エリクソン・コンシューマラボ TV AND MEDIA 2014 変容する消費者ニーズが変える メディア産業 Ericsson Consumer Insight Summary Report 2014 年 9 月 目次 進化する TV 3 コンテンツへのモバイルアクセス 6 コンテンツがすべて 4 重要な TV 機能 9 変遷するサービス 5 変化する TV のあり方 10 調査方法 定量調査 定性調査 調査対象 9 カ国 の傾向 ブラジル、中国、ドイツ、韓国、スペイン、 スウェーデン、台湾、英国、米国 調査対象 23 カ国 ブラジル、カナダ、チリ、中国、フランス、ドイツ、 ギリシャ、インドネシア、アイルランド、イタリア、 マレーシア、メキシコ、ポルトガル、ロシア、 シンガポール、スペイン、韓国、スウェーデン、 台湾、トルコ、UAE、英国、米国 定量調査 主サンプル: 23 カ国の 16~59 歳の消費者 23,000 人 (各国 1,000 人) のオンラインのインタ ビュー回答者全員がブロードバンドインターネット を利用可能で、毎週 TV/ビデオを視聴しています。 またほぼ全員が毎日インターネットを使っていま す。このサンプルは 6.2 億人、または、調査対象 の国々の 16~59 歳の消費者の約半数を統計 的に表しています。 副サンプル: 主サンプルを採取した国々に居 住し、同じ条件を満たしている 60~69 歳の 3,400 人のオンラインインタビュー このサンプルは図 7 の年齢層の比較にのみ 使われています。 このサンプルは、調査対象の国々の 60~69 歳の消費者の約 30%を統計的に表していま す。(スウェーデンの 77%からメキシコの 5%と 開きがあります) 定性調査 サンフランシスコ、ロンドン、ストックホルムで 22 人の消費者の詳細な聴き取り調査を行いま した。回答者全員が複数のデバイスとブロード バンド接続を持ち、自宅内外でオンデマンドコン テンツを視聴しています。 専門家のインタビュー メディア業界の 9 人の専門家に詳細なインタ ビューを行いました。 消費者の声 エリクソン・コンシューマラボは、20 年近くにわたって ICT(Information Communication Technology) 製品とサービスに関する人々の行動と 価値観を調査してきました。エリクソン・コンシューマラボは、市場と消 費者のトレンドに関する独自の知見を提供します。 エリクソン・コンシューマラボは、毎年 40 を超える国々と 15 を超える 大都市で暮らす延べ 10 万人の人々を対象として行う聞き取り調査に 基づくグローバルな消費者調査プログラムからその知見を得ています。 これは統計的に 11 億人の意見に相当します。 2 エリクソン・コンシューマラボ TV AND MEDIA 2014 調査は質的方法と量的方法の両方で行い、膨大な時間をかけて様々な文化に 属する消費者の声を集めています。また市場と消費者に少しでも近づくため、 エリクソン・コンシューマラボは当社が事業を展開しているすべての地域にアナ リストを配置しているため、グローバルな規模で ICT 市場とビジネスモデルに 関する深い洞察を得ることが可能です。 コンシューマーラボが作成したすべてのレポートは、以下からご覧いただけます。 www.ericsson.com/consumerlab 進化する TV 放送事業者と物理的なメディアに支配され、消費者エクスペ リエンスに柔軟性を欠いた従来型の TV を取り巻く状況が変 わろうとしています。現在は新たに登場したアグリゲーター1 のおかげで、消費者が観たい番組を自分で決め、数多くの 選択肢の中からサービスを選ぶことができます。消費者の半 数が、従来型の番組ベースの TV よりも望ましいと回答して います。 主役はユーザー サービスと TV の組合わせ この変革の主役はユーザーです。魅力ある消費者エクスペリ エンスを構築し、ユーザーのニーズを満たす新しいビジネスモ デルを開発できるかどうかは、ブランドとサービスプロバイダー の手にかかっています。 カスタマイズされた TV パッケージに はずっと魅力を感じていました。 ケーブル TV には実際のところあまり 選択肢がないんです。 メロディ (50 歳) 米国 Key findings 従来の一方向 TV 放送に迫る ストリーミング >75%の人々が何らかの種類の ストリーミングビデオを週に複数 回視聴していますが、それに対 してプログラムにしたがって放 送される一般的な TV 番組を週 に複数回視聴している人の割 合は 77%です。 