平成15年度 資源エネルギー庁補助事業 石油ガス流通合理化対策事業費補助金 (石油ガス販売事業者構造改善支援 事業に係るもの)調査に関する報告書 LP ガス集中監視システムの稼動実態及び「e-japan 戦略Ⅱ」 を睨んだ新応用付加価値サービスの実現可能性による販売 事業者の構造改善への可能性調査 平成16年3月 特定非営利活動法人 LPガスIT推進協議会 ◆ 目 次 ◆ 第1部 本編 ...................................................... 1 I . は じ め に ..................................................................................... 2 II . 調 査 の 概 要 ................................................................................. 3 1 . 本 調 査 の 目 的 ........................................................................... 3 2 . 本 調 査 の 背 景 ........................................................................... 3 3 . 本 調 査 の 実 施 方 法 と 回 収 状 況 .................................................... 4 4 . 本 調 査 項 目 ............................................................................... 6 III . 調 査 対 象 の 概 要 ......................................................................... 8 1 . 事 業 者 ア ン ケ ー ト に よ る 事 業 者 の 概 要 ...................................... 8 ( 1) LP ガ ス 事 業 の 区 分 ......................................................................... 8 ( 2) LP ガ ス の 小 売 規 模 ......................................................................... 8 ( 3) 配 送 方 法 ........................................................................................ 9 ( 4) 集 中 監 視 シ ス テ ム 導 入 の 有 無 .......................................................... 9 ( 5) 集 中 監 視 シ ス テ ム の 導 入 形 態 ........................................................ 10 ( 6) 集 中 監 視 シ ス テ ム の 導 入 率 ........................................................... 10 ( 7) ま と め ......................................................................................... 11 2 . 消 費 者 ア ン ケ ー ト に よ る 消 費 者 の 概 要 .....................................12 ( 1) 集 中 監 視 シ ス テ ム 設 置 状 況 ........................................................... 12 ( 2) 集 中 監 視 シ ス テ ム の 認 知 度 と 販 売 店 に よ る 導 入 の 説 明 の 有 無 ........ 13 ( 3) 集 中 監 視 シ ス テ ム の 各 機 能 の 認 知 度 ............................................. 14 ( 4) 集 中 監 視 シ ス テ ム の 必 要 性 ........................................................... 15 ( 5) 高 齢 化 社 会 と 集 中 監 視 シ ス テ ム .................................................... 15 ( 6) 集 中 監 視 シ ス テ ム の 利 用 料 金 ........................................................ 16 ( 7) ま と め ......................................................................................... 17 i IV . 集 中 監 視 シ ス テ ム の 稼 動 実 態 と 普 及 ・ 拡 大 の た め の 対 策 ............18 1 . 導 入 効 果 の 検 証 .......................................................................18 ( 1) 集 中 監 視 シ ス テ ム の 導 入 メ リ ッ ト ................................................. 18 ( 2) 各 業 務 に お け る 導 入 効 果 の 有 無 の 検 証 .......................................... 18 ( 3) 効 果 の 全 体 分 布 ............................................................................ 24 ( 4) ま と め ......................................................................................... 25 2 . 導 入 効 果 の 要 因 分 析 ................................................................26 ( 1) 導 入 率 と 効 果 ............................................................................... 26 ( 2) 導 入 初 期 の 戦 略 と 効 果 .................................................................. 27 ( 3) デ ー タ 活 用 と 効 果 ........................................................................ 28 ( 4) 導 入 率 と デ ー タ 活 用 の 相 互 関 係 .................................................... 31 ( 5) 導 入 目 的 と 効 果 ............................................................................ 35 ( 6) ま と め ......................................................................................... 36 3 . 阻 害 要 因 と 普 及 ・ 拡 大 の た め の 対 策 .........................................37 ( 1) 導 入 効 果 が 十 分 で な い .................................................................. 37 ( 2) 導 入 イ ン セ ン テ ィ ブ の 不 足 ........................................................... 39 ( 3) 導 入 費 用 ...................................................................................... 44 ( 4) 通 信 イ ン フ ラ の 影 響 ..................................................................... 46 ( 5) 経 営 環 境 の 影 響 ............................................................................ 50 ( 6) ま と め ......................................................................................... 53 V . 付 加 価 値 サ ー ビ ス の 可 能 性 .........................................................55 1 . 事 業 者 の 意 識 ..........................................................................56 ( 1) 付 加 価 値 サ ー ビ ス の 必 要 性 ........................................................... 56 ( 2) 付 加 価 値 サ ー ビ ス の 目 的 .............................................................. 56 2 . 消 費 者 の ニ ー ズ と 事 業 者 の 取 組 み ............................................57 ( 1) 各 サ ー ビ ス の ニ ー ズ ..................................................................... 57 ( 2) 各 サ ー ビ ス の 受 容 価 格 .................................................................. 58 ( 3) 事 業 者 の 意 欲 と 実 態 ..................................................................... 59 3 . 付 加 価 値 サ ー ビ ス 実 施 ・ 拡 大 の た め の 対 策 ...............................63 ( 1) モ デ ル 事 業 の 必 要 性 ..................................................................... 63 ( 2) シ ス テ ム の 抱 え る 問 題 と 解 決 策 .................................................... 64 ii VI . L P ガ ス 販 売 事 業 者 の 構 造 改 善 の た め の 提 言 ............................65 1 . 行 政 に 対 す る 提 言 ....................................................................65 2 . L P ガ ス 業 界 団 体 等 に 対 す る 提 言 ............................................66 3 . メ ー カ ー 、 シ ス テ ム 提 供 会 社 等 に 対 す る 提 言 ...........................67 4 . L P ガ ス 販 売 事 業 者 に 対 す る 提 言 ............................................67 第 2 部 資料編 Ⅰ 事業者アンケート集計データ・事業者コメント Ⅱ 消費者アンケート集計データ・消費者コメント Ⅲ アンケート調査関連資料 Ⅳ 聴き取り調査関連資料 第3部 実情調査編 Ⅰ 通信インフラ変動と対応策 Ⅱ ホームセキュリティ、介護支援、健康管理システムの実情調査 iii 第1部 本編 1 I . はじめに LP ガス集中監視システムは、消費者宅に NCU(伝送装置)を設置し、電話回線を通じて LP ガス の情報を集中監視センタに送信する仕組みであり、消費者保安の高度化や自動検針、LP ガスの残量を 的確に把握することで、物流/経営合理化に資するツールとして、1980 年代後半、業界の熱い期待を もって登場した。 本調査では、経済産業省の補助事業「平成15年度石油ガス流通合理化対策事業(石油ガス販売事 業者構造改善支援事業に係るもの) 」として、この LP ガス集中監視システムに関し、 1:利用実態調査(導入効果検証、問題点把握、および改善策検討) 2: 「e-Japan 戦略Ⅱ」を睨んだ新応用付加価値サービスの実現による販売事業者の構造改善への可 能性 について、LP ガス販売事業者、及び消費者を対象にアンケート、並びに訪問/聴き取りによる調査・ 分析を行い取りまとめたものである。 NPO法人LPガスIT推進協議会 構造改善可能性調査委員会 委員名簿 (敬称略、順不同) 役 職 氏 名 会社 及び団体名 役職名 理事長 副理事長 副理事長 直江 山中 重彦 唯義 中央大学総合政策学部 株式会社イー・ファミリー 教授 代表取締役 (委員長) 池田 阿部 上原 小野 小坂 下嶋 藤森 吉村 羅知 忠緒 剛 正幹 博雄 恒夫 肇 孝雄 仁志 孝嘉 NTTテレコン株式会社 株式会社イー・ファミリー 伊藤忠エネクス株式会社 代表取締役社長 委 委 委 委 委 委 委 委 員 員 員 員 員 員 員 員 株式会社ティージー情報ネットワーク NTTテレコン株式会社 リコーエレメックス株式会社 株式会社 ing コーポレーション 出光ガスアンドライフ株式会社 株式会社ティージー情報ネットワーク 2 ビジネスナビゲーター 執行役員 部長 マネージャー 営業部長 企画グループ課長 常務取締役 グループリーダー 室長 II . 調査の概要 1.本調査の目的 本調査においては、次の2点を目的とする。 ア.LPガス集中監視システムに関する利用実態調査の目的 本調査は、LPガス集中監視システムの利用実態、導入効果、並びに現状の問題点等を把握し、よ り一層の合理化・コスト削減のための対策・改善点等を検討・提案することによって、今後のLPガス 集中監視システムの更なる普及・拡大に資することを第一の目的とする。 イ.LPガス販売事業者の構造改善への可能性調査の目的 本調査は、平成15年7月2日政府IT戦略本部が策定した「e-Japan 戦略Ⅱ」を踏まえた、LP ガス集中監視システムのインフラを利用したホームセキュリティ・介護等、家庭をターゲットとした 新応用付加価値サービスの具体的展望と、その実現の可能性を検証し、LPガス販売事業者における 構造改善、及び事業多角化による更なる経営基盤の強化に資することを第二の目的とする。 2.本調査の背景 ア.LP ガス集中監視システムに関する利用実態調査の背景 LPガス集中監視システム、1980 年代後半、LPガス販売事業者の消費者保安の高度化と物流合理 化のツールとして業界の熱い期待をもって登場し、当初から普及の伸びは目覚しいものがあった。 しかしながら、5,6年前から市場稼働台数は500万台程度でほぼ横ばいの状況にあり、今後、 ますます激化するエネルギー競争の中において、エネルギー供給コストの低減と供給の安定化が非常 に重要であり、そのツールとしてLPガス集中監視システムが中核的な役割を担うはずであるが、販 売事業者側から見てもシステムに対する評価が分かれており、全体稼動数が停滞している真の理由が 不明である。 イ.LPガス販売事業者の構造改善への可能性調査の背景 LPガス販売事業者は、①消費者と永年継続取引がある、②消費者との間に口座を持ち毎月集金し ている、③消費者まで 30 分で駆けつける距離に事務所があるなど、消費者との信頼関係が醸成された 経営環境にある。 こうした中、平成15年7月2日に『e-japan 戦略Ⅱ』が公表され、ITの市民生活への利活用の部 門でガス・水道・電力の自動検針、家庭内緊急通報の整備、高齢者の在宅健康管理などが決定され、達 成目標、事後評価を行うことが決められた。 上記の経営環境に加え、LPガス集中監視システムはこの部分をほとんどカバーする機能を持つこ とから、LPガス販売事業者が『e-japan 戦略Ⅱ』の先導役を勤められる立場にあり、LPガス業界に とって構造改善のベースを作る大きなチャンスであると捉えることもでき、LPガス集中監視システ ムのインフラを活用した新規事業の開始という面では好環境であるとともに、非常に効果が大きいと 思われる。 3 3.本調査の実施方法と回収状況 本調査の実施方法については、①LPガス販売事業者への書面アンケート調査、②LPガス消費者 への書面アンケート、③LPガス販売事業者への現地訪問調査、④LPガス消費者への現地訪問調査 の4段階に分けて行った。 ア.LPガス販売事業者への書面アンケート調査 集中監視システムを導入しているLPガス販売事業者のうち935社を抽出して、書面によるアン ケート調査を実施した。 (回収:387社/回収率:41%) このアンケート調査の集計においては、①システムの導入率、②事業業態、③集中監視システムの 導入メリットの程度等でグルーピングを行い、各グループごとに現状のLPガス集中監視システムの 導入効果や問題点を浮き彫りにするとともに、システムに対する改善要望等を把握した。 また、今後の新応用付加価値サービスの実現可能性についても、販売事業者の姿勢や課題等の把握 を行った。 イ.LPガス消費者への書面アンケート ア項の販売事業者のうち21社を抽出して、その消費者・計596世帯を対象に書面によるアンケ ート調査を実施した。 (回収:291世帯/回収率:49%) ウ.LPガス販売事業者への現地訪問調査 ア項の販売事業者のうち21社を抽出して、各事業所に現地訪問し、より詳細な聴き取り調査を実 施した。 エ.LPガス消費者への現地訪問調査 イ項の販売事業者のうち2社を抽出して、その消費者・計30世帯を現地訪問し、より詳細な聴き 取り調査を実施した。 以上の実施方法と回収状況に加え、対象サンプルの性格をまとめると次表のとおりである。 4 表:実施方法と回収状況、及び対象サンプルの性格 項 区 書 面 ア ン ケ | ト 目 調査状況 サンプルの性格 発送数 935社 回収数 (回収率) 387社 (41%) ① 公表されている企業年鑑 や販売事業者リストから、 都道府県別・均等的に主と して LP ガス集中監視シス テム導入事業者を調査対象 とした。 ② 従って、アンケートを送 付した事業者の約9割が集 中監視システムを導入済で あり、その中の4割弱が、 販売認定を取得している。 