営業生産性向上を支援する IT 活用の実態

営業生産性向上を支援する IT 活用の実態
2014 年 3 月 日本マイクロソフト株式会社
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目次
はじめに ....................................................................................................................................... 3
1. 国内大手企業における営業業務関連システム導入の現状 ............................................. 4
1-1. 営業業務関連システムの導入状況 ......................................................................................... 4
1-2. 自社の営業組織としての課題は何か...................................................................................... 5
1-3. 自社の営業力強化のために 業種別動向 .............................................................................. 6
2. 国内大手企業における IT 活用の実態 ............................................................................... 7
2-1. 営業活動における IT の活用は進んでいるのか? ................................................................. 7
2-2. ビジネスドライバごとにみる IT の活用 34 の質問項目と再分類 .................................... 11
2-3 各ビジネスドライバごとの IT 活用例と現状(As Is)~3 年後の理想(To Be) ............ 13
2-3-1.顧客分析 ....................................................................................................................... 13
2-3-2.日々の活動を企業の資産に .......................................................................................... 14
2-3-3.ビジネス状況の分析・可視化....................................................................................... 15
2-3-4.営業コラボレーション ................................................................................................. 16
2-4. 営業担当者の役割からみる IT の活用 .................................................................................. 17
2-5. 営業関連システムの導入状況と IT の活用に対する意識..................................................... 19
まとめ ......................................................................................................................................... 20
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はじめに
本調査レポートでは、勤務先企業の営業生産性の向上という経営課題の解決に向けた、営業職の視点から日々の
営業活動における IT 活用の現状と、3 年後の理想の姿を把握し、企業における IT システムのニーズについて、
Web 上でのアンケート調査を行った結果をまとめている。
アンケートでは、国内の大手企業の営業職担当者に対して、営業活動における業務の中で、IT による支援が可
能な分野を 34 項目に分類し、それぞれについて、現状(As Is)~3 年後の理想(To Be)の 4 段階で聴取した。
調査概要
調査概要
定量アンケート調査
Webアンケートモニター143万人に対してランダムサンプリングを行い、条件該当者を抽
出(リアルタイムスクリーニング)し、その後続けて本調査を実施
対象者条件
全国の20才~69才の男女
下記の条件を満たす企業勤務者
・勤務先企業: 指定業種(後述する11業種)/国内系外資系日本法人/従業員数1,000人
以上/東証一部上場
・本人: 正社員/指定職種(営業・営業企画・マーケティング・経営企画・事業統括・カ
スタマーサービス)
調査期間
2014年2月28日(金)~2014年3月12日(火)
回答者数
本調査回答者数: 1,261サンプル
割付:11セル(下図参照)
※「ソフトウェア」は、上記の対象者条件に該当する企業数が少ないため、上場企業に関する条件を一部緩和
・調査担当:(株)クロス・マーケティング
本調査回答者数
建設業
製造業:素材
製造業:組立て
情報通信・インフラ
ソフトウェア
運輸
小売
卸売
金融
保険
サービス
全体
無断複製を禁じます
回答者数
111
129
構成比
8.8%
10.2%
129
121
103
109
