海外IRの強化へ 海外IRの強化へ 国債政策情報室を設置

特集
国債の安定発行と
市場安定化を目指す
海外IRの強化へ
国債政策情報室を設置
財務省ではこれまでも日本国債の海外IRに力を注いできたが、さらに海外
投資家に積極的にアピールするため、今年7月、国債政策情報室を新設した。
国債の利回りや入札状況などについての英語のリポートを毎月発行すると
ともに、海外の中央銀行や年金基金などに直接、日本国債の長期的な保有
のメリット等を説明していく予定だ。
取材・文:向山勇(株式会社ウイット)/風間立信(株式会社表参道総合研究所)
2
ファイナンス 2014.10
国債の安定発行と市場安定化を目指す
特集
海外IRの強化へ
国債政策情報室を設置
「国の債務管理の在り方に関する懇談会」の
議論整理を受け、海外IRを一層強化
海外
海外中銀や年金など安定保有が
見込
見込まれる投資家を重視
我が国は多額な国債債務を抱えており、国債の
安定化を図るためには、幅広い投資家層の国債保
有を推進することが重要になっている。国債管理
政策の諸制度の議論を行う「国の債務管理の在り
方に関する懇談会」でも、投資家の多様化、なか
でも海外保有は、重要なテーマのひとつとなって
いる。
「国の債務管理の在り方に関する懇談会」の第25回会
合であいさつをする古川禎久財務副大臣(当時)
同懇談会は、理財局長の私的懇談会として平成
16年に設置された。国債市場特別参加者制度を
償還年限の長期化、海外保有、個人保有等につい
中心とした、現在の国債管理政策を支えるさまざ
て8回に渡り検討が行われ、6月18日開催の第
まな問題に関して議論を重ね、平成21年に論点
32回会合において「議論の整理」が取りまとめ
整理を行っている。平成22年には、この議論に
られた。
基づいて整備された諸制度の実施状況のフォロー
海外保有に関しては、以下の3点が指摘されて
アップを行い、円滑に実施されていることも確認
いる。
している。
・国債の海外保有比率の増加は、投資家層の多様
その後、最後の開催から3年近くが経過し、当
化により、取引が一方向に流れることを防ぎ、
時とは経済社会情勢や財政事情も変化したことか
市場を安定させる効果がある一方、急激な資金
ら、平成25年10月に議論を再開。現在の国債管
流出が生じ易くなるとの指摘等もある。
理政策についての再点検を行うとともに、国債管
・日本国債の海外保有比率は、海外の主要国と比
理政策を巡るさまざまな課題の検討を進めること
べれば相当程度低い水準にある。現状、海外保
とした。
有比率の上昇を問題視すべき状況にはないが、
再開された議論では、国債市場の流動性や平均
引き続き注視する必要。
・海外保有比率が上昇していく可能性を踏まえ、
●「国の債務管理の在り方に関する懇談会」
で議論された国債管理政策を巡る諸課題
1
国債市場の流動性の維持・向上
2
国債の償還年限の長期化
3
海外保有
4
個人保有
5
国債市場のインフラ整備
海外IR(Investor Relations)においては、①
マクロ経済や財政健全化に関する情報発信を強
化、②海外中銀や年金、生保など安定保有が見
込まれる投資家を重視、③アジア地域・新興国
向けの取組みを一層強化。
これを受け、財務省では理財局に国債政策情報
室を設置し、海外IRをより一層、強化していくこ
ととした。
ファイナンス 2014.10
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日本国債の保有者の現状
日本国債への需要が高まり
海外投資家の保有率は高水準に
新興国の外貨準備高増加も
日本国債買いの一因に
興国を中心に外貨準備高が増加する中で運用資産
我が国の国債保有構造は、銀行等の金融機関の
である日本円の保有を増やす動きも見られた。
のアロケーションとして、主要国債通貨のひとつ
保有比率が高く、市場の状況が変化した場合には、
また、平成25年4月には、日本銀行による量的・
市場参加者の取引が一方向に流れる傾向があると
質的金融緩和が導入され、金利の変動幅が拡大し
の指摘がある。
たことや円安が進行したこと等により、直後は日
そこで銀行等の金融機関とは投資行動が異なる
