Facu lty o f A gricu ltu re K o b e U n iversity

be
Faculty of Agriculture Ko
University
目次
農学部の沿革 ........................................................................... 1
神戸大学農学部をめざす君たちへ......................................... 2
農学部の構成 ........................................................................... 3
学科・コースの紹介
食料環境システム学科
生産環境工学コース ........................................................ 5
食料環境経済学コース .................................................... 6
資源生命科学科
応用動物学コース ............................................................ 7
応用植物学コース ............................................................ 9
生命機能科学科
応用生命化学コース ..................................................... 11
環境生物学コース ......................................................... 13
附属食資源教育研究センター ......................................... 15
食の安全・安心科学センター ......................................... 16
農学研究科地域連携センター ......................................... 17
農学部・附属食資源教育研究センター位置,交通案内 ... 18
入学試験情報 ........................................................................ 19
卒業後の進路 ......................................................................... 20
農学部の沿革
1949年 4月 兵庫県立農科大学開学(現 兵庫県篠山市)
1952年 4月 兵庫県立農科大学を兵庫農科大学へと改称
1955年 4月 神戸医科大学(現 医学部)への進学課程設置
1964年 3月 神戸医科大学への進学課程廃止
1966年 4月 兵庫農科大学を国立移管し,神戸大学に農学部を設置
1967年 6月 附属農場設置
1967年10月 農学部学舎の六甲台への移転完了
1969年 3月 国立移管により兵庫農科大学廃止
1972年 4月 大学院農学研究科設置
1981年 4月 農学部,工学部,理学部を母体とする大学院自然科学研究科(後期3年の博士課程)を設置
1993年 4月 学部改組を行い,5学科12大講座となる
1994年 4月 農学研究科, 工学研究科, 理学研究科を改組・統合し, 大学院自然科学研究科前期課程を設置
2003年 4月 附属農場を改め附属食資源教育研究センターを設置
2004年 4月 国立大学法人神戸大学となる
2007年 4月 農学研究科を設置
2008年 4月 学部改組を行い3学科6コースとなる
1
神戸大学農学部をめざす君たちへ
あなたのユメ × 神大農力=
∞
(無限大)
農学部の学生ホールに飾られている書家・金子祥代さんの書
「∞(無限大)」(2.6m×1m)
この冊子を手にした高校生の皆さんのほとんどは,これまで「農学」という
学問を学んだことがないでしょう。農学とは,人類の活動の源となる食料の生
産と,それを支える自然あるいは人工的な環境,また食料や環境と人とのかか
農学部長
宮野 隆
わりを学ぶ,総合的な科学です。人は長い歴史の中で植物や動物を改良し,それらを育てる方法や環境を作り出し,さらに,
生産された食料や生産物を加工したり保存したりする技術を作り上げてきました。農学はこれらの技術に立脚した科学です。
地球温暖化,人口問題,環境破壊,食料危機,TPP,遺伝子改変作物といった言葉を聞いたことがあるでしょう。世界は日々
刻々と変化し,食料の生産や環境にかかわる問題も変化し続けています。これらの課題に対峙し,問題を解決するには農学
の力が必要です。
神戸大学農学部では,
「農場から食卓まで(From Farm To Table)」の「食料・環境・健康生命」にかかわる様々な課題に
ついて教育研究を進めています。農学部は,食料環境システム学科(生産環境工学コースと食料環境経済学コース),資源生
命科学科(応用動物学コースと応用植物学コース),生命機能科学科(応用生命化学コースと環境生物学コース)の3学科6コー
スから成っています。コースによって基礎となる学問は生物学,化学,工学などの自然科学であったり,経済学などの社会科
学であったりしますが,どの学科・コースもそれぞれの学問的視点から「食料・環境・健康生命」にかかわる「食料の生産・
確保」,
「自然環境の保全」,
「食による健康の維持・増進」といった課題を通して,自然と人との持続的な共生や,社会の持続
的発展を目指しています。このためには,どのように食料が農場で生産され,どのように食卓に上るのかを学び,土,水,植物,
動物などの自然を知り,自然に学ぶことが重要です。農業分野での植物や動物の遺伝的な改良以外にも,微生物を用いた様々
な発酵技術,細胞を凍結して保存する技術,体外受精やクローン動物の作出技術といったバイオテクノロジーに関連した技術
も,農学の分野から生み出されてきました。自然に親しみ,自然に学ぶ農学の強さがここにあります。
海の見える六甲台の高台に位置する緑豊かなキャンパスが皆さんの入学を待っています。神戸大学農学部は優秀な教職員
スタッフを擁し,充実した教育カリキュラムを皆さんに提供します。各学科・コースの専門教育に加えて,導入教育としての「食
の倫理」と「緑の保全」,
「兵庫県農業環境論」,
「実践農学入門(篠山市)」などの地域連携教育,
「UPLB実用英語演習(フィリ
ピン大学ロスバニヨス校で学びます)」
といった国際連携教育など,多彩な教育プログラムを用意しています。
「神戸大学ビーフ」,
「神大のなし」,純米大吟醸酒「神戸の香」
など,多くのブランド商品を世に送り出している附属食資源教育研究センターでの「農
場実習」や「牧場実習」で,ぜひイネや野菜,果物,ウシを育てて,食料生産も実体験して下さい。皆さんが講義や演習で身
につける専門知識に加えて,幅広い視野や豊かな人間性が身につき,社会に出るときの大きな力となります。
皆さんには無限に広がる未来があります。自らの未来を決める権利があります。ぜひ神戸大学農学部で農学の大切さと面白
さを学んでください。意欲あふれる君たちの入学を心から待っています。
皆さんには無限に広がる未来があります。
皆さんには自らの未来を決める権利があります。
皆さんの夢と神戸大学農学部で学んだ力
(神大農力)
を
かけあわせれば,
∞
(無限大)
です。
ぜひ神戸大学農学部で農学の大切さと
面白さを学んでください。
意欲あふれる君たちの入学を
心から待っています。
2013.9 UPLB実用英語演習 修了式
フィリピン大学ロスバニヨス校
2
農学部の構成
(2014年5月1日現在)
学 科
教員数
コース
教育研究分野
生産環境工学
水
環
境
学
土 地 環 境 学
施 設 環 境 学
地 域 共 生 計 画 学
農産食品プロセス工学
生 体 計 測 工 学
生物生産機械工学
生物生産情報工学
食料環境システム学科
食
食料環境経済学
資 源 生 命 科 学 科
応 用 植 物 学
応用生命化学
生 命 機 能 科 学 科
環 境 生 物 学
経
済
7
(1)
料
情
報
4
6
助教
1
動 物 遺 伝 育 種 学
動物多様性利用科学
生 殖 生 物 学
発
生
工
学
栄 養 代 謝 学
分 子 形 態 学
組 織 生 理 学
感 染 症 制 御 学
動物遺伝資源開発学
細 胞 情 報 学
資 源 植 物 生 産 学
植 物 育 種 学
森 林 資 源 学
園 芸 植 物 繁 殖 学
園 芸 生 産 開 発 学
園 芸 生 理 生 化 学
熱 帯 有 用 植 物 学
植物遺伝資源開発学
生
物
化
学
食 品・栄 養 化 学
天然有機分子化学
有機機能分子化学
環境分子物理化学
植 物 機 能 化 学
動物資源利用化学
微 生 物 機 能 化 学
微 生 物 資 源 化 学
生物機能開発化学
土
壌
学
植 物 栄 養 学
植 物 遺 伝 学
細 胞 機 能 構 造 学
環 境 物 質 科 学
細 胞 機 能 制 御 学
植 物 病 理 学
昆虫分子機能科学
昆虫多様性生態学
合
計
10
(2)
6
10
5
8
6
学生数
4
(2)
1年 27
2年 26
3年 28
4年 35
合計 116
0
1年 12
2年 10
3年 10
4年 14
合計
46
5
1年 26
2年 26
3年 28
4年 30
合計 110
5
(1)
1年 30
2年 26
3年 32
4年 33
合計 121
6
(1)
1年 35
2年 35
3年 35
4年 42
合計 147
1年 30
2年 31
3年 29
4年 40
合計 130
学
8
(2)
8
(2)
5
(3)
45(5)
34(2)
25(7)
※教員数については農学部以外の所属で農学部関連教員を( )書き内数で示しています。
3
准教授・講師
学
食 料 生 産 管 理 学
食
応 用 動 物 学
料
教授
学 科
食料環境システム学科
食料環境システム学科は,工学的手
法による食料生産システムの構築と,
社会科学的手法による食料・農業・農村
システムの構築をめざした教育・研究
を行うことを目的にしています。
生産環境工学コースは生産基盤であ
る資源の利用と保全及び作物栽培から
流通に至る食料生産システムに関する
教育・研究を行い,食料環境経済学コー
