平成26年度税制改正

平成 26 年度税制改正
2014 年 3 月 20 日に所得税法等の一部を改正する法律案が成立しました。主な
改正内容としては、①給与所得控除の上限引下げ(平成 28 年より)②生産性向
上設備投資促進税制の創設③中小企業投資促進税制の拡充④所得拡大促進税制
の拡充⑤復興特別法人税の廃止⑥交際費課税の緩和等があります。最近の税制
改正の大きな流れとしては、法人税は減税傾向の一方で個人に課される所得税、
相続税は増税傾向と言え、個人と法人のあるべき方向性について見直しが必要
です。
国際課税の改正では課税原則が総合主義から帰属主義に変更され外国法人の日
本にある支店等の課税範囲の考え方が大きく変わります。これに伴い国外源泉
所得が定義され内国法人が適用する外国税額控除についても影響があります。
総合主義とは…(改正前の国内法)
国内源泉所得の全てに課税するとい
課税範囲
本店(国外) 支店(国内)
う考え方で外国法人の国内支店等が
申告課税
申告課税
関与しない取引で得た国内源泉所得 国内源泉所得
×
×
に課税するが国内支店等が関与する 国外源泉所得
国外源泉所得には課税しない。
帰属主義とは…(租税条約)
支店等に帰属する所得に課税するとい
課税範囲
本店(国外) 支店(国内)
う考え方で国内にある支店等が得た国
申告課税
内・国外源泉所得に課税する。また外 国内源泉所得 源泉課税
×
申告課税
国法人の本店が得る国内源泉所得につ 国外源泉所得
いては、源泉課税で課税関係を終了させ支店等の所得との通算等はできません。
日本法人への影響
① 外国税額控除
改正前の外国税額控除の限度額計算における計算の基礎となっていた国外
(源泉)所得金額とは、当該事業年度において生じた法第 138 条《国内源泉
所得》に規定する国内源泉所得以外の所得の金額でありました。今回の改正
により国外源泉所得が法 69 条 1 項 4 号に定義されました。
西
山
会
計
事
務
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国外源泉所得の中で新しい概念として PE 帰属所得があり次のように定めて
います。
内国法人が国外事業所等を通じて事業を行う場合において、当該国外事業所等が当該
内国法人から独立して事業を行う事業者であるとしたならば、当該国外事業所等が果
たす機能、当該国外事業所において使用する資産、当該国外事業所等と当該内国法人
の本店等との間の内部取引その他の状況を勘案して
当該国外事業所等に帰せられるべき所得
【解説】
独立企業原則が導入され、PE が本店等から分離・独立した企業であると擬制し
た場合に帰せられるべき資本(PE 帰属資本)の考え方があります。PE が支払
う利子のうち、PE 帰属資本に満たない部分に対応する金額については、PE 帰
属所得の計算上、損金の額に算入されません。
また内部取引においても独立企業間価格で PE 帰属所得を計算しなければなり
ません。
*PE(恒久的施設
Permanent
Establishment)とは
・外国法人の国内にある支店、工場その他事業を行う一定の場所で政令で
定めるもの
・外国法人の国内にある建設作業場
・外国法人が国内に置く自己のために契約を締結する権限のある者その他
これに準じる者で政令で定めるもの
② 文書化
上述のように PE に帰属されるべき所得の計算にあたっては移転価格税制に
近い取扱いがなされ企業に文書化が義務付けされています。海外支店形態で
の進出のメリットがひとつなくなってしまいました。
国外源泉所得など租税条約で異なる定めがある場合には国内法より優先して租
税条約の定めによります。
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