S-VOD (Subscription-based Video-On-Demand) が 促 進 す る まとめ視聴 > S-VOD のユーザーの 56%が 連続 TV 番組の全体をまとめて 入手し、自分のペースで視聴で きることを望んでいます。またそ のように感じている非 S-VOD ユーザーは 45%です。 「どこでもアクセス」に支払う意思 の高まり 同じ期間でのスマートフォンによ る TV 視聴時間は、モバイルア クセスやビジネスモデルの障壁 が存在するにもかかわらず 15%増加しました。 また 43%が 4K/ UHD (Ultra High Definition) は重要であると回答し ています。より優れたビデオ品質へ の期待は、消費者が牽引する視聴 体験の進化の一部なのです。 DVR (Digital Video Recorder) が解体する従来の一方向 TV 放送 > 消 費 者 が TV チ ャ ン ネ ル を 、 DVR 等を使って番組や映画を 入手するためのソースと見なす 傾向が強まっています。これは 技術にかかわらず、オンデマン ド視聴に向かう大きなトレンドの 一部です。 TV サービスに訪れた構造改革 > 従来型の TV 事業者は課題に直面 しています。米国の OTT (OverThe-Top) オンデマンドサービスの 平均 NPS (Net Promoter Score) は 39 で、従来型の TV 事業者の 12 を大きく上回っています。これか らの消費者は、自分が求めるコン テンツにアクセスできる柔軟性を持 たない TV 契約にお金を払おうとは しないでしょう。 4K を求める消費者 >消費者の 60%は、TV/ビデオを 最大限に楽しむためには、HD 品質がきわめて重要であると考 えています。 >2012 年以来、様々なデバイス による TV コンテンツへのアクセ スにお金を費やする意思のある 人の数は 25%増加しました。 1 自社で運用するサーバーに音楽や映像などのコンテンツを収集し,ネット上で配信する事業者。コンテンツアグリゲーター(contents aggregator)ともいう。 エリクソン・コンシューマラボ TV AND MEDIA 2014 3 コンテンツがすべて かつては、動画コンテンツを視聴する手段は TV しかあり ませんでした。今日ではほとんどあらゆるコンテンツを、さ まざまなプラットフォームで、それぞれの特性を活かして視 聴できます。 人々はコンテンツを、大好きな TV 番組などのプレミアムコ ンテンツと、旧作映画などのセカンダリーコンテンツに分け て考える傾向があります。またその視聴パターンも同様に、 特別な状況下の視聴と日常の視聴に分かれます。 図 1 では、この 4 つの因子の観点からコンテンツを分類し ています。価値が最も高いのは、特別な状況下で視聴され るプレミアムコンテンツです。 まとめ視聴 TV 番組の全シリーズをまとめ買いできるようになったこと で、番組全体のまとめ視聴 が可能となりました。しかしこう したまとめ買いが高額なことが、まとめ視聴の制約になっ ていました。Netflix のような S-VOD サービスが登場する と、これまでにない規模でまとめ視聴が浸透することになり ました。 消費者の半分が、自分のペースで視聴できることかから TV シリーズの全回を一度にリリースしてほしいと回答しています。 アクセスが簡単で追加費用が生じない点も、視聴の障害を 取り除いています。まとめ視聴にはいくつかの方法がありま す。シリーズの中盤に差しかかるまでその番組に気付かな かった視聴者の中には、最終回がくる前に話に追いつくため に過去の放送をまとめて視聴する人もいます。一方で番組 全体を自分のペースで見たい人は、全エピソードを観るため に最終回が収録されるまで待たなくてはなりません。 従来型の TV 放映サービス 消費者はしばしば番組表に従って放送される TV 番組を二つ に分けて考えます。一つはスポーツやイベント中継などの生 放送番組、もう一つは映画やその他の番組などの生放送で はない番組です。生放送番組は図 1 の右手に、生放送では ない重要度が低下しつつある番組は主に左手に示されてい ます。人々が従来型の TV パッケージを維持する理由のひと つは、多数の TV チャンネルにアクセスしてその中から特定 のコンテンツを録画できることです。