Kobe University Repository : Kernel Title 蛋白キナーゼPDK1の心臓発達における生理的機能の解 析 Author(s) 古川, 健亮 Citation 神戸大学医学部紀要=Medical journal of Kobe University, 63(3/4): 17-24 Issue date 2003-03 Resource Type Departmental Bulletin Paper / 紀要論文 Resource Version publisher URL http://www.lib.kobe-u.ac.jp/handle_kernel/00317271 Create Date: 2015-02-01 1 7 蛋 白 キ ナ ー ゼ PDKlの心臓発達における生理的機能の解析 古川健 神戸大学大学院医学系研究科応用分子医学講鹿 糖版病代謝・消化器・腎臓内科 連絡先:古川健見 神戸大学大学院医学系研究科 応用分子医学講座 糖尿病代謝・消化器・腎臓内科 神戸市中央区楠町 7-5-1 :0 7 8 3 8 25 8 6 1 ファックス:0 7 8 3 8 2 2 0 8 0 幽 (平成 1 5年 l月 6日受付) 約 〕 【 要 mitogena c t i v a t e dp r o t e i nk i n a s eを介する 路 叩 経路 ( 6,7). j a n u sk i n a s e/ s i g n a lt r a n s d u c e s and Cre心oxP システムを用いて筋肉特異的に 3. a c t i v a t o r so ft r a n s c r i p t i o nを介する経路(刊さら p h o s h o i n o s i t i d e d e p e n d e n tk i n a s e 1(PDK1)遺伝 に Ca2+ /c a l m o d u l i nd e p e n d e n tk i n a s eを介する経 子を欠損するマウス CMPDK1KO) を作成し, pho 路(引などの一定の役割が明らかとなりつつある。中 s p h a t y d i l i n o s i t o 1 3k i n a s e( P I3K ) 依存性のシグ こ傑位抑制型 PI3-K告発現させたト でも心臓特異的 i 削 側 ナル伝達分子の活性化及び心臓の発背における PDK ランスジスニックマウスで J心筋細胞のサイズの低下や lの生盟的意義を解析した。 Mヂ DK1KOの骨格筋 心議最の減少が(1)また,逆に心臓特異的に慌常的 及び心臓における PDK1蛋白発現盤は対照の 20%程 I3-Kあるいは恒常的活性化型 Aktを発 活性化型 P 度に低下していた。 M PDK1KOの心臓では Aktの したトランスジェニックマウスで,心筋細胞のサイ 幽 3 0 8位のリン酸化, Aktの活性化及び GSK3sのリ ン酸化は著しく低下していた。 M♂ DKlKO心臓重 じることが報告されており これらのシグナル伝連経路の心臓の生理的肥大におけ る重要性は特に注目を集めている。 は対照より 26%減少しており,組織学的検討では 心筋細胞の萎縮と細胞間隙の増大を認めた。一方, M- PDK1は蛋白リン酸化酵素であり. A k t . p70S6 PDK1KOの骨格筋では Aktの 3 0 8位のリン酸化の k i n a s e .serumandg l u c o c o r t i c o i dr e g u l a t e dk i n a s e β のリン酸化は常に生 抑制は軽度であり, GSK3 といった. PI3-Kの下流で機能するエフェクター分 じた。 M-PDK1KOはメンデルの法則に基づき出生 子のリン般化,活性化に叢要な機能を果たすことが報 し,出生後の体損増加も対照と農はなかったが,すべ されている(j札 I九 実 際 . PDK1遺伝子を欠失した ての倒体が 8:i周齢までに死亡した。以上の結巣から, 1 活性幹細胞では,増殖凶;子子子 r 子依存性の上記のキナ一ゼの PDK1はマウス個体において Aktの活性化に必須の 活性化が抑制される(12 分子であるとともに,心臓の正常な発速にも マウスは,胎生 9 . 5日で死亡するため(凶)成熟個体に 能を果たすことが明らかとなった。 おける PDK1の生理的機能の解析は十分には進んで へ いなし 1。また. PDK1蛋白の発現監が正常の 20%以 【 緒 下に低下した遺伝子改変マウスでも. Aktの活性化 雷 】 は正常に生じることも報告されており(jぺ個体レベ ルでの PI3 K依存性蛋白キナ…ゼの活性化における 心筋細胞は胎生期には分裂増殖を繰り返すが,生後 働 まもなく増殖能を喪失する。したがって,生後の心臓 PDK1の必要性についても不明な点が多い。そこで, の臓器としての成長は,個々の心筋細胞の増大,すな 本研究では C re 心oxpシステムを用いて筋肉特異的 P わち生理的肥大に依存している。 心臓の生理的肥大に DK1欠損マウスを作成し,個体レベルでの各穂の情 関与する細胞内シグナルについては,様々な遺伝子改 報伝達分子活性化における PDK1の必要性そ検討す 変動物告用いた解析から, P I3-K-Aktを介する経 るとともに, PDK1の心臓の発育における生躍的意 1 PI3 K キーワード:心臓発達,遺伝子改変マウス. PDK, 削 (7 1) 1 8 Akt活性の測定においては,マウスを 1 6時間絶食後, 義安解析した。 