古河電工時報 第129号(2012.1)

新製品紹介
4コア WDMノード
4 Core WDM Node
ることで,ナローキャスト用に上り下り各々 4 波長を使用して,
1. はじめに
光ファイバ一心で双方向伝送が可能です。そのため従来のノー
近年インターネット情報量の増大と IP 電話の普及に伴い,
CATV 事業者においては小セル化の必要性が増大しています。
ド範囲を 4 分割することができます。また従来から使用してい
た光ファイバ 2 心を用いて,範囲を 8 分割することも可能です。
このため当社では,上り下り信号をそれぞれ 4 つの地域に分
割できる,4 コア WDM ノードを開発しました。
つまり,従来のノード位置を変えることなく小セル化が可能
となり,新たな光線路の布設工事をすることなく,安価でかつ
図 1 にこのシステムの優位性を示します。WDM 技術を用い
早期に小セル化を実現できます。
(1)既存のシステムと問題点
【センタ】
【クロージャ】
【光ノード】
下り O/E
O/E
上り E/O
E/O
▲光ファイバのロスが悪く余剰心線が足りない。
▲ノードの分割ができない!
(2)WDM ノードを使用して,光ファイバを余らせる方式
【センタ】
あまったファイバでさらに小セル化
(既設ファイバ!)
0ABJ 電話条件を
容易に達成!
!
ノード A
ノード B
ノード C
ノード D
【光ノード 2】
BC O/E
NC O/E
NC O/E
NC O/E
BC O/E
E/O
E/O
E/O
E/O
系統切替
WDM
波長多量を使って,既存の光ファイバでノード数を 8 倍に!
下り,上りの分割は段階的な分割が可能!
●PS,クロージャの位置の変更は,一切必要なし!
●ファイバは一切張りません!
●
BC O/E
NC O/E
NC O/E
NC O/E
BC O/E
E/O
E/O
E/O
E/O
系統切替
WDM
NC E/O
NC E/O
NC E/O
NC E/O
上り O/E
上り O/E
上り O/E
上り O/E
【光ノード 1】
WDM
NC E/O
NC E/O
NC E/O
NC E/O
上り O/E
上り O/E
上り O/E
上り O/E
WDM
BC E/O
& AMP
【クロージャ】
ノード E
ノード F
ノード G
ノード H
●
図 1 4 コアWDMノードの優位性
The advantage of 4 core WDM Node.
古河電工時報第 129 号(平成 24 年 1 月) 28
新製品紹介 4コアWDMノード
ト冗長が可能です。
2. システム構成
WDM ノードの WDM フィルタ部では,光線路の光波長は分
WDM センタ装置及び WDM ノードを用いたシステム構成を
離され,BC ユニットと 4 台の NC ユニット及び ONU ユニット
図 2 に示します。下りはナローキャスト(NC)ユニット 4 台か
の光受信部に入力されます。BC ユニットの RF 出力は 4 分岐さ
ら送出する 4 波長とブロードキャスト(BC)1 波長および主に
れて,各 NC ユニットで NC の RF 信号と混合され,各セグメン
ノード監視に用いる GEPON の光波長を WDM フィルタで合波
トの同軸ケーブルに出力されます。
し,光線路に送出します。NC の 4 波長は WDM フィルタ部に
上りの NC 信号も下りと同様の構成で,ノードの各 NC ユニッ
おいて 3 dB カプラで分岐し,BC や GEPON の光波長とともに
トで光信号に変換して,センター装置に伝送されます。このよ
A ルート,B ルートを介して WDM ノードに伝送されます。ルー
うな方式で,光ファイバ一心の双方向伝送により,セルの 4 分
トの選択はノードの各受信器により自動選択されるので,ルー
割化を実現しています。
【ヘッドエンド】
BCユニット
①
ブロードキャスト用光伝送装置
(光送信器+光増幅器など)
分配
放送
(全セグメント)
【WDMノード】
ブロードキャスト用光伝送装置
(光送信器+光増幅器など)
CPU
【伝送路】
A ルート/1心
通信 下り/上り
(セグメント3)
ナローキャスト Tx③
上りE/O+SW
通信 下り/上り
(セグメント4)
ナローキャスト Tx④
上りE/O+SW
Port 3
(セグメント2)
Port 4
(セグメント3)
混合
ナローキャスト Tx②
上りE/O+SW
Port 1
(セグメント1)
混合
通信 下り/上り
(セグメント2)
NC ユニット
①
混合
ナローキャスト Tx①
上りE/O+SW
混合
通信 下り/上り
(セグメント1)
Port 6
(セグメント4)
CPU
W
D
M
フ
ィ
ル
タ
部
AM−FDM
専用光
ケーブル
パッチ盤
W
D
M
フ
ィ
ル
タ
部
クロージャ
NC ユニット
②
CPU
NC ユニット
③
CPU
NC ユニット
④
B ルート/1心
CPU
SV部
WEB
SNMP 監視
OLT
ONU
ユニット
SV
ユニット
AVR
ユニット
分配
図 2 システム構成
The system block diagram.
