水理学 a 演習の解答 2014 年度
第5章
曲面に作用する水圧の合力 − 水平成分
1. 幅 5.00m の水路に図のような半径 r =4.00m のテンターゲートを設置し水を塞き止めたとこ
ろ水深がテンターゲートの半径の 1/2 になった。この状態でテンターゲートに働く水圧の合
力の水平成分とその作用点位置を求めよ。
解答 図のように記号を定める。B 点
A
O
は水面とゲートの接点、点 E は水面
0m
0
.
h
4
と同じ高さで OE は水深 h = r/2 =
r=
60º
E(O’
)
O’
2.00m と同じ高さである。テンター
E
zc B
sc sG
ゲートの幅を b = 5.00m とする。領
Px C
Ph
h
G h
域 BED と同じ形状の水塊を考える。
C
D
この水塊は静止流体中の水塊である
D
5.00m
xc
ので、この水塊に働く力は釣り合って
z(s)
s(z)
いる。水平方向の力の釣り合いから、
Pz
鉛直面 ED に働く全水圧 Ph は Px と同じ大きさで、逆向きに働く。鉛直面 ED は、図のよう
な幅 b、高さ h の長方形断面であるので、鉛直面 ED に働く全水圧 Ph は全水圧の公式より
h
2.00
Ph = ρgzG A = ρg hb = 1000 × 9.8 ×
2.00 × 5.00
2
2
= 98.0 × 103 98.0kN
テンターゲートに働く水圧の合力の水平成分 Px は Ph と同じ大きさで、作用方向は右向きで
ある。
Px = Ph = 98.0kN(右向きに働く)
またその作用点の深さ zc は鉛直面 ED に働く水圧の合力の大きさおよびその作用点の深さと
同じである。これより、zc は鉛直面 ED に働く水圧の合力の作用点の位置を求める公式を適
用して求められる。鉛直面では s 軸と z 軸が重なっていることから、s = z を用いて
zC =sC = sG +
Io
Io
1
bh3 /12
= zG +
= h+ 1
sG A
zG A
2
2 h × bh
2
= h (圧力が三角形分布なのでその図心が作用点位置)
3
2
= 2.00 = 1.33333 1.33m (水面から鉛直下向きに)
3
2. 図のような半径 3.00、幅 10.0m の中空半円型ドームにおいて、次の曲面に働く全水圧の水平
成分、鉛直成分、およびそれぞれの作用点位置を求めよ。また全水圧の大きさも示せ。
(a) 曲面 AB
(b) 曲面 ABC
第 5 週目 解答
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第5章
曲面に作用する水圧の合力 − 水平成分
5.00m
曲面 AB
解答 図中の圧力の分布より
o’
o’
y
曲面に働く全水圧 P の水平成
Pz
10.0m
分 Px は右向きに作用する。ま
B
B
zc
た、水平成分 Px は曲面 AB と
G
Px
同じ高さ同じ鉛直位置にある
xc
r=
C
Ph
3.00m
O
幅 10.0m、高さ 3.00m の鉛直
C
O
A
な平面 (BO) に働く静水圧の合
z(s)
s(z)
力 Ph と同じ大きさである。
その作用点位置 C の深さ zC もその平面に働く静水圧の合力 Ph の作用点位置の深さと同じで
ある。したがって、水深を h、幅を b として表すと
Px = Ph = ρgzG A = ρg(h − r/2)rb
= 1000 × 9.8 × (5.00 − 3.00/2) × 3.00 × 10.0
= 1.029 × 106
1.03 × 103 kN
鉛直な平面で s 軸と z 軸が重なっているので、作用点位置の深さ zC は
Io
br3 /12
= (h − r/2) +
sG A
(h − r/2)rb
10.0 × 3.003 /12
= (5.00 − 3.00/2) +
(5.00 − 3.00/2) × 3.00 × 10.0
zC = sC = sG +
= 3.7143
3.71m
Ans. 水平成分 Px = 1.03×103 kN(右向き)
水平成分の作用点 zC = 3.71m(水面から下向き)
曲面 ABC
解答 曲面 ABC の右側半分の曲面 BC に作用する水圧の合力の水平成分は曲面 AB の水平成
分と大きさが等しく、作用方向が逆である。したがって、曲面 ABC に働く水圧の合力の水平
成分はその合力であるから、Px = 0 となる。作用点位置を考えることは意味がない。
3. 図のような中空円筒 (半径 4.50m、長さ 8.00m) において、次の曲面に働く全水圧の水平成分
Px 、鉛直成分 Pz とそれぞれの作用点位置 zC 、xC を求めよ。
(a) 曲面 AB
(b) 曲面 BC
(c) 曲面 ABC
(d) 曲面 ABCDA
解答
A
(a) 曲面 AB
o’ (A) o’
y 左の図に示す曲面に働く圧力の分布図より、曲面 AB
Pz
r=4.50m Ph
Px
G
に働く静水圧による力 P の水平成分 Px は右向きに
B
D O
O
作用する。またその大きさは OA と同じ位置にある
鉛直面に働く全水圧 Ph と同じ大きさで、作用点ま
C
での深さ zC も同じである。全水圧 Ph は全水圧の公
z(s)
s(z)
式 Ph = ρgzG A により求められる。
第 5 週目 解答
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水理学 a 演習の解答 2014 年度
ここで zG は OA と同じ位置にある鉛直面の図心の深さ、A はその面積で、zG = 1/2r = 2.25m、
A = r × 8.00 = 36m である。よって曲面 AB に働く静水圧による力 P の水平成分 Px は
Px =Ph = 103 × 9.8 × 2.25 × 36 = 793.8 × 103
794kN(右向き)
作用点の深さ zC は図のように圧力分布が水面から始まる三角形分布であるので、鉛直面の高
さの 2 / 3 である。
2
2
zC = r = × 4.50 = 3.00m(水面からの深さ)
3
3
水平成分 Px = 794kN(右向き)
水平成分の作用点 zC = 3.00m(水面からの深さ)
解答
(b) 曲面 BC
A
O’
O’
y
左の図に示す曲面に働く圧力の分布図より、曲面 BC
r=4.50m
に働く静水圧による力 P の水平成分 Px は右向きに
B
DO
O
作用する。またその大きさは CO と同じ位置にある
Ph
G
Px
C’
鉛直面に働く全水圧 Ph と同じ大きさで、作用点ま
C
C
での深さ zC も同じである。全水圧 Ph は全水圧の公
z(s)
s(z)
式 Ph = ρgzG A により求められる。
Pz
ここで zG は CO と同じ位置にある鉛直面の図心の深さ、A はその面積で、zG = r + 1/2r =
6.75m、A = r × 8.00 = 36m である。よって曲面 AB に働く静水圧による力 P の水平成分 Px
は
Px =Ph = 103 × 9.8 × 6.75 × 36 = 2.3814 × 103
2.38MN(右向き)
作用点の深さ zC は全水圧 Ph の作用点位置の公式が適用でき、z 軸と s 軸が重なっているので
zC =sC = sG +
Io
8.00 × 4.503 /12
= 6.75 +
= 7.00m(水面からの深さ)
sG A
6.75 × 36
Px = 2.38MN(右向き)
zC = 7.00m(水面からの深さ)
(c) 曲面 ABC 数値 (四捨五入前の値) のみ示します。
水平成分 Px = 3.1752 × 103 kN 3.18MN(右向き)
水平成分の作用点 zC = 6.00m(水面からの深さ)
曲面 ABCDA
Px = 0N
作用点位置を考えることはこの段階では意味がない
第 5 週目 解答
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