スは食料,農業,農村,環境に関する社
会経済的諸問題の解明・解決に関する
教育・研究を行います。
資源生命科学科
動物や植物は人類生存の鍵を握る貴
重な生物資源です。資源生命科学科で
は,有用な動物,植物,微生物とそれら
の相互関係を遺伝子から生態系レベル
まで幅広く理解するとともに,生物資
源の利用や開発に関わる基礎理論を学
びます。応用動物学コースと応用植物
学コースでは,それぞれ動物と植物を
中心に生物資源の探索・生産から利用・
開発に至る様々な問題に取り組める専
門的な知識を身に付けます。
生命機能科学科
農学は総合科学を必要とする分野で
す。生命機能科学科は生物や生体成分
の機能や環境と生物の正しい関係を探
り,それらの活用のために化学的,生物
学的方法を用います。学科の諸科学の
力を使って得た成果により,安全な作
物の生産,食品・化学・医薬に関連した
産業の発展,持続的な食料生産システ
ムの構築と,21世紀社会の中核を担う
優れた思考力と表現力を持つ人材の育
成を行います。
コ ー ス
生産環境工学コース
生産環境工学コースは,工学的手法に基づく食料生産システム全般に関わる知識
と技術の習得を教育目的とし,生産基盤である水資源・土地資源の整備・保全,農業
施設の整備・有効利用,農業・農村システムの整備を主目的とする地域環境工学分野
と,食料の生産から管理・収穫・貯蔵・加工・流通・消費に至る食料生産システムとそ
れに付随する廃棄物処理とバイオマス資源の有効利用を主目的とするバイオシステ
ム工学分野で構成されています。
5ページへ
食料環境経済学コース
いま世界では,人口増加と経済発展に伴って食料需要が増大する一方,地球温暖
化,異常気象,水不足などで食料供給が不安定化し,食料の国際価格が高騰していま
す。
こうした状況の中で,
日本は食料の海外依存度を高め,食の安全・安心の確保や
農業競争力の強化,農業・農村の活性化が重要な課題となっています。食料環境経済
学コースでは,
これら今日の食料と農業をめぐる問題の解決に向けて,社会科学的な
手法がますます重要となっていることを明らかにした上で,
その有効性を発揮するた
めの教育・研究を行っています。
6ページへ
応用動物学コース
私たちは動物と深く関わり合って生きています。応用動物学コースでは,遺伝学,生
化学,形態学,免疫学などを基礎として,哺乳類や鳥類が本来もっている豊かな機能
と,
動物と微生物との相互作用を,
集団・個体・細胞・分子レベルで総合的に学びます。
これらの知識をもとに,既存動物の生産性の向上,有用動物の開発,野生動物の保
護,
また人を含めた動物の生命・健康維持に役立つ新たな知識や技術などの創出を
目指しています。
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応用植物学コース
植物は,食料や産業用原料など人類生存のための再生可能な資源として必要不可
欠な存在です。応用植物学コースは食用および園芸作物の効率的で持続可能な生産
技術と森林資源の管理利用技術の開発,
さらには高い生産性へ向けた植物育種に関
する教育研究を推進することにより,植物の応用に必要な高度で専門的な知識と総
合的な思考力をもち,生産現場から先端バイオ領域まで幅広い分野を担うことのでき
る人材を養成することを目的としています。
9ページへ
応用生命化学コース
新時代の「農」
を化学で切り拓く,
をスローガンとしています。
本コースでは,
生物構成成分の機能を化学的に解析・活用・改良・開発して,
農学や
関連する学術,
産業分野の発展に寄与することを目指しています。
研究内容には,
生体
高分子の構造と機能の解析,
食品成分の生理と栄養およびその機能の解析,
有用化
合物の合成,
食品や飲料水中の微量金属の解析,
動植物や微生物の生体機構解明と
有用物質の高度利用などがあります。充実した研究教育を通じ,
バイオサイエンスや
バイオテクノロジーの第一線で活躍できる人材を育成します。
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環境生物学コース
本コースでは,食料の安定供給と人間をとりまく様々な環境の保全とを調和する持
続可能なシステムの構築に向けて,多角的にアプローチしています。特に,生命科学
の知識とその技術を駆使して,土や植物の有する浄化機能,植物のもつ微生物への
防御機構,植物や昆虫の環境応答機構などを研究しています。
これらを通じて,地球
環境における生命の営みへの深い理解を育み,
それを食糧生産に生かすための研
究・教育を行います。
13ページへ
4
技術者教育認定︵ JABEE
認定︶を受け、
教育の品質を保証しています
生産環境工学コースの
﹁地域環境工学プログラム﹂
は日本技術者教育認定機構︵ JABEE)
から認定を受けています。修了者には技術士
一次試験免除の特典が与えられ、産業界に大学学部教育の品質を保証しています。
5
食料環境システム学科
生産環境工学コース
生産環境工学コースは,工学的手法に基づく食料生産システム全般に関わる知識と技術の習得を教育目的とし,生産基盤である
水資源・土地資源の整備・保全,農業施設の整備・有効利用,農業・農村システムの整備を主目的とする地域環境工学分野と,
食料の生産から管理・収穫・貯蔵・加工・流通・消費に至る食料生産システムとそれに付随する廃棄物処理とバイオマス資源の有
効利用を主目的とするバイオシステム工学分野で構成されています。
地域環境工学プログラム
■水環境学
農業生産には多くの水が必要です。水環境学では,農業用水の確保と水環境の保全
に資することを目的として,河川流域における水の動きを水量・水質の両面から解明する
とともに,流出解析に基づく洪水・渇水の予測,わが国及び海外の河川流域における水
資源の有効利用,水質観測システムの開発と応用に関する教育研究を行っています。
山林流水の水質を常時モニタリングするシステム
■土地環境学
パイプラインの現場埋設実験
豊かで美しい自然や農地農村を災害から守り,ダム・ため池・パイプラインなどの農業用
施設構造物の持つ様々な機能を,人々の生活や地域環境保全に活かすための教育研究
を行っています。最近では,循環型社会の構築に向け,施設の有効利用の観点から,老
朽施設の機能診断・長寿命化に関する研究や自然環境に配慮した生分解性コンクリートな
どの新たな土木材料の研究開発などを実施しています。また,防災・減災の観点から,
農業用水利施設を対象として,耐震性向上や津波に対する安定性評価に関する研究など
に取り組んでいます。
■施設環境学
水利施設などの各種農業施設に関する,計画・設計・施工や
維持管理,施設環境の保全という観点から教育研究を行います。
不均質浸透場における汚染物質の移動実験
研究例として,水と土の力学的相互作用という観点からは,土中 小型二次元浸透破壊実験
における水の流れのメカニズム解明,地盤の浸透破壊と防止工法,フィルターの最適設計,異方透水性・不均質地盤中の浸透
流特性,土中における各種物質シミュレーションと地域環境などがあり,水利施設の設計という観点からは,オランダの水環境と水
利施設,オランダの水環境と地下水位制御などがあります。
■地域共生計画学
衛星画像による2011年のタイ大洪水の
分析結果
一見不変のように見える農山村空間ですが,実は都市と同じく絶え間ない環境と社会構造の変
化に晒されています。食糧生産基盤として,人間の生活空間として,そして生物圏としての健全な
状態を維持するためには,モニタリングや聞き取りによる環境情報の取得と診断がまず必要です。
そして問題解決のためには,様々な状況を仮定して地域的合意を形成し柔軟性のある制度設計を
せねばなりません。
本分野では日本とアジアの農山村地域を対象として持続的な資源管理と制度設計を様々な時
間・空間スケールで模索していきます。
バイオシステム工学プログラム
■農産食品プロセス工学
安全で高品質な食料を消費者に効率良く供給するための加工・調製の技術およびシステ
ムに関する教育研究を行っています。この分野はポストハーベスト技術や食品工学と呼ばれ,
現在の食料供給に不可欠なものです。関連講義には,熱力学および伝熱工学,流体工学,
食品プロセス工学,バイオプロセス工学などがあります。研究対象には,食料の生産・加工・
流通における安全管理プログラム(Agri-HACCP),食品の安全性・品質向上のための計
測・制御技術,資源循環や安全性確保に適した農畜産廃棄物処理技術などがあり,具
体的な課題として,電気インピーダンス計測による食品内異物の可視化や食品発酵モニタリ
ング,穀物乾燥法の最適化,畜産廃棄物に含まれる窒素および抗生物質の無害化技術の
開発,高効率メタン発酵によるバイオマスエネルギ回収などの研究に取り組んでいます。
インピーダンス・トモグラフィによる内部可視化
︵千枚田︶
棚田
︵たなだ、 Rice Terrace
︶
は、
山間地域の傾斜地に作られた小面積で不整形な水田で、
日本だけでなくアジア・モンスーン地帯に広く見られます。
いつの時代に作られたかは定かではないが、
鍬一本で山の斜面を拓くことは並大抵のこと
ではなく、
先祖の米にかける思いがいかに強かったかを知ることが出来ます。
最近、
わが国では米の消費が減少し、
人手のかかる棚田が放置され、
崩壊し始めるところが目立つようになってきました。
そのため、
学生達が中心となって棚田保全の
ボランティア活動に取り組んでいます。
ヒトを含めた生体の病変診断や , 酪農畜産製品の品質向上 , 食の安全性の確保は私
達の健康的な生活に必須の課題です。
当分野ではこのような問題に関する教育研究を
行っており,生体固有の情報の計測と解析,病変等の診断技術の開発,生体機能の解明
のための非破壊・非侵襲的計測法及び解析法の開発等の研究テーマに取り組んでいま
す。具体的には乳牛の乳房炎診断法の開発,動物の発情・妊娠診断法の開発,食品等
に含まれる細菌の検出,体細胞の同定やタンパク質の変性過程の分析等を行っています。
左上:植物のウイルス検出 右上:バクテリアの検出
左下:マウスのプリオン病診断 右下:乳牛の乳房炎診断
■生物生産機械工学
生物生産機械工学研究室は,
主として水田や畑といった屋外のフィール
ドにおける作物生産を支えるための技術開発と教育に取り組んでいます。
「はかる」
「つくる」
をキーワードに,従来の農業機械を発展させて各種情報