ヒト連効型インスリン(マウス体重 法1 【 方 1k gあたり 5 位)を腹腔内に投与し, 1 0分後に心臓及び、下肢骨格筋 0Cで保存した。摘 を摘出し液体議索中で凍結後一 8 0 出臓器から既報のごとく叩細胞可播化分画を調整し 筋肉特異的 P OI く1:欠損マウスの作成 遺伝子相同組換え法により PDK1遺伝子の第 3, た後,イムノプロットに供した。抗 PDK1抗体はテ oxP配列を挿入したマウス 第 4エクソンの両側に l .Liu博士より供与を キサス大学サンアントニオ校 F (PDK1f l o x / + ) を作成した。本マウス問士の交配に け 抗 Akt1抗体は U pstateB i o t e c h n o l o g y社 oxP配列そ有する より PDK1遺怯子両側アリルに l 8 3 0 8及び T 4 7 3 ),抗 G より,抗 Aktリン酸化抗体 ( l o x / f l o x ) を,また,本マウスと筋 マウス (PDK1f 8K3リ ン 酸 化 的 抗 体 的 9),抗 ERK1/2抗体,抗 m u s c l ec r e a t i nk i n a s e 肉クレアチンキナーゼ ( ERK1/2リン酸化抗体は C e l l8 i g n a l i n g社より, MCK) プロモーターにより Creリコンビナーゼを筋 ransduction l a b o r a t o r i e s社より 抗 G8K3抗体は T 肉特異的に発現したトランスジェニックマウス 容化分画悲調 購入した。 Aktキナ…ゼ活性は細胞可 j (MCKCre,ジョスリン糖尿病センター, C .R .Kahn 整した後,抗 Akt抗体(げ)で免疫沈降し,免疫沈降分 PDK1遺伝子片 博士より供与)(ω との交配により, 繭中のキナーゼ活性を既報のごとく oxP配列を有し,かっ筋肉特異的に Cre 側アリルに l (ω 合成ペプチド として測定した。 リコンビナーゼを発現するマウス (PDK1f l o x / +; 【結果】 MCKCr) 帝得た。 PDK1f l o x /+;MCKCrと PDK1 f l o x / f l o xとの交配にで得られた PDK1遺伝子両側ア oxP配列を有し,かっ筋肉特異的に Creリコ リルに l PDK1f l o x /十と PDK1flox/+MCKCrとの交配に l o x / f l o x; ン ビ ナ ー ゼ を 発 現 す る マ ウ ス [PDK1f l o x / f l o xの骨格筋,心臓をは より得られた PDK1f MCKCr(M PDK1KO)] を,主に PDK1f l o x / f l o x じめとした各種臓器における PDK1蛋白発現撃は P 告対照として実験に供した。 DK1+/+と比較して葉を認めなかった(データ示さ イムノプロット及び Aktキナーゼ活性の測定 発現量に影響を与えないことが明らかとなった。心臓 剛 oxP配列の挿入は PDK1 ず)。このことから, l 非刺激状態の各種キナーゼのリン酸化の検討におい における PDK1蛋自の発現景は M-PDK1KOでは ては,随時摂食下のマウスを屠殺後,直ちに心臓を摘 対照に比し 20%以下に低下しており,骨格筋におい 出し,液体墾索中で凍結し 0 8 0Cで保存した。ま た,インスリン依存性の各種キナーゼのリン般化及び ても間程度の低下がみられたが,他の臓器においては 両群聞で差を認めなかった(岡 1A)口 B A IB:ant トPDKl M PDK1KO 酬 嚇一緒 h e a r t s k e l t a lmuscle 1 0 0 ( % ) 噌凶 l i v e r M PDKIKO 網 f l o x / +C r e 崎和 f l o x l f l o x 4 adiposet i s s u e 恥 吋〉則自 lung 。 o brain 2 4 6 o x / ゃ 8 Age ( w e e k ) spleen pancreas 閣1.筋肉特異的 PDI く1欠損マウス ( MPDIく1I く0 ) における各種臓器での PDIく1の発現量と生祥事 A :4週齢の各遺伝子型マウスの心臓,骨格筋,肝臓,事丸周囲脂肪組織,肺,脳,牌臓,牌臓より可溶性 分闘を調整しイムノプロット解析に供した。各濃伝子型それぞれ 3個 体 に つ い て 検 討 し 代 表 的 l個体 の結果を示した。 1 20 日:筋肉特異的 PDK1欠損マウスの生帯率。 n=8幽 (7 2 ) 1 9 PDK1f l o x /+;MCKCrと PDK1f l o x / f l o xとの 4i 腸齢における M-PDK1KO心臓の組織学的検討 交配からは予想されるすべての遺伝子型のマウスが出 では,心筋細胞の萎縮と細胞間隙の増大を認めたが, 生し, M-PDK1KOをはじめ,すべての遺伝子型マ 細胞の配列異常や壊死は認めず,冠動脈や支配神経に ウスの出生率はメンデルの法則に従った (PDK1f l o x も形態学的異常はなかった(図 2)。また,マッソン / f l o x;MCKCr:PDK1f l o x / +;MCKCr:PDK1 f l o x / f l o x:PDK1f l o x / + 5 0 : 4 8 : 4 6 : 5 6 ) ο M P D K 1KOは 4潤齢から死亡する個体が出現し, 8週齢ま トリクローム染色にて線維染色を行ったが, M PDK の結果から, M-PDK1KOにおける心臓麓農の低下 でに検討したすべてのマウスが死亡した。