生放送ではなく録画番組 のチャンネルは、消費者が DVR などを使ってコンテンツを入 手するためのリソースのような状況に置かれているのです。 図 1: 各種のコンテンツとコンテンツサービスの役割 プレミアムコンテンツ プレミアム映画 サービス シリーズ > DVR TV > 映画 > 生放送でない 番組 リアリティショー > S-VOD サービス 人気シリーズ スポーツ 生中継 > T-VOD > DVD/ブルーレイ > 生放送 TV 家族向け番組 日常の視聴 ドキュメンタリー 映画 ニュース サービス > S-VOD サービス 旧作番組 移動中視聴 コンテンツ > DVR TV > YouTube ビデオクリップ > 生放送でない 番組 セカンダリーコンテンツ 参照: エリクソン・コンシューマラボ TV and Media 2014 4 エリクソン・コンシューマラボ TV AND MEDIA 2014 > S-VOD > 生放送 > プレイサービス 特別な状況下 の視聴 変遷するサービス サービス利用の変化 図 2 は、現在進行中の消費者の視聴習慣の変化を示してい ます。人々の 77%は番組表に則った従来型の TV 番組を観 ていますが、そのほとんど同数にあたる 75%の人々が、1 週 間に複数回ストリーミングビデオを観ていると回答しています。 録画や物理的なメディアの視聴の多くも、プラットフォームに かかわらずコンテンツにアクセスできるオンデマンドサービス による便利で使いやすいストリーミングに移行しつつあります。 図 2:毎週複数の種類のメディアを視聴する人々の割合 90% 従来型の TV 番組に肉薄する 60% ビデオストリーミング は 30% 0% 2011 2012 2013 2014 通常の TV 放送 通常の TV 番組の録画 ストリーミングビデオ DVD、ブルーレイその他 参照: エリクソン・コンシューマラボ TV and Media 2014 9 カ国の調査結果 図 3:米国の消費者が各オンデマンドサービスを使っている割合 S-VOD サービス 図 3 に示すとおり、これらのオンデマンドサービスは、低額 の固定費用で多数のコンテンツにアクセスできることで、多 くの消費者の視聴習慣に大きな影響を及ぼしています。 S-VOD サービスを試した消費者は一般にその利点に気 付 き 、 す ぐ に 自 分 の TV 視 聴 習 慣 に 取 り 入 れ ま す 。 前ページの図 1 を見ると、S-VOD サービスには生ライブ放 送やプレミアム感が高いスポーツ中継、プレミアム映画、人 気のある TV 番組などがないので、単独で消費者の視聴習 慣の全体をカバーすることはほとんどないことがわかります。 S-VOD サービス* T-VOD サービス* 60% 50% S-VOD と T-VOD サービス* 広告ベースのサービス* その他のサービス 40% 30% 20% 10% 0% *複数の支払いモデルがあるサービスのカラーコードは、最も割合の大きい支払いモデルを示す。 参照: エリクソン・コンシューマラボ TV and Media 2014 米国での調査結果: (ストリーミングまたはダウンロードベースのビデオサービスを毎月利用する消費者が対象) エリクソン・コンシューマラボ TV AND MEDIA 2014 5 T-VOD (Transaction-based VOD) サービス T-VOD サービス、特に単独の T-VOD は、大半の消費 者の日々の視聴習慣に取り入れられていません。月々 の TV 経費に T-VOD を含めている消費者は 14%に過 ぎませんが、何らかの S-VOD コストを経費に含めてい る消費者は 27%に達します。 図 4 では、T-VOD、S-VOD、映画館それぞれのコンテンツ視 聴を比較しています。T-VOD サービスはレンタル時間の制 約やコストといったネガティブな因子のために、消費者から見 て明確な立ち位置を確立できていないことがわかります。さら に S-VOD サービスの広範なコンテンツが、T-VOD サービス へ出費する意欲に水を差す結果となっています。 