不動産のお役立ち情報

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2014 年 10 月 1 日
基礎知識:LED 照明導入の基礎知識 ∼第 2 回 照度と寿命∼
エネルギーコストの上昇や環境配慮から省エネに関心が高まっている中、普及が進む LED 照明だが、
選び方や使い方を間違えて「こんなはずではなかった」とならないよう、特徴や用語など、LED の導入
の際に、参考にしていただきたいポイントをご紹介する本シリーズ。今回は「照度」と「寿命」などに
(参考:第 1 回 「色温度」と「演色性」
)*1
ついてご案内する。
■光の広がりと明るさを事前に確認しよう
LED 照明導入を計画するにあたり、まず現在の明るさを調べてみよう。照明器具から出た光を受ける
面(オフィスであれば机上、店舗であれば床面など)の明るさの度合いを「照度」と言い、単位はルク
ス(lx)で表す。
照度は、器具の直下は高く、離れるほど低くなる。また隣の器具からの光と重なったり、壁からの反
射が重なったりすると高くなる。これを平面で表したものが【図表 1】の照度分布図で、①が既存の蛍
光灯(Hf)の分布、②③は既存の器具のまま LED ランプに変えた場合の分布である。
【図表 1】照度分布図比較
① 既存
② 計画 A
③ 計画 B
(蛍光灯・Hf)
(LED・広配光タイプ)
(LED・狭配光タイプ)
:照明器具
等値線 :単位(lx)
(出所)㈱ザイマックスビルマネジメント
LED ランプは【図表 2】ように半面(下面)しか光ら
ない。既存の照明器具に取り付けた場合、反射板からの
【図表 2】
蛍光灯
LED
光がほとんど期待できないため、LED ランプの配光タイ
プの違いで、
②のような照度分布にも③のようにもなる。
また、照度は選定するランプの「全光束」によって変
化する。
「全光束」は、ランプから出る光の量で、単位は
ルーメン(lm)で表す。蛍光灯ランプの光束値は、新品を設置してから急激に減少する(後述【図表 4】
参照)
。蛍光灯ランプの照度は、設置時と交換時の差が大きく、LED に交換する際、落ちた照度を考慮せ
ず定格の光束値で LED を選択すると、明るすぎると感じてしまう。現状の明るさで良いのか、より明る
くしたいかなど、改修後のレベルを十分に検討し、LED ランプを選定しよう。
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■既存の照度にあわせた LED を選ぶには?
【図表 3】のように 40W 形器具に対応するランプ
直管形 LED ランプには、様々な全光束の製品があり、
を例にとれば、全光束は 2,000 から 3,800 lm 程度までとなっている。FLR40W 型であれば 2,000∼2,400
lm のタイプ、Hf32W 型の高出力であれば 3,100∼3,800 lm タイプを選択することになる。既存のレイア
ウトに新しい LED ランプを取り付ける場合、平均照度や照度の分布が現状とどのように変化するのか、
事前に専門家に照度分布図作成を依頼して、確認するとよいだろう。
【図表 3】直管形蛍光灯と LED のランプ別全光束比較
照明器具タイプ
【既存】蛍光灯の器具光束*
選定するLEDランプの
全光束(定格)
FLR40W型
2,000 lm前後
40W形器具
Hf32W型
定格出力型
高出力型
2,300 lm前後
3,300 lm前後
2,000 lm
2,200 lm
3,100 lm
∼2,400 lm ∼2,600 lm ∼3,800 lm
タイプより選定 タイプより選定 タイプより選定
110W形器具
FLR110W型
Hf86W型
6,000 lm前後
6,000 lm前後
4,300 lm
∼6,500 lm
タイプより選定
* 使用開始より2,000時間経過後の器具から発する光束。蛍光灯は時間の経過とともに光束が低下する。
(出所)㈱ザイマックスビルマネジメント
■長寿命!10 年近く交換が不要な LED ランプ
蛍光ランプの寿命は概ね 6,000∼12,000 時間だが、LED ランプの寿命は 4 万∼6 万時間である。LED ラ
ンプは 1 日 11 時間点灯したとして、10 年間はランプ交換が不要の計算になる。
【図表 4】に見るように、蛍光ランプは 2,000 時間点灯までは、急激に光束が減少し、それ以降はゆっ
くりと暗くなる。一方、LED ランプは長時間明るさを保ち、高い光束維持率を発揮するという違いがあ
るが、蛍光ランプも LED ランプも「全光束」
【図表 4】光束維持率比較イメージ
の 70%まで劣化した時点を寿命としている。
LED ランプは、交換回数が少なくて済み、
寿命末期に見られる点滅もない。また、高
所照明の場合、交換作業費が高額なので、
LED 改修は大きなメリットがあり、投資回収
も早くなる。
なお、
長寿命と言われる LED ランプだが、
設置直後など短時間で、内部に組み込まれ
ている電子部品が故障するケースが散見さ
(出所)照明学会技術指針「照明設計の保守率と保守計画 第 3 版
−LED 対応増補版−」を基に㈱ザイマックスビルマネジメント作成
れる。選定にあたっては、メーカーの保証
期間もチェックしておこう。
環境にやさしい LED
日本国内で使用されている蛍光ランプには、1 本あたり数 mg のごく微量の水銀が使われている。
水銀および水銀を使用した製品の製造と輸出入を規制する国際条約である「水銀に関する水俣条約」*2
により、今後の規制強化が予想される。LED には水銀を含んでいないため、蛍光灯から LED への転換が
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一気に進む可能性もある。
また、LED ランプは【図表 5】のように、白熱ランプや蛍光ランプに比べて光の成分中、紫外線や赤
外線(熱の成分)が少ない。特に紫外線は、日焼けの原因となり、商品の退色や劣化を引き起こす。美
術館や博物館で LED の導入が盛んなのは、演色性の向上や省エネルギーのためばかりでなく、展示品の
損傷を抑える LED の特徴によるものである。
【図表 5】ランプ別発光スペクトル比較
(出所)㈱ザイマックスビルマネジメント作成
今回は、LED の特徴のうち「照度」と「寿命」などについてご紹介した。従来型照明の蛍光灯や白熱
電球などとの違いをご理解いただき、LED 導入の際の参考にして頂きたい。
次回 3 回目は、
「器具交換」と「ランプ交換」についてご案内する。
以上
*1:LED 照明導入の基礎知識 ∼第 1 回 色温度と演色性∼
http://www.xymax.co.jp/knowhow/pdf/140910.pdf
*2:
「水銀に関する水俣条約」
水銀および水銀を使用した製品の製造と輸出入を規制する国際条約。地球規模の水銀および水銀化合物による
汚染や、それによって引き起こされる健康、環境被害を防ぐため、国際的に水銀を管理することを目指すもの。
水銀添加製品は 2020 年までに製造、輸出、輸入が原則禁止される。
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