一方,他の は心筋細胞自身の萎縮性変化によることが示唆された白 遺伝子型では 8週までに死亡するマウスを認めなかっ M PDK1KOの骨格筋には組織学的異常所見 剛 lKO心臓には線維組織の増成は認めなかった。以上 酬 ) o 4週齢における M♂DKIKOの体重は た(図 1B を認めなかった(データ示さず)。 PDK1f l o x / f l o xとの翠はなかったが,心臓3 重量は雄 で2 6. 4 %,雌で 25.2%の減少を認めた(表1)。 活性化されることが知られている Aktは PDK1によりその 3 0 8位がリン酸化され, 表1. 4澗齢の筋肉特異的 P O t く1 欠損マウス (MPO Kl I く0) 及び f l o x j f l o xの体重と心重量 剛 M a l e s F e m a l e s f l o x j f l o x M P D K I K O f l o x j f l o xM P D K I K O B o d yw e i g h t ( g )1 4 . 3士川 1 4 . 7士0 4 .1 . 1 2 士0 . 8 1 0 . 9土 0 . 6 H e a r tw e i g h t ( m g )6 3 . 3士2 . 5 *羽 田6 : t. 1 45 3 . 5士3 本 1 . 4 0 . 0 : t2 . 1 H e a r tw e l g h t / B o d yw e i g h tr a t i o 4必 士 0 . 0 6 *3 . 18 土0 . 0 74 . 8 2士川?ホ 3 . 6 8士0 . 0 8 とも n = 1 0 . した。 統計学的解析には t 検定を用いた。 * p<0 . 0 01 Cv ssames e xo fM♂ DKIKO) (ω 。心臓における Aktの議自発現議は M-PDK1KO,PDK1f l o x / f l o x聞で差はなかったが,非刺激状態での Akt3 0 8位の リン酸化は M-PDK1KOにおいて著明に低下してい たο また, A ktの蹟接の慕質である GSK3β( 凶 〉 の リン般化も M-PDK1KOでは低下していた。一方, PDK1非依存性にリン酸化が生じることが知られて いる A ktの 4 7 3位のリン酸化は, M-PDK1KOの心 臓において PDK1f l o x / f l o xに比して冗進していた ( 図3 。 ) 次に ,J心臓における増殖悶子依存性の各種情報伝達 分子の活性化を検討した。インスリン依存性の A kt の3 0 8位のリン酸化は M-PDK1KOの心臓では著明 H&E T r i c h r o m e M PDKIKO 帽 日o x / 日ox 図2 . 4週齢の筋肉特典的 p o t く1 欠損マウス ( M-POK1 1 く0 ) 及び f l o x / f l o xの心臓組織像 上段 h e m a t o x y l i ne o s i n(H&日)染甑,下段 M a s s o n ' st r i c h r o m eC T r i c h r o m e )染色。スケールパー =10μmo ( 7 3) 2 0 f l o x / f l o x 認めた。 GSK3sインスリン依存性のリン酸化も M~PDKIKO しく低下していた。(悶 4A)。インスリン依存性の 4一 一 Akt I B : a n t i p A k t ( S 4 7 3 ) Aktの活性化も M-PDK1KOの心臓では著明に抑制 )0一方, e x t r a c e l l u a rs i g n a l されていた(図 4B r e g u l a t e dk i n a s e( 日RK) 1/2については, PDK 1f l o x / f l o xではインスリン依存性のリン酸化を認め たが, M-PDK1KOではインスリン刺激前から ERK 1/2のリン酸化の冗進を認め,インスリン刺激によっ てさらなるリン酸化の増強は見られなかった(図 4C )。 以上のことから, PDK1シグナルの低下により,何 らかの代償機転が働き日RK1/2が活性化する可能 性が示唆された。 M-PDK1KO骨格筋においては, インスリン依存 性の A ktの 3 0 8位のリン酸化の抑制は軽微であり, インスリン依存性 GSK3のリン般化の抑制は見られ なかった。 A kt4 7 3位のリン酸化にはインスリン刺激 前,刺激後ともに M-PDK1KOと PDK1f l o x /f l o x は無かった(図 5 。 ) に抑制されており, 4 7 3位のリン酸化は軽度の冗進を A + x一 ' ' ' ' XF 伽一+ 伽 一 一 J 吋 r H‘1、.,M 8 , 、 、, JM I A り . 2 . 443 m礼 s T AA ‘ 、 , , ‘ , .. 、 、 LKL K ・ ・ 町. . . veATELW&E 泊 nyny ---&EE- -A n nu 鳳 嘗 ・ ・ w-E nMRu ‘ . ‘qM •. M-PDKIKO 備輔欄幽僻嚇欄醐剛W 一++ f 明 樫].Akt .• 重 時 A kt 4 し ー ヶ 一 一 一 一 一 ん じ 叫1 j . I B : a n t i A k t l S 9 )1 I B : a n t i p G S K 3s( 侍 A k t l 判 明 開 明 白F ゅ の 叫 GSK3s I B : a n t I G S K 3s 向勝鴨 r $ " 備 て 立 工 品 川 GSK3s B C (口。