島根大農研報(Bu11Fac.Agr Sh1mane Umv・)2⑱:90−95.1986 コロナ放電処理効果におよぽす木材含水率の影響* 上原 徹**。谷川 充**。後藤 輝男** Effect of m.01sture oontent of wood−on corona treatment Toru UEHARA〕M[1tsuru TANIKAwA and−Teruo G0T0 Contact ang1e, ∀o1u肌e of oontacted.11qu1d−and−mfrared spectrum−of corona treated. Ap1tong(11)ψ伽06αゆ鮒g〃〃2アZor鮒BLANco)oonta1n1ng25percent of a1coho1二benzene extract1ves were measured−t01nvest1gate the effect of m01sture◎ontent on corona treat皿ent e出ciency.The degree of tretment used was o.533kWlmin/m2on1y. The cosme contact ang1e on treated wood.surface w1th water mcreased−w1th an1二ncrease 1n the m01sture content(MC)at d−1scharg1ng,and1t reached a伽ax1皿um On that oc_ cas1on,MC of wood−at corona d1scharge was12% Salme telndency was obtamed w1th g1ycerm pheno1resorc1no1for皿a1dehyd.e res1n(PRF)and urea forma1d.ehyd.e res1n(UF) The v’o1u皿e of contacted 11qu1d−s decreased−w1th an 1ncrease m the t1=me after the contact Thus,the tend.ency of penetrat1on was as same as that of the cosme contact ang1e The re1at1onsh1p between the mfrared absorbance rat1o(A1730/A1500)and MC was as same as that obta1ned by the cos1ne oontact ang1e Therefor wettab111ty of wood− 1ncreased.w1th surface ox1d−at1on by corona d1scharge倣eat皿ent The dヱy strength g1ued.w1th PRF mcreased w1th an mcrease1n MC,but wet strength g1ued−w1th PRF and.dry and.wet strength g1ued w1th UF were not affected.w1th lMC at d1scharg1ng レーナー仕上げ2.5m一血厚柾目板を得た.この板を100 1、緒 言 難接着性木材の接着性改善のため,コロナ放電処理の 1),2) 有効であることが明らかにされて来た.それによると, アピトン材の放電処理により,材面が酸化され,湿潤性 2),3) の増加することが明らかにされている. しかし, この 時,含水率は全て12%の状態であったため,含水率変化 の影響は考慮されていなかった. また,一般に木材は含水率の変化にともない誘電率が 4) 変化し,その電気的性質が変化する.そこで本研究では コロナ放電処理効果におよぼす木材含水率の影響につい て検討した。 22 コロナ放電処理 春日電気製高周波電源HFSS−101(30kHz,34kVp−P) を用い,試料送り速度5m/min,一次電流4A、火花 ギャップ5mm,電極幅300m皿の条件で,所定の含 水率に調湿された試料について,コロナ放電処理を行っ 3) た.これまでの研究で,接着性改善に最も効果のあっ たO.533kWmin/m.2の放電処理量で処理した。放電処 2.3湿潤性 エルマ光学製ゴニオメーター式接触角測定器G−IIIを 21供試材 アルコール・ベンゼン抽出成分3.3%のアピトン( Dψ肋06αゆ43grα”ψoブoμ∫BLANCO)から,両面プ *本報の一部は第35回目本木材学会大会(1985年4月東京)で発表し 紳改良木材学研究室 21%にした. 