の測定機能と知能や制御機能を持たせることや,作物や雑草そのものの
特性を追求することで新たな生産様式を開発するなど,工学と農学のすき
まを新たなフロンティアとして切り開いています。機械でも作物でも自分で作
ることが好きな人,何でも測ってみないと気がすまない人,大歓迎です。
ホウレンソウ葉内の 近赤外分光法による葉内硝酸イオン
硝酸イオン濃度分布 濃度の非破壊連続モニタリング
空気間隙の3-Dネットワーク構造
(X線マイクロCT画像)
キュウリ果実内水分分布
(MRI画像)
コンバインのタンク内で投げ
出される衝撃から穀粒の重
量を推定するセンサ(上段
左),ラジコンヘリによる作
業−農 薬が 確 実に付 着し
遠くへ拡散しない方法を研
究しています(上段右),作
物を検出して必要なところだ
けに農薬散布するロボット
(下段左),除草機の効果
と水田内の高低の関係を
調べています(下段右)
■生物生産情報工学
主として閉鎖系空間における生産と収穫後処理を包含する生物生産システムを対象とし,
工学的手法による成育中及び貯蔵中に作物が示す応答特性の非破壊計測と理論的解明,
得られた結果を生産現場にフィードバックするための統合生産システムについての教育研究を
行っています。具体的な研究テーマとしては,近赤外線分光法による葉内硝酸イオン濃度の
非破壊連続モニタリングシステム開発,光質の違いが葉内硝酸イオン濃度へ与える影響解析,
ハイパースペクトルカメラを使用した硝酸還元酵素遺伝子発現を誘導するシグナル伝達解明,
植物工場における高品質薬草栽培法の開発研究,生体内水の運動性と膜機能との関係解
明に基づく青果物品質の評価・診断技術の開発,出荷品質を保証する次世代型タマネギ供
給体制の確立などに取り組んでいます。
食料環境経済学コース
いま世界では,人口増加と経済発展に伴って食料需要が増大する一方,地球温暖化,異常気象,水不足などで食料供給が不安定化
し,食料の国際価格が高騰しています。
こうした状況の中で,
日本は食料の海外依存度を高め,食の安全・安心の確保や農業競争力の
強化,農業・農村の活性化が重要な課題となっています。食料環境経済学コースでは,
これら今日の食料と農業をめぐる問題の解決に
向けて,社会科学的な手法がますます重要となっていることを明らかにした上で,
その有効性を発揮するための教育・研究を行っています。
■食料経済学
インドのバザール
戦後,日本人の食生活が変化するにつれて,日本の食料自給率は大幅に低下しました。日
本が食料の6割を海外に依存している現実は,食料の輸入大国である日本が,食料の国際価
格の高騰を助長し,資金力の乏しい発展途上国の食料不足を招く要因となっています。
その一方で,大量の食料を廃棄している国が日本であることも,また事実です。みなさんは
こうした現実をどう考えるでしょうか。食料経済学では,私たちの生活を取り巻く家族や食生活
の変化など,身近な問題が日本の食料問題に直結している現実を明らかにして,食料問題の
解決に向けた教育と研究を行っています。
■食料生産管理学
近年,
食料の自給と安全性に対し,
消費者の関心が非常に高まっています。
一方,
食料の供給だけ
でなく,
自然環境を守るなど多面的な働きをしている農村は,
過疎などで崩壊しつつあります。
このような
今日的課題に対応するため,安全な食料を持続的,
かつ効率的に生産,供給していくためにはどうす
ればよいのか,
またどうすれば農村地域を活性化できるのかなどを中心に教育と研究を行っています。
■食料情報学
生産者への聞き取り調査のひとこま
棚田活用の仕組みを考える
食品の安全性とそれに対する消費者の信頼を確保するためには,食品の生産や流通における安全性
の確保とともに,
消費者への適切な情報の提供が必要です。
特に最近重視されているトレーサビリティ・シ
ステムの確立にも,
食品の生産・流通を担当する各主体が持っている情報の共有が必要になっています。
また近年には,
インターネットなどを通じて入手できるさまざまな情報が,農業経営や私たちの生活のなか
でも活用されるようになっています。
そこで,
食品の生産・流通の改善や,
それに役立つ情報の作成・入手・
吟味・利用などに関する教育や研究を行っています。
棚 田
■生体計測工学
6
牧場実習
応用動物学コースでは、
3年次の春、夏、秋に合計3回の牧場実習を加西市にある農学研究科附属食資源教育研究センターで行います。生産現場における理論と技術を学び、応用動物学を中心に農学全体への理解を深める
ことを目的としています。食物として欠かせない動物の実体に触れ、
その飼育の実際を体験することにより農場から食卓までの間に横たわる様々な問題点を認識する助けになります。
7
資源生命科学科
応用動物学コース
私たちは動物と深く関わり合って生きています。応用動物学コースでは,遺伝学,生化学,形態学,免疫学などを基礎として,哺
乳類や鳥類が本来もっている豊かな機能と,動物と微生物との相互作用を,集団・個体・細胞・分子レベルで総合的に学びます。
これらの知識をもとに,既存動物の生産性の向上,有用動物の開発,野生動物の保護,また人を含めた動物の生命・健康維持に
役立つ新たな知識や技術などの創出を目指しています。
■動物遺伝育種学
動物遺伝育種学分野は,遺伝生化学と統計遺伝学の2つの研
究領域から構築されています。
遺伝生化学領域では家畜・家禽における遺伝子の解析や分析を
行っています。
家畜と野生動物との違いは,
家畜が人間に役立つ方向
に改良されてきた点です。
これら有用な特徴は遺伝子に支配されてい
ますが,
実際にどんな遺伝子が関わっているのかはほとんど判っていま
せん。
そこで,
これら有用遺伝子を探し出し,
その機能解明をすること
が重要となります。
これらが明らかになれば,
さらに良い方向に改良でき
ます。
私たちはいくつかの遺伝子について機能解析を行い,
有用遺伝
ウシ品種鑑定マーカーによる分析(上)
子であるかどうかを調べています。
この遺伝子の機能解析や分析を通
ニワトリ遺伝病遺伝子の同定(右)
して,
「生物」
への理解が深まるような教育と研究を行っています。
研究
テーマは大きく分けて,
ニワトリのゲノム解析,
家畜の起源と分子進化,
肉用牛の経済形質に関連する遺伝子の解明についてです。
統計(量的)遺伝学領域は,動物の特定の性質を遺伝学的に解明し,選抜・交配という手段を通じて,動物集団の能力を人
間が希望する方向へ改良するためのプロセスを研究する分野です。人類は長い歴史の中で数々の試行錯誤を繰り返し,私達が
日々恩恵を被っている様々な家畜を作出してきました。現在では,遺伝学の進歩やコンピュータの飛躍的な発達に支えられ,動物の
改良方法も飛躍的な発展を遂げています。私たちの研究室では,この動物集団の特定の形質(背の高さや体重のように連続的に
変異する形質)について,遺伝的能力を正確に評価する方法論,さらにどのように選抜し,交配すれば集団の特性が速やかに変
えられるかを種々の統計的手法を用いたり,あるいはコンピュータの中に動物の仮想集団を発生させて検討しています。さらに,野
生動物であれ家畜集団であれ,その存続や将来を見越して遺伝的資源を確保するためには一定の遺伝的多様性を保っていること
が必要になりますが,そのための方法を考え,それが有効か否かをコンピューターシミュレーションを用いて研究しています。
■動物多様性利用科学
本教室は野生動物等の系統保存や環境適応能力に関する研究を通じ,
生態系の保全はもとより新しいバイオテクノロジーの創出を目的とした複合応用
科学分野です。
地球規模での環境破壊により,
現在,
過去に類をみない速度
で,多量の野生動物が絶滅の淵に追い遣られており,
これらの種の保存は,
我々人類の急務であると私たちは考えています。
そこで当分野では,
保全生物
学的な観点から,野生動物に関する科学的な理解を深めるための教育と研
究を行っています。
さらに本分野ではヒトを含めた種々の動物群とそれらを取巻
野生のアカネズミの腸内でタンニンを多量に含有するドングリの消化を助
く食環境との相互作用,
特に動物の特定の食環境への適応を可能にする動 ける新種の乳酸菌,Lactobacillus apodemi(左)
物の消化機能の構造的あるいは生理的な対応策について研究を進めていま レッサーパンダでの精液採取風景(右)
す。
他方,
本教室はヒトと食環境との相互作用における微生物の寄生的な介在にも注目し,
ヒトの健康に有害な細菌
(特に食水系腸管
感染症起因細菌)
に関する研究も進めており,
自然環境保護のみならず農業・医療領域にも有効利用されうる知見を産出しています。
■生殖生物学・発生工学
動物の卵子と精子に関わる3つの大きなテーマを中心に,生化学や発生工学の
手法を使って研究を進めています。
「卵子は卵巣の中でどのように形成されるの
か?」卵巣の中には莫大な数の卵子のもとになる卵母細胞が蓄えられていますが,
このうちわずかな数の卵母細胞だけが決まった大きさにまで発育します。ブタやウシ
の小さな卵母細胞を体外で発育させる培養方法を作りだし,発育や成熟に関わる
機構を調べています。
「精巣で形成されたあと精子はどのような変化を受けて受精
できるようになるのか?」精巣で作られた直後の精子は機能的には不完全ですが,
精巣から続く一本の細長い管(雄性生殖道)を通過する間に,卵子との受精能力
を発達させます。しかし,実際に精子が受精能力を発現するには雌の体内(雌性
生殖道内)の特殊な環境下におかれる必要があります。このような精子の受精能力の発達と発現を制御する分子を見つけだし,精子
の受精メカニズムを解明しようとしています。
「卵子や精子は受精の前にどのように染色体数を半減するのか?」生殖細胞から精子や卵
子が形成される際,減数分裂により染色体数がもとの細胞の半分になります。減数分裂は受精による染色体数の倍化を防ぐとともに,
遺伝的な多様性にも貢献しています。有性生殖を行う生物にとって非常に重要な減数分裂の分子メカニズムを解明することにより,家
畜やヒトにおける不妊や先天性疾患の原因究明と,新しい発生工学的技術の創出を目指しています。
クローン
■栄養代謝学
〈利用・変化〉
︶
は、早い発 生 時 期の胚やそれに由 来する細 胞︵ 胚 細 胞クローン︶、あるいは体 細 胞︵ 体 細 胞クローン︶
の核と、
一般に未 受 精 卵 子の核を除いた細 胞 質を組み合わせて作られます。体 細 胞クローンは