発送数 21社 596世帯 回収数 (回収率) 21社 291世帯 (49%) 分 対 ・ 販 売 事 業 者 対 ・ 消 費 者 テレコンシステム 現 地 対 ・ 販 売 事 業 者 導 入 休止状態 合 計 調 査 対 ・ 消 費 者 導 入 合 計 認定 非認定 11社 5社 ― 5社 21社 (東日本:10社) (西日本:11社) 運用 15 世帯 未運用 15 世帯 ● すべて集中監視システム 導入販売店傘下の消費者で あり、その中、システム運 用消費者:未運用消費者数 を概ね均等にした。 ① アンケート回答事業者の 中から ・東日本 西日本 ・規模(大・中・小) ・認定販売取得の有無 均等的に抽出した。 ② システム導入積極派と 休止状態派を3:1の割合 とした。 ● ― 2社30世帯 (東日本:15世帯) (西日本:15世帯) 5 アンケート回答事業者 (認定取得)傘下の消費者 とし、東日本1社、西日本 1社とした。 なお、システム運用消費 者を中心に行った。 4.本調査項目 ア.事業者への書面アンケート調査項目 (アンケート調査票は【第2部 資料編】P.80~P.101に別添) 調査/大項目 調査/中・小項目 業種・業態 LPガス事業の区分、兼業状況 事業規模 従業員数、小売顧客数 要 配送業務 委託状況、配送効率向上の実績 集 導入状況 導入の有無、導入率、拡大のテンポ、顧客要望 問題・課題 事業環境、コスト、効果、運用、消費者 新規導入、拡大への対策 コスト、効果、運用、消費者、負担可能価格 認定販売事業者制度 取得状況、認知度、取得理由、インセンティブへの要望 付加価値サービス 必要性、目的、実施希望のサービス内容 システムの導入形態 センタ形態、手法、料金徴収方法、各種費用負担の 現状、付加価値サービスの実施状況 システムの通信形態 端末との通信形態、通信環境への対応、問題点、 無線化への実情、理由、要望 導入のメリット 導入の目的(検針・集金、配送、保安高度化 等) データの活用状況、メリットの程度、実際の効果 直面する問題 事業環境、自社改善・合理化、消費者 経営基盤の強化 自社改善・合理化、消費者、事業規模拡大 会 社 概 中 監 視 シ ス テ ム 導入効果 事業全般の課題 6 等 イ.消費者への書面アンケート調査項目 (アンケート調査票は【第2部 資料編】P.102~P.114に別添) 調査/大項目 調査/中・小項目 システムの知識 集中監視システム全般 導入の説明 設置の有無 システムの評価 24時間監視 大量ガス流出時の通報 5分前予告 集中監視システムの機能 微小漏洩 ガス残量通報 遠隔遮断 ガス漏れ通報 必要性の有無 集中監視システムの導入効果 必要の理由 不要の理由 価格 高齢者のガス使用の不安 高齢化社会とLPガス 不安の理由 高齢者在宅世帯へのシステム導入の必要性 高齢者安否確認サービスと負担価格 緊急通報サービスと負担価格 防犯監視サービスと負担価格 防災、防火監視サービスと負担価格 灯油残量監視サービスと負担価格 付加価値サービスへの希望 給湯器故障診断サービスと負担価格 健康状況管理サービスと負担価格 家電の遠隔制御サービスと負担価格 情報提供サービスと負担価格 7 III . 調査対象の概要 1.事業者アンケートによる事業者の概要 本章では、アンケート回答の集計結果を元に、分析対象となる事業者の概要を示す。 なお、本調査においては、主に集中監視システム導入事業者を調査対象とし、P.5 で述べたようにア ンケートを送付した事業者の約 9 割が集中監視システムを導入済みであり、また約 4 割弱が認定販売 事業者であった。 (1)LP ガス事業の区分 小売専業事業者が 53%、卸・小売兼業事業者が 46%、元売・卸・小売兼業事業者が 1%であった。 図 III-1 LP ガス事業の区分 ウ.元売・ 卸・小売 兼業 2社 1% ア.小売 専業 193社 53% イ.卸・小 売兼業 166社 46% (2)LP ガスの小売規模 元売/卸兼業事業者の場合は、直売の小売戸数のみを回答していただいた。 小売専業事業者よりも元売/卸兼業事業者の方が、相対的に小売規模が大きい。 図 III-2 LP ガスの小売規模 図 III-3 LP ガスの小売規模(円グラフ) 120 10,000 以上 66社 18% 100 500未満 31社 9% 80 60 5,00010,000 57社 16% 40 500-2,000 109社 30% 20 0 事業者数 500未満 31 500-2,000 109 2,000-5,000 97 5,000-10,000 57 2,0005,000 97社 27% 10,000以上 66 図 III-4 LP 小売専業事業者の小売規模 10,000 以上 20社 10% 図 III-5 元売/卸兼業事業者の小売規模 500未満 21社 11% 10,000 以上 46社 28% 5,00010,000 25社 13% 2,0005,000 50社 26% 5,00010,000 32社 19% 500-2,000 77社 40% 8 500未満 10社 6% 500-2,000 31社 19% 2,0005,000 47社 28% (3)配送方法 LP ガスの配送においては、小売専業事業者よりも元売/卸兼業事業者の方が相対的に自社配送の比 率が高い。 図 III-6 配送方法 100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% ウ.委託 イ.自社(受託含む)+委託 ア.自社(受託含む) 小売専業(193社) 42% 34% 24% 元売/卸兼業(168社) 18% 51% 30% (4)集中監視システム導入の有無 今回は集中監視システム導入事業者を主な調査対象としたが、実際に回答を得た事業者のほとんど が集中監視システムを導入していた。 図 III-7 LP ガス集中監視システム導入の有無 400 350 300 250 200 150 100 50 0 ア.導入している 事業者数 337 イ.過去に導入したが現 在は休止している 7 ウ.導入する予定 (導入準備中) 0 9 エ.導入を検討中 オ.導入予定なし 5 10 (5)集中監視システムの導入形態 維持運営委託の場合も含めて自社センターが 45%、他社センターへの委託が 43%、他社との共同セ ンターが 12%となった。 図 III-8 集中監視システムの導入形態 図 III-9 集中監視システムの導入形態(円グラフ) 160 エ.他社との 共同センター 43社 12% 140 120 ア.自社 センター 122社 35% 100 80 60 40 20 0 ア.自社センター 122 事業者数 イ.自社センター (維持運営委託含む) 36 ウ.他社センター への委託 150 エ.他社との 共同センター 43 ウ.他社 センター への委託 150社 43% イ.自社 センター (維持運営委 託含む) 36社 10% (6)集中監視システムの導入率 一般的に、集中監視システムの対顧客導入率が 70%を超えると合理化効果が大きいと言われている が、今回の調査では、導入率が 70%を超えている事業者は 96 社(27%)であった。 図 III-10 集中監視システムの導入率 図 III-11 集中監視システムの導入率(円グラフ) 120 20%未満 74社 22% 100 70%以上 96社 27% 80 60 20-39% 59社 17% 40 20 0 事業者数 70%以上 96 60-69% 61 40-59% 54 20-39% 59 20%未満 74 10 40-59% 54社 16% 60-69% 61社 18% (7)まとめ • 本調査においては、主に集中監視システム導入事業者を調査対象とし、アンケートを送付し た事業者の約 9 割が集中監視システムを導入済みであり、また約 4 割弱が認定販売事業者で あった。 • LP ガス事業の区分では、小売専業事業者が 53%、卸・小売兼業事業者が 46%、元売・卸・ 小売兼業事業者が 1%であった。 小売専業事業者よりも元売/卸兼業事業者の方が、相対的に小売規模が大きい。 LP ガスの配送においては、小売専業事業者よりも元売/卸兼業事業者の方が相対的に自社配 送の比率が高い。 • • • • 今回の調査で回答を得た事業者のほとんどが集中監視システムを導入している。 集中監視システムの導入形態は、維持運営委託の場合も含めて自社センターが 45%、他社セ ンターへの委託が 43%、他社との共同センターが 12%となった。 • 一般的に、集中監視システムの対顧客導入率が 70%を超えると合理化効果が大きいと言われ ているが、今回の調査では、導入率が 70%を超えている事業者は 96 社(27%)であった。 11 2.消費者アンケートによる消費者の概要 本章では、アンケート回答の集計結果を基に、分析対象となる消費者の概要を示す。 なお、本調査においては、P.5 で述べたように、アンケートの送付はすべて集中監視システムを導入 している LP ガス販売店傘下の消費者とし、その中の約半数は NCU が設置済みであった。 (1)集中監視システム設置状況 アンケート回答を得られた消費者のうち、自宅に「集中監視システムが設置されている」と自覚し ている消費者の比率は 67%であった。 以降では、この層を「NCU 設置消費者」と称し、残り 33%の「設置されていない」 「知らない、分 からない」と回答した層( 「NCU 未設置消費者」と称した)と区別してそれぞれの傾向を比較してみ た。 図 III-12 集中監視システムの設置状況 ウ.知らない、 分からない 8% イ.設置されて いない 25% グラフ上のラベル ア.設置されて いる 67% 消費者数(%) アンケート回答内容 NCU 設置消費者 194 戸(67%) 集中監視システムが、「設置されている」 NCU 未設置消費者 97 戸(33%) 集中監視システムが、「設置されていない」 「知らない、分からない」 12 (2)集中監視システムの認知度と販売店による導入の説明の有無 「NCU 設置消費者」のうちの 97%が、本アンケート実施以前から集中監視システムを「知ってい た」と回答したが、 「NCU 未設置消費者」においても同比率が 63%に達した。 図 III-13 集中監視システムの認知度 100% 回 答 率 ( 90% % ) 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% NCU設置消費者 NCU未設置消費者 ア.知っていた 97% 63% イ.知らなかった 2% 32% また、「NCU 設置消費者」のうちの 94%が、LP ガス販売店から集中監視システムの「導入の説明 を受けたことがある」と回答したのに対し、 「NCU 未設置消費者」では同比率が 39%であった。 図 III-14 LP ガス販売店による集中監視システムの導入の説明の有無 ( 回 答 率 ) % 100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% NCU設置消費者 NCU未設置消費者 ア.説明を受けたことがある 94% 39% 13 イ.説明を受けたことがない 6% 56% (3)集中監視システムの各機能の認知度 集中監視システムのどの機能の認知度においても、 「NCU 設置消費者」が「NCU 未設置消費者」よ りも相対的にかなり高い認知度となった。 また機能別に見ると、 「ガス使用状況の 24 時間監視」に関する認知度が高く、 「外出時の遠隔遮断機 能」は認知度がやや低いことが分かった。 図 III-15 集中監視システムの各機能の認知度 ( 回 答 率 ) % 100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% ア.知っていた イ.知らなかった ア.知っていた イ.知らなかった ア.知っていた イ.知らなかった ア.知っていた イ.知らなかった ガス使用状況の24時間監視 大量のガス流出時の通報機能 長時間使用時の通報機能 微小ガス漏洩通報機能 89% 11% 71% 28% 74% 25% 68% 32% NCU設置消費者 49% 46% 43% 53% 31% 65% 32% 64% NCU未設置消費者 ( 回 答 率 ) % 100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% ア.知っていた イ.知らなかった ガス残量通報機能 73% 27% NCU設置消費者 32% 64% NCU未設置消費者 ア.知っていた イ.知らなかった 外出時の遠隔遮断機能 51% 48% 27% 69% 14 ア.知っていた イ.知らなかった ガス漏れ時の通報機能 74% 26% 35% 60% (4)集中監視システムの必要性 以下の図のように、集中監視システムの必要性については、 「NCU 設置消費者」では 96%という圧 倒的な支持を得ており、 「NCU 未設置消費者」でも 74%が必要性を感じている。 また必要だと思う理由としては、 「トラブル発生時の迅速な対応」や「ガス使用時の不安解消」を挙 げた消費者が多かった。 図 III-16 集中監視システムの必要性 図 III-17 集中監視システムが必要だと思う理由 100% 100% 90% 80% 90% % 80% ) ) % 回 答 率 ( ( 回 答 率 70% 70% 60% 60% 50% 50% 40% 40% 30% 30% 20% 20% 10% 10% 0% ウ.わからない イ.必要がない ア.必要だと思う NCU設置消費者 3% 2% 96% NCU未設置消費者 20% 6% 74% 0% NCU設置消費者 NCU未設置消費者 ア.ガス使用時の不安が 少なくなるから 58% 41% イ.トラブルが生じた場合でも、 早急な対処が可能だから 74% 48% ウ.ガス切れの心配が ないから 36% 14% エ.その他 2% 2% (5)高齢化社会と集中監視システム 多くの人が高齢者のガス使用に不安を持っており、不安を解消する仕組みの一つとして集中監視シ ステムの「必要性を感じる」とする意見が大多数を占めている。 図 III-18 高齢者のガス利用で不安に感じること 図 III-19 高齢者在宅世帯における集中監視システムの必要性 100% % 80% 回 答 率 100% 90% ( 90% ( 回 答 率 ) ) % 80% 70% 70% 60% 60% 50% 50% 40% 40% 30% 30% 20% 20% 10% 10% 0% 0% ア.ガスの消し忘 れ・つけっぱなし 85% NCU設置消費者 75% NCU未設置消費者 イ.ガス漏れ ウ.火災 29% 27% 43% 38% エ.火傷などの ケガ 20% 13% オ.ガス機器の 誤操作 42% 20% カ.その他 ウ.わからない イ.必要性を感じない ア.必要性を感じる 1% 0% 15 NCU設置消費者 2% 1% 95% NCU未設置消費者 6% 4% 86% (6)集中監視システムの利用料金 集中監視システムの利用料としては、 「無料であれば利用したい」という声が多いものの、有料でも 利用価値を認めた消費者が「NCU 設置消費者」では 47%に達している。 消費者への現地訪問調査においても、 「安ければ安いほど良い」という声も多かったが、 「300 円ぐ らいまでなら、お金を出してでも利用する価値があると思う。 」という意見が大半であり、中には「1000 円以下ならリーズナブルではないか」との声もあった。 図 III-20 消費者に集中監視料金(月額) 100% 90% % 80% ( 回 答 率 ) 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% NCU設置消費者 NCU未設置消費者 ア.無料であれば 利用したい 38% 56% イ.200円未満 21% 23% ウ.200円~300 エ.300~400円 オ.400~500円 円未満 未満 未満 15% 4% 5% 10% 0% 7% 16 カ.500円以上 2% 0% (7)まとめ • 本調査においては、アンケートの送付はすべて集中監視システムを導入している LP ガス販 売店傘下の消費者とし、その中の約半数は NCU が設置済みであった。 • 「NCU 設置消費者」のうちの 97%が、本アンケート実施以前から集中監視システムを「知 っていた」と回答したが、 「NCU 未設置消費者」においても同比率が 63%に達した。 「NCU 設置消費者」のうちの 94%が、LP ガス販売店から集中監視システムの「導入の説 明を受けたことがある」と回答したのに対し、 「NCU 未設置消費者」では同比率が 39%で あった。 • • • • • • • • 集中監視システムのどの機能の認知度においても、 「NCU 未設置消費者」よりも「NCU 設 置消費者」の方が、かなり高い認知度となった。 機能別に見ると、 「ガス使用状況の 24 時間監視」に関する認知度が高く、 「外出時の遠隔遮 断機能」は認知度がやや低い。 集中監視システムの必要性については、 「NCU 設置消費者」では 96%という圧倒的な支持 を得ており、 「NCU 未設置消費者」でも 74%が必要性を感じている。 必要だと思う理由としては、「トラブル発生時の迅速な対応」や「ガス使用時の不安解消」 が挙げられている。 多くの人が高齢者のガス使用に不安を持っており、不安を解消する仕組みの一つとして集 中監視システムの「必要性を感じる」とする意見が大多数を占めている。 集中監視システムの利用料としては、「無料であれば利用したい」という声が多いものの、 有料でも利用価値を認めた消費者が「NCU 設置消費者」では 47%に達している。 現地訪問調査においても、 「300 円ぐらいまでなら、お金を出してでも利用する価値がある と思う。 」という意見が大半であった。 17 IV . 集中監視システムの稼動実態と普及・拡大のための対策 以降では、LP ガス販売事業者や LP ガス消費者のアンケート回答と現地訪問で聞き出したコメント を基に、流通合理化・保安強化における LP ガス集中監視システムの効果・貢献度を明確に検証する とともに、現状システムの問題点を把握し、その対策・改善点を検討・提案する。 1.導入効果の検証 まず本章では、集中監視システムの導入効果の有無や、導入効果がどの業務に発揮されているのか について検証していく。 (1)集中監視システムの導入メリット 集中監視システムの導入メリットの有無を集計したところ、導入事業者の 72%は効果が「大いにあ る」または「ある」と回答した。 図 IV-1 集中監視システムの導入メリット 図 IV-2 集中監視システムの導入メリット(円グラフ) 180 160 ウ.少しあ る 86社 25% 140 120 エ.無い 10社 3% ア.大いに ある 78社 23% 100 80 60 40 イ.ある 168社 49% 20 0 事業者数 ア.大いにある 78 イ.ある 168 ウ.少しある 86 エ.無い 10 (2)各業務における導入効果の有無の検証 以下では、検針・集金、配送、保安、その他の各業務における集中監視システムの導入効果につい て検証していく。 なお以下のように、導入メリットの程度ごとに事業者を 3 層に層別し、それぞれの層別ごとの傾向 を比較することとした。 グラフ上のラベル 事業者数 比率(%) 大いにある(78 社) 78 社 23% 導入メリットが「大いにある」 ある(168 社) 168 社 49% 導入メリットが「ある」 あまりない(96 社) 96 社 28% 導入メリットが「少しある」「無い」 18 アンケート回答内容 ① 検針・集金業務 以下の図は、検針・集金関連業務における集中監視システムの効果の有無について、各層別ごとの 回答率(「効果あり」と回答した事業者数/層別事業者数)をグラフ化したものである。 図 IV-3 検針・集金業務における導入効果の有無 【グラフの説明】 100% 90% アンケートでは、検針・集金に関連する各業務おいて 80% 集中監視システムによる効果があったものに○印を記 % 70% 入していただいた。 ( 回 答 率 ) 60% 50% 40% 左グラフは、各業務に○印を得た数を、層別ごとに事 30% 業者の母数で割った比率を棒グラフにしたものである。 