フタバ食品株式会社(PDF:442KB) - 関東経済産業局

フタバ食品株式会社 ~美味しい食品をアジアへ!海外展開の中心的存在として活躍~
【代表者】
職場では海外人材だからという対応は、特別には行ってはお
代表取締役社長 増渕 正二 氏
りません。国籍は関係なく、日本人の社員と同じように、特別
【本社住所】栃木県
な意識や感情を持たないことが重要と考えています。実際、全
宇都宮市一条4-1-16
く違和感なく社内に溶け込み、活躍しています。
【設立】昭和20(1945)年
【資本金】4億9200万円
3.海外人材の活躍状況等について
【従業員数】632名
2011年8月から現在まで、米山さんは企画部で上司の女
男性351名(正規:204名)
、
性管理職とともに、輸出関係書類の作成や展示会、商談会への
女性281名(正規:76名)
うち、外国人4名(男性1名、女性3名(正規1名)
)
【事業内容】アイスクリーム類、冷凍食品、マロングラッセ及
び菓子類、中華饅頭、餃子等製造販売、レストラン経営
参加や関連業務をこなしています。本格的な輸出業務は当社と
しては初めてのことでもあり、輸出に係る業務知識の習得には
JETRO等のセミナーなどに積極的に参加し、勉強しながら
【HP】http://www.futabafoods.co.jp/
進めてきました。企画部勤務となってからこれまで、上海、香
■インタビュー対応者■
港、台湾、北米等の展示会へ参加し、当社商品を輸出するため
取締役/総務部 部長
中島
昭
の商談を意欲的に行っています。展示会参加で海外出張した際
氏
には、展示会場だけに留まることなく、現地のスーパーや百貨
1.企業概要について
創業当初は、宇都宮市内に冷菓工場を設置し、氷菓やアイス
店など小売店舗の状況を調査するなど、輸出予定地域の市場調
クリーム類の製造販売を行いました。1972年にマロングラ
査も行っています。その成果もあり、2013年から台湾、香
ッセの製造販売を開始、2011年には餃子の製造販売も開始
港へ輸出が開始されました。現地企業と代理店契約の締結業務
し、現在に至ります。栃木県内の工場・事業所数14カ所、県
も行い、着実に輸出業務を行っています。また、輸出用商品の
外8カ所、売上高16
企画開発として、ラベルの色使いや中国語表記への対応なども
9億円(平成25年
実施しています。米山さんはいろいろな仕事に意欲的に取り組
度)。売上割合は、ア
む、とても優秀な人材です。
イスクリーム・冷凍食
海外人材入社後の研修や育成方法及びキャリアパスについ
品類が8割、マロング
ては日本人と同じシステムであり、海外人材向けの特別な研修
ラッセ1割、レストラ
や育成方法等は設けていません。
ン1割です。
4.海外人材採用ルート及び選考方法について
2.海外人材採用のきっかけ・時期・受入準備等について
正社員としての海外人材採用のきっかけは、2009年頃か
ら検討し始めた、中国、東南アジアを初めとした海外市場への
展開です。主力製品であるアイスクリーム類の輸出に向け、海
外市場調査及び輸出業務を担当する人材として海外人材を探
していました。ハローワークへの相談や栃木県等が主催する外
国人留学生を対象としたセミナーや面接会等への参加、宇都宮
大学等への求人依頼を実施していました。その結果、7名の留
学生からの応募があり、筆記試験、面接試験を実施し、1名採
用したのが米山さんで、2010年10月に入社しました。日
本語も全く問題なく、大学院卒業後に短期間ですが社会人経験
もあったため、特別な受入れ準備はしていません。基本的に食
品の知識は工場で身につけてもらうことから、入社後は通常の
日本人の新人と同様に、OJ
ただくことになります。
5.社内全体の人材戦略について
(1) 社内人材の能力を活かす具体的な取組み
上司と年に2回の面談の機会を設けています。この面談は、
コミュニケーションの機会として、上司と相互理解を図ること
や、上司からの助言指導の機会として重きを置いているもので
す。社内教育はOJTを中心として、現場の上司、先輩が指導
する体制を取っています。その他、外部の研修やセミナーへの
参加も行っています。また、職務に必要な資格を取得した場合
には、手当を支給する制度や、その他の資格や検定試験合格者
に報奨金を出す制度も整備しています。例えば、工場で必要と
当を支給し、各種検定試験に合格すると報奨金を出しています。
心に食品製造や管理などに
(2) 労働制度面からの支援(休暇制度等の整備状況)
ついて学んでもらいました。
共働きが一般的となり、仕事と家庭の両立を希望する社員も
アイスクリーム類、中華饅頭
多くなっています。育児休業、介護休業などの制度や、未就学
類の製造ラインに9ヶ月、次
児の子どもの保育者のための短時間勤務制度も設けています。
にマロングラッセ工場に2
次世代育成にも取組み、男性社員に対しても育児休業取得を呼
ヶ月勤務後、2011年8月
びかけるなど、性別に関係なく育児に参加しやすい環境作りに
から海外展開を担当する企
5
ていません。日本人と同様に応募していただき試験を受けてい
する冷凍機やボイラー等の資格を取得すると、資格に応じた手
Tとして工場での指導を中
画部に配置しています。
海外人材採用に向けた特別な採用ルートや選考方法は設け
取り組んでいます。
中島部長
関東地域における人材戦略ベストプラクティス集 第2号(平成25年度版)~海外人材活躍企業~ 経済産業省 関東経済産業局