参照: エリクソン・コンシューマラボ TV and Media 2014 図 4: 消費者にとっての映画館、T-VOD、S-VOD それぞれの利点と欠点 映画館 S-VOD T-VOD > 最新の映画が観られる > 最新の映画が視聴できない > ソーシャルイベントとして重要 > 世間的話題と無関係 > 最新の世間的話題にリンク > 高額な PPV (Pay-Per-View) > 高額 (ただし予算の種類は異なる) > お試し視聴の余地なし > 一部最新 TV シリーズの視聴可能 > 好きなだけ視聴可能 > お試し視聴の余地あり > 限られたレンタル時間 > 旧作映画のみ > お試し視聴の余地なし > 世間的話題と無関係 コンテンツへのモバイルアクセス 図 5 は、TV 画面でコンテンツを視聴するために費やす時間 がしばらく変化していないことを示しています。ビデオをスマー トフォンやタブレットで視聴する時間は増えていますが、デス クトップ PC による視聴時間は減っています。 図 5: 毎週各デバイスでビデオの視聴に費やす平均時間 (デバイスを所有し使用している回答者が対象) TV 画面 2014 モバイルコンテンツと視聴習慣 図 6 は、消費者がスマートフォン上では主に YouTube など ユーザーが生成したコンテンツを視聴していること、通常の TV 番組が二番目に人気のあるコンテンツであることを示し ています。 2012 デスクトップ PC 2014 2012 ラップトップ PC 2014 図 6: スマートフォンでコンテンツを視聴する頻度 (コンテンツ種別毎) 2012 YouTube または同様のサービス スマートフォン 2014 通常の TV 放送 2012 生放送またはイベント オンデマンドのストリーミング コンテンツ ダウンロードしたコンテンツ タブレット 2014 自宅 2012 自宅以外 0 4 8 12 時間 参照: エリクソン・コンシューマラボ TV and Media 2014 9 カ国の調査結果 (該当するデバイスを所有/使用している回答者対象) 6 エリクソン・コンシューマラボ TV AND MEDIA 2014 0% 16 20% 40% 60% 80% 100% 毎日 毎月 視聴したことはない 毎週 それ以下の 頻度 不明 参照: エリクソン・コンシューマラボ TV and Media 2014 23 カ国の調査結果 図 7:各年齢層の一日の TV およびビデオ視聴習慣 100% 16~24 歳 25~44 歳 80% 45~59 歳 60~69 歳 60% 40% 20% 0% 起床前のベッドの中 午前中自宅で 通勤中 職場または学校 その他の外出先 夜間自宅で 友人・親類の家で 就寝前のベッドの中 参照: エリクソン・コンシューマラボ、 TV and Media 2014 23 カ国の調査 図 7 に、年齢層ごとの一日の TV とビデオの視聴習慣を 示しています。消費者の年齢が若いほど一般に自宅外で のビデオの視聴が増え、年齢が上がるほど自宅での視聴 が中心となることがわかります。 図 8: プレイスシフトを行う消費者の割合 3% あらゆる場所でコンテンツへアクセスできることはますま す重要になっています。2012 年以来、このような機能に お金を払うつもりがあると回答している人の数は 25%増 加しました。 17% 36% 視聴デバイスと場所の移動(プレイスシフト) ビデオコンテンツへのシームレスなアクセスを実現する新 サービスが、あるデバイスでビデオの視聴を始めた消費 者が、別の場所で別のデバイスを使って視聴を継続する、 プレイスシフト (place shifting) と呼ばれる新しい消費者 行動を生み出しました。図 8 は、毎週 36%近くの消費者 がプレイスシフトを行うことを示しています。 35% 19% モバイルビデオ視聴の増加が必ずしもモバイルデータの 使用率の増加に結びつくわけではありません。 2014 年 6 月版のエリクソン・モビリティレポートでは、米国 と英国の Wi-Fi と 3G/4G ネットワーク上の月次モバイル ビデオデータのトラフィックを比較したところ、Wi-Fi を使っ てビデオを消費しているヘビー/ミディアムユーザーの割 合が、ライトユーザーよりはるかに高いことがわかりました。 このことは、モバイルデータのビジネスモデルにマッチす るモバイルビデオ視聴習慣をサポートすることの重要性を 示しています。 20% 毎日 月一回未満 毎週 したことがない 毎月 わからない 参照: エリクソン・コンシューマラボ TV and Media 2014 23 カ国の調査結果 エリクソン・コンシューマラボ TV AND MEDIA 2014 7 図 9 から、コスト関連の二つの理由が自宅外でのモバ イルデバイスを使った TV とビデオコンテンツの視聴を 妨げる要因となることがわかります。 