20% 例えば、集中監視システムそのものの導入メリットが 10% 「大いにある」と回答した 78 社のうち、約 76%に当た 0% カ.検針・集金 エ.自動銀行 オ.料金回収 ア.検針・集金 イ.検針ミスの ウ.定期検針 管理事務の効 振り替え件数 率の向上 員の稼動削減 防止 日の設定 率化・充実 の増加 76% 60% 67% 38% 14% 64% 大いにある(78社) 61% 54% 57% 14% 5% 55% ある(168社) 43% 40% 36% 8% 0% 23% あまりない(96社) キ.その他 0% 1% 4% る 59 社が「ア.検針・集金員の稼動削減」に効果があ ったと回答した。 グラフから、主に「検針・集金員の稼動削減」「検針ミスの防止」「定期検針日の設定」において集 中監視システムの効果が出ていることが分かるが、集中監視システムを高く評価している事業者ほど その回答率(該当率)は高く、また特に「自動銀行振り替え件数の増加」や「検針・集金管理事務の 効率化・充実」において、層別間で著しい差が生じている。 このことから、自動検針による人員稼動削減や検針ミス防止といった効果に合わせて、集中監視シ ステムの導入を機に自動銀行振り替え件数を増加させるなど、検針・集金管理事務の効率化を積極的 に推進した事業者ほど、より大きなメリットを享受していることが示唆される。 また以下の図は、検針・集金関連業務における集中監視システム導入前後の減少・削減効果につい て、各層別ごとの平均得点(得点合計/層別事業者数)をグラフ化したものである。 図 IV-4 検針・集金業務における減少・削減効果 【グラフの説明】 1.10 ( 平 均 得 点 ) 2 点 満 点 1.00 アンケートでは、集中監視システム導入前と現在の状 0.90 況について、自社に該当する項目ごとに「著しく減少」 0.80 「減少した」「変化なし」のいずれかを回答していただ 0.70 いた。 0.60 0.50 0.40 左グラフは「著しく減少」=2点、 「減少した」=1点、 0.30 0.20 「変化なし」=0点として合計した数を、層別ごとに事 0.10 業者の母数で割った平均得点を棒グラフにしたもので 0.00 ア.自社検針員稼動 イ.自社集金員稼動 大いにある(78社) ある(168社) あまりない(96社) 0.99 0.68 0.44 0.45 0.24 0.09 ウ.自社員検針数 0.94 0.74 0.53 エ.委託(請負含む) 検針数 0.29 0.28 0.17 オ.集金軒数 0.45 0.24 0.22 ある。 数値が高いほど、より顕著な減少・削減効果が出てい ることになる。 このグラフからも、導入による減少・削減効果が大きい事業者ほど、集中監視システム対してより 大きなメリットを感じていることが示唆されており、またそうした事業者ほど自動銀行振り替え件数 の増加等を積極的に進めることで、検針のみならず集金業務においても合理化効果を享受している。 19 表 IV-5 検針・集金効果に関する事業者コメント 効果あり 効果なし 効果が顕著。正規社員からパートに切り換えている。 目立った効果は無い。 検針のための人件費削減に効果大。検針ミスの防止も。 パート2名で集金も行っている。そちらの方がコストが安い。 人員削減にも効果があり、効果絶大である。 設置消費者数などから、業務の効果といえるほどのメリット は感じられない。 検針日が毎月7日、14日と一定になることで安心、正確、 信頼に繋がる。 自動検針の効果が顕著。 検針エラーも300件/月ほどあり訪問でカバー。 毎月10日以内に業務が完了する。 集中監視システムを導入してから、ほとんどを自動振替と し、効果あり。 夏冬の長期休暇期にも業務が混乱しない。 検針・集金の自動化により、営業力が増し供給範囲の広域 化ができた。 ② 配送業務 以下の図は、先の検針・集金業務と同様の手法を用いて、配送関連業務における集中監視システム の効果をグラフ化したものである。 図 IV-6 配送業務における導入効果の有無 図 IV-7 配送業務における減少・削減効果 100% ( 回 答 率 80% ( ) % 1.10 平 均 得 点 90% 70% 2 点 満 点 60% ) 50% 1.00 0.90 0.80 0.70 0.60 40% 0.50 30% 0.40 0.30 20% 0.20 10% 0.10 0% ア.配送員 イ.委託先 ク.ガス切 カ.配送管 キ.計画配 ウ.配送車 エ.残ガス オ.容器在 れ回数の ケ.その他 理事務の の稼動削 の配送価 送の実現 両の削減 率の低減 庫の削減 大いにある(78社) ある(168社) あまりない(96社) 減 37% 21% 10% 格が安く 10% 3% 2% 21% 8% 1% 60% 49% 28% 21% 7% 5% 簡素化 32% 15% 7% 47% 36% 14% 減少 86% 72% 53% 0.00 ア.配送員稼動 0% 1% 5% 大いにある(78社) ある(168社) あまりない(96社) 0.47 0.29 0.16 イ.委託先の配送 価格 0.12 0.08 0.02 ウ.配送車両数 エ.残ガス率 オ.ガス切れ回数 カ.容器在庫 0.15 0.08 0.03 0.71 0.54 0.29 1.03 0.80 0.54 0.28 0.15 0.06 グラフから、主に「ガス切れ回数の減少」 「残ガス率の低減」効果において集中監視システムの効果 が出ていることが分かるが、集中監視システムを高く評価している事業者ほどその回答率(該当率) は高く、また特に「計画配送の実現」や「配送管理事務の簡素化」では層別間でより顕著な差が生じ ている。 同様の傾向は減少・削減効果においても認められ、「ガス切れ回数」「残ガス率」「配送員稼動」「容 器在庫」において大きな差が生じている。 20 表 IV-8 配送効果に関する事業者コメント 効果あり 効果なし ガス切れ回数の激減。残ガス率の改善に効果大。ボンベの 大型化により、配送費を10%程度安くさせた。 配送は全て委託しているので。 16社共同の配送センターとして、配送員が導入前の10名体 制から、6名体制へ人員削減できた。配送員の手間が減り 一人当たりの件数が倍増した。 協同組合の配送システムを使用しており、その制約のため うまくいかない部分がある。 2~3%の取付のため効果については不明。 配送予測には活用していない。 集中監視システムがなければ、配送員が今の倍は必要だ ろう。合理化効果が絶大である。 データを活用していない。 容器の本数をダブルよりシングルにする事による経費の減 少。 自動切換弁情報を活用。残量は10%以下まで効果あり。 ガス切れは殆どない。 自社配送で、担当者ごとにエリアが決まっているが、一人当 たりの件数が広がっている。点検なども含めて完璧にやる と一人300件程度が限界だったのが、一人500~600件に なっている。 容器サイズが20kgから50kgになったこともあるが、稼動が4 割カットできたという印象がある。現在は3人で、半日体制で 配送を行っている。その前は、配送だけがガス屋の仕事 だった。 150戸程度の設置だがガス切れには大いに効果があっ た。 残ガス率が10%落ちた。それまでは予測だったので早め に交換していた。配送も、従来は7、8人が朝から夕方まで かけて配送していたのが、今は人数は同じでも昼には配送 を終えている。伝票の発行枚数もかなり減った。 ③ 保安業務 以下の図は、保安業務における集中監視システムの効果の有無について、各層別ごとの回答率(回 答事業者数/層別事業者数)をグラフ化したものである。 図 IV-9 保安業務における導入効果の有無 100% ( 回 答 率 ) % 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% ア.緊急出動の減少 大いにある(78社) ある(168社) あまりない(96社) 59% 46% 29% イ.ガス漏れの早期 発見 81% 71% 51% ウ.緊急遠隔遮断 54% 27% 17% エ.異常使用の 発見・警告 90% 85% 73% オ.その他 0% 1% 0% グラフから、保安業務では主に「異常使用の発見・警告」 「ガス漏れの早期発見」で効果が出ている ことが分かるが、やはり集中監視システムを高く評価している事業者ほどその効果を実感している。 またより特徴的な傾向は、保安業務においては「緊急出動の減少」 「緊急遠隔遮断」においても効果 を実感している事業者ほど、結果として集中監視システム対してより大きなメリットを感じているこ とが示唆される。 21 表 IV-10 保安効果に関する事業者コメント 効果あり 異常使用の発見に効果有。 地震等の場合、いち早く対応可能。 遮断の処理をセンター側でできている為、販売店としての出動回数が激減している。微少漏洩もたくさん有、行くと必 ず漏れている。システムを導入しないと絶対にわからなかった。 一番効果を感じているのが、微少漏洩。リアルタイムで情報が入ってきて、調べてみたら何かある。半数はガス漏 れ。 抜本的なガスのミスを無くすという効果。この事業は安心が一番。一回のミスで企業はつぶれかねない。 緊急時以外の出動(「ガスが出ない」の入電、継続使用時間遮断予告によるもの)が減少した。 メーター遮断による緊急出動の件数が大幅に減った。 システムを入れないと判らなかったことがたくさん判った。保安の実態がよく分かる。 保安面の効果は大きい。器具自体も保安面で向上しているが、微少漏洩がリアルタイムで把握でき、件数も多い。 調整器がもろいものだという事も判ってきたり、年に1~2件はかなりの高圧でガスがでていたりする。そうした設備の 管理ができるのがありがたい。 別荘地などの監視。集中監視システムの信号90%は微少漏洩。 役所の実績評価が高くなった。 ④ その他の効果 以下の図は、その他の集中監視システムの効果の有無について、各層別ごとの回答率(回答事業者 数/層別事業者数)をグラフ化したものである。 図 IV-11 その他の導入効果の有無 100% ( 回 答 率 ) % 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 大いにある(78社) ある(168社) あまりない(96社) ア.週休2日制 の導入 22% 20% 4% イ.営業専任者 の確保 19% 15% 8% ウ.消費者の イメージアップ 74% 67% 46% エ.顧客の囲い込み オ.その他 24% 11% 13% 0% 1% 3% グラフから、主に「消費者のイメージアップ」に効果が出ていることが分かるが、やはり集中監視 システムを高く評価している事業者ほどその回答率(該当率)は高い。 また、高い回答水準ではないものの、その他の効果として集中監視システムの導入を機に「週休2 日制の導入」や「営業専任者の確保」ができた事業者ほど、集中監視システムに対してよりメリット を感じている。 表 IV-12 消費者のイメージアップに関する事業者コメント 効果あり お客様が気付く前に適切な措置ができる効果が大きい。 ガス漏れの早期発見や消費者のイメージアップに多大の効果あり。微少漏れは結構な数で検知できているが、箇所 発見までに2~3ヶ月かかる事もある。 センターの一次対応で消費者によろこばれている。 22 なお、以下の図は消費者アンケートにおいて、消費者が集中監視システムを導入して感じているこ とについてグラフ化したものである。 図 IV-13 消費者が集中監視システムの導入で感じていること 図 IV-14 消費者が実際に集中監視システムの効果を実感したこと 100% 90% 回 答 率 % 80% % ( ( 回 答 率 100% 90% ) ) 80% 70% 70% 60% 60% 50% 50% 40% 40% 30% 30% 20% 20% 10% 10% 0% ウ.LPガス販売店への ア.ガス事故等への不 イ.ガス切れの心配が 信頼が増した(イメージ 安がなくなった なくなった がアップした) 77% 59% 45% NCU設置消費者 エ.何も変わらない オ.その他 5% 1% 0% NCU設置消費者 カ.ガス漏れ警報器が鳴った際、 キ.ガスの消し忘れを、ガスを遮 ク.外出後にガスの消し忘れに 販売店から即座に連絡が入り対 断する前にLPガス販売店が電 気付いたが、LPガス販売店に連 ケ.まだ効果は実感していない 処策を教えてもい助かった 話で知らせてくれて助かった 絡してガスを止めてもらった 24% 25% 3% 44% コ.その他 7% 消費者が感じていることとして、事故に対する不安解消(77%)やガス切れに対する心配の解消 (59%)、LP ガス販売店のイメージアップ(45%)が挙げられており、消費者アンケートからも、集 中監視システムの設置が事業者のイメージアップにつながっていることが示唆される。 また集中監視システム設置後に実際に導入効果を実感したこととしては、約4分の1の消費者が保 安面における販売店の連絡対応を体験している。 今後は、 「まだ効果を実感していない」との回答があった 44%の消費者に対しても、体験談の伝達 PR やトラブルがなかったこと自体を定期的に報告するなど、対応強化によって更なるイメージアップ につなげることができると思われる。 表 IV-15 事業者の対応に関する消費者コメント 効果あり ガスをつけたまま外出。ガスを遮断されていてホッとしたが、取扱いを忘れてしまい連絡して教えてもらった。 イ)ガスの取り扱いについては細心の注意を払っているので効果を実感していない。 ロ)ただし、設置前はガス切れがあったが設置後は全くない。 ガスファンヒーターを1日中使っていた時、長い時間つけているので心配して販売店より電話が入った。 この時集中監視システムを導入してよかったと思った。 地震の時知らせてもらった。 23 (3)効果の全体分布 以下の図は、これまで掲載した「検針・集金」 「配送」 「保安」 「その他」における各効果の有無に関 する層別ごとの回答率をレーダーチャート図にしたものである。 図 IV-16 集中監視システムの導入効果の有無 ア.検針・集金員の稼動削減 90% イ.検針ミスの防止 エ.顧客の囲い込み ウ.消費者の 80% ウ.定期検針日の設定 イメージアップ 70% イ.営業専任者 エ.自動銀行振り替え件数の増加 60% の確保 50% その他 ア.週休2日制 40% オ.料金回収率の向上 の導入 検針・集金 30% 20% エ.異常使用の 発見・警告 カ.検針・集金管理事務の効率化・充実 10% 0% ウ.緊急遠隔遮断 保安 ア.配送員の稼動削減 イ.ガス漏れの早期発見 イ.委託先の配送価格が安くなった ア.緊急出動の減少 配送 ク.ガス切れ回数の減少 ウ.配送車両の削減 エ.残ガス率の低減 キ.計画配送の実現 オ.容器在庫の削減 カ.配送管理事務の簡素化 大いにある(78社) ある(168社) あまりない(96社) このグラフから、これまで述べてきたように、 ・ 全ての業務において多様な効果が出ている事業者ほど、集中監視システムを高く評価している。 ・ 業務ごとの効果を比較すると、保安業務に効果を認めている事業者が多い一方で、検針・集金・ 配送業務では、当初考えられていたような多様な効果を実感できている事業者はそれほど多く ない。 ということが分かり、後者に関しては、例えば「自動銀行振り替え件数の増加」や「配送管理用シ ステムの充実」といった集中監視システムとの相乗効果を生むような取組みができているか否かによ って現れる効果が多いためだと思われる。 24 (4)まとめ • 集中監視システムの「導入メリットの有無」を集計したところ、導入事業者の 72%は効果が 「大いにある」または「ある」と回答した。 ○検針・集金業務における効果の有無 • 主に「検針・集金員の稼動削減」「検針ミスの防止」「定期検針日の設定」において集中監視 システムの効果が出ている。 • 集中監視システムの導入を機に自動銀行振り替え件数を増加させるなど、検針・集金管理事 務関連の効率化を積極的に推進した事業者ほど、より大きなメリットを享受している。 ○配送業務における効果の有無 • 主に「ガス切れ回数の減少」 「残ガス率の低減」において集中監視システムの効果が出ている。 • 「計画配送の実現」や「配送管理事務の簡素化」においても効果が出ている事業者ほど、よ り大きなメリットを享受している。 ○保安業務における効果の有無 • 保安業務では主に「異常使用の発見・警告」 「ガス漏れの早期発見」で効果が出ている。 • 「緊急出動の減少」 「緊急遠隔遮断」においても効果を実感している事業者ほど、集中監視シ ステムに対してより大きなメリットを享受している。 ○その他の効果の有無 • その他の効果では主に「消費者のイメージアップ」において集中監視システムの効果が出て いる。 • 集中監視システムの導入を機に「週休2日制の導入」や「営業専任者の確保」ができた事業 者ほど、集中監視システムに対してよりメリットを感じている。 • 実際に消費者アンケートにおいても、集中監視システムの導入によって、事業者のイメージ アップにつながっていることが示唆される。 ○効果の全体分布 • 全ての業務において多様な効果が出ている事業者ほど、集中監視システムを高く評価してい る。 • 業務ごとの効果を比較すると、保安業務に効果を認めている事業者が多い一方で、検針・集 金・配送業務では、当初考えられていたような多様な効果を実感できている事業者はそれほ ど多くない。 • これは、 「自動銀行振り替え件数の増加」や「配送管理用システムの充実」といった集中監視 システムとの相乗効果を生むような取組みができているか否かによって現れる効果が多いた めだと思われる。 25 2.導入効果の要因分析 前章では、集中監視システムの効果の有無について検証し、業務全般において大きな導入効果を実 感している事業者がある一方で、あまり導入効果がないと感じている事業者も存在することが確認で きた。この両者を分かつ要因は何であろうか。 本章では、集中監視システムの導入効果が生まれる要因について検討・分析する。 (1)導入率と効果 一般に、集中監視システムの導入率が高いほどその導入効果も大きいと言われている。 本調査においても以下のグラフのように、導入率が高い事業者ほど集中監視システムに対する評価 が相対的に高い傾向がある。 特に、導入率が 70%を超えている事業者においては、メリットが「大いにある」と回答した比率が 43%で、「少しある」の比率が 8%であったのに対して、導入率が 20%未満の事業者では「大いにあ る」の比率がわずか 5%であり、 「少しある」が 46%、 「無い」も 5%を占めている。 つまり、導入効果がより大きく生まれる要因として、導入率の水準が関与していると推測できる。 図 IV-17 導入率と導入メリットの分布 100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% エ.無い ウ.少しある イ.ある ア.大いにある 70%以上 (96社) 0% 8% 46% 43% 60-69% (61社) 2% 16% 59% 23% 40-59% (54社) 2% 31% 48% 17% 20-39% (59社) 5% 25% 54% 15% 20%未満 (74社) 5% 46% 36% 5% 表 IV-18 導入率に関する事業者コメント 導入率と効果に関して 標準システムなのですべて取付け。 取付可能世帯から全域にわたって導入した。導入した時から60%でした。 集中監視システムは50%では効果が出ない。やはり50%以上設置して初めて効果を期待できるのでは。 消費者の70~80%をシステム化できればメリットがあると思う。 ただし、比率が低いとはいえ、導入率が低い事業者においてもメリットが「大いにある」と回答し た事業者が存在する一方で、導入率が 70%を超えていても効果が小さいと考えている事業者もある。 こうした事業者では導入率以外の要因が影響していると思われるが、次節以降ではその要因につい て検討・分析する。 