ディジタル画像処理 • 濃度変換;階調処理 • 2値化処理;しきい値処理 • フィルタ処理 • 画像間演算 • データ圧縮 • 三次元表示 画像全体で同じ濃度値を持つ画素数を求め,グラフ化したものを 濃度ヒストグラムあるいは単にヒストグラム(histogram)という.横 軸は濃淡値(画素値),縦軸にその出現頻度(画素数)をとる. Histogram 30 出 20 現 頻 10 度 0 0 1 2 3 4 画素値 ヒストグラムの利用法 頻度 (1)濃淡変換のための判断材料 (2)2値化処理のしきい値の決定 (3)対象物体の面積や体積の計算 胸部X線画像のヒストグラム 画素値 5 Original Image Thresholded Image Threshold Too Low Threshold Too High 2値化処理は,背景と対象 を分割するために使う. 頻度 しきい値 原画像 処理画像 画素値 2値化のためのしきい値の決定法 固定しきい値法 p タイル法 モード法 判別分析法 微分ヒストグラム法 自動しきい値決定法 経験的に決定したしきい値Tを境目に して,画素値を0か1に変換する処理 1, if f x, y T g x, y 0, else f x, y :入力画像(原画像) g x, y :出力画像(処理画像) p タイル法 Percentile Method 本や新聞に書かれた文字を認識するような場合では, 一定の面積の中での背景の占める面積と文字の占める 面積との比率 p はだいたい決まっていると考えられます. そこで,画像全体の面積を S,対象図形の面積を S0 とし 画像全体に対する対象図形の面積の比率 p を求める. この方法を p タイル法と言う. パーセンタイル (%) 頻度 S0 p S しきい値 画素値 対象物の面積比率があら かじめ分かっている場合 に有効な方法 モード法 濃度ヒストグラムにおいて,画像の対象物と背景のそ れぞれに対応する二つの山(双峰性があるとき)ができる 場合,山と山の間の谷の位置をしきい値とする方法. 微分値(絶対値)の和 谷 頻度 双峰性のヒストグラム しきい値 画素値 微分ヒストグラム しきい値 画素値 微分ヒストグラム法 対象と背景の境界では濃度差(微分値)が大きいことを 使用する方法.全画素について微分値の絶対値を求め, 微分ヒストグラムを作り,山頂の画素値をしきい値とする. 判別分析法 ヒストグラムにおいて,あるしきい値 t で2つのクラスに分 割し,2つのクラス間の分離が最も良くなるようにパラメー タ t を決める方法.2値化したとき,背景と対象のそれぞ れの領域に関するクラス内分散とクラス間分散の分散比 が最大(=クラス間分散が最大)になるようにしきい値を決 定します. L 1 1 t 1 2 2 B t ni 1 T ni 2 T 2 N i 0 クラス1 頻度 クラス2 i t Nは全画素数,niは画素値iの画素数,Lは階調数, μ1, μ2は分割された2つのクラスのそれぞれの平均 画素値, μTは画像全体の平均画素値である.σBが 最大となるtを求める. この方法は,ヒストグラムに山や谷が見ら れない場合でもしきい値を自動的に決定 することができます.また,事前情報なしに 自動的にしきい値を求めることができます. μ1 t μT μ2 画素値 (a) (b) (c) 乳房X線画像の2値化例 (a) 原画像, (b) 判別分析法 (c) 固定しきい値法 t=79 t=160 濃度変換(階調処理) 階調処理はコントラストの改善を目的として行われるこ とが多い.線形変換と非線形変換があり,線形変換は 濃度変換曲線が直線で表され,非線形変換は2次式や 対数関数で表される.濃度変換曲線はトーンカーブとも 呼ばれる. 出力画像 pixel値 255 210 白黒反転の 濃度変換曲線 135 75 0 0 45 120 180 255 pixel値 入力画像 画素ごとの処理 Point Processing • 反転画像(negative image)は黒い領域に埋もれている白や 灰色を強調するのに有用である. Original Image Negative Image 反転 基本的な濃度変換曲線 • 濃度変換曲線にはたくさん種類があります • 基本かつ代表的な ものは以下の3つ • Linear(線形) • Negative/Identity • Logarithmic(対数) • Log/Inverse log • Power law(べき乗) • nth power/nth root 線形な濃度変換の変換曲線 0 za z zm ba z m 0 z a z a-b間の濃淡差 が広がることで コントラストが 良くなる! zm a z b b z zm 0 a b 入力 zm z 出力 濃度変換 濃淡の差が小さい 濃淡の差が大きい 階調処理 濃度変換曲線 原画像 変換式の パラメータ a 処理画像 変換式の パラメータ b 原画像のヒストグラム a-b間の濃淡差が 大きくなることで コントラストが良く なった. 