本国債の保有を減らす動きが見られたものの、そ
個人や海外投資家、あるいは長期安定保有が期待
の後は、米国金融政策の先行きを巡る思惑や新興
できる保険会社、年金基金等の投資家による国債
国を始めとする各国の不安定要因等を背景に、安
保有の促進に取り組んでいる。 海外投資家の国債保有状況については、日本銀
全資産とされる日本国債への需要が高まった。
行が四半期ごとに公表している資金循環統計で見
に転じ、平成26年3月末には保有割合が8.4%、保
ることができる。近年の動向をみると、増加傾向
有額で84兆円といずれも高い水準となっている。
結果、海外投資家による日本国債の保有は増加
にあった海外投資家の国債保有は、平成20年の
また、海外投資家による日本国債への投資は、
リーマンショックを境に減少に転じた。具体的に
短期債が中心であることが特徴の一つである。平
は、平成20年9月末に8.6%あった海外投資家の
成25年末時点で、中長期債の保有割合が3.9%で
保有割合が平成22年3月末には5.6%まで落ち込
あるのに対し、短期債の割合は31.2%となって
んでいる。
いる。
しかし、その後は、各国の金融緩和等によるグ
さらに海外投資家は、流通市場において活発な
ローバルな投資資金の流入や欧州債務危機を背景
取引を行う傾向があり、売買シェアは平成26年
として「質への逃避」が起こり、安全資産とみな
3月末時点で現物が24.1%、先物で53.0%とな
された日本国債への需要等が増加した。また、新
っている。海外投資家の流通市場におけるプレゼ
●各国の国債保有等の内訳
日本(2014年3月末速報)
その他国内
2%
海外
8%
個人
2%
政府
9%
合計
998.1兆円
イギリス
政府
0%
政府
7%
ファイナンス 2014.10
海外
30%
中央銀行
18%
中央銀行
20%
金融機関
(除く中銀)
59%
4
アメリカ
海外
47%
合計
12.3兆ドル
(2013年12月末)
金融機関
(除く中銀)
19%
その他 個人
国内
8%
1%
その他
国内
1%
個人
1%
合計
1.4兆ポンド
(2013年12月末)
金融機関
(その他)
33%
中央銀行・
預金取扱機関
36%
国債の安定発行と市場安定化を目指す
特集
海外IRの強化へ
国債政策情報室を設置
●海外の国債保有額、保有割合の推移
(兆円)
(%)
10
9
8.7
9.1
100
8.5 8.4 90
8.4 8.5 8.3
8.1
8.0
7.7
8
80
7.5
86
77
77
7.4
6.9 7.0
84 84
83
82
7.1
82
78
6.8
68
82
6.5
68
7
70
6.6 6.4
79
6.4
63
62
6.0
6.0
60 59
5.9
58 57
6
60
5.6
5.5
55 56 55
5.2 5.1 5.5
52
52
50
49
5
50
4.6 4.3 4.4 4.4
46
46
42
4.0
40 39 42
4
40
35
33
34
33
3 29
30
8.6
8.6 8.5 8.4
2
20
1
10
0
平成17年3月末
平成18年3月末
平成19年3月末
平成20年3月末
平成21年3月末
平成22年3月末
平成23年3月末
平成24年3月末
平成25年3月末
0
(出典)日本銀行 資金循環統計
ンス(影響力)は、保有割合に比べて大きいこと
込まれる。
から、その動向を注視していく必要がある。
また、海外投資家の地域別分類については財務
省・日本銀行が国際収支統計(証券投資等(負債)
中央
中央銀行や年金基金等
安定
安定保有の投資家が大半
残高地域別統計)において公表している。これに
では、海外投資家とは、どのような投資家なの
③北米11.9兆円、④中東7.4兆円、⑤中南米6.1
よ る と、 ① 欧 州40.5兆 円、 ② ア ジ ア25.7兆 円、
か、もう少し具体的に見てみよう。海外投資家は
兆円となっている。
大きく2つに分類することができる。①外貨準備
近年ではとくにアジア地域による保有が伸びて
を運用する中央銀行等や、投資顧問、年金基金、
おり、平成25年末時点では、全体の4分の1を
生命保険、国家の資金運用を一元的に行うソブリ