26 (2)導入初期の戦略と効果 たとえ全社的な導入率が低くても、地域を限定して局地的に高い導入率を達成したり、遠隔地を対 象に導入している場合や、一定消費量以上の消費者に限定して集中監視システムを導入している場合 には大きな導入効果を生み出せると予測される。 そこで以下のように、導入率が低い事業者グループ(導入率 40%未満、133 社)のうち、導入効果 が大きいと回答した事業者(13 社)と効果があまりないと回答した事業者(56 社)を抽出して傾向 分析を行うこととした。 グラフ上のラベル 事業者数 特徴 アンケート回答内容 40%未満(効果大) 13 社 導入率が低く、導入効果が大きい 導入率 40%未満で、導入メリットが「大いにある」 40%未満(効果小) 56 社 導入率が低く、導入効果が小さい 導入率 40%未満で、導入メリットが「少しある」 「無い」 以下の図は集中監視システムの初期の導入方法について、各層別ごとの回答率(回答事業者数/層 別事業者数)をグラフ化したものである。 図 IV-19 導入時の地域戦略 図 IV-20 導入時の対消費者戦略 90% 90% 70% 70% 60% % 60% 50% 50% 40% 40% 30% 30% 20% 20% 10% 10% ) ) % ( 回 答 80% 率 ( 回 答 80% 率 0% 0% ア.遠隔地から ウ.エリアを決 ク.都市ガス競 ケ.他社競合地 先に導入 め集中的に導入 合地域から導入 域から導入 40%未満 (効果大) 13社 40%未満 (効果無) 56社 77% 69% 15% 0% 59% 38% 0% 4% 40%未満 (効果大) 13社 40%未満 (効果無) 56社 エ.団地やマン オ.一定消費量 カ.業務用から ションなど 以上の消費者を 導入 から導入 対象に導入 キ.バルクのみ に導入 0% 38% 54% 23% 14% 14% 34% 14% 導入率が低くても導入効果が大きいと考えている事業者は、導入効果が小さい事業者に比べ「遠隔 地から先に導入」「エリアを決めて集中的に導入」といった地域戦略や、「一定消費量以上の消費者を 対象に導入」、「業務用から導入」といった対消費者戦略を採用していた比率が相対的に高いことが分 かる。 実際に、全域で見れば 40%程度の導入率であっても、局地的な営業所単位ではほぼ 100%の導入率 に達している事業者もあり、その地域に関しては検針・配送等に絶大な効果があるといった事例は少 なくない。 27 表 IV-21 初期戦略に関する事業者コメント 基本方針・地域戦略 対消費者戦略 3年前に導入をして、2年間で一気に現在の普及率まで引 き上げた。3億7千万~8千万の投資をした。 当初から、だらだらと中途半端にやるのではなく、やるなら ば一気に広げないと効果が出ないと考えていた。 頻繁にマイコンメータにより、時間オーバー遮断を繰り返す 消費者と、ガス事故等に、極端に神経質な消費者。 成功するには、一気にシステム導入することであり、資金力 や決断力、胆力の問題である。 メーター検針が容易に出来ない所(錠がかかっている、玄 関から入っていく所) 効果をだすには、導入方法としてザルではなく、面にしてい く必要がある。6~7年使うと、トータル的にみて効果がある と思う。 戸建住宅を優先的に先行させている。(電話回線が借りら れる為、転居がない為) ガス代金の支払いがしっかりしている消費者から、又持家 の消費者から。 老人世帯等ガス使用に不安を感じる先。犬等の為検針に 支障がある場合。 遠隔地に導入したので、検針集金の手間が減った。 ガスエアコン、ガスストーブなど季節変動の大きい消費者に 導入。 遠隔地検針に威力を発揮(以前は検針だけで1日仕事) (3)データ活用と効果 当然のことながら、集中監視システムから得られる情報(データ)を的確に活用しない限り、各種 業務効率の向上や保安レベル向上といった導入効果は生まれてこない。 そこで以下では、集中監視システムから得られるデータの活用状況に着目した。 ① 集中監視システムから得られるデータの活用率 以下の図は、前章と同様に導入メリットの程度によって事業者グループを3つに層別し、その層別 ごとに集中監視システムから得られる各種データごとの活用率(活用事業者数/層別事業者数)をグ ラフ化したものである。 図 IV-22 集中監視システムから得られるデータの活用率 ( 活 用 率 ) % 100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 大いにある(78社) ある(168社) あまりない(96社) ア.定期検針 イ.随時検針 ウ.残量監視 エ.残量監視 オ.残量監視 カ.ボンベリ 情報 情報 情報1 情報2 情報3 セット情報 92% 56% 74% 58% 41% 54% 92% 57% 65% 51% 43% 48% 81% 47% 51% 41% 29% 28% キ.ボンベ切 ク.保安情報 替情報 69% 91% 58% 83% 49% 71% グラフから、集中監視システムから得られるデータの中でも「定期検針情報」「保安情報」「残量監 視情報1」 「ボンベ切替情報」の活用率が高いことが分かる。 また導入メリットがあまりない事業者では、全種類のデータにおいて活用率が他の層別よりも低い ことが分かる。 28 ② 活用しているデータの個数 以下の図は活用しているデータの個数(最大 8 つ)によって事業者グループを 3 つに層別し、各層 別ごとに導入メリットの分布状況をグラフ化したものである。 図 IV-23 活用しているデータの個数と導入メリットの分布 100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% あまりない ある 大いにある 6-8個(139社) 17% 53% 29% 4-5個(97社) 26% 51% 23% 1-3個(105社) 42% 43% 14% グラフから、多様なデータを活用している事業者ほど相対的に導入メリットが大きくなり、一方で 活用しているデータの個数が少ない事業者では導入メリットが得られにくい傾向が読み取れる。 ③ 配送におけるデータ活用と効果 以下ではさらに、配送関連データの活用状況の違いが配送の効果に与える影響について分析する。 アンケートでは、配送関連のデータとして「残量監視情報1」 「残量監視情報2」 「残量監視情報3」 「ボンベリセット情報」 「ボンベ切替情報」の 5 種類のデータの利用状況を回答していただいた。そこ で、活用している配送関連データの個数(最大5つ)によって事業者グループを 3 つに層別した。 以下の図は、その層別ごとに配送業務における効果の有無に対する回答率(回答事業者数/層別事 業者数)と、集中監視導入前後の減少・削減効果についてグラフ化したものである。 図 IV-24 配送関連情報の活用度と各業務効果の有無 ( 回 答 率 80% 1.00 平 均 得 点 70% ( ) % 図 IV-25 配送関連情報の活用度と減少・削減効果 60% 2 点 満 点 50% ) 40% 0.90 0.80 0.70 0.60 0.50 0.40 30% 0.30 20% 0.20 10% 0.10 0% イ.委託先の ア.配送員の ウ.配送車両 エ.残ガス率 オ.容器在庫 カ.配送管理 キ.計画配送 ク.ガス切れ 配送価格が安 稼動削減 の削減 の低減 の削減 事務の簡素化 の実現 回数の減少 くなった 27% 6% 10% 64% 12% 21% 41% 80% 4-5個(116社) 20% 3% 10% 49% 6% 19% 35% 78% 2-3個(108社) 21% 4% 5% 27% 12% 12% 22% 54% 0-1個(117社) 0.00 ア.配送員稼動 ケ.その他 4-5個(116社) 2-3個(108社) 0-1個(117社) 3% 2% 2% 0.31 0.28 0.29 イ.委託先の配送 価格 0.08 0.06 0.07 ウ.配送車両数 エ.残ガス率 オ.ガス切れ回数 カ.容器在庫 0.11 0.06 0.06 0.67 0.52 0.35 0.91 0.83 0.62 0.19 0.13 0.16 グラフから、配送関連データを数多く活用している事業者ほど実際に配送業務における効果を得て いる傾向が読み取れ、特に「残ガス率の低減」 「計画配送の実現」 「配送管理事務の簡素化」において 情報を活用している事業者と活用していない事業者の間で特徴的な差が出ている。 29 以下の図は、配送効率向上のための取組みについて、各層別ごとの平均得点(層別における合計得 点/層別事業者数)をグラフ化したものである。 図 IV-26 配送効率向上のための取組み 【グラフの説明】 2.0 ( 平 均 得 点 ) 2 点 満 点 1.8 アンケートでは、配送効率向上のための取組みとして、自 1.6 社に該当する項目ごとに「実績のあった項目」 「今後取り組む 1.4 項目」のいずれかを回答していただいた。 1.2 1.0 左グラフは「実績のあった項目」=2点、 「今後取り組む項 0.8 0.6 目」=1点として合計した数を、層別ごとの事業者母数で割 0.4 った平均得点を棒グラフにしたものである。 0.2 0.0 ア.集中監視 オ.配送ルー カ.配送管理 キ.配送セン ク.配送セン ウ.容器の大 エ.自動切換 ケ.小規模配 システムの導 イ.バルク導入 ト・サイクルの 用システムの ター間の配送 ターの統合(規 型化 え装置の導入 管の導入 入・活用 見直し 充実 相互利用 模の拡大) 1.88 1.42 1.32 1.57 1.00 1.16 0.53 0.39 0.50 4-5個(116社) 1.83 1.38 1.33 1.53 0.69 1.15 0.50 0.34 0.43 2-3個(108社) 1.62 1.23 1.21 1.31 0.46 0.83 0.40 0.19 0.26 0-1個(117社) 1 点を超えれば、その層別においては今後実施を計画して いる事業者よりも既に着手済みの事業者の方が多いといえ る。 グラフから、特に「配送管理用システムの充実」「配送ルート・サイクルの見直し」「配送センター の統合(規模の拡大)」においてデータを活用している事業者と活用していない事業者の間で特徴的な 違いが現れている。 配送業務において集中監視システムによる直接的な効果と合わせて、配送体制や後方処理システム も含めた配送合理化のための総合的な取り組みを推進し、集中監視システムから得られるデータを有 効活用している事業者ほど、結果として集中監視システムに対してより大きなメリットを感じている ことが示唆される。 30 (4)導入率とデータ活用の相互関係 前節までの分析から、 「導入率」も「データ活用」も共に導入効果を生み出すための要因だと考えら れるが、本節ではその両者の相互関係を明らかにする。 ① 高い導入率とデータ活用 以下の表のように、導入率が高い事業者グループ(導入率 60%以上、157 社)の中で、さらに配送 関連データを多く活用しているグループ(56 社)とあまり活用していないグループ(51 社)を抽出 して傾向を比較する。 グラフ上のラベル 導入率 60%以上 配送データ活用 導入率 60%以上 配送データ未活用 事業者数 特徴 56 社 「導入率 60%以上」のグループのうち、配送関連データを 4 種類以上活用 51 社 「導入率 60%以上」のグループのうち、配送関連データを未活用あるいは 1 つのみ活用 以下の図は、この層別ごとに配送における効果の有無と減少・削減効果についてグラフ化したもので ある。 図 IV-27 高い導入率と配送データ活用状況による導入効果の有無 ( 回 答 率 1.20 平 均 得 1.00 点 90% 80% 70% ( ) % 図 IV-28 高い導入率と配送データ活用状況による減少・削減効果 60% 2 0.80 点 満 点 0.60 50% ) 40% 30% 0.40 20% 0.20 10% 0% 導入率60%以上 配送データ活用 (56社) 導入率60%以上 配送データ未活用 (51社) 0.00 イ.委託先の配 ア.配送員の稼 ウ.配送車両 エ.残ガス率の オ.容器在庫 カ.配送管理事 キ.計画配送 ク.ガス切れ回 送価格が安く の削減 低減 の削減 務の簡素化 の実現 数の減少 動削減 なった 32% 9% 13% 64% 18% 23% 48% 79% 27% 6% 10% 33% 20% 16% 29% 導入率60%以上 配送データ活用 (56社) 導入率60%以上 配送データ未活用 (51社) 69% ア.配送員 稼動 0.36 イ.委託先の配送 価格 0.13 0.41 0.06 ウ.配送車両数 エ.残ガス率 オ.ガス切れ回数 カ.容器在庫 0.14 0.66 0.98 0.29 0.10 0.33 0.80 0.25 グラフから、たとえ導入率が高くてもデータを有効活用していなければ、大きな導入効果が得られ ないことが明確に読み取れる。 31 ② 高い導入率と配送形態 配送形態が自社配送か配送委託かによってデータ活用状況や配送の効果に差異が生じると思われる。 そこで以下の表のように、導入率が高い事業者グループ(導入率 60%以上、157 社)の中で、さら に自社配送グループ(47 社)と配送委託グループ(57 社)を抽出して傾向を比較する。 グラフ上のラベル 事業者数 特徴 導入率 60%以上、自社配送 47 社 「導入率 60%以上」のグループのうち、自社で配送 導入率 60%以上、配送委託 57 社 「導入率 60%以上」のグループのうち、配送を委託 以下の図は、この層別ごとに集中監視システムから得られる配送関連データの活用率(活用事業者 数/層別事業者数)をグラフ化したものである。 図 IV-29 集中監視システムから得られる配送関連データの活用率 70% ( 活 用 率 ) % 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 導入率60%以上 自社配送 (47社) 導入率60%以上 配送委託 (57社) ウ.残量監視情報1 66% エ.残量監視情報2 57% オ.残量監視情報3 36% カ.ボンベリセット情報 40% キ.ボンベ切替情報 60% 58% 40% 32% 40% 53% 自社配送事業者の方が、配送委託事業者よりも配送関連データをより多く活用している傾向がある。 また以下の図は、配送における効果の有無と減少・削減効果についてグラフ化したものであるが、自 社配送事業者では、配送委託事業者よりも「残ガス率の低減」 「計画配送の実現」 「配送員の稼動削減」 において効果が出やすくなっており、データ活用率の違いが配送効果にも影響を与えていることが示 唆される。 (グラフ上では、配送委託事業者において、「配送車両数」や「容器在庫」の削減効果が顕著に現れているが、これは配送を委託したこ と自体に起因する効果が含まれており、集中監視システムの導入効果と誤認してアンケートに回答した事業者があったからと思われる。 ) 図 IV-31 高い導入率と配送形態による減少・削減効果 図 IV-30 高い導入率と配送形態による導入効果の有無 ( 回 答 率 平 均 得 点 80% 70% 1.2 1.0 ( ) % 90% 60% 2 点 満 点 50% ) 40% 30% 0.8 0.6 0.4 20% 0.2 10% 0% 導入率60%以上 自社配送 (47社) 導入率60%以上 配送委託 (57社) 0.0 イ.委託先の配 ア.配送員の稼 ウ.配送車両の エ.残ガス率の オ.容器在庫の カ.配送管理事 キ.計画配送の ク.ガス切れ回 送価格が安く 動削減 削減 低減 削減 務の簡素化 実現 数の減少 なった 36% 2% 9% 60% 6% 26% 53% 74% 23% 5% 14% 35% 19% 18% 33% 0.38 イ.委託先の配送 価格 0.02 0.28 0.16 ア.配送員稼動 導入率60%以上 自社配送 (47社) 導入率60%以上 配送委託 (57社) 77% 32 ウ.配送車両数 エ.残ガス率 オ.ガス切れ回数 カ.容器在庫 0.02 0.53 0.79 0.13 0.16 0.46 1.07 0.33 前項までで、たとえ導入率が高くてもデータを活用していなければ効果が出にくいことが分かった が、逆にデータを活用していても導入率が低い場合では、効果にどのような影響があるだろうか。 以降では、データを活用している事業者における導入率の影響について検討・分析する。 ③ 検針データ活用と導入率 以下の表ように検針関連データを積極活用している事業者グループ(172 社)の中で、さらに導入 率が高いグループ(49 社)と低いグループ(48 社)を抽出して傾向を比較する。 グラフ上のラベル 事業者数 検針データ活用 導入率 70%以上 検針データ活用 導入率 30%未満 特徴 49 社 「検針関連データを 2 つ活用している」グループのうち、導入率が 70%以上 48 社 「検針関連データを 2 つ活用している」グループのうち、導入率が 30%未満 ※本調査では検針関連データとして、「定期検針情報」と「随時検針情報」の 2 つの使用状況について回答していた だいたが、この 2 つを両方使っている事業者の中で、導入率が高いグループと低いグループを抽出した。 以下の図は、この層別ごとに検針における効果の有無と減少・削減効果についてグラフ化したもので ある。 図 IV-32 検針データ活用時の導入率による導入効果の有無 ) % 90% 平 均 得 点 80% ( ( 回 答 率 図 IV-33 検針データ活用時の導入率による減少・削減効果 70% 2 点 満 点 60% 50% ) 40% 30% 1.20 1.00 0.80 0.60 0.40 20% 0.20 10% 0% 検針データ活用 導入率70%以上 (49社) 検針データ活用 導入率30%未満 (48社) エ.自動銀行 カ.検針・集金 ア.検針・集金 イ.検針ミスの ウ.定期検針 オ.料金回収 振り替え件数 管理事務の効 員の稼動削減 防止 日の設定 率の向上 の増加 率化・充実 78% 57% 65% 29% 8% 59% 50% 56% 56% 8% 6% 48% 0.00 キ.その他 0.92 0.27 1.08 エ.委託(請負含む) 検針数 0.27 0.42 0.13 0.46 0.25 ア.自社検針員稼動 イ.自社集金員稼動 0% 検針データ活用 導入率70%以上 (49社) 検針データ活用 導入率30%未満 (48社) 2% ウ.自社員検針数 オ.集金軒数 0.31 0.27 減少・削減効果のグラフに現れているように、自動検針による合理化に関しては導入率の影響が大 きく、たとえデータを活用していても導入率が一定以上にならないと大きなメリットが出ないことが 分かる。 また集金業務においては、左右 2 つのグラフの比較から、データ活用よりもむしろ集中監視システ ムの導入を機に積極的に自動振り替え件数の増加に取り組むことによって合理化効果が生まれること も確認できる。 33 ④ 配送データ活用と導入率 以下の表のように配送関連データを積極的に活用している事業者グループ(116 社)の中で、さら に導入率が高いグループ(31 社)と低いグループ(31 社)を抽出して傾向を比較する。 グラフ上のラベル 配送データ活用 導入率 70%以上 配送データ活用 導入率 30%未満 事業者数 特徴 31 社 「配送データを 4 種類以上活用している」グループのうち、導入率が 70%以上 31 社 「配送データを 4 種類以上活用している」グループのうち、導入率が 30%未満 以下の図は、この層別ごとに配送における効果の有無と減少・削減効果についてグラフ化したもので ある。 図 IV-34 配送データ活用時の導入率による導入効果の有無 ) % 100% 90% 80% 70% 60% 40% 2 点 満 点 0.70 0.90 0.80 0.60 0.50 0.40 30% 0.30 20% 0.20 10% 配送データ活用 導入率70%以上 (31社) 配送データ活用 導入率30%未満 (31社) 1.00 ) 50% 0% 平 均 得 点 ( ( 回 答 率 図 IV-35 配送データ活用時の導入率による減少・削減効果 0.10 イ.委託先 ウ.配送車 ア.