理後,試料を20℃,相対湿度60%で24時間調湿した。 2。実験方法 た. ×100m−mに鋸断後,20℃で,椙対湿度6,33,60,85 および93%で調湿し,含水率を4,9,12,17および 用い,液体20μ1を試料表面に滴下した後、滴下後20 分まで,繊維直交方向から接触角,液滴の高さおよび幅 を測定した.さらに,液滴の長短軸比も測定した. 2.3赤外吸収スペクトル 試料表面40x25mmから約5mgの木粉をミクロト 一90一 上原。谷川卜後藤:コロナ放電処理効果におよぼす木材含水率の影響 一ム刃を用いて削り取った.この木粉のKBr錠剤法に 一g1一 ),ユリア樹脂(UF),グリ七リンおよび蒸留水を用い よる赤外吸収スペクトル(島津製作所製IR−27G)を得 た時の接触角のコサイン値と放電時の含水率の関係を た. Fi&1に示した.なお,湿潤性におよぼす木材含水率 2.4 接着 の影響を一定にするために,放電処理後に木材の含水率 接着剤としてフェノール④レノルソノール共縮合樹脂 を12%に調湿後,接触角の測定を行った. (住友化学製スミプライ150E)および常温硬化型ユリ PRFでは放電時含水率12%付近を頂点とするゆるや ァ樹脂(住友べ一クライト製ヰゲタライムUA−104)を かな山なりの曲線となっていた.UFの傾向も良く似て 用いた.これらを塗布量2009/m2,圧締圧10kgf/c㎜2, いるが放電時含水率9%で頂点となっていた.グリセリ 20℃,24時間の条件で,繊維平行に接着した.引張勇断 ンおよび蒸留水ともに,放電時含水率12%を頂点とする 試験はDIN53254に準じて行い,合板引張試験用チャ 山形を示した。 ック付小型材料試験機(東京衡機製)を用いた. PRFの値が高く山なりの煩向がその他の液体よりも 25光学顕微鏡観察 3) 少ないのは,PRFの表面張力が他の液体より低く,湿 フェノール・レゾルシノール共縮合樹脂の主剤の20 潤性が良好であるためと思われる. μ1を滴下し,浸透の経時変化を見るために,滴下後, 木材は多孔質であるため,真の接触角を求めることが 2,5,10,20,60および120分後に105℃で乾燥させ, できない.それ故,接触角の測定において,液体の木材 ホルマリン気申で処理して硬化させた.ミクロトームに への浸透などを考慮する必要があるため,蒸留水の接触 より厚さ30∼40μmの木口切片を得,常法に従い永久 角コサイン値におよぽす滴下後の放置時間の影響につい プレパラートを作成し,光学顕微鏡観察に供した.接眼 て検討し,その結果をFig.2に示した. ミクロメータにより木材表面の長さ1.15mm当たりの 放電処理木材では放置時間とともにコサイノ値が増加 浸透深さを測定した。 3。結果および考察 していた。また,非多孔質であるため浸透の生じないガ ラスやポリエチレンではそのような現象は認められなか った.このように放置時間とともに接触角コサイン値が 3.1湿潤性 増加するのは水の試料への浸透のためである. 3.1.1接触角 未放電処理木材は,非極性で多孔質ではないポリエチ コロナ放電処理が木材表面の湿潤性に与える影響につ レンと値はよく似ていた.しかも,多孔質であるにもか いて,接触角の面から検討し,液滴滴下10秒後の処理材 かわらず,浸透の影響によるコサイン値の増加があまり 表面上のフェノール・レゾルシノール共縮合樹脂(PRF 見られなかった.ガラスは非多孔質なのでほぼ一定値を 1.0 0.8 O.8 ⑩0.6 苗 冒 ←O.4 旨 左 80.2 豊 .砺 ◎0 〕 2冒 臼O.6 七 自 右0.4 8 ④ .⊆O.2 8 〕 0 一〇.2 0 5 10 15 20 25 ・O.2 M⑪iS干ureC⑪n升enH%) 0510†520 Fig.1 Effect of m01sture content at corona d1scharge on cos1ne contact ang1e Fig.2 Effect of t1me after contact on cos1ne contact ang1e w1th water Time{mi剛 Legend:圏Water⑳G1ycerin O PRF Legend ①G1ass△4%□9%012% 口UF 團17%息21%①pE㊧Contro1 一92一 島根大学農学部研究報告 第20号 示すはずであるが,水の蒸発あるいは拡張濡れに基づく このように,木材の初期浸透性は放電処理により増加 わずかな増加が認められた.