有意に高値でした。以上により、 WT
血紫の C5aは
群と比較して、 TAFIKO群において急性肺障害の増悪を認め、その機序は凝固線溶系ではなく、
補体系の可能性が示唆されました。
を評価するために、 C5ar
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さらに、 TAF1KO群の急性肺障害の培悪における補体系の役割J
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(
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)を使用しました。 LPS経気管投与の 24時間前と 2時間前に、ネフライザーを
S
A
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)
用いて C5aRA1000μgを吸入し、前処置を施行しました。コントロールとして生理食塩水 (
の吸入を施行しました。経気管投与 2
4時間後に、 BALF、血紫、肺組織を採取しました。マウス
L
l
LPS、TAFI
は
、 WT/SAL、TAF1KO/SAL、 WT/SALILPS、 WT/C5aRNLPS、TAF1KO/SA
KOIC5a
RAl
LPSの各群に分類しました。
、 TAFIKO/SA
L
l
LPS群と比較して TAF1KOIC5aR
ん LPS群が有意に低値でした。
肺組織の C5aは
L
1sは
、 TAF1KO/SALILPS群と比較して TAF1
肺組織の mRNA1L-6、mRNAMCP-1、mRNA1
RAl
LPS群が有意に低値であり、肺組織(H&E染色)における染色細胞の定量解析でも、
KOIC5a
TAFIKO/SA
L
lLPS群と比較して TAFIKOIC5aRNLPS群が有意に低値でした。以上により、
TAF1KO群において増悪した急性肺障害が、 C5aRAを投与することによって改善を認め、増悪の
機序は、 C5aの活性化であることが示唆されました。
また、 WT群の急性肺障害における補体系の役割を評価するために、高量の C5aRAを使用しまし
4時間前、 6時間前、 4 時間前、 2 時間前に、ネブライザーを用いて
た
。 LPS 経気管投与の 2
C5aRA1000μgを吸入し、前処置を施行しました。コントロールとして生理食塩水 (
S
A
L
)の吸入を
4時間後に、 BALF、血紫、肺組織を採取しました。マウスは、 WT/SAL、
施行しました。経気管投与 2
WT/SA
L
l
LPS、WT/C5aRNLPSの各群に分類しました。
BALFの TNFα、MCP-,
l 1
L
1
β 、肺組織の mRNATNF-α 、mRNAMCP-1、mRNAIL-1s
苧
は
、 WT/SA
L
l
LPS群と比較して WT/C5aRNLPSが有意に低値でした。以上により、 WT群にお
いて急性肺障害が、 C5aRAを投与することによって改善を認め、急性肺障害そのものにおいても
C5aの活性化が関与している可能性が示唆されました。
今回の研究の結果から、 TAFIは急性肺障害を抑制することが示され、そして、 TAF1は補体因子
である C5aの活性を調節することによって、会、作肺障害の病因において重要な役割を担っている
可能性が示唆されました。