図 5 に示すとおり、これらの障壁が、視聴時間の大半を自 宅が占める要因となっています。 図 9: 自宅外での TV 視聴しない理由 (7 段階評価の上位 2 つの回答を表示) データ通信コストが高すぎる 46% レンタル、加入または購入コストが高すぎる 45% モバイルデバイスを使ったコンテンツ視聴に関心がない 35% インターネット接続の速度が低い 30% ネットワークのカバレッジが貧弱 26% 動画品質が貧弱 21% TV とビデオコンテンツの選択肢がない、または乏しい 21% コンテンツへのアクセスが難しい 18% デバイスがコンテンツのストリーミングをサポートしていない 18% 参照: エリクソン・コンシューマラボ TV and Media 2014 23 カ国の調査結果 8 エリクソン・コンシューマラボ TV AND MEDIA 2014 重要な TV 機能 図 10: 最重要/最も重要度が低い TV およびビデオ機能 (7 段階評価の上位 2 つの回答を表示) 上位 5 1 2 高品質 (HD 品質) 広告/コマーシャルがないこと 3 新作映画が映画館での封切と同時 に自分の TV で観られること 4 タイムシフト/オンデマンド 5 映画やシリーズ番組に字幕がついて いること 20 マルチパーソンによるお勧め機能 下位 5 21 広告連動型パーソナライズドモバ イルビデオサービス 22 小規模または地域イベントの生放送 23 インタラクティブ TV 24 Click-to-buy (リモコンを使って TV に写ったものを何でもオーダーでき るサービス) 参照: エリクソン・コンシューマラボ TV and Media 2014。23 カ国の調査結果 TV とメディアのコンテンツは、消費者にとって理想的な TV ソリューションの中核をなす要素です。また消費者はコンテ ンツには継続的にお金を払うつもりがありますが、他の機 能はパッケージに含まれていることを期待しています。 図 10 に示すように、アクセス性とエクスペリエンスを高め る機能も重要ですがコアエクスペリエンス以外の付加的な 機能は一般に重要度が劣ると見なされています。 消費者が感じる画像品質は、ビデオコンテンツの種類と、 それを消費するデバイスや画面に大きく依存します。 ニュース、リアリティショー、ライフスタイル番組などでは、 画像の品質はそれほど重要ではありません。 TV シリーズや一般的な映画では画像品質の重要度は上が りますが、追加費用の支払いに値するものとは見なされて いません。スポーツの生中継や人気のある映画では品質が 決定的に重要となり、消費者はそれに追加の費用を支払う ことをためらいません。 パーソナラライズド広告と情報 回答者の半数以上がコマーシャルの除去は非常に重要だ と考え、30%近くがコマーシャルの除去にお金を払ってもい いと回答しています。消費者はまた広告のオプトイン/オプト アウト(表示/非表示)機能を求めています。 TV とビデオの広告は、より適切で押し付けがましくないもの でなくてはなりません。個々人のニーズに応じてパーソナラ イズされた広告であれば、その有用性が感じられる可能性 が高いでしょう。 図 11 に示すように、回答者の 41%が、見たい広告と見た くない広告を自分で指定したいと考えています。30%が パーソナライズされた TV およびビデオサービスを求め、ま た個人情報ベースのコンテンツ推奨を受けたいと回答して います。 図 11: カスタマイズされたサービスを受けるために個人情報を提供して もいいと考える消費者の割合 見たくない広告や、広告を見たい製品や分野を、自分で指定したいと 思いますか? 8% 5% 9% 画像品質 – HD と 4K/UHD 画像品質の向上は、TV とビデオの当り前の進化と考えて もいいでしょう。ビデオ品質の向上に呼応して品質に対す る消費者の期待も高まります。60%を超える消費者が HD 品質が非常に 重要だと考え、すでに 43%の消費者が 4K/UHD は重要であると回答しています。4K/UHD 品質 への関心は、UHDTV 画面が浸透してくればさらに高まる ことでしょう。 19% 18% 16% 25% 41% ご自身の視聴習慣と年齢に基づいてパーソナライズされたコンテンツ推奨 を受け取りたいと思いますか? 10% 6% 10% TV の品質向上に投資する消費者は、新しい TV セットの ようなハードウェアに注目する傾向があります。