クローン動 物︵ animal clone
一九九七年に Wilmut
博士らによって、
ヒツジを使って初めて作られました。細胞の核を提供した個体と同じ遺伝情報を持つ個体の作成が可能であり、生理活性タンパク質、移植用臓器、
タンパク質源の生産、希少動物の増殖などへ
の利 用が考えられる、発 展 途 上の新しい技 術です。
動物は体の仕組みを保持し円滑に機能させるために,
外界から食物
(栄養資
栄養素
生産性向上
食物
〈消化・吸収〉
源,
栄養素)
を摂取し,
これを消化・吸収することにより体内に取り入れ,
利用し,
様々な化合物に変化させ,
蓄積しています。
そして,
最終的には,
動物の生命維
【遺伝子∼細胞∼組織・臓器∼個体】
持,
成長,
活動,
繁殖及び生産がなされることになるのです。
ここで,
動物によって
[体の仕組み]
生産される代表的なものとして肉,
卵,
乳があり,
何れも現在の食生活に欠かせ
生化学・分子生物学的手法
ないタンパク質の主要な供給源となっているのに加え,
食生活を豊かにする様々
な食品の原料や素材としても利用されていますが,
消費者からは健康や安全性
栄養代謝学分野
に配慮した生産物の高品質化が,
生産者からは高い割合で輸入に依存してい
る故に栄養資源の一層の効率的な利用方法の開発が,
それぞれ求められてきています。
そこで,
本教育研究分野では,
動物における生産物
の高品質化と栄養資源の有効利用を目指し,
種々の栄養資源に関して,
その違いが生産物の品質に与える影響やその栄養価と特性に基
づく効率的な利用方法について,
ミクロ
(遺伝子,
細胞)
からマクロ
(個体)
のレベルに至るまでの広範囲にわたって,
検討しています。
又,
最近,
これらに大きな影響を及ぼす食欲,
即ち摂食調節機能について,
脳における仕組みを中心に調べ始めています。
そして,
この様にして得られた
知識を基に,
体の仕組みをこれまで以上に合理的に保持し機能させ得る新規の栄養資源を開発することと,
安全性に配慮しつつ分子生物
学的手法をも取り入れて体の仕組みそれ自体をより効率的なものへ,
或いは,
新たな有用機能を持つものへ変えることを試みています。
■分子形態学・組織生理学
マウスリンパ節の透過電子顕微鏡像
L:リンパ球,P:形質細胞,EC:内皮
細胞,MS:髄洞
生命科学における研究の進展は,
マクロ
(形態)
からミクロ
(分子)へ,
そしてミクロからマクロへと回帰しながら
着実に進行し,
より高い研究レベルでの複雑な系の解明に迫っています。分子形態学・組織生理学は高等脊
椎動物の構造と機能を理解する上での
「基本的バイブル」
であり,動物における生命科学を遂行する上で無くて
はならない極めて重要な分野です。私たちの教室では先人たちの積み重ねた形態学の膨大な知見と昨今急速
に明らかになりつつある分子生物学的な知見とを同時に扱い,生命の成り立ちと仕組みを明らかにすることを目
的に,顕微鏡レベルから分子レベルまでの動物の体の構造と機能との関連について教育と研究を行っています。
現在,
1)食物由来抗原や常在微生物に対する消化管の非特異的及び特異的生体防御機構について粘膜
上皮のアポトーシスとの関連で総合的に解明する研究を遂行するとともに,
2)分子遺伝学的解析データをもとに
生殖腺における性の決定と分化機構について個体発生学的にそこに関与する各種遺伝子群の相互調節機
構と形態形成との関連を解明する研究を行っています。
また,
3)内分泌攪乱化学物質の生殖,免疫そして中枢
神経系に与える影響に関する分子毒性遺伝学的な研究や,
4)造血幹細胞からの血球血形成の調節機構とア
ポトーシスの関連について研究を行っています。
■感染症制御学
生物の進化は捕食,
寄生,
共生などいろいろな生物相互間の密接な関係をなしには語
れません。
ヒトはこの百年あまりの間にテクノロジーによる進化を遂げ病原微生物による感
染症から逃れる手段すなわち免疫と化学療法を見つけました。
しかし,
微生物側も負けて
はいません。
これまで知られていなかった新しい感染症の発生や細菌における高度薬剤
耐性の出現などの対抗手段で応じ,
21 世紀が到来した今日もなお人知との競争が続い ブドウ球菌多型(左)とPCR法による薬剤耐性遺伝子の検出(右)
ています。
この研究分野においては,
動物やヒトの感染症の原因となる細菌
(とくにブドウ球菌)
に関する未解決の問題について,
今どうなのか,
なぜそうなったのか,
これからどうしたらいいのかを分子生物学のレベルで探求しています。
主な研究内容は 1)
黄色ブドウ球菌の動物や食品
における分布状況を遺伝子型別や各種の毒素産生性の面から累積調査を行っているとともに,
新しい検査法についても検討を行っています。
2)
MRSAと呼ばれるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌の人や動物への分布や耐性遺伝子の起源や伝達機構に関する研究を行っています。
■動物遺伝資源開発学
これまで人類は多くの動物を家畜化し,それらの動物資源はわれわれの生活に欠かせない存在となっていま
す。動物遺伝資源開発学教育研究分野は,動物が有する様々な有用形質を遺伝という側面から解析・評
価し,それらを効率的に改良するための手法に関する教育研究を中心に行っています。なかでもわが国固有
の肉用牛である和牛において,有用な形質がどの程度遺伝に支配されているのかといった遺伝性などの調査
や効率的な改良を進めるための新たな指標や方法論について検討を行っています。また改良の継続は遺伝的
な多様性を減少させ,遺伝病の発現など種々の弊害を生む危険性をはらんでいることから,集団の遺伝的構
造の現状や変遷を常に把握し,遺伝的多様性の保全にも配慮した改良方策に関する研究も同時に進めてい
ます。さらに本分野は加西市の食資源教育研究センターという食糧生産フィールドに所在し,和牛の繁殖,肥育をはじめとする飼養管理に
関する試験など,現実の生産活動に直結した教育研究へも積極的に取り組んでいます。
■細胞情報学
生物は遺伝子 DNA を設計図して構築された細胞応答システムということができるでしょう。
そして,生体内で生産されるホルモンや増殖因子をシグナルとして,
またストレスや栄養状
態といった刻々と変動する外界環境の変化に対応して細胞の機能は維持統御されていま
す。
このように生命活動は自分自身の内部に集積された遺伝情報からの発信による調節と,
外界環境からの入力への反応とが並行・協調して営まれています。
これらの多様な刺激が細胞内で各種のタンパク質のリン酸化反応に
変換され,細胞機能の調節をもたらすことが知られており,
この調節の仕組みの不具合が癌や糖尿病をはじめとする様々な疾患に関係し
ていると考えられています。
そこで,私たちはタンパク質リン酸化反応に着目して細胞内の情報伝達の仕組みを検討し,
これまでに知られて
いなかった生体機能制御の仕組み,
ならびにその異常を明らかにすることを目指しています。実験にはヒト培養細胞(図左)
およびモデル生
物の一つである分裂酵母
(図右)
を用いて,
真核生物全般に普遍的な情報伝達と機能制御の研究を進めています。
8
農場実習
応 用 植 物 学コースでは、2・3 年 次に加西市にある農 学 研 究 科 附 属 食 資 源 教 育 研 究センターへ出かけて、1 年を通して様々な作 物の栽 培や収 穫などの農 作 業を体 験することができます。都 会の喧 噪を離れ、緑に囲まれた
ヘクタールの農場で、週1日、
および年間を通して数回の宿泊実習を行い、今までマーケットでしか見たことがなかった米 、野 菜、果 物が実 際にどのように作られているのかを学び、大 型トラクターの運 転なども実習しながら、
自らもいろいろな農作物を育てることにチャレンジできます。
資源生命科学科
40
9
応用植物学コース
植物は,食料や産業用原料など人類生存のための再生可能な資源として必要不可欠な存在です。応用植物学コースは食用および
園芸作物の効率的で持続可能な生産技術と森林資源の管理利用技術の開発,さらには高い生産性へ向けた植物育種に関する教育
研究を推進することにより,植物の応用に必要な高度で専門的な知識と総合的な思考力をもち,生産現場から先端バイオ領域まで幅
広い分野を担うことのできる人材を養成することを目的としています。
■資源植物生産学
将来的な食料確保や環境問題などに対処していくためには,資源植物の生産力の
改良を図るとともに,安全で持続性のある生産方法を確立していくことが不可欠です。
また,資源植物としての新たな有用性や利用法を見いだしていくことも重要です。その
ために,代表的な栽培植物であるイネ,ダイズ,バレイショ,アズキや油料作物を用いて,
環境抵抗性や光合成能力の生理・生態的解明と改良,生産物の品質向上とバイオ
エネルギーなど新規用途の開発等を目指した教育と研究を行っています。
光合成の測定実験
■植物育種学
私たちの食卓を豊かにしている「コシヒカリ」,
「男爵いも」,
「とよのか」イチゴ,
「巨峰」
ブドウなどは,いずれも交配などさまざまな育種方法によって作られた栽培品種です。さら
に新しい品種を育成するためには,既存の品種だけでなく,野生植物の有用な性質も
積極的に利用する必要があります。そこで,これらの植物が持っている遺伝的変異の調
査,有用遺伝子を効果的に導入するために必要な分子マーカーの検索などを通じて,
新たな育種素材の開発と育種効率の改善を目的とした教育と研究を行っています。
分子マーカーを利用したイネ系統の選抜と交配(上)
野生イネ現地調査(ベトナムのメコンデルタにて)
(下)
■森林資源学
日本の国土の67%は森林で覆われています。森林には木材の供給, 水質の保全,土
砂災害の防止,炭素固定,レクリエーション(癒し)などの多様な機能があります。森林資
源学分野では森林生態学,樹木生理学・組織学,森林病理学などの知識を用いて,
人工林や里山,原生林,社寺林,都市緑地など様々なタイプの森林について,それらを
資源として活用しながら生態系として維持していく課題に取り組んでいます。ここでいう資
源とは,木材のような物質資源だけでなく,癒しの場として私達の生活環境の向上に寄与
するような,広義の「資源」です。最近では,このような森林の機能を「生態系サービス」
とも呼んでいます。樹木は長寿で,森林はゆっくり成長します。森林を持続的に管理・保
