平成26年度物理学概論演習 【問題】 2014.7.2 27℃の空気中における窒素分子の2乗平均速度を求めよ。 ボルツマン定数を1.4×10 -23 JK -1 ,窒素分子の質量を5.04×10 計算を簡単にするため, -26 kgとする。 (実際の 窒素分子の質量はもう少し小さい。) 【解説】 気体分子の質量をm,速度のx方向成分,y方向成分,z方向成分をそれぞれ, vx,vy,vzとすると,絶対温度Tで熱平衡に達した気体中では, 1 m(v x2 2 の関係が成り立つ。 v x2 vx2 vy2 3 kT 2 vz2) (1) 但し,<>は,多くの仲間分子について平均をとった値を表す*)。 vy2 3kT m vz2 vy2 3kT m v z2 3 1.4 10 23JK 1 300K 0.1 1.4 62 10 26 kg 32 10 23 102J 62 10 1 10 26 kg 32 62 10 23 102 32 62 106 m 2s 3 103 6 500ms 1 ms 101 1026 J kg 2 1 (=時速1800km) 空気中では,窒素分子は(酸素分子も)おおよそこの速さで動いている。 頻繁に分子どうし の衝突を繰り返すので,運動の方向は頻繁に変わるが,かなりの速さであることがわかる。 この速さの衝突により,水平な1m 2の面積を考えたときその上にのしかかる10トンもの空気の 重さに拮抗する圧力(1000hPa)が生まれると理解される。 *)式(1)の右辺の<>は気体分子運動論の中で現れた全N個の分子での平均を表すが、 この気体分子運動論では、分子間衝突の主な効果が、各分子が様々な方向に様々な速さで 動く多様な運動をもたらすことであると考え、1個の分子がとる様々な運動をN個の分子に振り 分けることで分子間衝突の効果を置き換えている。従って、気体分子運動論の結果を、頻繁に 分子間衝突を繰り返す現実の分子の運動に対応させるには、この全N個の分子での平均<> は各分子の時間的平均の意味も含むと考えなくてはならない。
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