100
105
132
111
111
1,261
10.2%
9.6%
8.2%
8.6%
7.9%
8.3%
10.5%
8.8%
8.8%
100.0%
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1. 国内大手企業における営業業務関連システム導入の現状
1-1. 営業業務関連システムの導入状況
今回の調査対象先企業における各種システムの現状として、以下にあげる 9 つのシステムについて導入状況をき
いた。
 顧客データベース管理システム
 分析ツール(顧客分析、収益分析等)
 ドキュメント管理システム
 営業支援システム(SFA)
 基幹系システム(会計管理、販売管理、人事管理等)
 SCM システム(受発注管理、物流管理、調達管理、生産管理、在庫管理等)
 コールセンター支援システム(CTI 等)
 グループウェア(電子掲示板、スケジュール管理等)
 コンテンツマネージメントシステム(WEB 生成システム)※2014 年調査より追加
このうち、今回の調査対象先企業においては、顧客データベース管理システム、基幹系システム、営業支援シス
テム(SFA)が、半数以上の企業に導入されていた。
(図 1)
一方で、コールセンター支援システム(CTI 等)やドキュメント管理システムは、30%程度の導入に留まる結果
となった。今回より新規項目として聴取しているコンテンツマネージメントシステムは、10%程度の導入となっ
た。
図 1. 勤務先企業で導入しているシステム
顧客データベース管理システム
61.7
基幹系システム
52.6
営業支援システム(SFA
50.2
グループウェア
44.5
分析ツール
34.2
SCMシステム
30.3
コールセンター支援システム
28.2
ドキュメント管理システム
コンテンツマネージメントシステム
無断複製を禁じます
25.9
10.6
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1-2. 自社の営業組織としての課題は何か
自社の営業組織において、解決すべき課題としてはどのようなものがあるのか。対象企業全体では、
「より高度な
顧客情報の収集と分析」と「顧客への提案や、販促施策の品質向上」など、顧客に関連する営業活動の 2 つの課題
に対して、優先度の意識が高い。逆に、
「社内の報告の効率化」
、
「社外との連携強化」および「社内連絡・承認プ
ロセスや会議のやり方の見直し」などは、優先度が低い。
(図 2)
図 2. 自社の営業組織の課題:優先度の高いもの
より高度な顧客情報の収集と分析
顧客への提案や、販促施策の品質向上
営業チャネルの強化
自社の営業組織の課題・優先度
営業戦略に沿った活動計画とその管理
提案書、見積書作成の効率化
社内組織の壁を越えた顧客対応
(例:同一顧客への対応履歴を共有、など)
予算・見込み・実績の管理の高度化
社内の報告(日報、会議資料など)の効率化
顧客分析・商圏分析をいかした営業活動の高度化
顧客との連絡・調整業務の効率化
(例:外出先でのモバイル対応など)
社外(代理店、パートナー企業など)との連携強化
社内連絡・承認プロセスや会議のやり方の見直し
38.5
7.7
34.5
6.3
15.9
18.0
13.5
8.2
12.3
19.2
12.2
10.9
11.6
13.3
10.9
25.6
9.5
12.9
7.9
優先度:高
10.9
7.5
優先度:低
21.5
7.5
19.7
※優先度の高いものから降順表示
現状のシステムの導入状況と、課題意識とを比較してみると、違いがみられる。課題として優先度の高い「より
高度な顧客情報の収集と分析」「顧客への提案や、販促施策の品質向上」に対しては、顧客データベース管理シス
テムや分析ツールを導入している企業の方が、未導入の企業と比べて意識が高く、課題の顕在化とシステム導入に
関連性がみられる。
(図 3)
顧客データベース管理システム【未導入企業】
分析ツール(顧客分析、収益分析等)【未導入企業】
顧客データベース管理システム【導入企業】
分析ツール(顧客分析、収益分析等)【導入企業】
より高度な
顧客情報の
収集と分析
顧客への提案や、
販促施策の
品質向上
無断複製を禁じます
8pts差
33.7
課題上位2項目
課題上位2項目
図 3. 自社の営業組織の課題 上位項目とシステム導入の状況
41.4
31.1
6pts差
36.6
-5-
より高度な
顧客情報の
収集と分析
顧客への提案や、
販促施策の
品質向上
36.5
6pts差
42.2
33.3
4pts差
36.9
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1-3. 自社の営業力強化のために
業種別動向
営業力強化のための施策では、「モバイル端末の活用」を 49%があげており、最も強化が重要視されている結果
となった。
(図 4)モバイル端末の重要度は、業種を問わず重要視されている。
重要視される施策の傾向は、全体の 2 位には、
「クラウド型 SFA の活用」があがる。業種別の特徴として、2 位
の項目が、全体平均よりも 10 ポイント以上高いものとしては、建設業、ソフトウェアの「価格、見積もり作成の
効率化」などがあげられる。
図 4. 自社の営業力強化のための重要施策
モバイル端末の活用
49.0
クラウドサービス型(SaaS型)
営業支援システム(SFA の活用
28.0
最適な価格の提供
26.9
価格・見積もり作成の効率化
25.2
営業マテリアルの整備
22.3
売上予測とパイプライン管理
16.3
営業報酬管理
11.3
オンプレミス型(社内設置型)
営業支援システム(SFA の活用
11.2
ソーシャルCRM FacebookやTwitter
の活用
リードの管理
無断複製を禁じます
6.5
6.3
-6-
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2. 国内大手企業における IT 活用の実態
2-1. 営業活動における IT の活用は進んでいるのか?