全するには,50年あるいは100年先の森林の姿をイメージできる人にならなくてはなりません。
当分野では長期的な展望を持って,森林の保護管理や環境問題に取り組める人材の育
成を目指しています。
■園芸植物繁殖学
果樹,野菜,花卉などの園芸植物の品種は主に交雑育種法により選抜・育
成され,それらの種苗は種子繁殖と栄養繁殖により生産されます。交雑と種子
繁殖は受粉,花粉の発芽伸張,受精,種子形成といった一連の有性生殖の過
程を踏みます。この過程は果実の発育とも密接に関係しています。本研究分野
では,園芸植物の有性生殖にかかわる自家不和合性や雑種強勢などのメカニ
ズムを解明し,それを制御することで,品種育成や種苗・果実生産に貢献する
ための教育と研究に取り組んでいます。
受粉
農産物生産
種子
形成
結実
採種
種苗
生産
実践農学入門
■園芸生産開発学
神戸大学農学部の前身の兵庫農科大学は篠山市にありました。現在でも神戸大学農学部は篠山市内にフィールドステーションをもっています。土曜日に開催されることが多いですが、篠山市の農家の方々から直
接ご指導いただき、
丹波黒大豆、
やまのいも、
水稲栽培などの農作業を通して農業の楽しさ・大変さを知る演習があります。祭りなどに参加することにより丹波地方の文化に触れる機会もあります。
花卉(観賞植物)
と野菜は用途は異なりますが,日常生活における健康的で豊かな
生活環境を創造する上で欠かせない,多種多様な特性を有した植物から成り立って
います。私たちは,このような多様性に富んだ花卉・野菜の生理生態的な特性を評
価し,さらに改良に努め実際の栽培に生かすため,花卉の花色発現や野菜の生育・
品質に及ぼす環境要因の解析,バイオテクノロジーによる有用な花卉・野菜資源への
環境ストレス耐性因子の導入と大量増殖,およびストレス応答の分子生物学的機構の
解明に関する教育と研究を行っています。
新しい建物緑化法の提案(上)
花びらが黄から赤に変わるバラの秘密を探る(下)
■園芸生理生化学
DNAシークエンサーによる解析
果物や野菜はとれたての新鮮なものが一番ですが,実際には,収穫後様々な流通過
程を経て私たちの口に入ります。この間にいかにして鮮度を保持するかが重要となります。
また,果物の中には,バナナに代表されるように,追熟を必要とするものが多くあります。
これらはやや未熟な時に収穫し,流通中に追熟させるのですが,やはりそれに適した収
穫時期や輸送・貯蔵法があります。このように美味しい果物や野菜を食卓に運ぶために
は,適切な貯蔵・保蔵条件とともに収穫適期を解明せねばなりません。これには収穫前
後にわたる生育期から収穫・貯蔵期を通じた生理を理解する必要があります。
園芸生理生化学分野では,文字通り
「農場から食卓まで」の園芸作物の生理につい
て,生化学的および分子生物学的手法によって解析し,栽培管理,輸送・保蔵技術
の開発につながることを念頭に,研究に取り組んでいます。
■熱帯有用植物学
熱帯地域では乾燥地帯から湿潤熱帯までいろいろな環境下に多様な植物が生育
しています。それらの植物が種々な環境にいかに適応しているかを生理,生態学的
に調べ,熱帯農業の生産安定と環境保護に貢献することを目的としています。現在,
洪水地帯で栽培されている浮稲の深水適応などを研究対象とし,植物の環境応答
機構の解明を目指しています。また,アフリカのイネ科作物の強害寄生雑草である
Striga 属植物,熱帯の雑草イネやタイヌビエなどの水田雑草,マングローブ,サゴヤ
シ等環境保全型植物の生態解明と制御の研究を開始しました。
■植物遺伝資源開発学
野生ナシの多様性
(右の大果はニホンナシ栽培品種)
深水処理により草丈が2m以上に
伸長したバングラデシュの浮稲
人類は,およそ1万年前,ふとしたきっかけから,採ってきた植物を自ら世話をして身
近で育てようとしました。以来,何千年という歳月をかけ,もっとたくさんの実がとれるよう
に人は努力をし,作物もまた人に好まれようと遺伝的な変化を遂げました。しかし時代は
変わり,農薬を使って外からの敵を防いだり,化学肥料を与えてすくすくと育てることに
対する代償は大きく,エネルギー問題や環境破壊を招くことが分かってきました。これか
らも人と作物が良好な関係を保ち持続的な農業生産を続けていくためには,先ず野生
の仲間達に自然界で繁栄する術や知恵を問うことです。そして,そのような術や知恵(す
なわち,病虫害抵抗性遺伝子やストレス耐性遺伝子など)をどのようにして作物に付け
れば良いか,そのような研究を私達はしています。
なお,
「植物遺伝資源開発学」教育研究分野は附属食資源教育研究センター(加
西 市)にあります。詳 細 は 同 センターのホームペ ージ(http://www.edu.kobeu.ac.jp/ans-foodres/)をご覧ください。
10
生体内のクロストークを
調べてみよう
生命機能科学科
応用生命化学コース
新時代の「農」
を化学で切り拓く,をスローガンとしています。
本コースでは,生物構成成分の機能を化学的に解析・活用・改良・開発して,農学や関連する学術,産業分野の発展に寄与す
ることを目指しています。研究内容には,生体高分子の構造と機能の解析,食品成分の生理と栄養およびその機能の解析,有用化
合物の合成,食品や飲料水中の微量金属の解析,動植物や微生物の生体機構解明と有用物質の高度利用などがあります。充実し
た研究教育を通じ,バイオサイエンスやバイオテクノロジーの第一線で活躍できる人材を育成します。
生 物は環 境 中の因 子 を 認 識して細 胞の活 動 を 総 合 的に調 節しています 。
これを 細 胞のクロストークといいます 。
ヒトにとっての環 境 因 子 とは、毎 日 1 も 食べる食 物の成 分
です 。栄 養 素はヒトのエネルギー生 産 を 維 持し 、非 栄 養 素は必 要に応じて 細 胞 とクロストークしながら 、体の機 能 を 調 節しています 。私 たちは学 生 さんたちと 、調 節 作 用 を
もつ食 品 成 分 を 明らかにし、その機 構の解 明に努めています 。
■生物化学
21世紀は生物学・農学の時代です。急速な生命科学の進展により生命の不思議
が次々に解き明かされるでしょう。生物化学は生命現象を分子レベルで理解するため
の基礎学問です。本教育研究分野では,ポストゲノム時代の新しいライフサイエンス
研究を目指し,植物や動物を研究材料として細胞内シグナル伝達や遺伝子発現調節
の分子機構,細胞内オルガネラの分化と高次機能,タンパク質の構造と機能の相関
などに関する基礎研究を進めています。また,バイオリファイナリーにつながる有用物質
の効率的バイオ生産系の開発など,応用研究も進めています。
(シロイヌナズナ・プロトプラスト)
■食品・栄養化学
食品は,エネルギーと栄養素の供給源としてだけでなく,生体機能調節の役割も持って
います。健康や寿命はもちろんのこと,
ときによって知能や性格まで左右します。本教育研究
分野では,食品を構成する個々の成分の機能,
とくに生活習慣病や免疫応答異常に起因
する疾病の予防効果を解析しています。細胞の増殖と死の調節機構,免疫系の調節機
構,発がん物質の毒性を抑える成分の検索と作用機構の解明,遺伝子損傷防御能として
の抗酸化と抗変異原性の解析などです。
また,食品摂取時の生体応答を分子レベルで解
明するため,食品因子の受容・情報伝達の仕組みも解析しています。
食品成分がもつ多くの機能に着目し,生活習慣病や免疫
応答異常に起因する疾病の予防に関する研究をしています。
■天然有機分子化学
生物活性物質は,生物が生産し生物に対して何らかの作用を及ぼす分子の総称で
あり,
そのほとんどが有機化合物です。
身近な例としてはホルモン,
ビタミン,抗生物質など
が挙げられます。我々の生活に役立っているものも多数あり,実用されている医薬・農薬
の多くは,天然由来の生物活性物質もしくはそれらの構造をもとに創出・化学合成され
た有機化合物です。本教育研究分野では,生物活性天然物を研究の中心に据え,
それ
らの化学合成法の開発,生物活性評価・機能解析,
さらにはその応用を指向した研究
などを行っています。
核磁気共鳴装置(NMR)
と二次元スペクトル
■有機機能分子化学
私たちの身の回りには,医薬や農薬などのように有用な機能をもつ物質が数多く存在し
ます。それらの中には,自然界からまとまった量を得ることが非常に困難であったり,ある
いは全く不可能であることも珍しくありません。そのため,それらの物質を広く利用するため
には人工的に合成しなければなりません。本教育研究分野では,有用な物質や興味深
い物質を環境への負荷の小さい方法で効率的に合成するための新しい方法の開発を目
的とした研究を行っています。
kg
11
細胞膜上でのタンパク質 A と
B が相互作用
■環境分子物理化学
生体内には生命活動に必須の金属元素が存在しており,酸化還元状態や結合形態に
応じてその化学的性質を変化させ,生理活性に重要な役割を担っています。本教育研
究分野では,分光法を主体とした物理化学的アプローチにより,環境中及び生体内にお
いて金属が関わる重要な化学反応や生理現象の分子機構について調べています。特に,
光合成を担うタンパク質中の必須金属の役割や,機能性を有する生体高分子及び低分
子化合物と金属の相互作用を分子レベルで明らかにし,環境・エネルギー問題や飲食
料品への応用を目指した研究に取り組んでいます。
微生物の〝力〟を活かす
■植物機能化学
生物の生存は,基本的には光合成に基づく植物の生産活動
に依存しています。食糧として以外にも,植物成分は古来,医薬,
香辛料等として人間生活に密接に関連してきました。植物機能
化学教育研究分野では,低分子有機化合物,
タンパク質,遺伝
子等の解析を通じて,植物が示す興味深い現象を解明するとと
もに植物の機能の応用を目指しています。主な研究課題として,
植物生産の隘路となっている根寄生植物の生活環の調節,有
用代謝産物の同定と生合成経路の解明,
ストレス応答の解析な
どに取り組んでいます。
■動物資源利用化学
根寄生植物ストライガによる農業被害(スーダン)
ストライガはアフリカの農業生産を阻害する最大の生物的要因であり,防除の方策の
確立が望まれています。
微 生 物は多 種 多 様 な 物 質 変 換 能 力や特 異 な 環 境 適 応 能 力 を 獲 得し、地 球 上のあらゆる場 所に生 きています 。そのよう な 能 力の積 極 的 利 用こそが、資 源・エネルギー・