沼川口自習2 0u ω 泊日訓話︿ bp羽持 I n s u l i n : f l o x l f l o x M-PDKIKO I n s u l i n :一 一 + + 一 一 + + I B : a n t トpERKll 2I i 守 ERKl 庁2 0 4 ) 町一糊鵬欄脚ぷ了一一一 .I~ ERK2 ( T 2 0 2 … 九 叩 明 蜘 酬 榊 = 二 士 主 主j ヰE R E i RKll 2j + f l o x l f l o x + M平 DKIKO 図4 . 筋肉特異的 P D I く1欠損マウス ( M・PDI く1I く0 ) の心臓におけるインスリン依存性の A k t,G S I く3 β のリン 酸化 ( A ),A k t活性(日)及び E r kリン酸化 ( C ) A .4週齢の M♂DKIKO及び対日明、マウス ( f l o x /f l o x )を 1 6時間絶食後,インスリン(+)または 生理的食塩水(一)を腹腔内に投与 1 0分後に心臓を摘出し,細胞可溶化分闘を調整し,各抗体を用 いてイムノブロットに供した。 B:同様の方法で調整した細胞可博化分闘の Akt活性を測定した。各群とも n=3 0 C:同様の検体を 日比 1/2リン酸化抗体でイムノブロットした。 (7 4 ) 2 1 f l o x / t l o x I n s u l i n : 一一+ + M♂DKIKO + が深まることが期待される o ト ベ M PDK1KO骨格筋と心臓における PDK1 I B : a n t i p A k t ( S 4 7 3 ) Akt l B: a n t I p A k t ( T 3 0 8 ) Akt の低下は間程度であったにも関わらず,骨格筋での A k t l Akt3 0 8位リン酸化の抑制は軽微であり, GSK3 β のリン酸化の低下は認めなかった。 PDK1を完全に ktの活 欠損した肱性幹細胞では増殖因子依存性の A 性化は完全に阻害されるが(12) PDK1遺伝子のイン l B: a n t i A k t l l B : a n t I“pGSK3β(S9) 叩 GSK3{ 3 l B : a n t i G S K 3 β GSK3β 図5 . 筋肉特異的 P D I く1欠損マウス ( MPDK1 1 く0 ) の骨格筋におけるインスリン依梓性 A k t及び G S I く3sのリン酸化 4週 齢 の M♂ DK1KO及 び 対 照 マ ウ ス C f lox/f l o x )を 1 6時間絶食後,インスリン (+)または生理的食塩水(一)を腹腔内に し , 1 0分後に下肢骨格筋を摘出して細 胞可溶化分闘を調整し,イムノブロットに 供した。 幽 【 考 察 】 トロン中にネオマイシン耐性遺伝子を挿入することに より PDK1発現最告正常の 20%以下に低下させたマ ktの活性化 ウスの個体では,インスリン依存性の A は正常に生じることが報告されている これは, ( 1 3 ) PDK1は Aktの活性化にとって必須の機能を果たす ものの,細胞内では PDK1は十分に過盤に存在して おり,発現最が 20%以下に低下しでも正常なシグナ ルを伝達し得るからかも知れない。 以下に低下し,また,非刺激状態,及びインスリン刺 M PDK1KOの心臓の PDK1蛋白発現麗は対照の 20%程度であったが, C印 刷 l o x Pシステムの作用発現 機構から考えると,個々の心筋細胞での PDK1 は1 00% (遺伝子未切断), 50% (片側アリル のみ切断)もしくは 0% (両側アリルとも切断)と惟 0%程度の PDK1議自の残存によ される もし, 2 kt3 0 8位のリン酸化ならびにイン 激状態における A り下流へのシグナルが完全に伝達されるとすれば,理 ktの活性化は著明に抑制されてい スリン依存性の A 論上個々の心、筋細胞での PDK1シグナルの抑制の程 ktの基質の一つである GSK3s リン酸 た。また, A , 0% , 1 00%となる。 度は,各々の細胞で 0% 化も低下していた。以上の結果から, PDK1は個体 骨格筋は多核の融合細胞であり,一個の核中の PDK kt-GSK3 β 経路の活性化 l こ必須の レベルでも, A l遺伝子が完全に切断されたとしても,他の核中に未 剛 本研究では J心臓の生理的発宵における PDK1の機 r eLoxPシステムを用いて筋肉 能を検討するために C 削 特異的 PDK1欠損マウスの作成長試みた。 M PDK 助 1KOの心臓における PDK1発現量は対照群の 20% O 切断の PDK1遺伝子が残序すれば,細胞全体の PDK 分子であることが明らかとなった。 l資自発現最は 0%とはならず,下流へのシグナル M PDK1KOの心議最は対照と比較して 26%の減 削 を伝達しうる可能性がある O 心臓と間程度の PDK1 少告認めた。また,心筋細胞の萎縮とそれに伴う細胞 自量の低下にもかかわらず, M♂ DKIKOの骨格 間隙の増大を認め,本マウスの心震震の低下は心筋の 生理的肥大が抑制された結果と考えられた。慣常的活 筋で A kt活性抑制が軽微であったのは, I 3Kを心臓特異的に発現させたトランスジェ 性化型 P 細胞構造の違いに起因するのかもしれない。 幽 このような M PDK1KOは検討したすべての個体が 8週齢ま ニックマウスでは心筋細胞の肥大と心意最の増加が, 削 また逆に優位抑制型 PIιKのトランスジェニックマ でに死亡した。 M PDK1KOでは骨格筋におけるシ ウスでは心筋細胞の萎縮と心意最の低下が生じること グナル{ぷ壊の阻害が戟微で、あったことから,その早期 されている (1) 伊 このような既報の知見及び本 の死亡は心臓の機能不全に起因することが強く示唆さ I3K P 研究から得られた知見を考えあわせると, P れる。