占めている。その理由は、アジア新興国の経済成
ン・ウェルス・ファンド(SWF)等のリアルマネ
長に伴い、外貨準備高が増加しており、その資金
ーといわれる大口の機関投資家と②デリバティブ
の一部が日本への債券投資に振り向けられている
等を駆使して収益を追求するヘッジファンドだ。
ものと考えられる。
現在、日本国債を保有している海外投資家の大
国別の保有額を見ると、上位5ヶ国は①中国
半は、①のリアルマネー投資家であると考えられ
14.3兆円、②ルクセンブルク12.0兆円、③アメ
ている。彼らは一般的にリターンよりも安全性や
リカ10.9兆円、④フランス8.0兆円、⑤英国6.3
流動性を重視する傾向が強く、安定的な保有が見
兆円となっている。
フランス
ドイツ
政府
1%
中央銀行
0%
金融機関
(除く中銀)
24%
合計
1.8兆ユーロ
海外
61%
海外
40%
合計
5.3兆ユーロ
中央銀行
4%
金融機関
(除く中銀)
53%
(2013年12月末)
個人+
その他国内
15%
(2013年12月末)
その他国内
1%
個人 1%
日本国債は金融機関をはじめとした国内投資
家の保有割合が圧倒的に高い。海外投資家の
保有割合は足元で上昇傾向にあるものの、約
8%程度と低い水準で推移している。それに
対して、主要各国では、一般に海外保有比率
が高く、アメリカにおいては4∼5割、ドイツ
においては5割を超える水準となっている。
(注)日本は財投債、国庫短期証券(T-Bill)を含みます。ア
メリカは政府勘定向け非市場性国債を含みません。ド
イツは地方債等を含みます。フランスは地方債、社債
等を含みます。
(出所)日本:日本銀行、アメリカ:Federal Reserve Board、
イ ギ リ ス:Office for National Statistics、 ド イ ツ:
Deutsche Bundesbank、
フランス:Banque de France
ファイナンス 2014.10
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これまでの海外IRの取り組み
様々な投資家ニーズに応じたきめ細やかな情報を提供
セミ
セミナー形式だけでなく
個別
個別投資家訪問も強化
関する懇談会」等の意見を踏まえ、投資家のニー
財務省では、平成17年から国債に係る海外IR
日本国債の認知度向上のため、各地で大人数を対
ズに応じた方法を取り入れている。これまでは、
を実施している。海外投資家を含む国債保有者層
象としたセミナー形式を中心に実施してきたが、
の多様化を通じて、国債市場の安定を図るととも
最近では、こうした取組みによる認知度の向上等
に、海外投資家の動向及びニーズを的確に把握を
を受け、セミナー形式だけでなく、個別での投資
し、国債及び日本経済に関する正確かつタイムリ
家訪問も積極的に行っている。
ーな情報を提供することで、長期安定的な保有を
促すことを主な目的としている。
海外IRでは、様々な投資家に対して、各ニーズ
に応じた、きめ細やかな情報提供を行っている。
各投資家と直接対話をすることで、投資家ニー
ズのよりきめ細やかな把握と、それへの対応が可
能となり、日本国債のさらなる理解において有意
義なものになると考えられる。
例えば、中央銀行はマクロ経済動向や政治・外交
資家からは具体的な商品性、発行量、発行計画、
海外
海外投資家の声を
政策
政策に反映
国債市場等の実務的な話題がよく出されている。
平成25年度においては、北米、欧州、アジア、
情勢に強い関心を持っていることが多く、機関投
また、イスラム圏の投資家からはイスラム債の発
中東において、全10回の海外IRを実施し、現地
行可能性に関する質問等も出される。
投資家との面談やセミナーを行った。同年8月に
海外IRの手法については、海外投資家の動向や
市場環境の変化、また「国の債務管理の在り方に
は、ハイレベルの取組みとして、山口副大臣(当
時)によるシンガポールとタイへの訪問を実施し、
●海外IRの意義・目的
▶潜在的投資家層を発掘し、日本経済・財政等に関する海外投資家の正しい理解を促し、
そうした投資家とのネットワークを構築・維持することに大きな意義。