放電処理木材では,値の増 するが,放電時の含水率にあまり影響されないことが明 加が大きく,浸透の影響が大きく現われていた. らかとなった.すなわち,滴下後の放置時間1分までの 液滴にグリセリン,PRFおよびUFを用いた場合 状態においては,液体の木材への浸透がまだ少なく,木 でも,放電時含水率12%で最も良い湿潤性を示した.滴 材の極性の影響が現われていないため,同じような傾き 下後の放置時間の増加にともないFig.1とほぼ同様の が得られたものと考える. 傾向が現われた. 3.1.2液滴の体積 初期浸透の様子を詳しく検討するために,放置時間1 接触角測定において,滴下後の放置時間が長くなる 分までの接触角コサイン値の傾向を放置時間の平方根と と,液滴の高さが減少した。このように,液滴の形状が の関係においてFig.3に示した。液滴の幅に変化が少 変化する原因は,先の接触角コサイン値の結果から,木 なく,高さが減少したことから,直線の傾きは主として 材内への液体の浸透であった.そのため,液滴の木材内 蒸留水の試料申への浸透速度を現わしている.未放電処 への浸透をより明確に把握するために,浸透が生じた後 理木材は,ポリエチレンやガラスとよく似た傾向を示 の液滴の体積を算出する方法を検討した. し,傾きが小さく浸透の非常に少ないことが明らかであ 先の結果から,液体の体積の減少部分が木材内に浸透 る.それに比べて放電処理木材では,放電時の含水率の したと考えてよいことから,液滴の高さ(ん)と幅(2α) 違いにもかかわらず直線の傾き,すなわち浸透速度が同 および長短軸比(r)を求め,形状が楕円体の一部であ じであった。 ると仮定して体積(ηを算出した. 蒸留水に替わってグリセリンを用いた場合をFig.4 γ一寸!㍑)あ に示した.ガラスで,値の増加を示していた。これはガ ラス板上でグリセリンの拡張濡れを生じたため,液滴が ただし, 玄=(ん2+α2)/2ん 横に広がり,コサイン値の増加をもたらせたと考える。 滴下後10秒後の体積の値を1として体積比を求め,Fig. 未放電材ではコサイン値の増加が小さく,多孔質では 5にその結果を示した.なお,横軸は滴下後の放置時問 ないポリエチレンに近い煩きであり,グリセリンを用い である. た場合でも浸透性が低いことを示している.しかし,コ 未放電処理木材では,体積減少が少なく,放電処理に ロナ放電処理により,煩きが増加し,浸透性が良好にな よって体積減少が著しくなることが明らかである.なか ることが明らかである。 でも,放電時含水率12%で減少が最も著しい。次いで、 O.冨 ⑩ ⑩ 団 仁 0.6 旬 u 姜≡⋮ U 旨O.6 £ 富 ◎ 言 七 如 由 ε 0.9 O−3 U 0.3 ⑪ ε 吻 ⑪ ⑩ ε 吻 ◎ 〕 〕 0 −01 0 蝸 /0 1.5 Tm亀(柵) Fig.3 Effect of t1me after contact on cosme contact ang1e w1th water Legend:①G1ass△4%口9% C) 12% 麗麗 17% 基 21% ①pE㊧Contro1 O −0.て 0051.0叩.5 TIm曾1偏后) Fi&4 Effect of t1me after contact on cosme contact ang1e w1th g1ycerm Legend㊥G1ass△4%口9%012% 團17%血21%①pE⑬Contro1 上原。谷川・後藤:コロナ放電処理効果におよぼす木材含水率の影響 一g3一 変化の幅が少なくなったものと考える. “ 接触角コサイン値あるいは液滴の体積減少の方法によ っても,放電時の木材含水率12%で最大値を示す傾向が 10 得られた.コロナ放電処理の場合,木材含水率の変化に よって大きく影響される因子は誘電率であると考えられ 0.9 る.誘電率は含水率の増加とともに増加しており,不連 4) 続点が現われることもない。また30kHzの高周波を用 ◎ 篶 冒α8 いているために誘電体損失(tanδ)も生じているが,こ ◎ 警 ヨO・7 ◎ > のtanδもまた,含水率の増加にともない増加するの 5) みである。ただ,tanδと含水率の関係図において含 6) 水率15%付近で極大値が得られている場合があり,この 0.6 場合に該当するのかもしれない. O.5 32 漫透深さ これまで接触角コサイン値や液滴の体積減少から推測 05101520 して来た木材への液体の浸透性について,PRFを用い Tim亀 (miη) た場合について実測し,その結果をFig.7に示した。 