一方,程度差はあるが同様に心重量の低下を景 DK1経路が心筋細胞の生開的肥大に重要な機能を果 I3-Kトランスジェニッ する心臓特異的優位抑制型 P たすのは明らかである O クマウスや心臓特異的インスリン受容体欠損マウスで PDK1の下流でどのようなエフェクタ一分子が個 は早期の死亡が生じないことから考えると ( 1,2 0 ) PD ランスジェニックマウスでは心筋細胞の肥大と こも,心臓において重要な機能 Klは生理的肥大以外 l r a c k o w e rMAら 者担うことが示唆される 実際, C I3Kのシグナルは心臓 の最近の報告 (5) によると, P kt依存性のシグナ の増加が生じることからは吋), A の生理的肥大のみならず,収縮力の獲得に 体レベルでの心筋細胞の生理的肥大を制御するかは明 ktの心臓特異的ト らかではない。恒常的活性化型 A O ルが重要なのかも知れない。今後 M-PDK1KO告始 るらしい。今後, M♂DKIKOに生服機能的解析や めとした各種遺伝子改変動物の更なる解析を通じて, 電気生理学的解析などを加えることより,心臓の正常 個体レベルで、の心筋細胞の肥大のメカニズムへの理解 な機能の発現における PDK1の新規な役割が明らか (7 5) 2 2 and c e l l s i z e by d i s t i n c t P I 3K PTEN 0 0 2 . s i g n a l i n gp a t h w a y s .C e l l .1 1 0:737ω49,2 となるかもしれない。 叩 【 謝 静 】 6) Orlando, F . B ., Leon, J . W ., Kevin, M.T., Sandra, A.W., Thomas, R . K . , R a i s a, K . , 本研究にあたり, MCKC re トランスジェニックマ Timothy, E . H ., S t e v e n, P . J ., David, J . L ., ウスを供与頂きました C . R. Kahn博士, PDK1抗 Chang,F . P .,R i c h a r d,N .K . , J e f f e r y,D.M.: 体を供与頂きました F .L i u博土,及び PDK1flox/ The MEK1-ERK1/ 2 s i g n a l i n g pathway 十マウスの作成にご協力賜りました癌研究会癌研究所 promotes compensated c a r d i a c hypertrophy 3 5 0, i nt r a n s g e n i cm i c e .EMBOJ .1 9:6 3 4 16 く感謝します。また, ご指導を賜り 附 2 0 0 0 . ました神戸大学大学院応用分子医学講膝,糖尿病代謝・ i g n a l l i n gv i as t r e s s 7) B o g o y e v i t c h, M.A. S 消化器・腎臓内科春日雅人教授に暦くお礼申し上げま c t i v a t e dp r o t e i nk i n a s e s a c t i v a t e d mitogen・a すO i nt h ec a r d i o v a s c u l a rs y s t e m .C a r d i o v a s cR e s . 【文献】 2,2 0 0 0 . 4 5:8 2 64 削 . ,H i r o t a,H .,F u j i o,Y .,Matsui,H ., 8) Kuni阻 da,K 1 )S h i o i,T .,Kang,P.M.,Douglas,P . S .,Hampe, Tani,Y .,Yamauchi Takihara,K . , K ishimoto, 叩 J .,Y b a l l e,C.M L a w i t t s,J .,C a n t l e y,L . C ., T . : A c t i v a t i o n o f JAK STAT and MAP Izumo,S . :The c o n s e r v e dp h o s p h o i n o s i t i d e k i n a s e s by 1 e u k e m i ai n h i b i t o r yf a c t o rt h r o u g h 3-k i n a s e pathway d e t e r m i n e sh e a r ts i z ei n g p 1 3 0i nc a r d i a cm y o c y t e s .C i r c u l a t i o n .9 4:2 6 2 6 リ 相 .1 1:2 5 3 7-4 8,2 0 0 0 . m l c e .日MBOJ 9 9 6 . 