(国の債務管理の在り方に関する懇談会「国債管理政策の現状と課題−論点整理−(平成21年12月)」より)
海外IRの目的
① 国債保有者層の多様化
→ 国債の安定消化、市場の安定性向上
② 国債及び日本経済に関する正確かつタイムリーな情報提供
→ 長期安定保有の促進
③ 海外投資家の動向及びニーズの的確な把握
→ 国債管理政策へのフィードバック
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ファイナンス 2014.10
国債の安定発行と市場安定化を目指す
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海外IRの強化へ
国債政策情報室を設置
両国の副首相に日本の国債管理政策等について説
務官が参加し、日本国債・株式への投資を呼びか
明を行った。
けた。
また、平成26年3月には、いわゆる「アベノミ
最近では、アジア地域から日本への債券投資が
クス」を受けて、
海外投資家の日本への関心が高ま
急増していることから、アジア開発銀行とも連携
る中で、積極的に日本国債をアピールするため、
し、アジア・大洋州地域の経済関係者を対象とし
ニ ュ ー ヨ ー ク で 開 催 さ れ た「Japan Securities
た日本国債の説明も積極的に実施している。平成
Summit 2014」
(日本証券業協会主催)に古澤財
26年3月末時点での海外IRの実績は、北米39回、
●海外IRの実績(平成26年3月末時点)
アジア
(32回)
欧州
(54回)
イギリス
(17回)
オランダ
(9回)
フランス
(7回)
ドイツ
(8回)
ルクセンブルク
(2回)
イタリア
(1回)
スイス
(1回)
デンマーク
(3回)
スウェーデン
(3回)
ノルウェー
(2回)
ロシア
(1回)
中国
(香港含む、
10回)
台湾
(1回)
韓国
(1回)
シンガポール
(9回)
タイ
(4回)
フィリピン
(3回)
マレーシア
(1回)
インドネシア
(2回)
ブルネイ
(1回)
オセアニア
(6回)
中東
(24回)
オーストラリア
(6回)
アラブ首長国連邦
(10回)
サウジアラビア
(7回)
クウェート
(4回)
カタール
(3回)
北米
(39回)
米国
(34回)
カナダ
(5回)
中南米
(3回)
ブラジル
(2回)
チリ
(1回)
(注)
同一行程で同一国の複数都市を訪問した場合は、
訪問都市ごとに1回とカウントしている。
●バンコクの副首相に日本の国債管理政策
等について説明を行う山口副大臣(平成
25年8月)
●
「Japan Securities Summit 2014」
(ニューヨーク)で日本国債をアピールす
る古澤財務官(平成26年3月)
ファイナンス 2014.10
7
欧州54回、アジア32回、中東24回、オセアニア
●国内における海外投資家等との個別面談
6回、中南米3回となっている。
56
なお、本年6月にも、古川副大臣(当時)がイ
ンドネシアとシンガポールを訪問し、インドネシ
ア中銀総裁やシンガポール副首相と面会するな
23
ど、ハイレベルの取組みを行っている。
27
このほか、海外投資家を招いたセミナーでの講
演や、来日する海外投資家との個別面談も重点的
に行っている。
2011年
国内で開催される海外投資家向けセミナーにお
2012年
2013年(暦年)
(注)国債企画課(投資情報係)での対応件数
いては、幹部職員が講演を行い、マクロ経済や財
政健全化、国債管理政策における取組みなどをア
えば、「決済期間の短縮化を図ってほしい」とい
ピールした。また、来日する海外投資家との個別
った海外投資家からの声に対しては、流通市場に
面談についても、最近の日本経済への関心の高ま
合わせ、2012年4月に発行市場でも入札から発
りを受け、財務省に面会を希望する投資家が増加
行までの期間を「T(入札日)+3からT(入札日)
しており、平成23年は23件、平成24年は27件だ
+2」へ短縮を行った。
ったのが、平成25年度は56件と多くの海外投資
家との面談を実施した。
このように、海外IRでは、国債のみならず日本
の経済・財政に関する広範かつ高度な専門知識や