配送員 の配送価格 の稼動削減 両の削減 が安くなった 39% 6% 19% 13% 0% 0% エ.残ガス 率の低減 65% 61% カ.配送管 オ.容器在 キ.計画配 ク.ガス切れ 理事務の簡 ケ.その他 庫の削減 送の実現 回数の減少 素化 19% 23% 48% 87% 0.00 0% 13% 32% 81% 0.00 0.29 イ.委託先の配送 価格 0.10 0.13 0.00 ア.配送員稼動 配送データ活用 導入率70%以上 (31社) 配送データ活用 導入率30%未満 (31社) 0.06 ウ.配送車両数 エ.残ガス率 オ.ガス切れ回数 カ.容器在庫 0.19 0.58 0.90 0.32 0.00 0.61 0.77 0.06 たとえ多くの種類の配送データを活用していたとしても、導入率が低い場合はその効果も主に「ガ ス切れ回数の減少」や「残ガス率の低減」のみで限定的なものとなることが読み取れる。 以上で分析した結果から、 「高い導入率」と「データ活用」の相互作用によって、大きな効果が期待 できることが分かった。 34 これまでは、 「導入率」と「データ活用」を中心に集中監視システムの導入効果が生まれる要因を分 析してきた。 基本的には、 「高い導入率」と「データ活用」の相互作用によって大きな効果が生まれるが、導入の 初期戦略によっては、導入率が低い段階においても早期に効果を得ることも可能だということも分か った。 それでは、導入初期においてデータ活用や導入戦略における姿勢を分けている要因はなんであろう か。 (5)導入目的と効果 以下の図は、導入メリットの程度によって事業者グループを3つに層別し、その層別ごとに集中監 視システムの導入目的の回答率(回答事業者数/層別事業者数)をレーダーチャート図にしたもので ある。 図 IV-36 集中監視システムの導入目的と導入メリット タ.認定販売事業者資格の取得 ソ.合理化による営業専任者の確保 その他 セ.他社との差別化・競争力強化 ス.消費者の囲い込み ア.検針コスト削減 100% イ.人手不足対応 90% 80% ウ.検針ミス防止 70% 60% 50% 検針・集金 40% エ.検針日統一 30% 20% 10% 0% オ.計画配送 サ.ガス漏れ対応 カ.配送効率の改善 保安 コ.遠隔遮断 キ.ガス切れ防止 配送 ケ.異常使用の発見・警告 ク.配送管理の簡略化 シ.後方処理システムへの 各種データの有効活用 大いにある(78社) ある(168社) あまりない(96社) いずれの目的においても、導入メリットが大きいと考えている事業者ほど回答率が高くなっており、 集中監視システムの導入にあたって、目的と意識を明確にもって開始したか否かの違いが、その導入 効果に格差を生んでいるといえる。 以上の分析によって、システム導入によって得られる情報を有効に活用し、事業の合理化・効率化 を進めた事業者と、先行事例十分活かすこともなく、何となく(試行的に)導入した事業者との違い が浮き彫りとなったのではないだろうか。 35 (6)まとめ ○要因1:導入率が十分か否か • 導入率が高い事業者ほど導入メリットが大きいと回答する確率が高くなっており、導入効果の要 因として、導入率の水準が関与していると推測できる。 ○要因2:導入初期の戦略が適切か否か • 導入率が低くても導入効果が出ている事業者では、集中監視システムの導入初期に的確な地域戦 略や対消費者戦略を採用しており、システム導入を戦略的に取り組んだことが示唆される。 ○要因3:集中監視システムをどれぐらいフル活用できているか • 集中監視システムから得られるデータを数多く活用している事業者ほど導入メリットが大きくな り、一方で活用しているデータ数が少ない事業者では導入メリットが得られにくい。 ◇配送関連データ活用と配送効果 • 配送関連データを数多く活用している事業者ほど実際に配送業務における効果を得ており、特に 「残ガス率の低減」「計画配送の実現」「配送管理事務の簡素化」においてデータを活用している 事業者と活用していない事業者の間で特徴的な差が出ている。 • 配送体制も含めた配送合理化のための総合的な取り組みを推進し、かつ集中監視システムから得 られるデータを後方処理システムと連動させて有効活用している事業者ほど、結果として集中監 視システムに対してより大きなメリットを感じている。 ◇導入率とデータ活用の相互作用 • たとえ導入率が高くてもデータを有効活用していなければ、大きな導入効果が得られない。 • • • • 検針業務においても配送業務においても、たとえ多種のデータを活用していても導入率が一定以 上にならないと大きなメリットは出にくい。 集金業務においては、集中監視システムの導入を機に積極的に自動振り替え件数の増加に取り組 むことによって合理化効果が生まれる。 高い導入率であっても、自社配送事業者の方が配送委託事業者よりも配送関連データをより多く 活用しており、 「残ガス率の低減」 「計画配送の実現」 「配送員の稼動削減」において効果に大きな 差が出ている。 高い導入率とデータ活用の相互作用によって、大きな効果が期待できる。 ○要因4:導入目的が明確であったか否か • 集中監視システムの導入にあたって、目的と意識を明確にもって開始したか否かの違いが、その 導入効果に格差を生んでいる。 • システム導入によって得られる情報を有効に活用し、事業の合理化・効率化を進めた事業者と、 何となく(試行的に)導入した事業者との違いが浮き彫りとなった。 36 3.阻害要因と普及・拡大のための対策 以下の図のように、「今後の集中監視システム導入方針」について集計すると、「既にほぼ全域に導 入済み」も含めて、35%の事業者が積極的な導入方針を打ち出している一方で、34%の事業者は現状 維持あるいは休止状態になるといった消極的な姿勢をみせている。 この両者を分かつ要因は何であろうか。また積極的な事業者においても問題・課題としてどういっ た事象が挙げられているだろうか。 図 IV-37 今後の集中監視システム導入方針(円グラフ) オ.特定用 途・地域のみ 継続する 74社 19% カ.今後は縮 小・休止する 5 1% ア.既にほぼ 全域に導入 済み 68社 18% イ.積極的に 導入していく 67社 17% エ.効果が現 れないので、 様子を見る 52社 14% ウ.徐々に導 入率を上げて いく 118社 31% 本章では、集中監視システムへの投資意欲を削いでいる阻害要因について検討・分析する。 (1)導入効果が十分でない ① 良いサイクルと悪いサイクル 下図のように導入メリットが大きい事業者ほど、今後の導入方針も積極的な姿勢を打ち出している 一方で、導入効果が少ない事業者は現状維持あるいは休止状態になる傾向が強い。 これは、導入初期における効果の有無によって、その後の方針が二極化していると予測でき、導入 率が低くても明確な導入戦略とシステムの有効活用によって早期に効果を見出したグループは、今後 の導入意欲も非常に強く、効果が出なかった事業者と比較して 1 年後の導入率では非常に高い伸びを 見込んでいる。 図 IV-38 導入メリットと今後の集中監視システム導入方針 図 IV-39 今後の導入意欲(1 年後の導入率の伸び率) 120% 110% 125% % 120% ( 伸 び 率 100% ) 90% 80% 70% 115% 60% 50% 40% 110% 30% 20% 10% 0% カ.今後は縮小・休止する オ.特定用途・地域のみ継続する エ.効果が現れないので、様子を見る ウ.徐々に導入率を上げていく イ.積極的に導入していく ア.既にほぼ全域に導入済み 105% 大いにある(78社) 0% 8% 3% 33% 36% 35% ある(168社) 1% 17% 7% 43% 21% 17% あまりない(96社) 4% 39% 35% 17% 3% 10% 100% 伸び率 37 導入率40%未満 メリット大いにある (13社) 121.2% 導入率40%未満 メリットあまりない (56社) 103.9% ② 導入効果に関する問題と対策 以下の図は、導入メリットによる層別ごとに、集中監視システムの導入効果に関連した問題・課題 とその対策について回答率(回答事業者数/層別事業者数)をグラフ化したものである。 図 IV-40 導入効果に対する問題・課題 回 答 率 90% 80% % ) ) % 100% ( ( 回 答 率 図 IV-41 導入効果を向上させるための対策 100% 90% 80% 70% 70% 60% 60% 50% 50% 40% 40% 30% 30% 20% 20% 10% 10% 0% 大いにある(78社) ある(168社) あまりない(96社) 0% ス.システムのメリットが判らない 8% 4% 11% セ.導入効果が少ない、期待できない ソ.法上の導入インセンティブが少ない 3% 58% 21% 61% 56% 59% 大いにある(78社) ある(168社) あまりない(96社) オ.共同配送センター等、共同事業化 カ.導入効果の還元(配送委託料金の キ.インセンティブの見直し・拡大(保安 による規模の拡大 低下、等) 点検の軽減、融資制度の拡大、等) 23% 21% 64% 14% 23% 68% 18% 22% 63% グラフから集中監視システムの問題として「導入効果がない」ことを指摘しているのは、導入メリ ットを実感していない事業者だけであり、導入メリットが「大いにある」と回答した事業者では、導 入効果に対してはほとんど不満がないことが確認できる。 前章の「導入効果の要因分析」にて示したように、導入効果が出ていない事業者では、主に 1)導入率が低い 2)導入初期における戦略性の不足 3)データの不活用(データ有効活用のための業務改善が不十分) 4)導入時の目的意識の低さ のいずれかが当てはまる可能性が高い。 したがって今後、 2)の導入初期における戦略的な導入方法の採用を促すために、 ・導入初期における先行成功事例の更なる研究と周知(行政、業界団体) ・導入時の提案・アドバイスの徹底・強化(メーカー、システム提供会社等) 3)の集中監視システムのデータをフル活用するために、 ・後方支援システムとのデータ連動ノウハウの共有と周知(業界団体、LPガス販売事業者) ・特に配送委託における配送センター単位の導入率の拡大(業界団体、LPガス販売事業者) ・配送センターと配送を委託している事業者との間の配送データ交換のためのシステム導入の促進 (行政、業界団体、メーカー、システム提供会社等) といった対策が必要である。 38 (2)導入インセンティブの不足 前節のグラフでは、導入効果に関連した問題・課題として認定販売事業者制度における「法上の導 入インセンティブが少ない」との意見がどの層別においても高い回答率となっており、その改善・拡 大を求める声が多い。 そこで以下では、集中監視システムの導入効果を引き上げる誘因として、認定販売事業者制度と連 動したインセンティブ付与の仕組みについて検討・分析する。 ① 認定取得状況と認定の評価 以下の図は、導入メリットの層別ごとに認定販売事業者の取得状況と、認定されたことに対する評 価について、各層別ごとの分布状況をグラフ化したものである。 図 IV-42 認定販売事業者の取得状況 図 IV-43 認定されて良かったと 100% 100% 90% 90% 80% 80% 70% 70% 60% 60% 50% 50% 40% 40% 30% 30% 20% 20% 10% 10% 0% エ.取得予定無し ウ.取得予定未定 イ.取得計画中 ア.取得済み 大いにある(78社) 13% 9% 12% 64% ある(168社) 21% 18% 3% 58% あまりない(96社) 36% 25% 2% 33% 0% ウ.どちらでもない イ.思わない ア.思う 大いにある(78社) 14% 15% 35% ある(168社) 27% 11% 18% あまりない(96社) 10% 11% 11% 導入メリットが大きいと感じている事業者ほど認定販売事業者の認定を取得しており、その認定の 取得に対する評価も相対的に高い傾向がある。 ② 認定を取得する理由と取得しない理由 以下の図は、認定を取得する理由と取得しない理由について、導入メリットの層別ごとの回答率を グラフ化したものである。 図 IV-44 認定を取得する/取得した理由 回 答 率 90% 80% % ) ) % 100% ( ( 回 答 率 図 IV-45 認定を取得しない理由 70% 60% 70% 60% 50% 40% 50% 30% 40% 30% 20% 20% 10% 10% 0% エ.認定販売事業 ア.販売主任者の イ.緊急時におけ ウ.機器点検サイ オ.消費者に対す 者のステータスの 設置数の緩和 る保安距離の緩和 クルの延長 るイメージアップ 取得 17% 47% 41% 38% 64% 大いにある(78社) 11% 40% 28% 36% 58% ある(168社) 9% 28% 18% 19% 44% あまりない(96社) 0% カ.その他 5% 8% 4% 大いにある(78社) ある(168社) あまりない(96社) ア.取得しなくても事業 イ.集中監視システム ウ.集中監視システム エ.インセンティブに魅 を推進するに当たり、 より、優先順位の高い の導入率が認定基準 力がない 何の支障もない 投資先がある まで達していない 13% 5% 3% 9% 17% 5% 10% 15% 28% 15% 11% 24% オ.その他 1% 1% 2% 取得する理由としては各種業務における規制緩和・軽減措置よりも、 「消費者へのイメージアップ」 「ステータスの取得」といった精神的なものが相対的に高いようだ。 39 表 IV-46 認定取得理由に関する事業者コメント 認定を取得する/取得した理由 認定取得により、社員一人一人の考え方の変化があり、前向きに人材育成ができた。 特にメリットを考えて認定販売事業者の認定を取得したわけではない。インセンテイブがあれば、それにこしたことは ない。自社の経営方針として取得。 地域において業界をリードしていこうと思っている。そのためには認定販売を取得する意義があった。 認定取得でのメリットをあまり感じないが、緊急時の保安距離の緩和が得られた。 当社の集中監視への取り組みは、安全性と安定供給をより高めながら合理化を推進することであった。認定制度以 前に基礎ができており、その証を早期に頂いた結果、緩和が認められた。 LPガス販売に対しての責務だと思う。 消費者のガスに対する安心感。 社員の保安に対する意識の高揚。差別化、プライド。 ガスシステムに関する信頼(ガス事故の抜本対策の一つ)。 また取得しない理由としては「取得しなくても何の支障もない」 「インセンティブに魅力がない」と いう意見が多い。 表 IV-47 認定を取得しない理由に関する事業者コメント 認定を取得しない理由 集中監視を導入しても安全レベルは同じである。このような事にインセンテイブの対象とする事には疑問を持つ。 消費者にメリットがない為、取得予定なし。 メリット無。 インセンテイブに魅力がない。 インセンティブが利益に直結しない。県営住宅の入札は認定販売事業者に限るなどの、消費者の選別材料となれば 話は別だが。 点検期間の延長はたいした問題ではない。 制度が社会に知らされていない又認知されてなくPRメリット無し、当社は基準以上で事業実施。 認定業者にならなくても問題を感じない。保安はしっかりやっている。 なお、以下の図は消費者の認定販売事業者に対する認知度と認定制度のPRの必要性についてグラ フ化したものである。 図 IV-48 消費者の認定販売事業者に対する認知度 図 IV-49 認定販売事業者制度のPRをすべきと、 100% 100% 90% 90% 80% 80% 70% 70% 60% 60% 50% 50% 40% 40% 30% 30% 20% 20% 10% 10% 0% ウ.判らない イ.知らない ア.知っている 大いにある(78社) 24% 58% 17% ある(168社) 25% 67% 9% 0% あまりない(96社) 22% 68% 7% ウ.どちらでもない イ.思わない ア.思う 大いにある(78社) 9% 10% 78% ある(168社) 21% 14% 63% あまりない(96社) 23% 28% 47% ほとんどの事業者は消費者が認定販売事業者制度を「知らない」と回答しており、認定を取得する 際の理由で最も多かった「消費者へのイメージアップ」については、実際はほとんど効果が出ておら ず、今後この制度について積極的なPRを求める声が多い。 40 表 IV-50 認定販売事業者制度の PR に関する事業者コメント 認定販売事業者制度の PR 自社では行っているが、行政サイドでも積極的にPRをして欲しい、そうでないと他社との差別化にならない。 自社にてPRをしてきたが、認知してくれる消費者にいまいち伝わらない、行政・業界の協力な後押しが必要と痛感。 認定販売事業者制度を一般消費者に知ってもらうこと。行政、業界も開示すべきである。行政には義務がある。 パンフレットにも全面に取り上げており、経済産業省の認定事業者説明のパンフレットをつけて、消費者にPRしてい る。 地域第1号の認定業者であることなどを広告やチラシで訴えて消費者PRに努めているが、消費者はほとんど意識し ていないだろう。 ただし、集中監視はCSとして「やるべき」であり、実際に保安では絶大な効果があるのは確か。 たくさんの保安情報が入ってくることに対する価値観が問われるのではないだろうか。情報が入ってくることに対して 嫌だと思うのか、意義ある情報だと思うのか。 ガスの良いところを広めて、イメージを上げる。業界の努力。業界の ために「飛びつくべき」システムである。 ③ インセンティブの評価と拡大要望 以下の図はインセンティブに対する評価をグラフ化したものである。 図 IV-51 インセンティブに対する評価 100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% ウ.あまりメリットを感じない イ.まあまあメリットを感じる ア.大いにメリットを感じる 大いにある(78社) 53% 27% 14% ある(168社) 64% 29% 2% あまりない(96社) 83% 11% 0% 集中監視システムを高く評価している事業者においてもインセンティブのメリットを感じない比率 が極めて高い水準になっている。 41 以下の図は、インセンティブへの要望について、グラフ化したものである。 図 IV-52 インセンティブへの要望 100% ( 回 答 90% 率 ) % 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% オ.バルク供給集合住宅の、各 カ.消費者がガス購入先を変更 キ.消費者への「周知」文書の ク.認定条件の達成度に応じた 戸へ集中監視システム導入時 の場合は、前供給者保安レベ 中に「認定販売事業者資格の 段階的な認定(第一種、第二種 の何らかのインセンティブ付与 ル維持を義務化する 有無」を明記させる 等)及びインセンティブの適用 32% 44% 55% 35% ア.集中監視システムの 導入費用の一部補助 イ.集中監視システムに 関する人材育成への支援 ウ.調査・点検の省略や 期間延長 エ.各種報告の電子化 大いにある(78社) 58% 22% 64% 23% ある(168社) 68% 18% 55% 17% 40% 55% 45% 33% あまりない(96社) 56% 8% 51% 7% 32% 44% 15% 16% 表 IV-53 インセンティブの要望に関する事業者コメント インセンティブへの要望 インセンティブへの要望では、3年に1回の立ち入り検査の期間をもっと延ばしていただきたい。 認定事業者は自主保安業者とし、大幅な法的規制を解いて、自主的に保安活動を行うような制度に変更すべき。 インセンティブの要望としては、点検の4年に1回を緩和してほしい。莫大なコストがかかる。しかも、昼間はいなかっ たり夜はコスト高だったりで、3回ぐらい訪問しないと点検できないことも多いが、そんなフィーは負担できない。別に 点検を手抜きしているわけではないのだから、認定を受けている意識の高い業者は、自主保安の方向へ向かうべき ではないか。 