現在の消 費者の三分の一は、入手可能なコンテンツが非常に限ら れているこの時点でさえ、4K/UHD の品質にお金を払って もいいと考えています。 22% 22% 15% 15% 30% まったくそう思わない 強くそう思う 参照: エリクソン・コンシューマラボ TV and Media 2014 23 カ国の調査結果 エリクソン・コンシューマラボ TV AND MEDIA 2014 9 変化する TV のあり方 図 12: 現状の TV およびビデオサービスプロバイダーに対する消費者の満足度 OTT オンデマンド 54 従来型の TV 事業者 39 31 14 33 26 1 NPS +39 推奨者 (9-10) 中立者 (7-8) 批判者 (0-6) 不明 参照: エリクソン・コンシューマラボ TV and Media 2014 1 NPS +12 米国の消費者の調査結果 (現行の OTT オンデマンドと一般 的な TV 事業者のサービスのユーザー) 0% 25% 50% 75% サービス満足度を計測する 今日の消費者がデバイス上の制約、アクセス上の制約、 地理的な制約を甘受することはほとんどありません。消費 者が感じるサービスの価値は、その他のサービスとの比 較、つまり他のサービスが提供する機能やコストとの相対 的な関係で決まります。OTT サービスはその意味で消費 者の期待を新しいレベルへと引き上げました。 図 12 に示すように、消費者が OTT オンデマンドサービス プロバイダーを勧める可能性は従来型 TV プロバイダーを 勧める可能性よりはるかに高くなっています。米国におけ る OTT オンデマンドサービスの平均 NPS (Net Promoter Score) は 39 ですが、これに対する TV プロバイダーの平 均 NPS は 12 です。 TV およびビデオの主な特性に関する消費者の満足度を 比べると、スコアの違いの一部に説明がつきます。消費者 は、OTT オンデマンドサービスの提供価格と、デバイスと 場所を問わずコンテンツにアクセスできる点について、競 争相手よりもはるかに満足しています。コンテンツ面でも、 OTT オンデマンドプロバイダーの提供コンテンツの評価が 若干高くなっています。 100% 動画と音声の体感品質については、TV プロバイダーと OTT オンデマンドサービスのいずれも高い評価を得ています。 図 13 は、TV とビデオに関わる 4 つの重要な要素と、消費者 が自分が使っている TV/ビデオサービスを推奨する可能性 の相関を示しています。最も影響が大きい要素はコンテンツ の豊富さとビデオの品質であり、サービスの価格とデバイス /場所を問わないアクセスがそれに続きます。「デバイス/ 場所を問わないアクセス」は、オンデマンドサービスのユー ザーに大きな影響を及ぼしています。 TV とビデオの経費の変化 米国の TV 視聴者は、平均して毎月 85 ドルをマネージド TV、 オンデマンドビデオ、DVD の購入とレンタルに投じています。 2010 年にはこの経費の 21%が物理メディアに投じられまし たが、2014 年までにその比率は 8%にまで減りました。ただ しオンデマンドに対する出費は、2010 年から現在に至るまで に 2 倍を超えて増えています。 図 13: TV サービスの満足度因子とサービスを推奨する公算の相関 コンテンツの豊富さ 0.56 画像品質 0.56 0.40 価格 デバイスや場所を 問わないアクセス 0.34 0 0.25 0.5 方法: 4 つの特定の因子のみを対象にした 0~1 の値によるピアソン相関 参照: エリクソン・コンシューマラボ TV and Media 2014 23 カ国の調査結果 (その時点でのオンデマンド TV 事業者と従来型の TV 事業者のサービスのユーザー) 10 エリクソン・コンシューマラボ TV AND MEDIA 2014 0.75 図 14: コンテンツ種別ごとに好まれる支払いモデル さまざまな支払いモデル 図 14 に示すとおり、消費者に最も好まれる支払いモデルは 固定月額払いです。 消費者の 33%は映画と TV シリーズのブロードバンド視聴を TV シリーズの放送 この方法で支払うことを望み、27%はオンデマンド映画と TV シリーズの新作でもそうしたいと考えています。一方でアイテ ムごとの支払いは、ほとんどすべての種類のコンテンツの支 払い手段として最も好まれません。 図 15 に示すように、異なるコンテンツ提供枠とサービスをリ ンクすることで個々の視聴を増やし、差別化を促進できる可 能性があります。