スプレーギク栽培に

[年度]平成25年度和歌山県農林水産試験研究成果情報
[成果情報名]スプレーギク栽培における省エネ光源の開花抑制効果
[要約]スプレーギク栽培の電照光源に、電球色蛍光灯、電球色 LED、昼光色 LED を用い
ると、各光源ともに一定以上の照度下で開花を抑制する。開花抑制に必要な照度や光源 1
個あたりの開花抑制可能な範囲は光源の種類により異なる。また、開花抑制に必要な光量
は、同一品種でも栽培時期により差が認められる。
[キーワード]スプレーギク、暗期中断、光源
[担当機関名]農業試験場
栽培部
[専門分野]花き
[連絡先]0736-64-2300
[分類]研究
[背景・ねらい]
スプレーギクは、定植後約 1 ヵ月間電照を行い、開花を抑制して切り花長を確保
す る 。近 年 、LED 電 球 等 の 省 エ ネ 光 源 が 普 及 し つ つ あ る が 、従 来 か ら 用 い ら れ て い る
白熱電球とは光質等が異なるため、これら光源の開花抑制効果は不明であった。こ
のため、入手容易な省エネ光源を用いて開花抑制効果を調査するとともに、省エネ
光源利用時の注意点を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
1 . 栽 培 床 面 か ら 1.5m の 位 置 に 各 光 源 を 設 置 し て 、 5 月 下 旬 に 定 植 し た ‘ ユ キ ’ に
暗 期 中 断 を 行 う と 、 白 熱 電 球 の 20 lx 以 上 に 対 し て 、 電 球 色 蛍 光 灯 ( 23W) お よ び
電 球 色 LED で 30 lx、昼 光 色 LED で 40 lx 以 上 の 照 度 で 開 花 が 抑 制 さ れ る( 図 1A)。
2 . 白 熱 電 球 で は 光 源 直 下 か ら 1.6m 、 電 球 色 蛍 光 灯 ( 23W) で 1.5m 、 電 球 色 LED
お よ び 昼 光 色 LED で 1.1m の 範 囲 で 開 花 抑 制 効 果 が 得 ら れ る ( 図 1B) 。
3 .消 費 電 力 量 が 12W の 電 球 色 蛍 光 灯 に よ る 暗 期 中 断 は 、23W の も の に 比 べ て 開 花 抑
制 範 囲 が 約 1/2 に な る ( デ ー タ 省 略 ) 。
4 . ‘ ユ キ ’ を 5、 6、 7 月 に 定 植 し 、 電 球 色 蛍 光 灯 ( 23W) で 暗 期 中 断 を 行 う と 、 開
花 抑 制 に 必 要 な 光 量 は 、5 月 定 植 で 放 射 照 度 約 0.1Wm - 2 以 上 と 最 も 強 い 光 量 が 必 要
と な る ( 図 2A) 。 同 様 に ‘ レ ミ ダ ス ’ を 1、 3、 9 月 に 定 植 し 、 暗 期 中 断 を 行 う と 、
9 月 定 植 で 約 0.1Wm - 2 以 上 と 最 も 強 い 光 量 が 必 要 と な る ( 図 2B) 。
[成果の活用面・留意点]
1.本成果は図 3 に示した分光分布を持つ光源を使用して得られたものである。
2.放射照度は DeltaOHM 社製 HD2102.2、センサーLP471PRD で測定したものである。
3.電球色蛍光灯では、使用時間が経過すると光量が小さくなるため、光源交換時の目安
として使用できる。
4.新たな光源を選択する際は、光源の能力(波長域、光の広がり、光の強さ等)を考慮
し、必要な数量を決定する。
[具体的データ]
B
20
16
16
発蕾日数z (日)
発蕾日数z (日)
A 20
12
電球色蛍光灯
8
電球色LED
12
8
昼光色LED
4
電球色蛍光灯
電球色LED
昼光色LED
白熱電球
4
白熱電球
0
0
0
20
図1
40
60
80
照度(lx)
100
120
140
0
0.5
1
1.5
2
2.5
光源直下からの距離(m)
電照光源の照度および光源直下からの距離と発蕾日数
3
z
暗期中断終了から発蕾 までに要した日数
注)‘ユキ’を用い、5月27日の定植から6月19日まで暗期中断(21:30~2:30)を実施、そ
の後は12.5時間日長で栽培
A
28
B 32
28
20
発蕾日数z (日)
発蕾日数z(日)
24
16
12
8
4
5月
6月
24
20
16
12
8
7月
9月
4
0
0
0.05
0.1
0.15
3月
0
0.2
0
放射照度(Wm-2)
図2
1月
0.05
0.1
0.15
放射照度(Wm-2)
0.2
各栽培時期における電球色蛍光灯による暗期中断時の光量と発蕾日数
z 暗期中断終了後から発蕾までに要した日数
注)A:‘ユキ’、5月8日、6月6日、7月6日の定植から22~24日間21:30~2:30まで暗期中断を実施、
その後は12.5時間日長で栽培
B:‘レミダス’、9月24日、1月21日、3月4日の定 植から23~28日間22:00~2:00まで暗期中断を
実施、その後は12時間日長以下で栽培
100
研究課題名:特産花きの効率的環境制
御による安定生産技術の開発
予算区分:県単
研究期間:平成 23~24 年
研究担当者:宮前治加・林
発表論文等: な し
寛子
最大値を100とした相対値
[その他]
80
60
電球色蛍光灯
電球色LED
昼光色LED
白熱電球
40
20
0
350 400 450 500 550 600 650 700 750 800
波長(nm)
図3
本試験に用いた光源の分光分布
注)電 球 色 蛍 光 灯 : バ イ オ テ ッ ク ラ イ ト ( 23W )
電 球 色 L ED : LD A9L -H ( 9.2 W)
昼 光 色 L ED : LD A9D -H ( 9.2 W)
白熱電球:みのり電球(75W)