環 境 問 題 を 解 決 する決め手であり、
これを 可 能 とすべく 微 生 物の〝 力 〟とそれを 支 える遺 伝 子やゲノムの理 解・開 発 を 進めています 。
動物にはタンパク質,脂質が豊富に存在しています。
当研究室では,動物資源としてのタン
パク質と脂質に着目し,
その生体内での機能を調べることにより,品質管理や病気などの様々
な新規マーカーの創生と,機能性食品やヘルスケア商品の開発,
さらには創薬への応用を目
指しています。一方で,脂質やタンパク質は,食品としての味やテクスチャーを決める重要な因
子でもあることから,食肉の熟成による肉質改善の仕組み解明と肉質の評価および改良技術
の開発を行うなど,食肉および肉製品の価値向上を目的とした研究を進めています。
図1:記憶障害を示すDGKβノックアウトマウス(下)と形態異常を示す海馬初代培養細胞(上)。脂質キナーゼであ
るDGKβが神経の形態及び脳高次機能に重要であることを示している。
図2:筋肉から分離した筋原線維。
(a)死直後,
(b)熟成後は小片になり易い。この変化は熟成で食肉が軟らかくなる
一要因である。
図1
図2
■微生物機能化学
OH
OH
OH
OH
微生物の多種多様な物質変換能力はバイオテクノロジーのかなめです。微生物機能
化学教育研究分野では、有用な能力をもつ微生物とその遺伝子の特徴や制御メカニズ
ムを解明する基礎研究のみならず、
その成果を合成生物学的な代謝工学に活かし有
用物質を生産する応用研究を同時に推進しています。例えば、
「バクテリア型イノシトール
代謝の全貌解明に基づく有用希少物質の生産」
は、
そのような研究のパイオニアです。
当教育研究分野は、未利用バイオマス資源を有用化学品の生産に活かすために、最
新技術と自由な発想をもって次世代の応用微生物研究に携わる人材を育成します。
SI
OH
OH
OH
OH
MI
OH
OH
+
NAD
+
NADP
iolX
iolW
+
NADPH+H
+
NADH+H
OH
OH
OH
OH
OH
+
NAD
OH
OH
OH
2KMI
OH
iolI
+
NADH+H
OH
iolG
O
OH
OH
OH
DCI
OH
iolG
OH
OH
OH
O
OH
1KDCI
微生物を活用した有用希少物質生産の例。バチルス
属細菌(納豆菌の仲間)
を使って糖尿病やアルツハイ
マー病などの予防や治療に役立つ有用希少イノシトー
ル類を非食用資源から生産する研究を進めています。
■微生物資源化学
(左上から時計回りに)種々の芳香族化合物を分解できるPseudomonas
属細菌,かび付け(発酵)に用いられるAspergillus属糸状菌,農薬を分
解できる微生物群集より見出したHyphomicrobium属細菌,その微生物
群集,種々の耐塩性酵素を分泌するBacillus属細菌,ジアミン類を代
謝できる細菌,卵殻膜を分解できるPseudomonas細菌およびその組み
換え酵素発現大腸菌
微生物やその酵素の利用法として,人工合成化合物の分解や除去を目
的として環境保全・浄化を図る
「バイオレメディエーション」
と特定の酵素を生
体触媒として高付加価値物質や有用物質の生産に利用する
「バイオコン
バージョン」
が挙げられます。
当研究室では,微生物資源の利活用を目的とし
て,
自然界から有用微生物を探索し,
その酵素系や遺伝子群の特性を明ら
かにするとともに,
それらを物質変換や環境改善へ応用する教育研究を行い
ます。例えば,
「微生物による含窒素芳香族化合物の代謝系からヒントを得
た,選択的物質変換」
,
「特異な加水分解酵素の特性解析と利活用,
さらに
その機能改変」
,
「ジアミン類を代謝する酵素系を利用した物質変換」
に取り
組んでいます。
■生物機能開発化学
生物機能開発化学教育研究分野は,優れた生体機能や機能分子を見出し,健
康・食糧・環境に関わる諸問題に立ち向かう研究の遂行と,そのための人材育成
を目指して新設されました。本教育研究分野のキーワードは“フロンティア”です。未
知なる有用生体機能や機能分子を探索するフロンティア,生理学・生化学・遺伝
学など異種学問分野の融合が生み出すフロンティア…「未開の土地(フロンティア)
」
に挑みます。私たちは,健康問題を緩和・解決する機能分子の開発,低コストな
作物増産を目指す生体機能の強化,環境改善に役立つ生体機能の探索などをテー
マに掲げ,若い力を結集して研究を行っています。
肥満や糖尿病の抑制に関わるグルコース輸送担体の情報伝達図。末梢組織である筋肉と脂肪組織にはインス
リンに応答して細胞内から細胞膜に移行して糖を細胞内に取り込むグルコース輸送担体 4(GLUT4)が存在す
る。日常摂取する食品の成分でこの情報伝達系を調節できれば,肥満や糖尿病を抑制できる。生物機能開発化学
研究分野では,GLUT4 の機能を調節する分子を探索し,それを含む有効な食品の開発研究を行っています。
12
ミクロの世界から
生命機能科学科
環境生物学コース
環境生物学コースでは
﹁植物﹂
とそれを取り巻く
﹁環境﹂
をキーワードに、
これらが織りなす生命現象の解明を目指しています。
そのため、分子、細胞、個体、集団のそれぞれ異なるレベルで様々な角度から研
究が進められています。
ミクロの世界を扱う分野では土と根の接点における生化学反応の解析をはじめ、
分子生物学的な方法による様々な遺伝子の機能や電子顕微鏡による細胞構造の解析といった文字通
り分子・細胞レベルでの研究手法が用いられています。
本コースでは,食料の安定供給と人間をとりまく様々な環境の保全とを調和する持続可能なシステムの構築に向けて,多角的にアプ
ローチしています。特に,生命科学の知識とその技術を駆使して,土や植物の有する浄化機能,植物のもつ微生物への防御機構,
植物や昆虫の環境応答機構などを研究しています。これらを通じて,地球環境における生命の営みへの深い理解を育み,それを食糧
生産に生かすための研究・教育を行います。
■環境物質科学
生体内では,生物が固有に有している物質認識能をナノレベルで精密に制御
蛍光性基質
蛍光性代謝物
することにより複雑な生命機能を維持しています。近年,バイオ研究と工学の有
P450
reductase
P450
機的な連携が急速に発展した事により,従来では考えられなかった新たな異種研
究分野が発達してきました。本研究室では,いわゆる“ナノバイオノロジー”
と呼ば
れるこれらの技術を用い,生体関連物質および農薬などの環境化学物質の環境
中での動態を観察・制御するためのナノバイオセンサーなどの新しい研究を行っ
環境評価用ナノセンサー
環境ナノ計測
ています。また,残留性有機汚染物質による環境への汚染が広範囲に広がって
いることから,これらをモニタリング並びに浄化する技術の開発が求められていま
す。本研究室では,動物と植物の特性を利用した新しいバイオアッセイ・浄化技
術の開発,特に遺伝子工学的手法を用いた組換え抗体や遺伝子組換え植物の
植物利用技術
利用について研究を行っています。
■昆虫分子機能科学
昆虫は,農業害虫であるだけでなく,有用な生物資源としても用いられます。本研究
分野は,昆虫の特性と適応の意味を分子レベルで明らかにし,害虫を制御し,昆虫に
由来する有用資源のさらに高度な利用法の開発を目指しています。あわせて,知の源泉
としての昆虫の構造と機能におけるさまざまな秘密を解明することで,人間と地球の将来
に対する見通しを探ろうとしています。ワモンゴキブリ,コオロギ類,タガメ,ミツバチ,カ
イコなど,さまざまな昆虫を飼育して,昆虫の形態や行動の進化,変態,休眠,内分泌,
神経伝達,感覚受容,体内時計について研究しています。効率的で,持続可能な地
脳手術により過食症になったゴキブリ
(左,正常個体; 右,手術個体)
球環境の保全,農業生産の促進,基本的な生物理解に貢献するよう努力しています。
■昆虫多様性生態学
昆虫は,植物の宿敵あるいはパートナーとして,約4億年の長い共進化の歴史を
もっています。本研究分野では,昆虫の多様性と生態系機能および植物や微生物
との相互作用プロセスをよく理解し,害虫抑制,花粉媒介,物質循環,文化的貢
献など,昆虫による生態系サービスを増進するための教育研究を行なっています。
農林業害虫の生物的防除資材である寄生蜂類や捕食性昆虫類の分類,遺伝,
行動,進化の研究のほか,花粉媒介昆虫類や文化的に重要な昆虫類の保全の
ための研究も進めています。
ハムシに産卵する寄生蜂
■細胞機能構造学
生物の基本単位は細胞にあります。農作物に限らずあらゆる生物が持つ機能を人間
社会で有効に利用するためには,細胞の機能や構造に関する知見が必須です。当教
育研究分野では,分子生物学と高度な細胞学的手法(蛍光顕微鏡,透過型・走査
型電子顕微鏡等)
を駆使して,真核微生物(主に糸状菌)
や植物におけるエピジェネティ
クな遺伝子制御や細胞ストレスへの応答を可能とする分子機構の解明を目指して研究を
進めています。特にDNA やヒストンのメチル化といったエピジェネティクな遺伝子の変化
を誘導する要因や,植物病原菌の病原性に関わる形態変化等に注目しています。さら
に,得られた知見を応用した植物病害防除法の開発にも取り組んでいます。
13
植物病原菌の感染戦略の解明
マクロの世界まで
■細胞機能制御学
植物は一般的に大地に根を張り,常に様々な環境の変化にさらされています。そして,それら
の環境変化に適応する能力を持っています。植物はどのようにして環境の変化を感じて,細胞の
機能を制御しているのでしょうか?その疑問を解く鍵は「植物細胞のシグナル伝達」能力にありま
す。この能力により,環境に適応するための代謝調節や,遺伝子の発現調節などが可能となり
ます。細胞機能制御学分野では,主に植物分子細胞生物学的な手法を用いて,植物の環境
一方、
農業上重要な昆虫や植物が集団としてどのような生態系を構成し、
どの様な進化をとげているのか、
また生態系の重要な一員である土壌環境がどの様な構成になっているのかなど、
野外調査を含むマク
ロの世界の研究も進められています。
このように本コースは一つのコースの中でミクロの世界からマクロの世界まで幅広い教育・研究を目指しています。
応答メカニズムの解明を目指しています。さらに,応用として,これらシグナル伝達に関わるタンパ
ク質遺伝子の発現制御によって有用な形質転換植物(ストレス耐性能獲得や収量増大等)につ