処理画像のヒストグラム 区分線形変換 piecewise linear transform z zm d c 0 a b a b zm z z 0 z a c a z a d c c a z b z b a z b z b z m d d b z zm m 最端が0 or 255にならないので自然な画像になる 非線形な濃度変換の変換曲線 zm z zm 暗くなる zm 0 原画像 z z zm 明るくなる zm 0 処理画像A z コントラスト改善 z zm 0 処理画像B z Power Law Transformations • Power law transformations の式は以下のようになる s=c*rγ • γ < 1 において,入力 での狭い範囲の黒は, 出力では広い範囲に 拡張される. γ > 1 で は逆に作用する. • γ を変えることで様々 なタイプの濃度変換を 実現できる γ = 0.6 0 0.2 0.4 0.6 Old Intensities 0.8 1 1 0.9 0.8 0.7 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 0 Transformed Intensities 1 0.9 0.8 0.7 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 0 Transformed Intensities Transformed Intensities Original MR image of a fractured human spine γ = 0.4 0 0.2 0.4 0.6 Original Intensities 0.8 1 1 0.9 0.8 0.7 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 0 γ = 0.3 0 0.2 0.4 0.6 Original Intensities 0.8 1 Transformed Intensities 1 0.9 0.8 0.7 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 0 γ = 5.0 0 0.4 0.6 0.8 1 Original Intensities Original image γ = 3.0 0.2 γ = 4.0 γ = 5.0 すべての濃度値を使うことによって,画像の明暗 がわかりやすくなる.このようにヒストグラムを伸 ばす処理をヒストグラム伸張化とよぶ.線形な濃 度変換式による処理はこの処理に当たる. Dark image Bright image すべての濃度値を使うことに加えて各濃度値に おける出現頻度のムラをなくすことで,画像の コントラストがより高くなる.このような階調処理 はヒストグラム平坦化といわれる.濃度変換式 を用いないで専用のアルゴリズムを用いる. Low-contrast image High-contrast image ヒストグラム平坦化の効果 ウィンドウイング Windowing 医用画像のダイナミックレンジは広いため,画素値範囲のすべてを表示すると コントラストの悪い画像になってしまう.あるいは,診断に必要な特定部位が見 にくくなってしまう.そこで,ある特定の画素値の範囲を,ディスプレイが表示で きる最大の階調数に拡張して表示を行う.この処理をウィンドウイングという. ウィンドウイングによって関心領域のコントラストのみが強調される. ウィンドウの大きさ:ウィンドウ幅 window width:WW ウィンドウの中心値:ウィンドウレベル window level: WL z 主要組織のCT値 胸部CT画像とそのヒストグラム WW window width ウィンドウ幅 +100 CT値 255 モ ニ タ 表 示 画 像 の 画 素 値 +100 0 WL window level ウィンドウレベル 0 -2048 -1000 0 0 100 原画像の画素値 WW = 100, WL =50 +2047 WL:40,WW:400 縦隔条件 WL:-600,WW:1600 肺野条件 原 画 像 処 理 画 像 A 処 理 画 像 B 処 理 画 像 C i (3, 0) (0, 0) j f(i, j) 画素の位置を表す座標はアドレス としてその画素の番地を示すもの 5 5 5 1 1 1 4 4 4 5 5 5 1 1 1 4 4 4 5 5 5 1 1 1 4 4 4 5 5 5 1 1 1 4 4 4 1 1 1 4 4 4 1 1 1 1 1 1 4 4 4 1 1 1 1 1 1 4 4 4 1 1 1 注目画素が(4, 3)のとき (1× 1+ 1× 1+ 1× 1+ 1× 1+ 1× 1+ 1× 1+ 4× 1+ 4× 1+ 4× 1)/9 =18/9=2 f(4, 3) = 1 ⇒ f(4, 3) = 2 f(7, 2) = 4 画像処理とは,あるルールに従っ て画素値f(i, j)を別の値に置き換え る処理のこと 画像処理法の例(フィルタリング) フィルタを用いて画素ごとに(pixel by pixel)で積和演算を行う. フィルタの原点(フィルタの中心) を注目画素(i, j)と重ねて積和演 算を行う.フィルタは,マスク,オ ペレータ(演算子),カーネルなど とも呼ばれる. 1 1 1 1/9 1/9 1/9 1 1 1 1/9 1/9 1/9 1 1 1 1/9 1/9 1/9 2013年(平成25年) 国家試験問題 階調処理で正しいのはどれか。2つ選べ。 1. 階調処理によってMTFは変化する。 2. LUTを用いて原画像の反転ができる。 3. 入出力特性から出力画像のコントラストを直接判断 できる。 4. 8 bit階調の画像は12 bit階調の画像より濃度分解 能が優れている。 5. 画像をモニタに表示する際に用いる階調処理がウイ ンドウ処理である。 200X年 国家試験問題 以下の設問で誤っているのはどれか。 1. 12ビットデータは2バイトで格納できる 2. 2進数で1111は16進数でFFである 3. 2バイトデータで上位バイトを大きな番地に格納す ることをリトルエンディアン方式という 4. 一般に画像ファイルはヘッダーとバイナリ形式の 画像データからなる 5. 256階調を持つ512×512マトリクスの画像の容量 は256kバイトになる 符号なし2バイト整数が、リトルエンディアンのプ ラットフォームで、FE 01として格納されていると き、この値を10進数で表したものはどれか。 1. 2. 3. 4. 5. 510 1016 4064 64770 65025
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