ネットクリエイター向け

2014.1.25
一般社団法人 日本ネットクリエイター協会
ネットクリエイター向け
確定申告セミナー
税理士小林浩二
本資料の内容には正確を期しておりますが、確実性・正確性を保証するものではありません。あくまでも所得税の確定申告のための一般的な情報提供
目的ですので、個別的・具体的な申告のための網羅性を有しておりません。本資料の内容を踏まえて税務申告等を行うときは、必ず事前に税に関しては
税理士、法律一般に関しては弁護士等の専門家にご相談ください。なお、平成25年4月1日時点の税法をベースとして資料作成しています。
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-前 提-
平成25年4月より
自宅(賃貸)でボカロPとして
1人で事業を開始した
Xさんを想定してみました。
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-第1部-
所得税の確定申告とは
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質問 所得税の所得って何ですか?
所得と収入は違います。
収入-経費 = 所得
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質問 所得税の確定申告とは?
毎年1月1日から12月31日までに
得たすべての所得を計算し、
原則として翌年3月15日までに
申告・納税する手続き
→今年は3月17日まで
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賦課課税制度
国や地方自治体が税金を計算・決定し、徴
収をする。固定資産税・自動車税など
申告納税制度
納税者が自主的に納税額を計算して申告・
納税する。所得税・法人税・相続税など
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質問 納税はしなくてはいけないのか?
納税の義務
(憲法第30条)
「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。」
租税法律主義
(憲法第84条)
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質問 確定申告を怠るとどうなる?
所得があるにもかかわらず納税しないと
過去数年にさかのぼって(最大7年)
税金のほか、
延滞税・無申告加算税等の罰金が
徴収される。
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ー 第2部 ー
確定申告の種類
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質問 青色申告と白色申告の違いは?
特典が多いのは青色申告
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白色申告のイメージ
収 支 表
売上原価
収入金額
(売 上)
経費など
事業所得
棚卸資産
固定資産
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青色申告のイメージ1
損益計算書
売上原価
売 上
(収入金額)
経費など
事業所得
棚卸資産
簡易な帳簿
青色申告控除10万円
固定資産
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青色申告のイメージ2
青色申告特別控除
65万円控除
会社と同じレベル
損益計算書
売上原価
売 上
経費など
(収入金額)
事業所得
貸借対照表
負 債
資 産
元入など
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白色申告
メリット
・帳簿記録の必要なし
※ただし、平成26年から必要
青色申告
・青色 最大65万円控除
・赤字の繰越し(3年間)
・青色専従者給与制度
・特例により30万円未満の資
産を一括償却
(300万円までその年に経費化)
デメリット
・青色の特典なし
(例)10万円以上は固定資産
・帳簿記録が必要
・資料保存が必要
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質問 税務署に届出書が必要となる場合は?
個人事業主のケース
個人事業の開廃業等届出書
所得税の青色申告承認申請書
青色事業専従者給与に関する届出書
その他
※所定の期間内に提出
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ー 第3部 ー
税金の計算
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質問 収入で知っておくべきことは?
ネットクリエイターの場合
源泉所得税が引かれる収入
支払調書を保管
源泉所得税が引かれない収入
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質問 源泉徴収とは?
給与・報酬などの支払者が、給与・報酬などを支払う際にそ
れから所得税などを差し引いて国などに納付する制度。
主に個人に対しての支払金額が対象となる。
クリエイターの場合、平成25年より
支払う側が10.21%を報酬から天引きし、代わりに税務署
に納める(100万円未満の場合)。
平成24年までは10%。 (例)報酬55,555円→50,000円
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質問 経費になるものは?
経費・・・
収入をあげるために使った支出
※判断基準:事業のために使ったお金か否か
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質問 按分とは?
自宅が仕事場。家賃は経費か?
事業で使用している割合分が必要経費
事業分とプライベート分を分けること⇒按分
按分には合理的な根拠が必要
家賃の按分基準
・面積 (自宅の一部を使用⇒総面積と事業に使う面積の割合)
・時間 (自宅全部使用 ⇒ワンルームなどを想定すると時間)
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質問
事業のために支出した金額はすべて経費になりますか?