細胞内シグナル伝達過程のイラスト
なげるための基礎研究を行っています。
■植物遺伝学
農耕の開始以来,人類は長い年月をかけてイネやコムギ等の栽培植物を作り,大切に
育んできました。開発によって危機に瀕する世界各地の在来種や近縁の野生植物は,こ
れからの農業と地球環境の保全にとって貴重な遺伝資源です。本教育研究分野では,
そのような栽培植物と近縁野生植物の持つゲノムの構造的・機能的多様性を明らかにし,
その知見をこれからの作物育種に資するために,分子生物学的手法やゲノム科学的手法
を駆使した研究活動を展開しています。特に,核と細胞質ゲノム間の調和と不調和,野
生植物の栽培化やその後の人為的改良に伴って起こるゲノム進化の道筋,近縁野生種
の集団の分化や環境への適応,異質倍数性植物の核でみられるゲノム間の相互作用な
栽培4倍性コムギの穂の形態的変異
どについて研究を行っています。また,遺伝学が抱える幅広い学問領域,分子遺伝学・細胞遺伝学・系統進化学について,豊
富な知識と深い洞察力を身につけるための教育を行っています。
■植物栄養学
植物は,空気中の二酸化炭素や土壌中の窒素,リン,カリなどの無機物を私たちの生存に
かかせない有機物(食料)に変える能力を持っています。その素晴らしい能力は,私たちの目
では見えない植物のセンサーが検知した情報により引き起こされる遺伝子の発現制御やタンパ
ク質の働きの制御,それらに基づく代謝変化などで支えられています。中でも,植物の栄養源
となる無機態窒素と二酸化炭素から光エネルギーを使った糖やアミノ酸の合成(有機化)に関
する領域は,食料生産には極めて重要な部分です。本教育研究分野では,植物の吸収す
る無機態窒素である硝酸イオンの代謝や蓄積,光エネルギーを巧みに利用する光合成の分子
メカニズム,穀物生産における窒素栄養の役割について研究しています。これらを元に,安全・
安心な食料の生産と環境浄化のための植物機能の向上に関する教育研究を目指しています。
■植物病理学
植 物にも人 畜 同 様に病 気 があります。本 研 究 室 では、イネ科 植 物いもち病 菌
Pyricularia oryzaeとイネ科作物との間に繰り広げられるせめぎ合いに着目し、研究を
行っています。イネいもち病に強い品種を育成しても、なぜすぐにそれを侵すいもち病菌
10μm
が出現・大発生してしまうのか?1990年代以降南米で問題となっているコムギいもち病
菌は、どうやってコムギに対する病原性を獲得したのか?こんな疑問を、遺伝学・分
子生物学・疫学によって解明しようとしています。教育面では「植物のお医者さんにな
ろう!」を学生の目標とし、日々植物病害診断・防除のトレーニングを行っています。圃
場での病原体接種試験、日本全国のフィールド調査、植物病害採集・診断を行い、
卒業する頃には一通りの診断技術を身につけることができます。
イネいもち病といもち病菌の分生胞子
■土壌学
土壌には地上バイオマス(森林やその他の陸上生物)に含まれる3倍もの炭素が土壌
有機物として蓄積されています。したがって,土壌有機物の炭素循環(分解や変質過
程)は,温室効果ガスである大気中二酸化炭素量の増減に多大な影響をもたらします。
また,森林の減少で土壌有機物が減少し,土壌有機物と結合した様々な元素が河川
に流入するプロセスが変化することで,河川や湖沼中の魚類を始めとする生態系に大き
な影響が生じることも知られています。
本研究室では森林や作物生育の礎として様々な機能や作用を担う土壌有機物を中
心に,廃材・都市ゴミなどの有効利用や重金属や化学物質による汚染土壌の修復対
策など,地球規模から地域規模におよぶ幅広い視点で土壌の環境保全機能の機構を
解明し,環境問題解決に直結する教育研究をおこなっています。
14
附属食資源教育研究センター
附属食資源教育研究センターは,農学部から約70km離れた播州平野のほぼ中心部に位置する加西市に在り,総面積約40ha,う
ち約28haの広大な耕地面積を有しています。作物系(水稲,ダイズ,キャベツ,タマネギ,バレイショ,サツマイモなど),果樹系(ブドウ,
ナシ,カキ,クリなど)および畜産系(肉用牛,飼料作物)の3系からなる総合農場です。
附属食資源教育研究センターは,実際の農業技術の習得を目的とす
る農場実習および牧場実習,農業の生産活動において生じる諸問題の
研究,さらに農学の諸成果を生産技術化し,総合技術として体系化を
図る教育・研究の場です。
実習教育では作物,野菜,果樹の栽培管理,家畜の繁殖飼養,
農業機械の利用など幅広い実習を行い,農業生産に関する基礎的知
センター本館
識や技術を習得し,農学の認識を深めます。また恵まれた自然環境での
農場実習および牧場実習は,作物や家畜とのふれあい,共同で行う農
作業,さらに寝食を共にする宿泊実習などを通じて人間形成にも大きく役
立ちます。
畜舎遠景
センターには,
「動物遺伝資源開発学」
と
「植物遺伝資源開発学」の2 教育研究
分野が置かれ,持続的食料生産を担うため,和牛の効率的育種プログラムの策
定や,新規育種素材の開発を目指し,特にバレイショ,ナシ,イネなどにおいて遺
伝資源の探索・収集・保存・評価・管理・利用に関する教育と研究を進めてい
ます。また,センターは
「From farm to table」
(生産者から消費者へ)
の実践として,
実習教育や遺伝資源評価試験の結果として生産される農畜産物をさまざまな形で
神戸大学ブランド商品とし販売しています。詳細は附属食資源教育研究センターの
農場実習(タマネギ調製)
農場実習(ナシ収穫)
純米大吟醸酒「神戸の香」
15
ホームページ(http://www.edu.kobe-u.ac.jp/ans-foodres/)をご覧ください。
「神大のぶどう」
「神戸大学ビーフ」
「神大のぶどう」
と
「神大のなし」
食の安全・安心科学センター
近年,食の安全性に関する問題が指摘され,これに対する消費者の意識および関心も向上しています。食をめぐる問題・不安要因
として,汚染物質,農薬,病原微生物,遺伝子組換え食品等が挙げられます。これらをトレーサビリティ,HACCP・バイオモニタリン
グシステム,動物実験による実務レベルの安全性検証等の手法によって解決し,食の安全・安心科学の理論・技術を創出する我が
国の大学機関で初の食の安全に関する研究・教育センターとして,平成18年4月農学部内に設立されました。
食の安全・安心科学センター(英称「Research Center for Food Safety and
Security [RCFSS]」)は,
「農場から食卓まで」を視野に入れた農畜水産物・
加工食品および病原微生物・有害化学物質の「追跡可能性(トレーサビリ
ティー)」を保証する理論・技術の創出・確立をコア科学分野としています。
具体的には,
・農畜水産物等やこれを汚染する恐れのある危害物質等のトレーサビリティー
を保証する迅速で精度の高い新規の検出・同定・識別法(例えば食品の
O157,O26汚染をPCRにて迅速に同時検知する手法)の開発
・生産地や成分表示等の偽装を抑止し,類似物を区別することを可能にす
る手法(例えば国産牛と輸入牛をPCRにて簡便に識別できる手法)の開発
に取り組んでいます。
これらの取り組みを円滑かつ効率的に行えるように,1)農畜産物,食品およ
び病原体の分子生物学的なトレーサビリティー研究のための実験室,2)農畜産
物,食品の有害・有用成分,食品媒体(包装など)
の化学的なトレーサビリティー
研究のための実験室,3)学内・学外研究者(他大学学生,JICA 研修生,
他研究機関・民間企業研究員等)の情報集積・分析を行う研究員室で構成
されるRCFSS 施設が農学部内に設置されています。
本センターの施設,設備を利用した教育・研究に加え,RCFSS は動植物防疫
科学や食材・健康科学に関する農学研究科の研究グループと連携し,我が国に
おける農畜水産物の安定生産確保と,機能性食品の創出と安全性の検証に向け
た教育研究も推進しています。
また,学内研究教育機関だけでなく兵庫県,神戸市,国立感染症研究所,
(独)
農林水産消費安全技術センター,
(独)動物衛生研究所,コープこうべ,食品・
医薬品企業,そして平成18年11月に東京大学農学生命科学研究科に設立された
食の安全研究センターと恊働・連携して食の安全・安心に向けた研究や社会活
動を進めています。
これらの取り組みをもって,食の安全・安心科学に関する理論・技術のグロー
バルスタンダード樹立を目指し,我が国の食料安全保障に関わる総合研究領域を
開拓しようとしています。詳細な組織構成・活動実績等については下記のURL の
本センターホームページをご参照ください。
http://www.research.kobe-u.ac.jp/ans-foodss/index.html
食の安全・安心科学に向けた教育活動としては,平成22年度から学部3・4
年生を対象に「食の安全科学技術演習」
を(独)農林水産消費安全技術センター
にご協力頂いて開講しています。本演習では,食品中の危害物質を検出,同
定する実践的レベルの手法やシステムを体得することを目的とし,身近な食品を
材料にその分析を行う実践的な(インターンシップ的な)研修内容となっているのが
特徴です。
16
農学研究科地域連携センター
地域連携センターは,大学が保有する知識や技術を,農山村地域社会の問題解決において積極的に活用し,地域社会に貢献する
ことを目的として,平成15年に創設されました。住民・行政・NPO 等と農学研究科の各研究講座を繋ぎ,その活動をサポートする中
間支援機関としての役割を果たすとともに,センター独自のプロジェクトを実施しています。
■ 地域共同研究
地域のニーズや農学研究科のシーズに基づき,共同での調査研究を推進します。
主な共同研究テーマ(一部抜粋)
・地域特産物(丹波篠山黒大豆)マーケティング戦略構築に関する研究
・地域参画による都市緑地の保全・管理−兵庫県西宮神社社叢における生態
系復元−
・豊岡市コウノトリの育む農業における持続的雑草防除の開発
・都市型酪農における畜産バイオマスの利活用
・黒豆生産を中心とした農業施策効果の経済波及効果の評価についての検討
・里山を健康に維持させる管理手法の実践的研究
■ 地域交流活動
地域と農学研究科とで知を共有し実践活動を推進します。
農家による黒大豆栽培の土寄せ指導
手植えの様子
主な実践活動
集落の祭りに参加