3 2,1 .,McMullen,J .R . , Kang ,P . M .,D o u g l a s, 2 )S h i o i,T 9) Gruver,C .L . , DeMayo, G o 1 d s t e i n,M.A., P . S .,Obata,T .,F r a n k e,T . F .,C a n t l e y,L . C ., Means,A.R.: T a r g e t e dd e v e 1 0 p m e n t a lo v e r Izumo,S . :Akt/p r o t e i nk i n a s eB p r o m o t e s e x p r e s s i o no fc a 1 m o d u 1 i ni n d u c e sp r o l i f e r a t i v e o r g a n growth i nt r a n s g e n i cm i c e . Mol C e l l and h y p e r t r o p h i c growth o fc a r d i o m y o c y t e s 削 l 8 :2 7 9 9-8 0 9,2 0 0 2 . B i o. i nt r a n s g e n i cm i c e .E n d o c r i n o 1 o g y .1 3 3:3 7 6- .,Ling,L .,J u s t i n a,C.W.,S t u a r t, 3) Matsui,T A.C .,Tomohisa,N .,M i c h a e l,H . P .,R o n g l i h, 9 9 3 . 8 8,1 1 0 ) Toker,A .,Newton, A . C . :C e l l u l a rs i g n a l i n g P h e n o t y p i c Spectrum :p i v o t i n garoundPDK-1. C e l . l1 0 3 :1 8 5 8, Caused by T r a n s g e n i c O v e r e x p r e s s i o n o f 2 0 0 0 . , i D .R.: D i s c o v e r yo f PDK1,o n eo f 1 1 )A l e s s L ., Anthony, R. A c t i v a t e d Akt i nt h eH e a r t .J .B i o. l Chem. 0 0 2 . 2 7 7:2 2 8 9 6-2 2 9 0 1,2 剛 t h em i s s i n gl i n k si ni n s u l i ns i g n a lt r a n s d u c t 4) G i a n l u i g i, C ., A l e s s a n d r a, D ., G i o r g i o, S ., o c i o n . Colworth Medal L e c t u r e . 日iochemS A l f o n s o,B .,Roberta,R . , G uido,, . 1 M atteo, A .R . , Yusu, G ., Nancy, D ., C l a r e n c e, C ., 4, 2 0 01 . T r a n s . 2 11 叩 1 2 )W i l l i a m s, M.R . , A rthur, J . S .,B a l e n d r a n, M i c h a e 1, V . G . L ., C l a u d i o, N ., J u n i c h i, S ., A .,van d e r Kaay, J .,P o l i, V .,Cohen, P ., C a r l o,M.C.,John,R.J . : Akti n d u c e se n h a n c e d A 1 e s s i,D .R.:Ther o 1 eo f 3中 h o s p h o i n o s it i d m y o c a r d i a lc o n t r a c t i l t y and c e l ls i z ei nv i v o e d e p e n d e n tp r o t e i nk i n a s e 1i na c t i v a t i n g i nt r a n s g e n i cm i c e . PNAS 9 9:1 2 3 3 3-1 2 3 3 8, AGCk i n a s e sd e f i n e di nembryonicstemc e l l s . 2 0 0 2 . CurrB i o. l1 0 :4 3 9 4 8,2 0 0 0 . 5) Crackower,M.A . , O u d i t,G . Y .,K o z i e r a d z k i, . L .,A l f o n s o, M.,P e t e r, R.A ., 1 3 ) Margaret, A , . 1 S a r a o,R . , Sun, 日 . , S a s a k i,T .,日i r s c h, M i c h a y 1 a . R.W.,V i c t o r i a . M.T.,L o r r a i n e, S u z u k i,A . , S h i o i,T .,I r i eS a s a k i,J .,Sah, M.,Alan, R.P .,John, M.L.,and D a r i o, R . , Cheng,H .Y .,Rybin,V . O .,Lembo,G ., R.A .:E s s e n t i a 1r 0 1 eo fPDK1 i nr e g u 1 a t i n g F r a t t a,L .,O l i v e i r a-d o s-S a n t o s,A . J .,B e n o v i c, . c e l ls i z eandd e v e l o p m e n ti nm i c e . 