SURE: Shizuoka University REpository http://ir.lib.shizuoka.ac.jp/ Title Author(s) Observation of Dopant-induced Potential in Nanoscale Si pn Junctions by Kelvin Probe Force Microscope Nowak, Roland Mikolaj Citation Issue Date URL Version 2013-06 http://hdl.handle.net/10297/7919 ETD Rights This document is downloaded at: 2015-01-31T21:08:49Z (課程博士・様式9) (1,000 字程度) 字 シリコン集積回路の進展により、MOS 電界効果トランジスタ(MOSFET)の微細化が進み、 審 査 要 旨 チャネル内のドーパント原子数が大幅に減少して、個々のドーパントの配置がデバイス特性の 揺らぎを引き起こしつつある。これに伴い、最近、個別ドーパントのデバイス特性に与える効 果が詳しく研究されつつある。一方、MOSFET などのエレクトロニクス応用はもとより、太 陽電池などの光応用デバイスにおいても共通の構成要素となる pn 接合についても、微細化に ともなって個別ドーパントの役割が顕著になると予想されるが、微細 pn 接合の電気的特性・ 物理的特性はほとんど知られていない。本論文は、ナノスケール pn 接合デバイスの特性を支 配する pn 接合近傍のポテンシャル変化をケルビンプローブフォース顕微鏡(KFM)を用いて調 べた研究成果をまとめたものである。 第 1 章では、序論として研究背景および本研究の目的を述べている。 第 2 章では、KFM の試料表面電位分布の測定原理および本研究で用いた装置とその測定系 について詳しく説明している。 第 3 章では、マクロな寸法を持つ Si 中のドーパントの電子状態と、ナノ Si 中のドーパント 電子状態について過去の報告例をもとに考察を行っている。特に、ドーパント電子状態の誘電 閉じ込め効果と量子サイズ効果について記述しており、ナノ Si 中では、ドーパントの基底状 態がディープレベル化することを述べている。 第 4 章では、これまでのナノスケール MOSFET におけるリンドナーのポテンシャル井戸の 検出と、電子注入によるポテンシャル井戸の消失について記述している。 第 5 章は、本研究の中心となる結果であり、作製したナノスケール pn 接合ダイオードの構 造と室温および低温域での電流電圧特性を示した後、KFM の測定結果について詳しく述べて いる。pn 接合部を含んだ広い領域の KFM 像は、接合部の空乏層付近で時間に依存するポテン シャル揺らぎが生じて「ノイズ」として観測されること、また接合を横切る多数の横方向ライ ンスキャンの平均をとると接合部の電子ポテンシャルの一部に凸部が現れることを見出して いる。これらは、それぞれ、接合部でのドーパントのキャリア捕獲と放出、およびディープレ ベル化したドーパントの帯電効果によるものと結論付けた。 第 6 章では、本研究全体を総括し、pn 接合部の空乏層では帯電状態が時間的に揺らいでい ること、およびナノ Si 特有の現象としてドーパント電子状態のディープレベル化が生じてい ることが見出されたことを強調している。最後に今後の展望を示している。 以上の成果は、ナノエレクトロニクス分野への貢献が大きく、博士(工学)の学位を授与す るに値するものと認められる。
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