クロスサービス機能を提供したり、あるいは 同一のサービスに複数のビジネスモデルを提供することで、 消費者のニーズをより良く満たすことができるはずです。これ が新しい消費者行動を促し、また著作権侵害とチャーン(解約) の低減に効果を発揮する可能性もあります。 映画放送 オンデマンド コンテンツ – 新作リリース 細分化されたメディア体験を集約する 今日のメディア体験は、サービス、デバイス、コンテンツソース を含む複数の要素から成り立っています。近い将来この状況 は、一方的な放送方式の TV を除く TV およびメディア産業の あらゆる面に広まることでしょう。 オンデマンドコン テンツ – 旧作 細分化されたこれらの要素の管理は、ユーザーフレンドリー な集約化を実現しない限り、消費者にとって大きな問題となり かねません。TV 事業者が OTT サービスを組み込んだ STB (Set Top Box) の提供を始め、スマート TV とインターネット用 付加デバイスが高度化するにつれて、この問題は徐々に解 消に向かうことでしょう。 消費者がオンデマンド OTT サービスからほとんどのコンテンツ にアクセスできるようになれば、従来型の TV のニーズは縮小し ます。人々が一方的な放送方式の TV パッケージへの支払いを 続ける主な理由は、その利便性と使いやすさにあります。 ライブ放送、特にスポーツ中継は、視聴者に高い価値を提供 し続けるでしょう。 またパーソナライズされた広告のオプトイン/オプトアウトの完 全な制御と、一方的放送方式によるコンテンツの全面的なカ スタマイズも、消費者にとっての価値を高めるはずです。 スポーツ生中継 0% 10% 20% 30% 40% 50% アイテム/コンテンツごとの支払い パーソナライズ広告の視聴 固定月額料金の払い込み 広告視聴 参照: エリクソン・コンシューマラボ TV and Media 2014 23 カ国の調査結果 図 15:異なるコンテンツ提供枠を結ぶ新たなリンクの生成 S-VOD で旧作の TV シリーズを視聴 T-VOD で新シリーズを推奨 映画 DVD と T-VOD 初回封切り 3~6 ヶ月後 ペイ TV と S-VOD 10~28 ヶ月後 無料放映 28 ヵ月後以降 デバイス非依存の T-VOD および S-VOD アクセス権を含む映画チケット 参照: エリクソン・コンシューマラボ TV and Media 2014 エリクソン・コンシューマラボ TV AND MEDIA 2014 11 エリクソンは通信技術とサービスを提供する世界有数の企業として、 ネットワーク化社会 (Networked Society)の実現を目指して邁進しています。 エリクソンは世界中の大手通信事業者との長期的な関係を通じて、 人々、ビジネス、社会がそれぞれの可能性を追求し、持続可能な未来を創成しようとする 取り組みを支援していきます。 エリクソンのサービス、ソフトウェア、インフラストラクチャ、特にモバイル、ブロードバンド、 クラウド分野におけるそれらの技術は、通信とその他の分野における事業の改善、効率の向上、 より良いユーザー体験の提供、新しいビジネス機会の創造を実現します。 180 カ国で事業を展開し、11 万人を超える社員を擁するエリクソンは、グローバルな事業規模と、 テクノロジーおよびサービスにおけるリーダーシップを備えています。 エリクソンは今日、25 億人を超えるエンドユーザーへのサービスをサポートしています。 世界のモバイルトラフィックの 40%以上がエリクソンの提供するネットワークを利用しています。 エリクソンは、我々のソリューションとそれらを活用するお客様が常に時代の最先端にいられるよう、 研究開発への投資を行っています。 エリクソンは 1876 年に設立され、本社所在地はスウェーデンのストックホルムです。 2013 年の売上高は 349 億 US ドル (2,274 億 SEK)です。 エリクソンは、NASDAQ、OMX ストックホルム、NASDAQ ニューヨーク市場に上場しています。 Ericsson SE-126 25 Stockholm, Sweden Telephone +46 10 719 00 00 www.ericsson.com EAB-14:045 682 Uen © Ericsson AB 2014
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