日MBOJ 岬 2 1:3 7 2 8 3 7 3 8 .2 0 0 2 . J .L . , Kahn, C .R . , Izumo, S ., S t e i n b e r g, S . F ., Wymann, M.P., Backx, P . H ., P e n n i n g e r, . C .,Michae , l M.D.,W innay. J . N ., 1 4 ) Bruning,J J . M .:R e g u l a t i o no fm y o c a r d i a lc o n t r a c t i l i t y Hayashi, T .,H o r s c h .D .,A c c i l , i D .,Goodye ( 7 6) 2 3 a r, L .J ., Kahn, C .R . A m u s c l e s p e c i f i c i n s u l i nr e c e p t o rknockoute x h i b i t sf e a t u r e so f t h em e t a b o l i c syndrome o f NIDDM w i t h o u t a l t e r i n gg l u c o s et o l e r a n c e . Mol C e l l . 2:5 5 9 9 8 . 9 6 9, 1 . , Ogawa, W 1 5 ) Miyake, K け Matsumoto, M., Nakamura,T .,Sakaue,H .,Kasuga,M.:H l u c o s ei n t o l e r a n c e, and y p e r i n s u l i n e m i a, g d y s l i p i d e m i ai n d u c e d by a c u t ei n h i b i t i o no f p h o s p h o i n o s i t i d e 3k i n a s es i g n a l i n gi nt h e1 閑 4 9 , 1 2 0 0 2 . i v e r . J .C l i n .I n v e s t .1 1 0 :1 4 8 31 町 . D .,Ruoゐ0,Z .,Pau , l L .,H u i l i,H . , 1 6 )L i l y,Q Matthew,C .,L i,Z .,Feng,L . :PrimaryS t r u c t u r e, T i s s u e Dis t r i b u t i o n, and E x p r e s s i o n o fMouseP h o s p h o i n o s i t i d e d e p e n d e n tP r o t e i n K i n a s e 1, aP r o t e i nK i n a s eT h a tP h o s p h o r y l a t e s andA c t i v a t e sP r o t e i nK i n a s eC . J .B i ol . Ch 9 9 9 . e m .2 7 4 :8 1 1 7 8 1 2 2,1 .,Ogawa,W.,Sakaue,H . , Hin 1 7 ) Kitamura,T 0,Y .,Kuroda,S .,Takata,M.,Matsumoto, M.,Maeda,T .,K o n i s h i,H .,Kikkawa,U ., Kasuga,M.:Requirement f o rA c t i v a t i o no f t h eS e r i nゃ T h r e o n i n eK i n a s e Akt C P r o t e i n K i n a s e B) i nI n s u l i nS t i m u l a t i o no fP r o t e i n S y n t h e s i sb u tNoto fG l u c o s eTransport.Mo . l C e ll .B i ol .1 8 :3 7 0 8 3 7 1 7,1 9 9 8 . 1 8 ) Matsumoto,M.,Ogawa,W.,Teshigawara, K . , I n o u e,H .,Miyake,K . , Sakaue,H .,Kas uga, M. R o l e o ft h e I n s u l i n R e c e p t o r S u b s t r a t e 1 and p h o s p h a t i d y l i n o s i t o l 3k i n n d u c e d a s e s i g n a l i n g Pathway i n I n s u l i nI 削 日x p r e s s i o n o f S t e r o l R e g u l a t o r y Element c o k i n a s e Genes B i n d i n gP r o t e i n 1cand Glu i nRatH e p a t o c y t e s .D i a b e t e s5 1:1 6 7 2 1 6 8 0, 2 0 0 2 . 1 9 )C r o s s,D . A .,A l e s s . iD .R . , Cohen,P .,Andje l k o v i c h,M.,Hemmings,B .A.:I n h i b i t i o no f g l y c o g e n s y n t h a s e k i n a s e -3 by i n s u l i n m e d i a t e d by p r o t e i nk i n a s eB .N a t u r e .3 7 8 :7 8 5 9,1 9 9 5 . 