こうした海外IRにおいて、海外投資家からは
語学力、プレゼン力を基に様々な投資家からの質
様々な質問や意見が寄せられており、それら海外
問に対応しながら、日本政府を代表して投資家に
投資家の声は、政策に反映し活用させている。例
直接メッセージを伝える役割を担っている。
●海外投資家からの主な声と対応
海外投資家からの声
これまでの対応
▶決済期間の短縮化を図ってほしい
㾎流通市場に合わせ、2012年4月に発行市場でも入札から発
行までの期間を「T(入札日)+3からT(入札日)+2」
へ短縮
▶日本国債、日本経済、マクロ経済政策等に
関する情報提供を充実させてほしい
㾎ニュースレター等の定期送付
㾎投資家の関心に応じて日本経済やマクロ経済政策等の最新
動向を情報提供
▶日本も、他の先進国ではメジャーな物価連
動債の発行再開・増額に取り組んでほしい
㾎満期時の元本保証(デフレーションフロア)を付した上で
物価連動債の発行を再開(2013年10月∼)
㾎2014年度国債発行計画において発行額を増額
○その他の声(主なもの)
▶海外投資家による国債保有比率についての目標値はあるのか。
▶平均償還年限の目標値はあるのか。
▶日本のマクロ経済政策の見通し如何。(財政・金融政策、成長戦略、国際収支等)
▶イスラム債方式で日本国債を発行する計画はあるのか。 等
8
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海外IRの強化へ
国債政策情報室を設置
海外IR活動の一層の強化を図るため、
国債政策情報室を新設
英語
英語版ニュースレターを
四半
四半期発行から毎月発行に
当局と密接な意見交換を行うとともに、国際機関
今後、さらなるIRの強化に向けて、平成26年7
に行っていく。五つ目は、在京の海外中央銀行事
月から国債政策情報室を新設した。方向性として
務所と関係を強化し、定期的に意見交換を図って
は大きく5つの柱を掲げている。
いくこととしている。
一つ目は、情報発信を抜本的に強化し、海外に
主催のセミナー等で日本国債のプレゼンを積極的
国債政策情報室では、こうした取組みを積極的
とどまらず、国内への情報発信も積極的に行う。
に図り、海外投資家に向けたIR活動をさらに推進
海外向けに発行している英語版ニュースレター
していくことが期待される。
は、平成26年4月から、四半期発行から毎月発
行に発行頻度を上げ、海外投資家の関心の高いマ
●ニュースレター
クロ経済指標等の情報も盛り込むなど、内容の更
なる拡充に努める。
二つ目は、成長著しいアジアをはじめ新興国に
向けてIRをさらに強化し、将来を見据えたネット
ワークを戦略的に構築していく。三つ目は、海外
の中央銀行や外貨準備当局、年金基金など長期的
な保有が見込める海外機関投資家に対し、日本国
債の長期的な保有のメリットを個別に説明するな
ど戦略的なIRを推進する。
四つ目として、IRや国際会議等で各国債務管理
●今後のIRの方向性
・国債政策情報室を新設し、情報発信体制を抜本的に強化。
情報発信の強化
アジア・新興国向けIRの
一層の強化
長期安定保有者との
関係強化
各国債務管理当局、
国際機関との連携強化
海外中央銀行との関係強化
・海外向けに発行している英語版ニュースレターについて、四半期発行から毎月発行に頻度を上げるととも
に、マクロ経済指標等の情報も盛り込むなど、内容の更なる拡充を検討。
・アジアにおける高い成長力を踏まえ、アジア地域向けのIRを更に強化。
・大きなポテンシャルを有する新興国の投資家との間にも、IRを通じて、将来を見据えたネットワークを戦
略的に構築。
・中央銀行、外貨準備当局や年金基金など、長期安定保有が見込める海外機関投資家を重視した、戦略的な
IRを推進。
・IRや国際会議等で各国債務管理当局との情報交換を密に行い、更なるリレーションを強化。
・国際機関が主催するセミナー等で海外当局者、投資家向けプレゼン等を積極的に実施するなど、国際機関
との連携を強化。
・在京の海外中央銀行事務所と定期的に意見交換を行い、海外中央銀行との関係を強化。
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