F1g5Effect of t1me after contact on vo1ume of water drop1et なお,縦軸は木材表面115mm(繊維横断方向)長さ Legend△4%口9%○12%團17% 合はPRF滴下時の含水率であり,放電処理木材の場合 金21%㊥Contro1 9,17%が著しくなっており,接触角コサイン値の結果 当たりの最大浸透深さである.横軸は,未放電木材の場 は放電時の含水率である. 未放電木材では含水率12%まで12μm付近であった と非常に良く一致していた. が,含水率が12%を越えると,21%での30μmまで, なお,液滴にPRFを用いた場合をFig.6に示し 急激に増加していた.この大きな浸透は良好な接着をも た。水の場合と傾向は良く似ていたが,全体的に変化の たらせるのではなく,その粘度が低下して,接着剤浸透 幅が小さくなっていた.PRFの良好な浸透性の結果, 言30 1,1 1.O 3言 看 圭 g20 0.9 .;: 冒 」 0.8 £ 計 目 10 ⑭ Eコ 乱 ち ◎ O.7 肩 > 0 5 10 15 20 25 M⑪i針u爬C⑪n+en“%l 0.6 F1g7Effect of mo1sture content at corona discharge on depth of penetration. 0.5 Legend O D1scharged,penetrat1on t1me was 05101520 20min F1g6Effect of t1me after contact on vo1ume of PRF drop1et. ⑧Contro1,Penetratlon t1me was20 Legend△4%口9%012%園17% 園Contro1,Penetrat1on t1me was60 Time (min, 息21%㊧Contro1 口D1scharged。,Penetrat1on t1me was 60min min min 島根大学農学部研究報告 一g4一 が遇大となり,欠膠接着等の悪影響をもたらせるためで 第20号 7) ある. 82 放電処理木材では放電時の含水率の影響は比較的少な く25∼30μmの浸透であった。PRF滴下時の木材含 ≦ 冨 水率が12%であったことから,未放電木材の場合の12% ≦ 串 に比べて,浸透性が向上しており,放電処理の効果は歴 然としている.しかし,放電時含水率の影響は今一つ明 確ではなかった. 3.3赤外吸収スペクトル これまでの研究結果から,放電処理によって木材表面 2)3) の酸化されることが知られているため,木材表面から削 篶 £ 已1 8 旨 { 易 暑 り取った木粉の赤外吸収スペクトルを得た.ベンゼン核 1500cm−1に対するヵルボニル1730cm−1の吸光度比を 求め,Fig.8に放電時含水率との関係を示した. 放電時含水率12%でカルボニルの増加は認められる が,他の含水率では放電処理による増加は認められなか O 0 5 10 15 20 25 M⑰iSサurgC⑪n升en中(%) F1g8Effect of m01sture content at corona discharge on absorbance ratio. った.含水率21%においては,カルボニルの吸光度比は 9) プラズマドライエッチングである.プラズマ処理申では マ処理では,ラジカルの発生,二量体化および多量体化 様々な反応が生じているため,特定の反応だけを行うの および出発物質の完全破壊を含む様々な反応が生じてい は困難であり,またこれが欠点となっている.それ故, る。とくに出発物質の破壊を積極的に利用したものが, カルボニルが消失することも十分に考えられる. 120 一方,放竃時含水率12%で最大値を示す傾向は,接触 8︶ 減少していた.コロナ放電処理を含めて,非平衡プラズ 角コサイン値等の傾向と類似していた。このことから, カルボニルの生成が,放電処理による湿潤性の増加の一 2)3) 因であることが明らかである. 椚0 § 8\て00 2 50 :言 ぐ 冒 \40 如 gO 冒 讐 呈 這 如 山30 冒 吻 80 を 9 ’δ 全 吻20 ’ア70 彗 を 冒 .