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Doctoral Dissertation / 博士論文
Prolonged thrombocytopenia after living
donor liver transplantation is a strong
prognostic predictor irrespective of
splenectomy: the significance of
ADAMTS13 and graft function
信岡, 祐
三重大学, 2014.
内容の要旨・審査結果の要旨 / 三重大学大学院医学系研究科 生命医科学専攻 病態修復医学講座 肝胆膵・移植外科学分野
http://hdl.handle.net/10076/14242
学位論文審査結果の要旨
三重大学大学院医学系研究科
所
属
甲
生命医科学専攻
病態修復医学講座
氏
名
信岡
祐
肝胆膵・移植外科学分野
審
査
委
員
主
査
片山
直之
副
査
奥田
真弘
副
査
竹井
謙之
(学位論文審査結果の要旨)
Prolonged thrombocytopenia after living donor liver transplantation is a
strong prognostic predictor irrespective of spl enectomy: the significance of
ADAMTS13 and graft function
【主論文審査結果の要旨】
信岡らは論文において下記の内容を述べている。
生 体 肝 移 植 (LDLT)後 の 遷 延 性 血 小 板 減 少 の 詳 細 な 発 症 機 序 に つ い て は 未 だ 明 ら か
に さ れ て い な い 。近 年 、同 定 さ れ た 肝 類 洞 内 stellate cellsで 産 生 さ れ る ADAMTS13 (a
disintegrin-like
and
metalloproteinase
with
thrombospondin
type -1
motifs
member 13)は 、 血 栓 形 成 の 強 力 な 促 進 因 子 で あ る von Willebrand factor (VWF)の
unusual large (UL)-multimerを 切 断 す る こ と で 、 血 栓 形 成 に 抑 制 的 に 働 く こ と が 報
告 さ れ て い る 。 ADAMTS13 の 減 少 は 微 小 血 栓 形 成 に 関 与 し 、 そ の 結 果 、 血 小 板 減 少
を き た す と の 報 告 が あ る が 、 LDLT症 例 で の 検 討 は ほ と ん ど な い 。 今 回 、 LDLT症 例
において、術後遷延性血小板減少に関与する危険因子を明らかにする目的で、特に
ADAMTS13の 経 時 的 推 移 と 脾 摘 併 施 の 有 無 に 着 目 し 本 研 究 を 行 っ た 。
成 人 LDLT患 者 を 術 後 14日 目 の 血 小 板 値 10万 を cut off値 と し high platelet group
(HP群 :10万 以 上 )、low platelet group (LP 群 :10万 未 満 )に 分 け 、生 存 率 の 解 析 は 2002
年 3 月 よ り 2011 年 6 月 の 100 症 例 に つ き 検 討 し 、 遷 延 す る 血 小 板 減 少 の 因 子 解 析 は
ADAMTS13と VWFを 測 定 し え た 2003年 か ら 2005年 の 65症 例 に つ い て 検 討 し た 。
100例 に お け る 検 討 で 、6ヶ 月 生 存 率 は LP群 (n=36)で HP群 (n=62)に 比 し て 有 意 に 低
か っ た (61.1% vs. 93.5%:p<0.001)。LP群 で は 術 後 合 併 症 発 生 率 が 有 意 に 高 く (LP vs.
HP: 41.7% vs. 19.4%, p=0.02) 、 特 に 術 後 急 性 腎 不 全 の 頻 度 が 高 か っ た 。 65例 の 検 討
で は 、 術 後 血 小 板 の 推 移 は HP群 (n=42)で は 術 後 7 日 目 に 上 昇 し 、 14日 目 に は 正 常 値
に 回 復 し て い た が 、 LP群 (n=23)で は 術 後 28日 目 ま で 10万 以 下 の ま ま 推 移 し た 。 血 中
ト ロ ン ボ ポ エ チ ン (TPO) 値 は 、LP 群 で は 術 後 14日 目 に HP群 よ り 有 意 に 高 値 を 示 し た
が 、28日 目 に は 血 小 板 数 が 低 い に も か か わ ら ず 低 値 と な り HP群 と 同 等 と な っ た 。 LP
群 の ADAMTS13 活 性 は 術 後 14 、 28 日 目 で HP 群 よ り 有 意 に 低 く 、 LP 群 の
VWF/ADAMTS13比 は 14日 目 で HP群 よ り 有 意 に 高 か っ た 。 多 変 量 解 析 に て 術 後 14日
目 の 血 小 板 減 少 の 独 立 し た 因 子 は 術 前 の AT III活 性 と 術 後 14日 目 の ADAMTS13活 性
で あ っ た 。脾 摘 の 有 無 に 関 係 な く 、LP群 の 血 小 板 、ADAMTS13活 性 は 術 後 28日 目 ま
で 低 値 の ま ま で 、 VWF/ADAMTS13比 は 術 後 28日 目 で 有 意 に 上 昇 し た 。
LDLT後 の 遷 延 性 血 小 板 減 少 は 、脾 摘 の 有 無 と は 関 係 な く 、 肝 類 洞 内 皮 障 害 に よ る
ADAMTS13活 性 の 低 下 に 加 え て 、 肝 細 胞 障 害 に よ る TPOの 産 生 低 下 が と も に 関 与 し
ているものと考えられた。
以 上 の よ う に 本 論 文 は 、生 体 肝 移 植 後 の 遷 延 性 血 小 板 減 少 が 予 後 予 測 因 子 で あ る こ
と を 明 ら か に し 、遷 延 性 血 小 板 減 少 を 引 き 起 こ す 因 子 を 同 定 し た 論 文 で あ り 、学 術 上
極めて有益であり、学位論文として価値があるものと認めた。
International Journal of Hematology
Accepted: February 2014
Published: March 2014
Yu Nobuoka, Hideo Wada, Shugo Mizuno, Masashi Kishiwada, Masanobu
Usui, Hiroyuki Sakurai, Masami Tabata, Toshihiko Kobayashi, Tsutomu
Nobori, Shinji Uemoto, Shuji Isaji