システム計測からみた高速化技術 ー通信システムにおける高速化技法ー 西 宏章 世の中にあふれる高周波 皆さんが使っている携帯電話 NTTドコモPDC、au CdmaOne 800MHz帯 ツーカー各社、J-フォン、NTTドコモシティホン 1.5GHz帯 PHS 1.9GHz帯 CdmaOne2000、NTTドコモ FOMA(W-CDMA)、Vodafone Global Standard 2.0GHz 非常に高い周波数を使っています Keio Univ. West Lab. Hiroaki Nishi パソコンの心臓部、プロセッ サだって。。。 実験でお話した「ムーアの法 則」に従い確実に高速化して います いまや、3.8GHzもあります Keio Univ. West Lab. Hiroaki Nishi 実はとんでもない世界です 自由空間では、1GHz は 30cmが1周期 プリント基板(FR-4)では、 約16cmです 4cm違うだけで、位相は 90度違います 3.8Gの世界では、1cm違う だけで90度位相が違います。 つまり、信号が見えなくなり ます Keio Univ. West Lab. Hiroaki Nishi 配線を曲げるだけで! 基板上の配線が90度で曲がると、波である信号が減衰 し、正しく情報を伝えることができなくなります これは、90度のコーナーで反射した波と干渉し波が小さ くなる、もしくはコーナー部分から外部に飛び出すため です テンペストというセキュリティーホールがうまれます Keio Univ. West Lab. Hiroaki Nishi そういう世界なので こんな回路で発振してしまいます 発振に寄与するのは、直径1cmで 4回巻いたコイルと、その下の10pF のコンデンサです これで100MHz程度で発振します 実はこれ、FMトランスミッタです コイルとはじくと「ビョン」という音がします 振動がコイルのインダクタンスを変化させるため、FM変調が かかるからです さらに、コイルに向かってしゃべると、FMラジオから声がでて きます Keio Univ. West Lab. Hiroaki Nishi そのような状況なので。。。 単にトランジスタや抵抗、コンデンサ容量を基に回路設 計しただけで動作しません 回路設計者は配線も含めて設計を行います 基板設計において、通常は、 等長配線で波形のずれを抑えます 多層基板・ベタグラウンドを用います ビアやスルーホールを工夫します 専用のCADを使って設計します 回路を一筆書きにします Keio Univ. West Lab. Hiroaki Nishi さらに、 部品のパーツはどんどん小型化しています Keio Univ. West Lab. Hiroaki Nishi 測定するのも大変です プローブをあてるとインピーダンスが変わるため、正し い波形が観測できません プローブの影響も考えて、出てきた結果を補正します ネットワークアナライザという専用 の測定器も存在します スミスチャートも描いてくれますし、 Sパラメータや雑音指数などの測定 が瞬時に行えます Keio Univ. West Lab. Hiroaki Nishi それを逆手にとって 配線だけで回路が構成できます インピーダンスマッチングやフィルタの基本となるスタブが構成できます オープンスタブの入力インピーダンスは、 Zin jZ 0 cot l 位相定数(2 ) l : スタブの長さ l の範囲ではキャパシタとして、 l の範囲ではインダク タとして働くことがわかります たとえば、 l とすると、スタブの付け根で電圧を0にできるため、Notch Filter (Band Elimination Filter)が構成できます ショートスタブの入力インピーダンスは、 Zin jZ 0 tan l オープンスタブの逆になります。たとえば、l とすると、インピーダンスを 無限大にできるためBPF(Band Pass Filter)が構成できます Keio Univ. West Lab. Hiroaki Nishi この様な高周波技術はとても大切です 高周波技術がなければ、テレビもラジオも携帯もパソコ ンも、ありとあらゆる情報機器が存在できません デジタル回路技術者は一般に論理設計だけ考慮して いればよかったのですが、現在はアナログ設計も求め られています スーパーコンピュータ、ネットワークが専門なので、そち らに話を移しますと。。。 Keio Univ. West Lab. Hiroaki Nishi ネットワークに信号を正しく伝える ネットワークに信号を正しく伝えることはとても難しいこ とです 現在の計算機ネットワークは結構とんでもない周波数 を平気で扱っています さらに、それをかなり遠くに伝えようとしています 今や普通のLANケーブルで10Gbit/秒の情報を飛ばす 技術さえあります Keio Univ. West Lab. Hiroaki Nishi
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