インセンテイブのメリットの割りにデメリットの方が多い。調整器、高圧ホース、警報器の期限等の期限管理の問題。 公共施設の認定事業者の優先納入。 県市町村の施設へのガスの納入、入札等への優先順位。 認定販売事業者制度についてインセンティブに魅力を感じない。公共施設への納入に優先権があるようなもので あって欲しい。 弊社は現在、認定事業者であるが、例えば公共施設へのガス納入に関する入札資格は認定販売事業者に限定す る等、実利のある見直しでなければメリットとしてとらえられない。 公共施設へのガス納入に関する入札資格を認定業者に限定する等実利のある方策。 工場だとISOを取らないと商売できない。ガスもそうするべきだった。県営住宅の入札なども認定販売業者を優先す ることは無いから、集中監視を実施している分コストがかかって不利になる。ホテルの格付けみたいな扱いにすべき だった。 インセンティブが利益に直結しない。県営住宅の入札は認定販売業者に限るなどの、消費者の選別材料となれば話 は別だが。点検期間の延長はたいした問題ではない。 公営住宅等のLPガス供給は認定対象先に限定するぐらいの方針はだすべき。 70%の導入はかなり難しいので、導入率の引き下げ。 42 今後、 ・保安機器点検に関する行政立ち入り検査の減免など、各種業務に関する更なる緩和施策(行政) ・行政施設や公営住宅における入札参加のための必須資格にするなど、認定の格付けの強化(行政) ・消費者への制度周知(行政) ・段階的なインセンティブの付与(局地的な導入率に対するその地域に限定したインセンティブ付 与など) (行政) といった制度改革・拡大が強く求められている。 43 (3)導入費用 以下の図は、集中監視システムの導入・維持費用に関して、導入メリットの層別ごとに回答率をグ ラフ化したものである。 図 IV-54 費用面における集中監視システムの問題・課題 回 答 率 90% 80% % ) ) % 100% ( ( 回 答 率 図 IV-55 集中監視システムの導入・拡大のための対策 70% 100% 90% 80% 70% 60% 60% 50% 50% 40% 40% 30% 30% 20% 20% 10% 10% 0% ク.(ノーリンギン ケ.システム保守 カ.端末装置 キ.端末設置工事 コ.監視委託料金 グ)電話回線費用 費用が高い(委託 (NCU)費用が高い 費が高い が高い が高い も含む) 60% 22% 21% 18% 9% 大いにある(78社) 65% 39% 16% 23% 16% ある(168社) 68% 44% 15% 25% 13% あまりない(96社) 0% サ.24時間監視 体制がとれない 0% 3% 6% ア.端末設備の費用低減 イ.工事委託費用の低減 79% 83% 82% 36% 58% 58% 大いにある(78社) ある(168社) あまりない(96社) ウ.(ノーリンギング)回線費 エ.監視体制の共同運営化 用の低減 22% 27% 31% 14% 26% 22% 大きな初期投資の要因となるNCUの費用が高いという声がどの層別においても多くなっている。 表 IV-56 集中監視システムの費用に関する事業者コメント 集中監視システムの費用 NCU、メータ等のコストが高い。また工事料金も高い。 電気工事の資格も取得しているが、信用問題もあり、大手通 信キャリアの下請け業者に委託していおり、やはり高い。 システム構築費用が高すぎると感じている。 コストが高い。ここまできたら、やるしかないが、6000件を超えているから、2万5千円×6000で1億5千万円の設備費 がかかっている。しかも、センター維持費も毎月60万円。そうすると全部でトータル2億円ぐらいはかかっている。 S型メータの信号(指針、保安情報など)を送信するだけのシンプルでコストの安い端末があればいい。無線化され て機能がシンプルになってくれ、同時に安くなれば設置に前向きになれる。 今迄のNCUは電池切れが早くて電池も替えられず費用がかさんで困った。 ひとつの端末で接続できるセンサ・接点数が少ない 監視センター外注化時のコスト低減 44 以下の図は、NCU端末費用、NCU設置工事委託費、緊急時連絡業務委託料金について、導入メ リットの層別に、現状価格と負担しても良いと思われる上限価格の分布をグラフ化したものである。 図 IV-57 NCUの現状価格 N C U 端 末 費 用 N C U 設 置 工 事 委 託 費 緊 急 時 連 絡 業 務 の 委 託 料 金 図 IV-58 NCUの上限価格 100% 100% 90% 90% 80% 80% 70% 70% 60% 60% 50% 50% 40% 40% 30% 30% 20% 20% 10% 10% 0% カ. 13、000円 オ. 11、000円 エ. 10、000円 ウ. 9、000円 イ. 8、000円 ア. 7、000円以下 大いにある(78社) 18% 22% 19% 12% 9% 10% ある(168社) 16% 33% 21% 7% 3% 8% 0% あまりない(96社) 21% 28% 21% 5% 2% 13% カ. 13、000円 オ. 11、000円 エ. 10、000円 ウ. 9、000円 イ. 8、000円 ア. 7、000円以下 100% 100% 90% 90% 80% 80% 70% 70% 60% 60% 50% 40% 30% 30% 20% 20% 10% 10% 大いにある(78社) 31% 9% 9% 21% 4% 6% 8% 8% ある(168社) 23% 24% 11% 15% 8% 5% 5% 6% あまりない(96社) 20% 28% 7% 19% 7% 2% 3% 7% 0% キ. 10、000円 カ. 9、000円 オ. 8、000円 エ. 7、000円 ウ. 6、000円 イ. 5、000円 ア. 4、000円以下 図 IV-61 緊急時連絡業務委託料金の現状価格 100% 90% 90% 80% 80% 70% 70% 60% 60% 50% ある(168社) 5% 1% 8% 10% 6% 24% 37% あまりない(96社) 5% 1% 6% 2% 6% 25% 48% 50% 40% 40% 30% 30% 20% 20% 10% 0% 大いにある(78社) 3% 4% 13% 4% 10% 26% 27% 図 IV-62 緊急時連絡業務委託料金の上限価格 100% カ. 自社で実施 オ. 250円/件 以上 エ. 200円/件 ウ. 150円/件 イ. 100円/件 ア. 50円/件 以下 あまりない(96社) 1% 2% 7% 1% 13% 70% 50% 40% ク. 自社で実施 キ. 10、000円 カ. 9、000円 オ. 8、000円 エ. 7、000円 ウ. 6、000円 イ. 5、000円 ア. 4、000円以下 ある(168社) 2% 2% 8% 5% 10% 67% 図 IV-60 NCU設置工事委託費の上限価格 図 IV-59 NCU設置工事委託費の現状価格 0% 大いにある(78社) 4% 8% 12% 6% 8% 56% 10% 大いにある(78社) 35% 5% 0% 10% 26% 12% ある(168社) 20% 2% 3% 16% 35% 17% あまりない(96社) 27% 3% 6% 11% 27% 11% 0% オ. 250円/件 エ. 200円/件 ウ. 150円/件 イ. 100円/件 ア. 50円/件 以下 大いにある(78社) 4% 1% 8% 31% 35% ある(168社) 1% 2% 10% 25% 51% あまりない(96社) 1% 2% 4% 28% 52% どの価格水準においても、導入メリットを感じている事業者の方が価格感応性が高いことが分かる が、その層においても現状価格と上限価格の間には大きなギャップが存在していることが分かる。 今後、 ・NCU端末費用などの低価格化への一層の努力(メーカー、システム提供会社等) ・リースなど導入初期の一時的な負担を軽減する仕組み・方法の整備・利用拡大(メーカー、業界 団体) といった対策が求められている。 45 (4)通信インフラの影響 ① 通信インフラによる阻害内容 以下の図は、通信インフラの影響に関してグラフ化したものである。 図 IV-63 通信インフラの影響による問題・課題 回 答 率 90% 100% 80% % 90% 80% ) ) % 100% ( ( 回 答 率 図 IV-64 通信インフラに対する対応で困っていること 70% 70% 60% 60% 50% 50% 40% 40% 30% 30% 20% 20% 10% 10% 0% シ.ISDN、ADSL、CATV等 タ.端末の多様化に対応し ヌ.携帯電話世帯が増えて ニ.消費者の電話回線使用 の通信環境変化による二重 て、システムの維持管理が きたため、回線の確保が難し 承諾が得られない 投資の発生 できる人材がいない い 77% 19% 17% 77% 大いにある(78社) 88% 29% 15% 71% ある(168社) 88% 32% 11% 73% あまりない(96社) 0% ア.二重投資の発生 イ.担当者の士気の低下 77% 85% 90% 8% 14% 23% 大いにある(78社) ある(168社) あまりない(96社) ウ.家庭内通信機器の多様化がも たらす集中監視システムのトラブル に対応できる人材がいない 37% 42% 43% エ.その他 3% 3% 5% 集中監視システムの抱える問題・課題としては、通信インフラに関する指摘がもっとも多かった。 表 IV-65 通信インフラの影響に関する事業者コメント 通信インフラ変更の影響 電話回線の変更が大きな阻害要因。(メンテナンスがネック) ISDN、ADSLによる切断が850件。14.1%が切られている。 修復工事が1件5000円ぐらいだからおよそ500万円かかっている。 ISDN・ADSLの回線変更による二重投資。既設アパートへの導入が困難。 電池切れ、回線変更で約2000件程度は通信不能の状態である。 ISDN/ADSLの回線変更の影響で切断が多発、しばらく放っておいたが、歯抜け状態になってしまった。 ISDN・ADSL・IP電話など設置先への集中監視システム導入対策 通信環境の変化による二重投資。「現在、月に5件程度はある」。導入当初、100%を目指したが通信環境の変化 が激しく見合わせ中。 ISDN・ADSL等、変更工事が煩雑である。無線化はコストが高くつくので、やっていない。 ISDN・ADSLの問題と、切替業者の問題が重なった結果、導入に消極的となる流れが生まれたと思う。 通信インフラの整備が大前提(顧客の回線変更に左右されないシステムの確立) 戸別供給先には全戸取り付けたいのだが、二重投資の恐れがたぶんにあるため、技術的に解決すれば普及させた い。 とにかくISDN等通信環境が落ち着かないと先が見えない。 ここ数年、通信環境の変化が激しく、又固定電話の減少が著しい。これらの対策無くしては普及は無い。 46 また、ハード的な二重投資のみならず、通信キャリアやインターネットプロバイダによる誤った知 識・対応によって、LPガス事業者に NCU の取り外しと再取り付けといった二度手間・三度手間が 発生しており無駄な稼動を強いられているのが現状である。 通信インフラの影響が、コスト面のみならず精神的な面においても投資意欲を削ぐ極めて大きな要 因となっている。 表 IV-66 通信キャリア・インターネットプロバイダの対応に関する事業者コメント 通信キャリア・インターネットプロバイダの対応 ISDN、ADSL、光ファイバーでも、根拠がなくスピードが遅いからお客様が勝手に外して、変化がないから再び取付 けてくれという連絡が入って、ガス事業者が対応しなければならない状況。工事の二重投資や二度手間三度手間が 発生している。 ADSLのお客さんの認識が問題。ADSLのエリアギリギリなのが原因なのにNCUが原因でスピードが遅いと勘違いし ている。説明の二重三重の訪問が必要で、大手通信会社、インターネットプロバイダー等はガスのせいにする。アフ ターまできちんと対応することが信用と思って対応しているが、後処理がかなり面倒で無駄も多い。 ② 無線化と課題 通信インフラ問題への打開策の一つとして無線化が推進されている。 以下の図は、無線の取組状況と無線化の理由について、導入メリットの層別にグラフ化したもので ある。 図 IV-67 無線化の対応状況 70% 回 答 率 60% 100% 90% ( ( 回 答 率 図 IV-68 無線化する理由 80% ) % ) % 70% 50% 60% 40% 50% 30% 40% 20% 30% 20% 10% 10% 0% 0% ウ.無線化しない イ.無線化を検討中 ア.無線化している 大いにある(78社) 15% 26% 51% ある(168社) 18% 33% 48% ア.消費者の電話 イ.有線回線がな ウ.消費者の通信 エ.設置工事の簡 回線使用許諾が い(携帯電話世帯 環境変化による二 略・簡素化 得られない の増加) 重投資の回避 15% 64% 41% 42% 大いにある(78社) 17% 57% 41% 42% ある(168社) 17% 45% 43% 41% あまりない(96社) あまりない(96社) 20% 39% 36% オ.その他 6% 7% 4% どの層においても無線化の検討・着手を進める事業者が多いことが分かり、無線化の理由としては、 「固定電話のない消費者への対応」 、 「通信環境変化による二重投資の回避」、 「設置工事費の低価格化」 が挙げられている。 表 IV-69 無線化推進理由に関する事業者コメント 無線化推進理由 無線はISDN、ADSLの対応のため。また電話回線引き込みの保安器が高所に取付けてある家庭向け。 賃貸マンション等入居変動が多い物件で集合検針親機を無線で運用。既築マンション等では子機も無線化し施工費 を下げている。 (回線許諾が得られないところでも)無線では100%設置できるから 養老院、病院等緊急回線を有している施設でのトラブル回避のためPHSを使用。 バルク設置の場合全てPHSか携帯 無線化はバルク供給先(小規模団地、アパート等)に対する残量管理の確保 47 以下の図は無線化しない理由や無線が抱える問題について、グラフ化したものである。 図 IV-70 無線化しない理由 図 IV-71 無線化推進のための要望 回 答 率 ) % ( ( 20% 回 答 18% 率 16% % 14% 100% 90% 80% ) 70% 12% 60% 10% 50% 8% 40% 6% 30% 4% 20% 2% 10% 0% ア.電波環境が悪 ウ.無線回線費用 エ.現状で特段の イ.信頼性の懸念 い が高い 支障がない 4% 3% 12% 10% 大いにある(78社) 4% 4% 6% 10% ある(168社) 1% 2% 11% 11% あまりない(96社) 0% オ.その他 ア.端末価格の低減 1% 2% 0% 大いにある(78社) ある(168社) あまりない(96社) 74% 77% 78% イ.月額回線使用料の 低減 46% 55% 51% ウ.信頼性の向上 エ.電波エリアの拡大 オ.その他 45% 38% 35% 63% 61% 46% 3% 4% 2% 無線特有の「信頼性の問題」や「カバーエリアの問題」 、また「有線回線に比するコストの割高感」 が無線化の問題・課題となっている。 表 IV-72 無線の課題に関する事業者コメント 無線の問題・課題 特に電波エリアの拡大 PHSを使用しているが今後もPHSが無くならないという保証が欲しい。 無線の誤報や信頼性の問題。ビルが建つと検針できなくなったりする。 小規模のアパート4戸、6戸、8戸用位で安い無線システムがない為。 PHS通信等による無線端末の低価格化による取付率のアップ。集中監視システムそのものの低価格化を進めて欲 しい。 無線の設備費が高い。 無線化のコストが高くつく。電池切れによる交換費用もバカにならない。 一部無線化を実施しているが使用料が高い。 48 以下の図は通信環境に関する対応状況について、グラフ化したものである。 図 IV-73 多様化する通信環境への対応状況 回 答 率 90% 80% 60% 50% % ) ) % 100% ( ( 回 答 率 図 IV-74 無線の種類 70% 40% 60% 30% 50% 40% 20% 30% 20% 10% 10% 0% 大いにある(78社) ある(168社) あまりない(96社) ア.ISDN イ.ADSL ウ.CATV エ.光ファイバー 85% 77% 69% 82% 84% 66% 8% 16% 11% 10% 10% 5% 0% オ.電話回線のない世帯 (携帯電話世帯) 32% 36% 32% 大いにある(78社) ある(168社) あまりない(96社) ア.携帯電話 31% 28% 28% イ.PHS 44% 48% 38% ウ.特定小電力無線 33% 32% 27% ISDN、ADSLに関しては、苦労しながらも多くの事業者が対応しているのが分かる。 また無線の種類としてはPHSが若干多く、費用的にも携帯電話に比べて安いようだ。 (多様化する通信環境とその対応策については、 【第3部 実情調査編】P.1~P.7 「通信インフラ 変動と対応策」を参照。 ) 今後、 ・通信インフラ変更に影響されにくいシステム・仕組みの開発(メーカー、システム提供会社等) ・無線等、自前かつ低料金回線の確保(行政、業界団体、通信キャリア) ・通信キャリア、インターネットプロバイダによる適切な対処の徹底・依頼(業界団体、通信キャ リア) が対策として強く求められている。 49 (5)経営環境の影響 LPガス事業における経営環境も、集中監視システムに対する投資意欲に影響していると思われる。 ① 競争環境(外部要因) 以下の図は、経営に関する外部要因として競争環境に関する事業者の認識を、導入メリットの層別 にグラフ化したものである。 図 IV-75 同業者間の競争激化と集中監視システム 回 答 率 90% 80% % ) ) % 100% ( ( 回 答 率 図 IV-76 競争環境に関する問題意識 100% 90% 80% 70% 70% 60% 60% 50% 50% 40% 40% 30% 30% 20% 20% 10% 10% 0% 大いにある(78社) ある(168社) あまりない(96社) 0% ウ.消費者の奪い合いによる投資の無駄を懸念する 29% 45% 31% ナ.消費者の囲い込み・固定化につながらない 15% 26% 45% ア.電力会社の攻勢 イ.都市ガス会社の攻勢 85% 90% 88% 36% 40% 42% 大いにある(78社) ある(168社) あまりない(96社) ウ.同業者間の顧客獲得 競争の激化 44% 61% 67% サ.需要が伸びない シ.イメージが良くない 64% 73% 73% 9% 5% 14% 消費者の奪い合いによって集中監視システムへの投資が無駄になることで、金額以上に精神的な面 から投資意欲を削いでいるようだ。 表 IV-77 同業者間の不当競争に関する事業者コメント 同業者間の不当競争環境 他店切替の抑止が望めるようなインセンティブの見直しが必要。 他店切替では、監視システムは買い取ってくれないし、取り付けもしない。保安低下が促進される悪影響あり。 業界として、各種規制を遵守してもしなくても何の差異も無い。不公平感あり。 権利の売買慣習もおかしいことである。 不当な価格体系等の商行為の取り締まり(二重価格等)、消費者トラブルの放置。公共エネルギーとしての価格問 題を解決すべき。顧客のガス切替の場合に供給設備、集中監視設備等を買い取るような法制度を整備すべき。 集中監視システム設置先への、他業者の安値売り込みについて・・・消費者が料金やサービスの差を比べて業者を 自由に選ぶのは当然のことであり、競争原理の中で販売業者が、切磋琢磨するのには反対はない。しかし、それは 切替後も同レベルを消費者に提供してゆくことが前提であり、他社が保安設備として投資していた集中監視システ ムを外して、新たな保安投資をしない不良業者と競争しろというのでは、片手落ちであり、酷な話である。しかもシス テムがついているところが、攻勢のターゲットになっている現状であり、行政の強い指導を望む。 