副 . D .,B e t u i n g,S .,T u t t l e,M . J .,Gra 2 0 )B e l k e,D v e l e a u,C .,Young,M.E . , Pham,M.,Zhang, D .,Cooksey,R .C .,McClain,D .A . , L i t w i n, S .E . , Taegtmeyer,H .,S e v e r s o n,D .,Kahn, C .R . , Abel, E .D . :I n s u l i ns i g n a l i n gc o o r d i n a t e l y e t a b o l i s m, and r e g u l a t e s c a r d i a c s i z e, m c o n t r a c t i l ep r o t e i ni s o f o r m e x p r e s s i o n . J ( 7 7) C l i nI n v e s t .1 0 9 :6 2 9 3 9,2 0 0 2 . 2 4 A n a l y s i so fp h y s i o l o g i c a lf u n c t i o no fPDK1 o n n o r m a lh e a r td e v e l o p m e nt K e n s u k eFurukawa D i v i s i o no fD i a b e t e s,D i g e s t i v ea n dK i d n e yD i s e a s e s .D e p a r t m e n to fC l i n i c a lM o l e c u l a rM e d i c i n e . K o b eU n i v e r s i t yG r a d u a t eS c h o o lo fM e d i c i n e To e l u c i d a t eap h y s i o l o g i c a lr o l eo f PDK1 (3' p h o s h o i n o s i t i d e d e p e n d e n tk i n a s e 1) i n n a s edependents i g n a l i n g and n o r r n a lh e a r td e v e l o p r n e nt ,we ha v e p h o s p h a t y d i l i n o s i t o l 3占 i p e c i f i cPDK1d e f i c i e n tr n i c e (M♂ DK1KO) w i t ht h eu s eo ft h eCre心 oxP g e n e r a t e dr n u s c l es 聞 s y s t e r n . Theabundanceo fPDK1 p r o t e i nwasr e d u c e dby80% b o t hi ns k e l e t a lr n u s c l eand h o s p h o r y l a t i o n( T h r 3 0 8 ) and a c t i v i t yo f Akt a sw e l la st h e h e a r ti n M PDK1KO. The p 聞 p h o s p h o r y l a t i o n GSK3s ( S e r9) were r n a r k e d l yi n h i b i t e di nh e a r to f M-PDK1KO. The h e a r tr n a s so f M-PDK1KO was r e d u c e d by 74% and t h ec a r d i o r n y o c y t e so ft h e s ea n i r n a l s were a t r o p h i c . By c o n t r a s t,i ns k e l e t a lr n u s c l e,t h ep h o s p h o r y l a t i o no fAkt ando fGSK3 s were only s l i g h t l y and r n i n i r n a l l ya t t e n u a t e d,r e s p e c t i v e l y,i n M-PDK1KO. Although r 冷q uencyandd e v e l o p e dn o r r n a l l yu n t i l M-PDK1KO wereborn a tt h ee x p e c t e dr n e n d e l i a nf l lt h er n i c ed i e dby 8 weekso fa g e . PDK1 i st h u se s s e n t i a lf o ra c t i v a t i o n 4 weekso fa g e,a o fAkti nl i v i n ga n i r n a l sandp l a y sani r n p o r t a n tr o l ef o rn o r r n a lh e a r td e v e l o p r n e n t . ( 7 8)
© Copyright 2024 ExpyDoc