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2014 年 9 月 29 日
バイオプラスチック市場に関する調査結果 2014
-飲料ボトル、レジ袋向けの採用拡大により、市場は順調に拡大-
【調査要綱】
矢野経済研究所では、次の調査要綱にて国内バイオプラスチック市場の調査を実施した。
1. 調査期間:2014 年 6 月~8 月
2. 調査対象:生分解性、植物原料由来プラスチック原料メーカー、加工メーカー、ユーザー企業等
3. 調査方法:当社専門研究員による直接面談、郵送・電話・e-mail・FAX によるヒアリング、及び文献調査を併用
<バイオプラスチック市場とは>
バイオプラスチックとは、使い終わったら水と二酸化炭素に還る「生分解性プラスチック」および原料に植物など
再生可能な有機資源を含む「バイオマスプラスチック」の総称である。本調査におけるバイオプラスチック市場とは、
この 2 つの環境調和型プラスチックを対象とする。
【調査結果サマリー】
‹
2013 年のバイオプラスチック市場規模は 38,950t、前年比 26.8%増と堅調に拡大
2013 年のバイオプラスチック市場規模は国内出荷量ベースで、前年比 26.8%増の 38,950tと堅調に拡
大した。飲料ボトル向けのバイオ PET およびレジ袋向けバイオ PE の拡大が市場を牽引している。
‹ 2014 年のバイオプラスチック市場規模は 47,670t、前年比 22.4%増を予測、
今後も拡大基調
2014 年のバイオプラスチック市場規模は国内出荷量ベースで、前年比 22.4%増の 47,670tを予測する。
飲料ボトルおよびレジ袋向けの拡大に加え、耐熱性容器向けのバイオ PE およびバイオ PET の採用が急
速に進んでいることから、今後も拡大基調を予測する。
◆ 資料体裁
資料名:「2014 年版 バイオプラスチック市場の展望と戦略」
発刊日:2014 年 9 月 5 日
体 裁:A4 判 604 頁
定 価:120,000 円(税別)
‹ 株式会社 矢野経済研究所
所在地:東京都中野区本町2-46-2 代表取締役社長:水越 孝
設 立:1958年3月 年間レポート発刊:約250タイトル URL: http://www.yano.co.jp/
本件に関するお問合せ先(当社 HP からも承っております http://www.yano.co.jp/)
㈱矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム TEL:03-5371-6912 E-mail:[email protected]
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2014 年 9 月 29 日
【 調査結果の概要 】
1.市場概況
2013 年のバイオプラスチック市場は国内出荷量ベースで前年比 26.8%増の 38,950tであった。2014 年
は前年比で 22.4%増の 47,670tを予測する。2009 年まで年 1 万t台で伸び悩んでいた市場は、2010 年よ
り拡大局面に入った。本調査による市場規模には海外で加工された製品輸入を含まないが、輸入レジ袋
を加えると、2013 年の市場規模は国内流通量ベースで 42,420tと推計されることから、さらに市場規模は
大きくなるものとみる。
需要好調の背景は、2010 年から登場したバイオ PET、および 2011 年から登場したバイオ PE を採用す
る企業が増えてきたことにある。これまで、バイオプラスチックの中心的な位置をしめていたポリ乳酸に代
わって、新しいタイプのバイオプラスチック(バイオ PET やバイオ PE 等)が登場し、これが大手企業を中心
に採用されたことで、市場全体が活性化された。
バイオ PET およびバイオ PE は、既存石油系樹脂の原料をバイオマス由来に置き換えたプラスチックで
ある。このためポリ乳酸のような使い勝手の悪さがなく、既存設備をそのまま使える気軽さも手伝い、ユー
ザー企業は採用に踏み切りやすい。従って、ユーザー企業において素材の変更、あるいは新規採用を
検討してから正式採用に至るまでの期間も、ポリ乳酸に比べて格段に短くなっている。
2. 市場の動向
2-1.バイオ PET、バイオ PE~飲料ボトルや容器包装向けで市場をけん引
近年、市場拡大の中核的な役割を果たしている需要用途は、飲料ボトル(バイオ PET)とレジ袋(バイオ
PE)である。どちらも日本を代表する大手飲料メーカーや大手流通企業がまとまった量を採用したことで、
市場規模が一気に膨らむことになった。
飲料ボトル用途では、ミネラルウォーター向けのボトルでバイオ PET が採用される一方で、スーパーを
中心とした国内 300 社以上の小売店においてレジ袋の有料化の動きに合わせてバイオ PE 製レジ袋の
導入が進む。これまで無料だったレジ袋について、消費者に有償負担を求めることで、小売店側のバイ
オ PE 製レジ袋への切り換えに伴うコスト増がある程度相殺されることも、採用を後押しする要因となってい
る。
2-2.ポリ乳酸~生分解性機能以外の用途で活路
ポリ乳酸は安定した需要を維持しているものの、当初期待されていた規模からは非常に少ない水準に
とどまっている。サラダ容器などの非耐熱性透明食品容器やシュリンクラベルなど、ポリ乳酸の特性を活
かせる用途では根強い需要があり、今後も特定用途では着実な伸びを期待できるが、バイオ PET やバイ
オ PE のように、ひとつの用途あるいは特定のユーザー企業の採用による、大きな需要創出がほとんど見
当たらないのが現状である。
生ゴミのコンポスト(堆肥)化が進まない日本では、生分解性機能というポリ乳酸特有の持ち味を発揮で
きるまとまった用途が、農業用マルチフィルムぐらいしか見当たらない以上、その他機能で活路を見出す
必要がある。このような状況のなかで、ポリ乳酸の低融点特性に着目した用途、すなわち 3D プリンター用
インキ向けや、複写機トナー向けなどが、今後の需要開拓につながるものと考える。
2-3.バイオプラスチックに対する企業の採用意欲は根強いものの、課題も
バイオプラスチックに対するユーザー企業の採用意欲は根強くあり、基本的にここ数年変わっていない。
ただし、ポリ乳酸など既存バイオプラスチックに対しては、10~20%程度のコスト増を環境プレミアムとして
認めていたものの、新鮮さが失われるにつれて、コストに関して厳しい見方が強まっている。
これに対し、バイオ PET やバイオ PE など、新規バイオプラスチックに対しては、コスト増は避けたいとい
う考えがある一方、期待感と新鮮さから環境プレミアムを認める傾向にある。
また、トウモロコシやサトウキビなど可食植物を原料とするバイオプラスチックに対し、ユーザー企業に
は根強い抵抗感が存在している。非可食植物、あるいは該当部分(植物の茎や葉、あるいはワラ、スイッ
チグラス、木材など)を利用するためには、糖化の困難なセルロースの活用といった技術的課題はあるも
のの、サプライヤー(提供側)には、こうしたことに対する努力も望まれる。
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2014 年 9 月 29 日
図 1. バイオプラスチック国内市場規模推移
(t)
60,000
47,670
50,000
38,950
40,000
32,880
26,960
30,000
20,000
14,500
15,900
17,200
18,130
16,990
2005年
2006年
2007年
2008年
2009年
30,720
10,000
0
2010年
2011年
2012年
2013年 2014年予
矢野経済研究所推計
注 1. 国内出荷量ベース
注 2. 予は予測値
注 3. バイオプラスチックとは、使い終わったら水と二酸化炭素に還る「生分解性プラスチック」と原料に植物など再生可能
な有機資源を含む「バイオマスプラスチック」の総称である。本調査におけるバイオプラスチック市場とは、この 2 つの環境
調和型プラスチックを対象とする。
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