・食農コープ教育プログラム
(実践農学入門,実践農学,兵庫県農業環境論等)
の実施支援
・農村ボランティアバンクKOBE の支援
・有機農業と農村ボランティア入門セミナーの実施
・セミナーや地域講座への講師派遣
・学生主体の地域活動支援
・丹波地域大学連携事業への参加
■ 相談情報発信
農学部と地域を繋ぐ窓口として,共同研究や地域活動に関する相談に応えます。
・地域連携フォーラムやタウンミーティングの開催
・HPやツイッターを通じた情報発信
・オフィスアワーの実施
【お問い合わせ】
農学研究科A棟 103 TEL/FAX:078-803-5939
H P :http://kobe-face.jp/renkei
メール:[email protected]
学生活動団体のミーティングの様子
17
農学部・農学研究科へのアクセス
〒 657-8501 神戸市灘区六甲台町1-1
阪急電鉄「六甲」駅,JR 西日本「六甲道」駅
又は阪神電鉄「御影」駅から神戸市バス36系統
「鶴甲団地」行き乗車,
「神大文理農学部前」下車
新幹線「新神戸」駅からタクシーで約15分
1
6 神大国際文化学部前
○
36 神大正門前
○
36 神大本部工学部前
○
36 神大文理農学部前
○
本部庁舎
農学部・農学研究科
附属食資源教育研究センター
へのアクセス
文学部
六甲
至
三
宮
加西 IC
北
条
町
工学研究科・工学部
理学研究科・理学部
人文学研究科
〒675-2103 加西市鶉野町1348
北条鉄道「法華口」下車, 徒歩20分
福崎 IC
自然科学系
先端融合研究環
至
三
ノ
宮
滝野・社 IC
36
○
至
大
阪
︵
梅
田
︶
阪急電鉄
36 JR六甲道
○
JR西日本
至
大
阪
国道 2 号線
北
条
鉄 附属食資源
道 教育研究センター
法
華
口
至
三
宮
1
7
5
号
線
粟
生
阪神電鉄
新在家
36
○
阪神御影
御影
至
大
阪
︵
梅
田
︶
阪)
(至新大
JR 新幹線
北条町
附属食資源教育研究センター
法華口
粟生
北条鉄
道
神戸電
JR 新幹線
(至姫路)
山陽電鉄
(至姫路)
六甲
住吉
道
六甲
阪神電鉄(至梅田)
六甲ライナー
名谷
加古川
新開地
新長田
明石
明石港
阪急電鉄(至梅田)
JR 東海道本線(至大阪)
御影
西神中央
西
明
石
JR 山陽本線
(至姫路)
御影
市
営
地
下
鉄
三宮
鉄
JR 加古川線
神
戸
農学部
新神戸
明石海峡大橋
神戸
ポートライナー
神戸港
六甲アイランド
ポートアイランド
神戸空港
大 阪 湾
岩屋
淡
路 洲本
島
18
入学試験情報
学部入学試験(一般入試+推薦入試)
入学定員
志願者
受験者
合格者
合格率(%)
2010年度
150
716
552
176
31.9
2011年度
150
938
708
175
24.7
2012年度
150
845
643
165
25.7
2013年度
150
807
596
165
27.7
2014年度
150
799
601
169
28.1
入学定員
志願者
受験者
合格者
合格率(%)
2010年度
20
74
69
16
23.2
2011年度
20
44
37
12
32.4
2012年度
20
55
46
11
23.9
2013年度
10
43
38
7
18.4
2014年度
10
44
37
5
13.5
第3年次編入学試験
選抜要項の請求方法(一般入試)
2015年度の入学者選抜に関する概要を記載した選抜要項を7月中旬から配付する予定です。郵送を希望
する場合は,封筒に必ず「選抜要項請求」と朱書きし,受取人の住所・氏名・郵便番号を明記のうえ,郵便
切手(205円)を貼付した返信用封筒(角形2号332mm×240mm)を同封して,農学部教務学生係あてに申し
込んでください。
学生募集要項の請求方法(一般入試)
選抜要項の内容に加えて,出願に必要な書類が付いた学生募集要項を11月中旬に配付する予定です。
1. 農学部の窓口での請求
受付時間:平日の午前8時30分から午後5時まで。
なお,土曜・日曜・祝日および12月29日∼ 1月3日は取り扱いません。
2. 郵便による請求方法
封筒に必ず「農学部学生募集要項請求」と朱書きし,受取人の住所・氏名・郵便番号を明記のうえ,郵便
切手(400円)を貼付した返信用封筒(角形2号332mm×240mm)を同封して,農学部教務学生係あてに申し
込んでください。
推 薦 入 試
食料環境システム学科では推薦入試(定員5名)を実施します。
出願に必要な書類が付いた推薦入試学生募集要項を10月中旬に配付する予定です。農学部の窓口,また
は郵便で申し込んでください。郵便による請求の場合は,封筒に必ず「農学部食料環境システム学科推薦入
試学生募集要項請求」と朱書きし,受取人の住所・氏名・郵便番号を明記のうえ,郵便切手(205円)を貼付
した返信用封筒(角形2号332mm×240mm)を同封して,農学部教務学生係あてに申し込んでください。
選抜要項・募集要項の請求先
〒657-8501 神戸市灘区六甲台町1-1 神戸大学農学部 教務学生係
19
学部卒業後の進路(最近3年間)
2008年4月改組後(新学科・コース)の進路実績です。
ただし、主な就職先は、最近の旧学科における実績を含みます。
業
種
農
業
建 設 業
製 造 業
電気・ガス
情 報 通 信
運
輸
卸 売・小 売
金 融・保 険
不 動 産 業
医 療・教 育
サ ー ビ ス
公 務 員
そ の 他
大学院進学
合
計
食料環境システム学科
資源生命科学科
生命機能科学科
生産環境工学コース 食料環境経済学コース 応用動物学コース 応用植物学コース 応用生命化学コース 環境生物学コース
1
1
1
4
13
7
4
1
8
2
1
2
3
3
2
2
3
1
3
3
2
1
2
1
1
1
1
1
1
3
1
1
1
3
1
7
1
1
4
10
1
9
7
4
4
5
3
1
1
75
74
66
69
5
52
93
105
94
84
31
78
合計(%)
0.4
2
0.2
1
7.6
37
0.4
2
1.9
9
0.4
2
2.5
12
1.4
7
0.6
3
1.2
6
2.7
13
6.6
32
3.7
18
341 70.3
485
主 な 就 職 先 (50音順)
生 産 環 境 工 学 コ ー ス…島津製作所,東京ガス,キャタピラージャパン,山崎製パン,キリンビール,農林水産省,水資源機構,京都府庁,
広島県庁,神戸市役所
食料環境経済学コース…味の素冷凍食品,池田泉州銀行,伊藤忠食品,岡山県庁,クボタ,高知県庁,神戸市役所,滋賀県庁,高島屋,
長崎県庁,日本製粉,農林水産省,三井住友銀行
応 用 動 物 学 コ ー ス…アサヒビール,伊藤ハム,田辺三菱製薬,中外製薬,ニチレイフーズ,三菱東京UFJ銀行,京都府庁,神戸市役所,
長崎県庁,和歌山県庁
応 用 植 物 学 コ ー ス…大阪府,愛媛県,京都府教員,チョーヤ,リクシル,住友林業,農林中金,タキイ種苗,理研ビタミン,サイゼリア,
神鋼環境ソリューション
応 用 生 命 化 学 コ ー ス…大塚製薬,カゴメ,キリンビール,ダイドードリンコ,武田製薬工業,東洋紡,ハウスウェルネスフーズ,長谷川香料,
三菱化学,山崎製パン
環 境 生 物 学 コ ー ス…山崎製パン,ツルタのタネ,中外製薬,NTTマーケティング,島忠,岡山市役所,兵庫県信用農業協同組合,丸紅,
りそなホールディングス
博士前期課程(修士)修了後の進路(最近5年間)
業
種
農
業
建 設 業
製 造 業
電気・ガス
情 報 通 信
運
輸
卸 売・小 売
金 融・保 険
不 動 産 業
医 療・教 育
サ ー ビ ス
公 務 員
そ の 他
大学院進学
合
計
食料共生システム学専攻
生産環境工学 食料環境経済学
3
41
1
8
2
2
5
1
6
24
6
3
102
3
3
2
1
1
1
1
3
4
19
資源生命科学専攻
応用動物学
応用植物学
2
1
1
53
51
1
7
12
2
3
6
2
1
2
12
10
10
12
6
10
13
12
112
117
生命機能科学専攻
応用生命化学 農環境生物学
3
1
1
60
90
1
10
5
1
2
4
2
6
16
6
10
12
151
3
9
9
8
15
123
合計(%)
1.1
7
0.8
5
298 47.8
0.5
3
6.7
42
0.6
4
3.0
19
2.1
13
0.3
2
4.0
25
8.3
52
8.3
52
6.9
43
9.5
59
624
主 な 就 職 先 (50音順)
生 産 環 境 工 学 講 座…ヤンマー,クボタ,井関農機,島津製作所,ブリヂストン,ヤクルト,キユーピー,味の素,農林水産省,国土交通省,
水資源機構,兵庫県庁,大阪府庁,日本工営,西松建設
食 料 環 境 経 済 学 講 座…イオンリテール,神戸大学,神栄,東京都公園協会,日清製粉,日本政策金融公庫,農林水産省,農林中央金庫,
ノエビア化粧品,ヤマダ電機
応 用 動 物 学 講 座…味の素ゼネラルフーヅ,大塚製薬,グリコ乳業,神戸市役所,サンスター,サントリーホールディングス,日本ハム,
ロッテ,住友化学,日本中央競馬会
応 用 植 物 学 講 座…NTT西日本,オイシス,霧島酒造,クボタ,住友化学,シーエーシー,JA兵庫六甲(兵庫六甲農業協同組合),
テーブルマーク,花の大和,兵庫県庁,ブリヂストン,森永製菓,山崎製パン,タキイ種苗,チョーヤ,植物防疫所
応 用 生 命 化 学 講 座…大塚製薬,キューピー,小林製薬,サントリーホールディングス,タカラバイオ,田辺三菱製薬工業,
日清食品ホールディングス,日本製粉,森永乳業,雪印メグミルク
農 環 境 生 物 学 講 座…クミアイ化学,エースコック,天野フーズ,青葉化成,タマノイ酢,がんこフードサービス,木村化工機,
日本政策金融公庫,高砂香料,森永乳業,ヤクルト,山崎製パン,石原産業,白鶴酒造,アサヒホールディングス
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神戸大学農学部
Faculty of Agriculture Kobe University
〒657-8501 神戸市灘区六甲台町1-1
TEL : 078-803-5928(直通)
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