NSST HIROHATA report No. M-1401 ラメラ法による異方性試料の面内方向熱拡散率測定 1.概要 フィルムや膜厚のある試料の面内方向の熱拡散率測定が可能なラメラ法をご紹介します! 厚み方向と面内方向で性質が異なる異方性試料の面内方向の熱拡散率測定方法の一つとしてIn-Plane法が あります。この方法は熱拡散率が10mm2/s以上、膜厚1mm以下の物質(金属薄膜など)に適したもので、樹脂 などの熱拡散率の悪いものには使用できませんでした。 ラメラ法では、熱拡散率0.1mm2/s以上、膜厚1mm以上の物質にも適用可能です。 3.ラメラ法 測定方法 2.装置仕様 試料を加工し、面内方向が測定方向になる様にホルダーにセット したものを測定します。 装置:NETZSCH製 LFA447/2 ナノフラッシュ 測定範囲 : 0.1~1000mm2/s ※測定光が漏れない様に試料同士を押さえつける 必要があるため、壊れ易い試料は不向きです! 熱拡散率精度 : ±5% 面内方向 面内方向 測定温度範囲: 室温~300℃ 試料加工 厚み方向 面内方向 ホルダーにセット 面内方向 90°回転 4.ラメラ法 測定事例 Y方向 3種類の樹脂(板状のPEとPC、フィルム状のPET)を加工し、厚み方向(Z方向) および面内方向(X方向、Y方向)の3方向の熱拡散率測定を行いました。 PE:ポリエチレン PC:ポリカーボネート PET:ポリエチレンテレフタレート 種類 PE (板状) PC (板状) PET (シート状) X方向 Z方向 測定方向 板厚 (mm) 熱拡散率 ( mm 2 / s) 厚み 1.020 0.196 面内(X) 1.735 0.216 PC :全方向で同程度の熱拡散率値が得られました。 面内(Y) 1.684 0.212 PET:3方向全て異なる熱拡散率値が得られました。 厚み 1.077 0.107 面内(X) 1.705 0.103 面内(Y) 1.844 0.103 厚み 0.100 0.088 面内(X) 2.242 0.344 面内(Y) 2.145 0.276 PE :厚み方向と面内方向で異なる熱拡散率値が得られました。 面内方向内では大きな違いはありませんでした。 PEおよびPETは結晶性の樹脂で、特にPETは延伸加工により 結晶の方向性が大きく異なる為、面内方向でも熱拡散率値に 違いが出たと考えられます。 PCは微結晶性ではありますが実質非晶質の為、結晶の方向 性が無く、熱拡散率値の差が生じなかったと考えられます。 ラメラ法により、熱拡散率の悪い試料(樹脂等)や膜厚のある試料の 面内方向の熱拡散率測定・評価が行えます!! 日鉄住金テクノロジー㈱ 広畑事業所 兵庫県姫路市広畑区富士町1番地 TEL079-236-0041 FAX079-236-1501
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