6.今後の事業展望と人材戦略(人材確保・育成)について
いという私の夢を応援してくれました。大学での専攻を活かし、
(1) 今後の事業展望(方向性)
かつ、住み慣れた栃木県内、可能であれば宇都宮市内の建設関
これからは自社製品の本格的な輸出に向けた取り組みを進
連企業への就職を目指していましたが、ちょうど就職活動の時
めていきます。東南アジアを中心に海外の展示会に出展し、当
期がサブプライムローン問題に端を発した金融危機の影響で
社製品のPR活動を行っていきます。現地の輸入業者等との商
談も進めていきます。2014年度には北米に向けた輸出にも
取り組んでいく予定です。
国内向けには、今後もアイス、中華饅頭など現在の商品群で
展開していきます。2年前に餃子の製造販売を本格的に開始し、
日本経済がダメージを受けた時期と重なり、建設業界からの求
人が皆無の状況でした。例年は、大学院の教授のところに企業
から求人情報が来るのですが、その年は企業からの問い合わせ
はほとんど無い状況でした。就職支援サイトへの登録や友人か
らの励ましを受け、就職活動を続けていました。そんな時、大
学院の担当教授やキャリアセンターから「目指す業界を広げて
道の駅やサービスエリアで直接販売していますが、この分野も
みては」とアドバイスを受けました。同時に、中国・東南アジ
強化していきたいと考えています。また、直接販売としてのネ
アを中心とした輸出業務準備など海外展開のため留学生の採
ット販売も強化していきます。
用を検討している当社を紹介され、建設とは直接関係のない分
(2) 人材確保・育成にかかる方向性と課題
野でしたが、自分の語学力を活かし、大好きな日本の製品を海
当社は、農学部や栄養学部等食品に関係のある学部を卒業す
外へ紹介する輸出業務に貢献できるのではと、試験を受け、採
る学生の応募が比較的多くなっていますが、出身学部、学科に
用していただきました。
は関係なく、また、出身地や出身大学も栃木県内に限らず、全
○実際に働いての感想:
国各地からの応募を望んでいます。当社ホームページやハロー
ワーク、大学への求人票などで採用活動を行っています。
2014年度は新たに6名の新入社員が入社予定です。
毎年、入社後は全員生産工場で当社商品の製造業務に就いて
もらっています。地域に根ざした企業として、社員一丸となり、
おいしさと楽しさ、安心と安全な商品とサービスを消費者の皆
様にお届けするためには、食品メーカーとしての製造に関する
様々なことを学んでもらうことが重要だと考えています。
2010年10月に入社し、まず、下栗工場でアイスクリー
ムと中華饅頭の製造に従事しました。2011年6月には同じ
下栗工場のマロングラッセ工場に2ヶ月勤務し、その後、20
11年8月から企画部に所属しています。現在、企画部で輸出
業務を担当しています。当社はマロングラッセ製造のためイタ
リアから栗を輸入はしていま
すが、輸出は初めての取組み
であり、ゼロからのスタート
となりました。私は入社して
今後、国内のみならず海外の新たな市場に進出していくため
から、これまで香港、台湾で
には、自分の意志や考えをはっきりと主張でき、個性的で豊か
の展示会への出展、代理店な
な発想で、常に新しいことに挑戦していくことのできる人材を
どとの交渉、契約業務などを
求めています。
実際に行いました。大学、大
■海外人材の皆様へインタビュー■
学院で学んだ建設の知識を直
【お名前】米山 佳蓮
接は活かせませんが、輸出先
さん
【出身地】中華人民共和国
遼寧省
瀋陽市
【日本での出身学校名等】
国立大学法人宇都宮大学大学院 工学研究科 建設学専攻
○日本に留学したきっかけ:
日本のドラマを見て、素敵な
国だと思い、行ってみたいと思
っていました。地元瀋陽で日中
友好協会が運営する高校に入学
し、卒業後、宇都宮大学工学部
へ留学しました。建設工学を学
の国の法律や輸出に係る書類
海外展示会
作成など日々新しいことを勉強しながら仕事ができるので、と
てもやり甲斐を感じています。
○夢や今後の意気込みなど:
当社商品を海外でもブランドとして確立していきたいと思
っています。中国、東南アジア、そして、アメリカへも展開す
る一翼を担えればと思っています。夢は、当社の商品や日本の
様々な素晴らしい商品を海外に積極的に紹介していくことで
す。叶うかは分かりませんが、逆に海外の良いものを日本にも
紹介できたらとも思っています。
びたいと思ったこと、そして高
校の先輩方も宇都宮大学に留学
米山さん
していたことから、宇都宮大学への留学を決めました。高校卒
業後、2002年10月に来日し、1年半、まず埼玉県の日本
語学校で学びました。その後、宇都宮大学工学部に4年間、大
学院修士課程で2年間学びました。現在、来日11年目です。
○就職活動方法:
まず、日本で就職しようと思った理由は、学生時代にとても
住みやすく感じていたからです。7年半、学生として過ごしま
したが、社会人になってからも日本で社会人として活躍してみ
たいと思い、日本での就職を決めました。両親も日本で働きた
米山さんと同僚の皆さん
関東地域における人材戦略ベストプラクティス集 第2号(平成25年度版)~海外人材活躍企業~ 経済産業省 関東経済産業局
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