事業のために支出した金額
必要経費
資
産
(例)減価償却など
により経費化
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必要経費の例
事業で使用する
プライベート部分が
含まれているときは
按分
家賃
携帯電話代
ネット通信費
書籍代
コミケへの交通費
打ち合わせ時のお茶代
音楽機材
ボイストレーニング代
パソコンソフト代 etc・・・
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質問 領収書は必要か?
領収書の代わりにレシートでもOK
領収書・レシートがない
⇒支払内容を記載したメモ書
メモより出金伝票の方がベター
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ー 第4章 ー
税金の種類
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質問 個人事業主にかかわる税金は?
・所得税
・住民税
・事業税
・消費税
(事業所得が290万円超の場合)
(2年前の課税売上が1000万円超の場合)
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ー 第5部 ー
税金対策
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1 青色申告にする
青色申告特別控除 10万円・65万円
専従者給与の活用
2 小規模企業共済の活用
個人事業をやめたとき、会社等の役員を退職したとき、個人事業の廃業などにより共同経営
者を退任したときなどの生活資金等をあらかじめ積み立てておくための共済制度
3 中小企業倒産防止共済の活用
取引先事業者の倒産の影響を受けて、中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防止する
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ための共済制度
質問 会社を設立した方がいいですか?
①規模を大きくしたい。
②より信用力をつけたい。
③個人事業主として所得が多い場合
→節税メリット
・本人に役員報酬を支給 →給与所得控除が受けられる
・事業に関与する家族に給与を支給しやすい
・厚生年金など社会保険に加入できる
・経費の概念が個人より広くなる (例) 車・生命保険など
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課税所得金額
<現行の所得税一般税率>
税率
195万円以下
5%
195万円超
330万円以下
10%
330万円超
695万円以下
20%
695万円超
900万円以下
23%
900万円超
1,800万円以下
33%
1,800万円超
(25年度改正)平成27年分以後から適用
課税所得4,000万円超について45%の税率
所得税・住民税あわせて55% ↓
40%
この他に復興特別所得税(所得税×2.1%)が加算
26年度改正案
平成26年度
中小法人
800万円超
中小法人
800万円
以下
所得税
住民税
法人化が有利
36%台
24%台
ケースバイケース
ー 第6部 ー
FAQ
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FAQ1
平成25年4月に事業を開始し、
平成26年1月25日現在、税務署に
何も届け出を行っていません。
青色申告を受けたいのですが、いつ
から適用が受けられますか?
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回答
(参照)国税庁HP http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2090.htm
25年分は白色申告ですが、いまから手続きをと
れば26年分から青色申告の適用が受けられます。
・個人事業の開廃業等届出書
事業開始等の日から1か月以内
・青色申告承認申請書
原則、承認を受けようとする年の3月15日まで(そ
の年の1月16日以後に開業した場合には、開業
の日から2か月以内)
FAQ2
クリエイター間で業務を発注する場合、
領収書の発行は必要ですか?
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回答
領収書が無くても以下の点に留意
少なくとも仕事を請け負った側が、
仕事を完了した時点で、
請求書を出すようにして下さい。
仕事を依頼した側は、なるべく銀行を通じて支払
いをおこなって下さい。
FAQ3
会社員ですが、平成25年8月より、
ボカロPとして事業を開始し、
2足のワラジをはいています。
住民税は会社の給料から源泉徴収
されたくありません。どうしたらいいで
しょうか?
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回答
平成25年分の所得税の申告書B 第二表 右下
あたりを見て下さい。
給与・公的年金等に係る所得以外の
所得に係る住民税の徴収方法の選択
給与から差引き
自 分 で 納 付
FAQ4
いままで事業所得はほぼゼロでした
が、今年は多額の著作権使用料収入
が入りました。税負担が心配です。
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回答
原稿料・印税・著作権の使用料など
変動性の高い所得
納税者の選択により「平均課税制度」 を選択
税負担の軽減規定
臨時・変動的所得を一旦5で除し、その除した金額
に累進税率を適用して計算した税額を5倍した金
額を納税額とする方法(5分5乗方式)
ご清聴ありがとうございました
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