同業者による、法・ルールを無視した営業活動。 一部大手業者のダミーを使った顧客勧誘、差別対価勧誘を法で明確に規制する。 無償配管、無償貸付器の法規制。 リフォーム及び新築の場合、建築業者から無条件で配管と給湯器(追い炊き工事も含む)の無償提供をはじめに言 われる。ことわると、建築業者が他のLPG業者を連れてくるため、意地を張ってでも顧客を減らさないために受けざ るをえない。 無償配管の定着、場合によっては給湯器までも無償化する業者がある。 無償配管を無くさない限り、この業界の生きる道はないと思うが、お互いに足を引っ張り合っている間に電化の前に ガスはなくなる。 大手業者の無謀な商売(配管、器具等の無償支給・建築業者へのリベート等)で小規模業者は経営基盤の強化どこ ろではない、多くの業者は半ば希望を失いかけている、これは国の方針なのか? 50 特に切替事業者との、公正とは思えない競争環境が広がっており、そうした事業者は集中監視シス テムを設置せず、またそうした競争環境に置かれる意欲的な事業者においても投資の無駄を恐れて集 中監視システムへの取組みが消極的となり、結果として保安レベルの低下・事故の増大につながると 懸念される。 また、他エネルギーとの競争においては、特にオール電化に対する危機感が非常に強い。 表 IV-78 他エネルギーとの競争に関する事業者コメント 他エネルギーとの競争環境 都市ガスとの競合。 ソーラーによるオール電化が怖い。地域で営業車両が何十台体制で走っている。戸建の場合、50%ぐらいが電化さ れている。今は新築では電気が当たり前で、ガスがオプション扱いになる。電気であることがPRになるようだ。 現在新築の8割がIH化されて売り出されている。一時的な流行だと思うが需要の伸びが期待できない。 電力会社の攻勢。IH化の動きは激しい。新築マンションの大部分はIH化されている。 IHの問題点を特集した雑誌をもとにチラシを作って配ったら、公正取引委員会から文句が入ったが、それなら独占 企業が建築会社に裏リベートを出しているのを取り締まるべき。 深夜料金でオール電化を提供する価格体系には到底納得できない。それならば昼間の電気も深夜料金水準で提供 すべきだ。あまりにも極端な二重価格が容認されており、行政は早急に是正措置や指導をすべきだ。 電気は、建築業者にお金をばら撒いている。小企業では手の打ちようがない。 LPガスは簡易、安全、利便性が高く、クリーンなエネルギー全国津々浦々まで普及しているにも係わらず基本エネ ルギーとして位置付けが低すぎる。政府、行政機関にもっと認知していただきたい。 2007年の電力自由化の時期までには、集中監視の投資の償却も終わっているべき。集中監視もやらない業者が、 燃料電池は無理。電力・都市ガスと戦えるわけがない。 今後、 ・消費者のガス購入先を変更する場合は、その業者が前供給者の保安レベルを維持することを義務 化(行政) ・他のエネルギー事業者も含めて、極端な二重価格を設定している事業者に対する指導・規制(行 政) ・他のエネルギー事業者も含めて、不透明な商慣習に対する是正措置・規制(行政) ・クーリングオフの徹底などの消費者保護の強化(行政) が対策として強く求められている。 51 ② 内部環境 以下の図は、経営に関する内部環境が集中監視システムの投資意欲に与えている影響について、導 入メリットの層別ごとにグラフ化したものである。 図 IV-79 経営環境と集中監視システムの問題・課題 100% ( 回 答 率 ) % 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% ア.事業の将来展望が見 イ.集中監視システムの タ.端末の多様化に対応 えないので集中監視シス 導入より他に、優先順位 して、システムの維持管 チ.導入推進者がいない テムに投資できない の高い投資先がある 理ができる人材がいない 9% 18% 19% 4% 大いにある(78社) 18% 35% 29% 7% ある(168社) 38% 45% 32% 13% あまりない(96社) ツ.集中監視システムを テ.消費者の負担増にな ト.単位消費量が少なくコ 導入すると、消費者との る(消費者が負担してくれ スト負担が困難 商談の機会がなくなる ない) 19% 6% 13% 35% 17% 38% 33% 22% 30% いずれの問題も、導入メリットを感じていない事業者ほど高水準となっており、人材不足や消費者 需要の停滞が投資意欲を削ぐ要因となっている。 表 IV-80 内部経営環境に関する事業者コメント 内部経営環境 人材育成をもっと行っていきたい。 問題点はたくさんありますが、人口が少なくなっていく一方で、ユーザーの数が少なくなっていきます。こういう問題に 対して今後どのように対処していくかが、我々の問題です。 将来ガス料金の引き下げは避けて通れない問題であるが、需要の伸びが期待できず、コストの低減を図るべきであ るが、その対策に苦慮している。 高齢化、過疎化の中で消費量が減少してゆくこと。 過疎化が激しく、年々ユーザーが減るばかりで新規ユーザーを確保できない。単位消費量アップなど努力をしている が認定販売事業者の行政差異化等に期待したい。 今後、 ・「e-Japan 戦略Ⅱ」における IT 化支援施策の一環としての人材雇用・人材育成に対する助成(行 政) ・ハード面のみならず経営・ソフト面における各種講座・セミナーの充実(行政・業界団体) が対策として求められている。 52 (6)まとめ ○阻害要因1:導入効果が十分でない • 導入メリットが大きい事業者ほど、今後の導入方針も積極的な姿勢を打ち出している一方で、導 入効果が少ない事業者は現状維持あるいは休止状態になるといった消極的な姿勢を見せている。 • 導入率が低くても明確な導入戦略とシステムの有効活用によって早期に効果を見出したグループ は、今後の導入意欲も非常に強く、効果が出なかった事業者と比較して 1 年後の導入率では非常 に高い伸びを見込んでいる。 今後、導入効果を引き出すために、 ・導入初期における先行成功事例の更なる研究と周知(行政、業界団体) ・導入時の提案・アドバイスの徹底・強化(メーカー、システム提供会社等) ・後方支援システムとのデータ連動ノウハウの共有と周知(業界団体、LPガス販売事業者) ・特に委託配送における配送センター単位の導入率の拡大(業界団体、LPガス販売事業者) ・配送センターと配送を委託している事業者との間の配送データ交換のためのシステム導入の促進 (行政、業界団体、メーカー、システム提供会社等) といった対策が必要である。 ○阻害要因2:導入インセンティブの不足 • 認定販売事業者の認定を取得する理由としては各種業務における規制緩和・軽減措置よりも、 「消費者へのイメージアップ」 「ステータスの取得」といった精神的なものが相対的に高く、取 得しない理由としては「取得しなくても何の支障もない」 「インセンティブに魅力がない」とい う意見が多い。 • 集中監視システムを高く評価している事業者においてもインセンティブのメリットを感じない 比率が極めて高い水準になっている。 今後、 ・保安機器点検に関する行政立ち入り検査の減免など、各種業務に関する更なる緩和施策(行政) ・行政施設や公営住宅における入札参加のための必須資格にするなど、認定の格付けの強化(行政) ・消費者への制度周知(行政) ・段階的なインセンティブの付与(局地的な導入率に対するその地域に限定したインセンティブ付 与など) (行政) といった制度改革・拡大が強く求められている。 ○阻害要因3:導入費用 • 大きな初期投資の要因となるNCUの費用が高いという声が多い。 • 導入メリットを感じている事業者の方が価格感応性が高いことが分かるが、その層においても 現状価格と上限価格の間には大きなギャップが存在している。 今後、 ・NCU端末費用などの低価格化への一層の努力(メーカー、システム提供会社等) ・リースなど導入初期の一時的な負担を軽減する仕組み・方法の整備・利用拡大(メーカー、業界 団体) といった対策が求められている。 53 ○阻害要因4:通信インフラの影響 • 集中監視システムの抱える問題・課題としては、通信インフラに関する指摘がもっとも多かっ た。 • ハード的な二重投資のみならず、通信キャリアやインターネットプロバイダによる誤った知 識・対応によって、LPガス事業者に NCU の取り外しと再取り付けといった二度手間・三度 手間が発生しており、コスト面のみならず精神的な面においても投資意欲を削ぐ極めて大きな 要因となっている。 • 「固定電話のない消費者への対応」、「通信環境変化による二重投資の回避」、「設置工事費の低 価格化」を目的に無線化を進める事業者が多いが、無線特有の「信頼性の問題」や「カバーエ リアの問題」 、また「有線回線に比するコストの割高感」といった問題・課題もある。 今後、 ・通信インフラ変更に影響されにくいシステム・仕組みの開発(メーカー、システム提供会社等) ・無線等、自前かつ低料金回線の確保(行政、業界団体、通信キャリア) ・通信キャリア、インターネットプロバイダによる適切な対処の徹底・依頼(業界団体、通信キャ リア) が対策として強く求められている。 ○阻害要因5:経営環境(競争環境)の影響 • 切替事業者との、公正とは思えない競争環境が広がっており、そうした事業者は集中監視シス テムを設置せず、またそうした競争環境に置かれる意欲的な事業者においても投資の無駄を恐 れて集中監視システムへの取組みが消極的となり、結果として保安レベルの低下・事故の増大 につながると懸念される。 • 他エネルギーとの競争においては、特にオール電化に対する危機感が非常に強い。 • 消費者の奪い合いによって集中監視システムへの投資が無駄になることで、金額以上に精神的 な面から投資意欲を削いでいる。 今後、 ・消費者のガス購入先を変更する場合は、その業者が前供給者の保安レベルを維持することを義務 化(行政) ・他のエネルギー事業者も含めて、極端な二重価格を設定している事業者に対する指導・規制(行 政) ・他のエネルギー事業者も含めて、不透明な商慣習に対する是正措置・規制(行政) ・クーリングオフの徹底などの消費者保護の強化(行政) が対策として強く求められている。 ○阻害要因6:経営環境(内部環境)の影響 • 人材不足や消費者需要の停滞が投資意欲を削ぐ要因となっている。 今後、 ・「e-Japan 戦略Ⅱ」における IT 化支援施策の一環としての人材雇用・人材育成に対する助成(行 政) ・ハード面のみならず経営・ソフト面における各種講座・セミナーの充実(行政・業界団体) が対策として求められている。 54 V . 付加価値サービスの可能性 LP ガス販売事業者は、①消費者と永年継続取引がある、②消費者との間に口座を持ち毎月集金して いる、③消費者まで 30 分で駆けつける距離に事務所があるなど、消費者との信頼関係が醸成された経 営環境にある。 こうした中、平成15年7月2日に『e-japan 戦略Ⅱ』が公表され、IT の市民生活への利活用の部 門でガス・水道・電力の自動検針、家庭内緊急通報の整備、高齢者の在宅健康管理などが決定され達成 目標、事後評価を行うことが決められた。 上記の経営環境に加え、集中監視システムはこの部分をほとんどカバーする機能を持つことから、 LP ガス事業者が e-japan の先導役を勤められる立場にあり、LP ガス業界にとって構造改善のベース を作る大きなチャンスであると捉えることもでき、LP ガス集中監視システムのインフラを活用した新 規事業の開始という面では好環境であるとともに、非常に効果が大きいと思われる。 以降では、LP ガス事業者や LP ガス消費者のアンケート回答や現地調査で聞き出したコメントを基 に、LP ガス集中監視システムのインフラを利用したホームセキュリティ・介護等の家庭をターゲット とした新しい事業展開の展望と実現可能性を検証する。 (参考資料として、【第3部 実情調査編】P.8~P.47 理システムの実情調査」も参照。 ) 55 「ホームセキュリティ、介護支援、健康管 1.事業者の意識 (1)付加価値サービスの必要性 以下の図は、付加価値サービスの必要性に関する事業者の意識について、導入メリットの層別ごと にアンケート回答の傾向をグラフ化したものである。 図 V-1 付加価値サービスの必要性を、 100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% ウ.分からない イ.感じない ア.感じる 大いにある(78社) 8% 5% 83% ある(168社) 18% 11% 68% あまりない(96社) 17% 23% 58% 全般的にどの層の事業者も付加価値サービスの必要性を感じているが、集中監視システムのメリッ トを大きく感じている事業者ほど、より付加価値サービスの必要性を感じている。 (2)付加価値サービスの目的 以下の図は、付加価値サービスの目的についてグラフ化したものである。 図 V-2 付加価値サービスの目的 ( 回 100% 答 90% 率 80% % 70% ) 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% ウ.集中監視シ エ.顧客要望に オ.他社との差 カ.営業戦略の ア.事業基盤の イ.事業領域の ステムのコスト よるサービスの 別化 強化 安定 拡大 向上 回収 50% 37% 29% 53% 63% 56% 大いにある(78社) 33% 27% 39% 51% 63% 45% ある(168社) 28% 29% 24% 46% 55% 42% あまりない(96社) キ.その他 3% 1% 1% グラフの通り、「他社との差別化」「顧客サービスの向上」「営業戦略の強化」「事業基盤の安定」と いった認識が相対的に多い。 56 2.消費者のニーズと事業者の取組み (1)各サービスのニーズ 以下の図は消費者の付加価値サービスに対するニーズについて、NCU 設置・未設置の消費者層別ご とにグラフ化したものである。 図 V-3 消費者の付加価値サービスに対するニーズ ( 回 答 率 ) % 100% 90% 高齢者安否確認サービス 緊急通報サービス 防犯(ホームセキュリティ) 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% ア.今すぐにで イ.条件次第で ウ.あまり興味 ア.今すぐにで イ.条件次第で ウ.あまり興味 ア.今すぐにで イ.条件次第で ウ.あまり興味 も利用したい は利用したい がない も利用したい は利用したい がない も利用したい は利用したい がない NCU設置消費者 NCU未設置消費者 11% 3% 69% 63% 19% 33% 10% 4% 69% 61% 20% 33% 15% 7% 62% 64% 20% 28% 100% 90% % 80% ( 回 答 率 防災・防火監視サービス 灯油残量監視サービス 給湯器の故障通知・診断 ) 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% ア.今すぐにで イ.条件次第で ウ.あまり興味 ア.今すぐにで イ.条件次第で ウ.あまり興味 ア.今すぐにで イ.条件次第で ウ.あまり興味 も利用したい は利用したい がない も利用したい は利用したい がない も利用したい は利用したい がない NCU設置消費者 NCU未設置消費者 ) % 64% 70% 18% 23% 5% 7% 30% 29% 57% 60% 11% 6% 44% 51% 40% 42% 100% 90% ( 回 答 率 15% 6% 健康状況管理サービス 家電の遠隔制御サービス 生活支援情報提供サービス 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% ア.今すぐにで イ.条件次第で ウ.あまり興味 ア.今すぐにで イ.条件次第で ウ.あまり興味 ア.今すぐにで イ.条件次第で ウ.あまり興味 も利用したい は利用したい がない も利用したい は利用したい がない も利用したい は利用したい がない NCU設置消費者 NCU未設置消費者 6% 3% 26% 34% 63% 63% 8% 4% 33% 42% 54% 54% 4% 2% 33% 32% 59% 66% 「高齢者安否確認」 「緊急通報サービス」 「ホームセキュリティ」 「防災・防火監視サービス」に関し ては、興味がない層よりもサービスを利用したいと考えている層の方が多い。 (参考資料として、 【第3部 実情調査編】P.26、P.41、および P.47 の 「ホームセキュリティ、 介護支援、健康管理システムの実情調査」の需要予測も参照。) 57 (2)各サービスの受容価格 以下の図は、消費者が各付加価値サービスを利用しても良いと考える料金に関してグラフ化したも のである。 図 V-4 消費者が負担しても良いと考える付加価値サービスの利用料金(月額) 高齢者安否確認 緊急通報サービス 無回答 オ.2,000 10.8% 円以上 0.0% エ.1,500 ~2,000円 未満 3.1% ウ.1,000 ~1,500円 未満 4.6% オ.2,000円 以上 エ.1,500~ 0.5% 2,000円未 満 3.1% ア.300~ 500円未 満 58.2% ホームセキュリティ 無回答, 14.9% 無回答 11.9% オ.1万円以 上, 0.0% エ.5,000~ 8,000円未 満, 0.0% ア.300~ 500円未満 57.7% ウ.1,000~ 1,500円未 満 4.1% ア.1,000円 未満, 62.4% イ.1,000~ 3,000円未 満, 19.6% イ.500~ 1,000円未 満 22.7% イ.500~ 1,000円未 満 23.2% 防災・防火監視サービス オ.1万円 以上 エ.5,000~ 0.0% 8,000円未 満 0.0% 灯油残量監視サービス オ.2,000円 以上 0.0% 無回答 13.4% ア.1,000円 未満 70.1% イ.500~ 1,000円未 満 10.3% 生活情報提供サービス 無回答 34.5% 無回答 32.5% オ.2,000円 以上 0.0% オ.1万円 以上 0.0% ア.1,000円 未満 59.3% ア.300~ 500円未満 61.3% ウ.1,000~ 1,500円未 満 1.0% 家電遠隔制御サービス 無回答 35.6% エ.5,000~ 8,000円未 満 0.0% ウ.3,000~ 5,000円未 満 イ.1,000~ 0.0% 3,000円未 満 5.2% ア.300円 未満 55.7% ウ.500~ 1,000円未 満 イ.300~ 2.6% 500円未満 6.7% 健康状況管理サービス 無回答 26.8% エ.1,500~ 2,000円未 満 0.5% エ.1,000円 以上 0.0% イ.1,000~ 3,000円未 満 13.9% 給湯器の故障通知・診断サービス 無回答 35.1% ウ.3,000~ 5,000円未 満 2.6% ウ.3,000~ 5,000円未 満, 3.1% オ.2,500円 以上 0.0% エ.1,500~ 2,000円未 満 0.5% ウ.1,000~ 1,500円未 満 2.1% イ.500~ 1,000円未 満 8.2% ア.300~ 500円未満 56.7% エ.2,000~ 2,500円未 満 ウ.1,500~ 0.0% 2,000円未 満 1.0% イ.1,000~ 1,500円未 満 2.6% ア.500~ 1,000円未 満 61.9% 相対的にニーズの低いサービスにおいては、最下層の価格帯を回答した消費者や無回答も多かった が、「高齢者安否確認」「緊急通報サービス」「ホームセキュリティ」「防災・防火監視サービス」に関 しては第二層以上の価格帯でも利用するとした消費者の割合が相対的に大きかった。 現地調査においても、たとえばホームセキュリティであれば、「3,000 円/月程度までなら負担して も良い」との声が多かった。 58 (3)事業者の意欲と実態 ① 実施したい付加価値サービス 以下の図は、事業者が今後実施したいと考えている付加価値サービスについて、各層別ごとの回答 率をグラフ化したものである。 