新製品紹介 セレクタブル分散補償ファイバモジュール Selectable Dispersion Compensating Fiber Module -200 ps/nm -200 ps/nm -400 ps/nm -800 ps/nm 1. はじめに Output Input 光通信のシステムにおいて,長距離伝送を行う場合に信号の ATT 誤り率を補償するため,分散補償が行われます。従来の固定型 分散補償器ではシステム内の残留分散量に応じて分散量の異な る数種類の分散補償器を持つ必要がありました。 SW1 図2 表1 レクタブル分散補償モジュール」を開発しました。このセレク タブル分散補償器は内蔵する DCF の長さを調整することで分 散補償量の変動範囲と変動間隔を調整することが可能です。 更に使用する DCF を SMF の分散スロープに合わせることに より,C バンドまたは L バンド帯域内で分散を補償するスロー プ補償も可能となります。 今回,最大−1600 ps/nm,分散量間隔−200 ps/nm でかつ, SMF を C バンドにてスロープ補償するセレクタブル分散補償 器を試作しましたので,その特性を紹介します。 2. 特長 セレクタブル分散補償器は分散量が選択できる一方で損失は 一定であることも特長となります。図 1 に示すように,2 n × D (D は分散量,単位:ps/nm)の分散量をもつファイバを光スイッ SW2 ATT SW3 ATT SW4 試作セレクタブル分散補償器構成 Configuration of prototype selectable DCF module. 当社では光スイッチと分散補償ファイバ(DCF)を組み合わ せることにより,1 台のモジュールで分散量を調整できる「セ ATT セレクタブル DCF の特性 Characteristics of selectable DCF module. 単位 実験結果とスイッチ特性 波長 項目 nm C −バンド帯 分散 ps/nm −200 ∼−1600,−200 間隔 残留分散 1) ps/nm 14.3 RDS 1/nm 0.0035 挿入損失 2) dB 8.7 損失変動 3) dB 0.5 PMD ps 0.25 PDL dB 0.05 切替速度 ms Max. 8 注 1)帯域内最悪値 注 2)1550 nm での値 注 3)スイッチ切替による損失変動 チで挟み,スイッチを切り替えることで分散量を D(ps/mn) おきに変化させることができます。スイッチの切替により挿入 試作したサンプルは,総分散量−1600 ps/nm の DCF と光ス 損失が変動しないよう,適切なアッテネータを挿入し変動を相 イッチ及びアッテネータを,230 mm × 300 mm × 51 mm 以下 殺しています。 のきょう体にモジュール化して評価を行いました。表 1 に試作 D ps/nm 2D ps/nm 4D ps/nm 品の特性を示します。 8D ps/nm 3.1 分散特性 Input Output ATT SW1 図1 ATT SW2 ATT SW3 ATT SW4 ATT SW5 セレクタブル分散補償器構成例 Configuration example of selectable DCF module. 図 3 に見られるとおり,−200 ps/mn から−200 ps/nm 間隔 で最大−1600 ps/nm まで分散量が切り替わります。SMF 補償 用であるため,RDS は 0.0035 のファイバを使用しました。切 替による RDS の変動が小さいことを確認しました(図 4) 。 図 5 に最大分散量−1600 ps/nm 時の分散の波長依存性を示 します。 3. 特性 3.2 損失特性 挿入損失については,分散量の切替に対して,0.5 dB 以内の 今回試作したセレクタブル分散補償器の構成を図 2 に示しま 変動で抑えられていることが分かりました(図 6)。また,温度 す。SMF 線路補償用で最小分散量−200 ps/nm,最大分散量 特性に関しては−10 ∼ 65℃の範囲で室温からの変動量が 0.6 −1600 ps/nm となり,−200 ps/nm 間隔で分散量を変化させ dB 以下であることを確認しました(図 7)。 ることが可能です。 古河電工時報 第 116 号(平成 17 年 7 月) 81 新製品紹介 セレクタブル分散補償ファイバモジュール 3 -400 -600 -800 -1000 -1200 -1400 -1600 -1800 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 切替状態 (ps/nm) 図3 挿入損失変動量@1530 nm (dB) 分散量@1550 nm (ps/nm) 0 -200 -200 ps/nm -400 ps/nm -600 ps/nm -800 ps/nm 2 -1000 ps/nm -1200 ps/nm -1400 ps/nm -1600 ps/nm 1 0 -1 -2 スイッチ切替による分散量の変化 Dispersion variation by switching. -3 -10 25 65 測定温度 (℃) 0.0045 図7 0.0041 -200 PS -400 PS -600 PS -800 PS 0.0037 2 0.0035 0.0033 0.0031 0.0029 0.0027 0.0025 挿入損失温度特性 Temperature variation of insertion loss. 3 0.0039 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 切替状態 (ps/nm) 図4 スイッチ切替による RDS の変化 RDS variation by switching. 損失波長特性 (dB) RDS@1550 nm (1/nm) 0.0043 1 0 -1 -2 -3 -1400 1525 1535 1545 1555 1565 波長 (nm) -1450 図8 -1500 分散量(ps/mn) -1000 PS -1200 PS -1400 PS -1600 PS -1550 挿入損失波長依存性 Wavelength dependence of insertion loss at different dipersions. -1600 -1650 図 8 に各分散量時の挿入損失の波長依存性を示します。分散 -1700 量に伴いロス傾斜は大きくなりますが,C バンドの範囲で波長 -1750 依存性の変動量は 0.4 dB 以下と安定した特性になりました。 -1800 1520 1530 1540 1550 1560 1570 波長 (nm) 図5 4. おわりに 1580 分散量の波長依存性 Wavelength dependence of dispersion at a maximum dispersion of −1600 ps/nm. 光スイッチと DCF を組み合わせることで,セレクタブル分 散補償ファイバモジュールを開発しました。温度特性,再現性 ともに安定しており,今後実フィールド上での使用を期待しま す。 ロス@1530 nm (dB) 3 < 製品問合せ先 > 2 < 技術関係 > 1 情報通信カンパニー 光コンポーネント部 0 TEL : 0436-42-1676 FAX : 0436-42-1789 < その他 > -1 情報通信カンパニー ファイテル企画管理部 -2 -3 TEL : 03-3286-3432 FAX : 03-3286-3708 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 E-mail : [email protected] 切替状態 (ps/nm) 図6 スイッチ切替による挿入損失の変化 Insertion loss variation by switching. 古河電工時報 第 116 号(平成 17 年 7 月) 82
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