δ 60 園 回 0 口 團 5⑪ TてO 当 冒 回 團 0 0 5 10 †5 20 25 0 5 10 15 20 25 間⑪is汁ure ζ⑪n中en中 一%) M⑪ヨSサur曾 ζ⑪nヤen中 (%) F1g g Effect of m01sture content at corona d1scharge on j01nt strength g1ued.w1th PRF. Legend O D1scharged,dry strength F1g1O Effect of m01sture content at corona d1scharge on Jomt strength g1ued w1th UF. Legend O D1scharged,dry strength 口D1scharged,wetstrength ㊧Contro1,dry strength 園Contro1,wet strength □D1scharged,wet strength ㊧Contro1,dry strength 園Contro1,wet strength 上原・谷川・後藤:コロナ放電処理効果におよぽす木材含水率の影響 一95一 3.4接着力 水率の影響について検討するため,様々の含水率に調湿 これまでの結果,含水率12%のアピトン材について, 2)3) コロナ放電処理量と接着力の関係は最大値を示した.同 行った. じ木材について,放電時の含水率が接着力に及ぼす影饗 接触角コサイン値,木材への液滴浸透量,およびベン を,PRFを用いた場合についてFig.9に示した. ゼン核に対するカルボニルの赤外吸光度比は含水率12% 2)3) で最大となり,これまでの結果と同様,放電処理にとも 未放電の場合,常態接着力は接着時の木材含水率の増 したアピトン柾目板を用い,一定量のコロナ放電処理を 加と共に減少していた。湿潤接着力もよく似た傾向であ なう酸化により湿潤性が向上した. るが煩きはかなり小さくなった.木材申の水による接着 PRFによる常態接着力は含水率17%付近で最大とな 剤の希釈の結果,接着剤の凝集力が低下したためである ったが,PRF湿潤接着力およびUFによる接着力では と考えられる.含水率が20%を越えても,常態接着力で ほとんど差異が認められなかった.接着力には,木材含 100kgf/cm2付近,湿潤接着力で55kgf/c1皿2の値であ 水率よりもその他の因子の影響が大であった。 り,PRF接着剤が高含水率木材の接着に利用可能であ 本研究のためにアピトンを鋸断調製していただいた島 ることを示している. 根県林業技術セノター林産科の方々に感謝串し上げま 放電処理木材の場合、常態接着力は放電時含水率17% で最大となった.湿潤接着力ではわずかに増加するのみ であった。 接着剤にユリア樹脂(UF)を用いた場合を,Fig.10 す. 引 用 文 献 1 KIM,C.Y.and GORING,D.A.I.:Pu1p and に示した.未放電木材では,PRFの場合と同様の傾向 Paper Mlagazme of Canada,7藪(11),93−96 であり,接着時含水率の増加にともない接着力は減少し (1971). た. 一方,放電処理木材の場合,値が極端に低いため放電 時含水率の影響ぱ認められない.また,PRF,UFどち らの場合も,木破率と放電時含水率の関係は認められな かった。 湿潤性および赤外吸収スペクトルで認められてきた傾 向が,接着力の場合に認められない原因として,接着に 影響する因子が多すぎるためであると考えられる.木材 10∼ 接着に関する因子は,数多く存在するが,本研究では,. 接着剤についての因子と接着操作(塗布,圧締など)を 一定とした.それでも,まだ,含水率の他に影響する因 子がまだ多く存在するため,接着力からは明確な傾向が 得られなかったものと考える。なお,接着力と接触角コ 2)3) サイン値や赤外吸光度比の関係は既報と同じであり,今 回だけが特異なデータではなかった。 2.上原 徹・伊藤 隆。後藤輝男:日本接着協会誌, 2⑰(8), 333−339(1984). 3.上原徹。後藤輝男・田中克房’第33回日本木材学 会大会研究発表要旨集,p152(1983) 4.北原覧一.木材物理,森北串版,東京,1967,p 68. 5.北原寛一:木材物理,森北出版,東京,1967,p 69. 6.上村 武:農林省林業試験場研究報告,M119,95 −172(1960). 7.後藤輝男:木材工学,梶田 茂編,養賢堂タ東京, 196L p.474. 8.穂積啓一郎編:低温プラズマ化学,南江堂,東京, 1976,p.18. 9.阿部東彦:超LSI時代のプラスマ化学,「電子材 料」編集部編,工業調査会,東京,1983,p75 4。ま と め 10.後藤輝男:木材工学,梶田 茂編,養賢堂,東京, 木材に対するコロナ放電処理の効果におよぼす木材含 1961,p.471.
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