図 V-5 実施したい付加価値サービス 70% 回 答 率 ( 60% ) % 50% 40% 30% 20% 10% 0% ア.高齢者 イ.高齢者 ウ.防犯 安否確認 緊急通報 監視 大いにある(78社) ある(168社) あまりない(96社) 56% 45% 47% 64% 57% 53% 28% 35% 33% エ.防災・ 防火監視 49% 55% 45% ク.給湯器 サ.ホーム オ.水道 カ.電力検 キ.灯油 ケ.健康 コ.情報提 シ.エネル ス.家電制 の故障通 ショッピン 検針 針 残量監視 管理 供 ギー管理 御 知・診断 グ 29% 14% 28% 31% 35% 15% 15% 23% 12% 23% 14% 30% 37% 24% 14% 17% 20% 8% 19% 7% 28% 28% 13% 13% 16% 14% 3% 事業者においても、「高齢者安否確認」「緊急通報サービス」「ホームセキュリティ」「防災・防火監 視サービス」を実施したいとの回答が多く、消費者ニーズと傾向がほぼ一致している。 ② 実施している付加価値サービス 以下の図は、現在既に実施している付加価値サービスについてグラフ化したものである。 図 V-6 現在実施している付加価値サービス ( 回 答 率 ) % 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% ク.給湯器 サ.ホーム ア.高齢者 イ.高齢者 ウ.防犯監 エ.防災・ オ.水道検 カ.電力検 キ.灯油残 ケ.健康管 コ.情報提 の故障通 ショッピン 安否確認 緊急通報 視 防火監視 針 針 量監視 理 供 知・診断 グ 3% 9% 3% 4% 0% 0% 19% 1% 0% 0% 0% 大いにある(78社) 3% 6% 2% 4% 1% 0% 8% 2% 0% 1% 0% ある(168社) 0% 1% 1% 0% 0% 0% 3% 1% 1% 0% 0% あまりない(96社) 現時点では、付加価値サービスの実施例はそれほど多いとはいえず、実施事業者の事業展開も限定 的・試行的なものが多い。 59 表 V-7 付加価値サービスの実施例 高齢者安否確認サービス 安否確認は4件ほどで、役場からの要請で実施しており、月額2,200円。 消費者のためのサービスとしてオプションではなく標準で実施。 安否確認は、高齢者用アパートにおいて、ガスを一定期間使用しなかった、あるいはつけっぱなしで遮断した際に、 住宅の管理人と警備会社と弊社の3者に通報が入り、それぞれが駆けつけるサービスを実施している。現在は23 戸の高齢者アパート1箇所にてテスト的に。 ホームセキュリティの月額4,000~5,000円にプラス500円で安否確認機能を追加できる仕組み。老人が増えて いるが、普及のためにはもっと値段が下がる必要があるのではないか。 安否確認は計画中で、行政とは「見守り介護」という内容で市町村との話し合いの段階。 緊急通報ではなく見守り タイプのサービス。料金体系もまだ白紙段階。 ガスを一日使用しないと警報を発する仕組み。対応は社会福祉協 議会へ連絡。 プライバシーにかかわるので、センターとしては対処しない。 別荘滞在の高齢者の動きを、東京の 息子等に週1回の検針記録を送って知らせたことがある。(3件・夏場) 独居老人の安否確認サービス1件。無料サービスで福祉課へ連絡が行く。 安否確認を社員でテストしているレベル。 緊急通報サービス 緊急通報(押しボタン)はT社の装置を利用。NCUの接点ポートを経由して受信。市の補助のある人は無料、市の補 助がない人はNCUのある人は800円、ない人は1,200円/月という内訳で、市が料金負担で200件実施。 警備 業の届出はしているが、基本的には、近隣協力者(ボランティア)に一次対応を依頼。協力者がいないときは、距離 的に判断して契約。 消費者のためのサービスとしてオプションではなく標準で実施。 高齢者用緊急通報システムについては、昭和62年から市の要請に応じて電話受付への全面協力を行っている。 その後、近隣の市町村からも同様の要望があるが、すべてお断りしている。 この種の事業化については、考えてい ない。命に関わることと、保険との問題、及び利用者への費用負担が事業としてペイできる程、期待できないこと等 からである。 緊急通報を15件ほどテスト。自動切換スイッチの情報を利用したオリジナルの機器。今後はセンターが展開してい る機器を使って事業化したい。過去2年間で3回ほどスイッチが押されたレベル。別途料金をいただけるかは疑問 も。 10年前にペンダント型の緊急通報を実施。ピーク時は本社の近隣の独居老人を対象に30件ほどだったが、現在は 10件程度で休止の方向。C社のシステムだったが、システムとしてはシンプルすぎて、命の保障ができるレベルで はない。家電業界などへの関与をしないと取り残されるのではないか? 経済連が主体となって緊急通報を実施しているが、まだ集中監視自体の普及が進んでいない。 「命のボタン」2件だけ実施。 高齢者緊急通報はボランティアとしてやっているだけ。 (参考資料として、 【第3部 実情調査編】P.37~P.40 の 「ホームセキュリティ、介護支援、健康 管理システムの実情調査」の「介護支援システム」も参照。 ) 60 防犯(ホームセキュリティ) N社との提携でホームセキュリティを実施。月額2,480円で実施。価格が安くて好評。 T社のホームセキュリティを30件ほど3ヵ年計画で進めている。A電気の窓センサーなど工事はセキュリティハウス が行なう。 初期は約20万円で、センサーの数によって変動し、業務用はもう少し高い。まだまだ消費者の防犯意 識が低いと感じている。 防犯はT社から警備会社に出動依頼がまわり、そこから連絡が入る。 T社の支払いは定 額部分は10万円/月(この部分の効率化には顧客を増やすことが必要で現状30件を1,000件くらいにした い。) 月額では5,900円/月・件のうち3,000円をT社へ。 業務用は10,000円が最低。 T社のシステムにて実施。 ホームセキュリティは10件程度。初期費用はなしで、月額4,000~5,000円。 普 及のためにはもっと値段が下がる必要があるのではないか。 従業員を対象にテスト段階。T社の防犯センサーや窓センサー、ペンダントなど。対応の仕方も含めて研究中であ り、まだお客様にサービスを広げるフンギリがつかない。警備の免許が必要なのかも含めて情報が錯綜しており、 どの程度まで関わればいいのか、よく分からない。 ホームセキュリティは事業所向けで8件実施。初期15万円で、月額通信料2,000円。携帯電話にも転送連絡す る。警備会社の資格を取得している。出動ではタクシー会社との提携も計画したが、コストが合わず難しい。24時 間の警備員配置のコストもなかなかペイできないだろう。 ホームセキュリティは防犯会社と少しずつ話を進めている。秋には200~300件の規模でテストしたいが・・・・・ 役所と話したがうまくいかない。セキュリティも忘れたころに事件が起こるので対応も含めて難しいのでは? 防犯会社との接続は1件実施。 顧客密着による切り替えの防止を目的として実施したい。 警備会社が監視、連絡を受けて対応。 防災・防火監視サービス 火災は別途NCUに接続して月額300円で、500件実施。 火災警報器は警報器の義務化など追い風もあり、一つ の柱にしたい。 T社のシステムにて実施。火災警報器を約1/3に設置。月額800円。 手数料はもらっている。 老人が増えている が、普及のためにはもっと値段が下がる必要があるのではないか。 火災感知器と連動し、消防署へ連絡する仕組み、月額790円で200件ほど実施。緊急通報は10件ほどテスト的 に。 NCUに火災警報器を連結させている。 670件実施しているが無料サービス。 他社との差別化戦略として実施し ている。 火災警報器との連動を100件ほど。月額700~800円で。ただし日常業務で手間がなかなか回らない。警報器 の設置していない部屋からの火事は感知しないなどの問題も起こっている。 どうしても火の元に設置する。 火災警報器を1件だけ。工事も含めるとなかなか難しい。市場がまだないし、ボランティアになる。 計画段階。 I社のセンターで、パンフレット等の紹介を受けているが、命に関わる事業を実施できるか不安あり。 CO警報器と火災警報器は連動できるが、配線が上下2箇所になり、コスト高要因になる。 (参考資料として、 【第3部 実情調査編】P.9~P.25 の 「ホームセキュリティ、介護支援、健康管 理システムの実情調査」の「ホームセキュリティサービス」も参照。 ) 61 灯油残量監視サービス 灯油の監視を2,200件実施。 灯油メーターから残量が減ってくると情報が入る。 計画配送の実現で合理化で きている。 灯油は要望があれば設置しているが、料金は取り付け工事の実費負担分のみ。 定期配送しているからそれで十 分。 灯油のみ(1000件程度。他にアルミ溶融炉の温度管理を20~30件) 灯油残量監視は100件程度。 共同センターなので協同で行っている。 当社では平成5年より灯油センサーを利用した灯油残量監視をおこなって、顧客の固定化を図っている。 灯油のみ(160~170件 灯油タンクを新規に切り換える際導入している。) 灯油のみ(500~600件。その内、集合が200軒) 灯油のみ(100件。ガスを使わず灯油のみで監視する家もある。) その他の付加価値サービス 冬季の給湯器凍結予防として給湯器も5,000件に設置しているが、それは無料サービス。 他社との差別化戦略 として実施している。 健康管理サービスを17~18件ほど、月額1,700~1,800円で実施。血圧・心電図の情報管理を集中監視セン ター内のナースセンターで管理。ピークは40件ほどだったが、なかなか継続は難しい。今は社員宅を中心に。中に は気にする人もいるが、消費者が飛びつくようなサービスではない。情報は本店で管理しており、われわれは支店。 今の時代は集中監視は当たり前、電気(漏電通報)、ボイラー、エレベーター等もセンターで監視している。 周知情報(保安)や案内等を送りたい。 ③ 共同検針について LPガス集中監視システムの伝送装置である共通型端末NCUが、高圧ガス保安協会(KHK)に より、水道、電力も併せて検針可能なように仕様化されており、また、 「e-japan 戦略Ⅱ」においても 計画に入っており、いわゆる「共同検針システム」への関心も期待も高い現状にある。 今回の調査においても次のような声があり、今後、大規模LPガス販売事業者の主導によるモデル 事業等の他、行政の更なる強い指導が望まれている。 表 V-8 共同検針に関する事業者コメント 共同検針について 付加価値はデモを見ている段階。センターの安定ということであれば、センター業務を受注する、つまり販売店の確 保か、都市ガスからの受注のほうが現実的。まずは都市ガス、その次に水道という形では?水道の検針も安い上に お知らせ票に広告まで入っていたりする。漠然としているが、企画としてはいろいろ挙げているのも事実。体制やコス ト計算をやっている段階。 水道、電力検針等多くを利用して付加価値を上げて、コストを下げる。現在ガス事業者だけが取付けるより1軒に1 台取付けて多くの利用を求めること。 水道検針といっても、現在は水道局と提携しているわけではなく、社員用のマンションの各戸の使用量をシステムで 把握できるようにして、それを集約したものを水道局のメーターにつないでいる。 水道の共同検針を市営住宅1箇所16戸を対象にテスト実施。本協同組合は38年前に当内の事業者で組織し、現在 はJAや大手の支店も入れて14社で運営している。ガスも水道もT社のシステムだったから話もしやすかったという経 緯があった。 62 3.付加価値サービス実施・拡大のための対策 (1)モデル事業の必要性 付加価値サービスを実施するには、初期費用投資や実施体制も含めたビジネスモデルそのものの構 築など、個別の事業者ではあまりにも負担が大きく、 「サービスの実現について期待しているが自社の 規模(想定需要)では困難である」と見ている事業者が多い。 実施したくてもなかなか実施できない苛立ちさえあるようだ。 表 V-9 ビジネスモデル構築に関する事業者コメント ビジネスモデルの必要性 4つの端子があるが、現状では自動検針以外は使っていない。事業家としてビジネスチャンスがあるはずなのに活 用できないという不満がある。他で成功事例が一向に出てこない。 何もしていないから、非常にもったいないと思う。グループ内で、事業モデルを構築するように宿題を出したが、一向 に答えが返ってこない。 このメリット事業化が具体的に見えてきたらもっと大幅な普及が進むと思う。請う、モデル事業! どういう形でどういうものに進むべきかモデルがあれば知りたい。 水道、電力検針等多くを利用して付加価値を上げて、コストを下げる。現在ガス事業者だけが取付けるより1軒に1 台取付けて多くの利用を求めること。 付加価値サービスが出てくるのではないかとの予測はあったし期待もしていた。インターネットの価値の方が高くて、 ネットワークとしてインターネットに負けたという印象がある。過去に大手警備会社のセキュリティのような企画や、食 料品などの物販も検討したが、初期投資の大きさがネックになった。 規模の問題が大きいように思う。顧客規模が1万件なら検討の対象になるが、小さいところではなかなか事業展開し にくい。事業者間の協力や統合が、まず必要であると思う。 表 V-10 警備等、法整備に関する事業者コメント 法整備の必要性 機械警備法の規制あり。命のボタンとしては、体制面でのネックあり。 セキュリティー業務の免許取得条件の緩和。 警備事業法に抵触しないよう独立した資格の確立。 今後、 ・付加価値サービス実証実験の共同実施と事業モデルの提案・構築(業界団体) ・警備業法との調整・棲み分けを明確にする(業界団体、行政) ・警備事業者との相互利用方式の確立(営業・出動業務の分担、需要に基づく棲み分け) (業界団体) 63 (2)システムの抱える問題と解決策 先に見た通信インフラ問題などの阻害要因によって、そもそも集中監視システムの普及拡大自体が 付加価値サービス実施のための第一の課題だと考えている事業者が多い。 また共同センター利用事業者の場合は、共同センターを受け皿としての情報対応センターと捉え、 先の消費者ニーズで見たとおり、需要の顕在化を進めるためにも利用料金を低く抑える必要もあり、 需要集約による安定的経営基盤(採算)の確立を模索しなければならない。 その際には、参加事業者とセンター間の合理的な業務分担と権利義務の明確化が必要となる。 表 V-11 集中監視システムそのものに関する事業者コメント 集中監視システムそのものの問題 センターをメーカーに委託しているし、なかなか自主的には推進しにくい。集中監視も現在17%で、回線問題もあり なかなか投資できない。 集中監視の普及率を上げるつもりだが、価格競争もありなかなか投資できない。 高齢化にともない、NTT・セキュリティ業者・ガス事業者が共同で模索している段階。だが、システム普及率がまだ1 6%であり、まずは普及率を上げることが前提となるが、とても投資できるような状況ではない。 集中監視自体今は積極的にやっていない。 検討段階。集中監視システム普及率も30~40%で50%を目標にしているが、コスト面や電話回線の問題が大き い。 これからやりたい。ただ、古い機種などは対応できない。 これから。まだ集中監視が30%で、まずはこちらの普及に努めねばならないが、回線の変更問題など、なかなか投 資に踏み切れない。 さらに、緊急通報サービス等「命に関わる」サービスを提供することに対して、現状の集中監視シ ステムの信頼性・確実性をさらに向上させることが前提だとする事業者も多い。 表 V-12 システムの信頼性・確実性に関する事業者コメント システムの信頼性・確実性の問題 機械警備法の規制あり。命のボタンとしては、体制面でのネックあり。 付加価値サービスは実施するにしてもあくまで会社は信号の中継点として機能するだけにとどめたい。 高齢者安否確認等、24時間体制で、責任が重い。雇用や資格取得が先決。行政との連携も大事。お客様の安全確 保が第一。 システムとしてはシンプルすぎて、命の保証ができるレベルではない。 パンフレット等の紹介を受けているが、命に関わる事業を実施できるか不安あり。 警報器の設置していない部屋からの火事は感知しないなどの問題も起こっている。 今後、 ・仕様統一と情報対応センターのあり方と運営指針の研究(業界団体、行政) が対策として求められている。 64 VI . LPガス販売事業者の構造改善のための提言 前章までに述べてきた、集中監視システムの阻害要因に対する対策や付加価値サービスの実施・拡 大のための対策について、各関係者ごとに整理して、要望・提案として提言する。 1.行政に対する提言 <導入効果をより引き出すため> • 導入初期における先行成功事例の更なる研究と周知 • 配送センターと配送を委託している事業者との間の配送データ交換のためのシステム開発支援及 びシステム導入の補助 • • • • <認定販売事業者制度のインセンティブ拡大> 保安機器点検に関する行政立ち入り検査の減免など、各種業務に関する更なる緩和施策 行政施設や公営住宅における入札参加のための必須資格にするなど、認定の格付けの強化 消費者への制度周知 段階的なインセンティブの付与(局地的な導入率に対するその地域に限定したインセンティブ付与 など) <通信インフラ問題対策> • 無線等、自前かつ低料金回線の確保 • • • • <公正な競争環境整備> 消費者のガス購入先を変更する場合は、その業者が前供給者の保安レベルを維持することを義務化 他のエネルギー事業者も含めて、極端な二重価格を設定している事業者に対する指導・規制 他のエネルギー事業者も含めて、不透明な商慣習に対する是正措置・規制 クーリングオフの徹底などの消費者保護の強化 <経営・ソフト面の支援> • 「e-Japan 戦略Ⅱ」における IT 化支援施策の一環としての人材雇用・人材育成に対する助成 • ハード面のみならず経営・ソフト面における各種講座・セミナーの充実 <付加価値サービスの推進> • 警備業法との調整・棲み分けを明確にする • 仕様統一と情報対応センターのあり方と運営指針の研究 65 2.LPガス業界団体等に対する提言 • • • • <導入効果をより引き出すため> 導入初期における先行成功事例の更なる研究と周知 後方支援システムとのデータ連動ノウハウの共有と周知 委託配送における配送センター単位の導入率の拡大 配送センターと配送を委託している事業者との間の配送データ交換のためのシステム導入の促進 <導入費用の負担軽減> • リースなど導入初期の一時的な負担を軽減する仕組み・方法の整備・利用拡大 <通信インフラ問題対策> • 無線等、自前かつ低料金回線の確保 • 通信キャリア、インターネットプロバイダによる適切な対処の徹底・依頼 <経営・ソフト面の支援> • ハード面のみならず経営・ソフト面における各種講座・セミナーの充実 • • • • <付加価値サービスの推進> 付加価値サービス実証実験の共同実施と事業モデルの提案・構築 警備業法との調整・棲み分けを明確にする 警備事業者との相互利用方式の確立(営業・出動業務の分担、需要に基づく棲み分け) 仕様統一と情報対応センターのあり方と運営指針の研究 66 3.メーカー、システム提供会社等に対する提言 <導入効果をより引き出すため> • 導入時の提案・アドバイスの徹底・強化 • 配送センターと配送を委託している事業者との間の配送データ交換のためのシステム開発 <導入費用の負担軽減> • NCU端末費用などの低価格化への一層の努力 • リースなど導入初期の一時的な負担を軽減する仕組み・方法の整備・利用拡大 <通信インフラ問題対策> • 通信インフラ変更に影響されにくいシステム・仕組みの開発 4.LPガス販売事業者に対する提言 • • • • • • <導入効果をより引き出すため> 導入目的の明確化 導入率の向上 導入時の地域戦略あるいは消費者戦略の徹底 集中監視システムのデータ活用の拡大 後方支援システムとのデータ連動ノウハウの共有と周知 委託配送における配送センター単位の導入率の拡大 67
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