また WDM ノードの各ユニットの光入出力レベルや RF 出力
レベルのモニタ値や警報は SV ユニットで集約して,ONU ユ
ニットからセンターの OLT に送信され,ローカルエリアネッ
トワーク(Web)上にてノードの監視が可能です。
センター装置にも SV 機能があり,WDM ノード側と同様に
Web や SNMP により監視できます。
3. システム主要諸元
コントロールして,所定のアイソレーションを維持しつつ低挿
入損失を達成しました。
WDM ノード側の NC 光入力レベルは –12 ~ –6 dBm である
が,光 AGC を用いているため,RF 出力はほぼ標準出力となり
ます。また BC ユニットはパイロット信号にて利得を制御して
いるため,この光入力レベル範囲であれば設置時に調整する必
要はありません。
一方センタ側の光入力レベルは 0 ~ –15 dBm と広いため,
表 1 にシステムの主要諸元を示します。光ロスバジェットは
こちらは,設置時に Web などからの制御により内部可変減衰
最大 10 dB であり,1550 nm 帯の光線路ロスを 0.35 dB/km と
器を自動調整することで,適切な RF 出力レベルを得ることが
すると,約 30 km 伝送可能です。このロスバジェットを実現す
できます。
るために WDM フィルタの低挿入損失化を図りました。この
光入力レベルは Web などでモニタできるので,従来調整時
WDM フィルタは NC が上り下りで合計 8 波長,BC が 1 波長,
に必要であった,光パワーメータやスペクトルアナライザなど
PON 用に 2 波長で合計 11 波長と,多くの波長を合分波するた
の高価な測定器は必要なく,PC 一台で調整が可能です。
め,アイソレーションも問題となります。これは光ロスと相反
する関係にあります。この問題を解決するために反射波成分を
センタ装置の電源は AC100 V が標準で,停電時などにバッ
クアップ用の DC24 V に切り替える構成です。
古河電工時報第 129 号(平成 24 年 1 月) 29
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表 1 システム主要諸元
The system specifications.
項目
下り仕様
ブロードキャスト信号 70 ~ 770 MHz
ナローキャスト信号 70 ~ 770 MHz
上り仕様
入出力端子
独立 4系統
独立 4系統
冗長化機能
光入力信号を RF スイッチにより A 系、B 系を自動選択
伝送帯域周波数
光入力レベル
(各ユニットでの入力レベル)
10 ~ 60 MHz
ブロードキャスト信号 –6 ~ 0 dBmW
ナローキャスト信号 –12 ~ –6 dBmW
0 ~ –15 dBmW
光出力レベル
ナローキャスト信号 +6.5 dBmW
+6.5 dBmW
光ロスバジェット
6 ~ 10 dB(光伝送路のロス)
光波長(主信号)
ブロードキャスト信号 1558.98 nm
ナローキャスト信号 1550/1570/1590/1610 nm
1450/1470/1510/1530 nm
光波長(監視用信号)
1490 nm
1310 nm バースト信号
伝送容量
ブロードキャスト信号 11 ch(アナログ),74 ch(デジタル)
ナローキャスト信号 16 ch(デジタル)
4 ch(デジタル)
監視制御インターフェース
SNMP,Telnet,Web
データ速度(監視用信号 / 拡張ポート信号) 100 Base–TX/1000 Base–T
100 Base–TX/1000 Base–T
信号品質
CNR 48 d B 以上
CTB –60 d B 以下
CSO –58 d B 以下
-
RF 入力レベル
76 dBµV
85 dBµV
RF 出力レベル
100/105.2/108 dBµV(@70/451.25/770 MHz)
電源電圧
センタ装置 36 VA(@100 V)
,ノード 103 VA(@60 V)
消費電力
センタ装置 36 VA(@100 V)
,ノード 103 VA(@60 V)
CNR: 信号対雑音比,CSO:複合 2 次歪,CTB:複合 3 次歪
4. 外観
図 3 に WDM センタ装置の外観写真を示します。
NC 信号の光送受信部である 4 つのセグメントユニットを前
面に配置し,背面には電源 /FAN ユニットおよび光入出力コネ
クタ,RF 入出力 F コネクタ,LAN ポートやコンソールを配置
しています。
高さ 1U のサブラックに 4 つのセグメントユニット,WDM
フィルタや監視制御部まで高密度に実装しました。
図 4 4 コア WDM ノード外観
4 Core WDM Node Outlook.
5. おわりに
従来型の位置ノード交換のために,光線路工事が不要な,小
セル化を実現できる WDM ノード及びこれに対応する小型の 4
コア WDM センタ装置を開発しました。
本製品は既に CATV 事業者で導入されており,好評を頂い
ております。
図 3 WDM センタ装置外観
WDM Center Equipment Outlook.
また,
本製品を用いた全体のシステム構成は,
当社ホームペー
ジでもご確認頂けます。
図 4 に 4 コア WDM ノードの外観写真を示します。本筐体は
当社従来型のノードと同じ筐体を使用しています。
< 問い合わせ先 >
情報通信カンパニー ブロードバンド事業部
TEL: 0463-24-8446 FAX: 0463-24-8491
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