今回の調査では、現状と 3 年後の理想について実施した 39 項目に関する回答結果を合計し、回答企業全体とし
て、IT 活用の度合がどのレベルにあるのかを算出している。本レポートでは、IT 活用の度合を、Phase0 から
Phase3 までの 4 段階に定義している。
(図 5)
図 5. IT 活用 4 段階の定義
Phase 0
各質問項目において、最も重要な要素にさえも、ITで提供で
きる基本的な機能の活用が十分にできていない状態
Phase 1
各質問項目において、最も重要な要素にのみ、ITで提供でき
る基本的な機能を活用できている状態
Phase 2
各質問項目において、重要で優先順位の高い要素に対し、IT
で提供できる機能を、十分活用できている状態
Phase 3
各質問項目において、ITを十分に活用できている状態
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今回の調査結果では、回答企業の約 8 割が、Phase0 または Phase1 に留まっている現状が明らかとなった。
(図
6)依然として大半の企業が Phase1 以下の状況にあると認識されている。
3 年後の理想としては、Phase2 または Phase3 へと移行が進むことを、約 8 割の企業が望んでいる。営業活動
における IT 活用の実態と期待・ニーズは、大きな変化を迎えるには至っておらず、現状で解決すべき課題は多い
とみられる。
図 6. 営業活動における IT の活用度合
6.2
16.4
43.5
Phase2以上
77.0%
39.4
Phase1以下
77.4%
33.5
38.0
17.5
5.5
Avg.
現状
3年後の理想
1.91
3.15
現状
3年後の理想
2014年
2011年
2008年
2014年
2011年
2008年
Phase 0
38.0
39.2
36.8
5.5
4.4
3.8
Phase 1
39.4
40.9
39.5
17.5
15.3
13.6
Phase 2
16.4
15.5
18.0
33.5
33.3
32.0
Phase 3
6.2
4.3
5.7
43.5
47.0
50.6
無断複製を禁じます
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全体の傾向としては、Phase0 または Phase1 が約 8 割であったが、業種別にみるとやや違いがみられる。
(図
7)ここでは、平均点の低い業種(現状での IT の活用度が低い)から高い業種(活用度が高い)へと、上から下に
並べている。
すべての業種において、現状では Phase1 以下の状況に留まっている。平均点が最も低い運輸の 1.71 から、最
も高い情報通信・インフラの 2.21 まで、若干ひらきがある。情報通信・インフラは、11 業種中 1 位となってお
り、システムの提供者として、自社での取り組みも他業種に比べると進んでいる。
図 7. 営業活動における IT の活用度合「現状」
:業種別
Phase0
Phase1
0%
現状での
IT活用度が低い
運輸
100%
49.5
34.5
47.6
小売
36.9
43.0
サービス
38.1
34.8
43.7
卸売
35.6
41.6
保険
34.7
情報通信・インフラ
1.71
10.3
5.2
1.73
16.0
40.5
製造業:組立て
15.0
16.6
41.3
37.0
ソフトウェア
4.2
12.2
32.0
36.3
31.3
43.0
25.2
40.3
2.8
7.6
6.3
5.0
-9-
1.75
1.87
1.90
1.92
16.5
6.3
1.93
18.5
5.5
1.95
20.1
6.5
1.96
19.4
6.4
2.01
23.1
11.4
※平均値は、Phase0=1点、Phase1=2点、Phase2=3点、Phase 3=4点として計算
無断複製を禁じます
今回
Avg.
11.8
42.0
44.4
金融
製造業:素材
Phase3
50%
建設業
現状での
IT活用度が高い
Phase2
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2.21
3 年後の理想をみると、情報通信・インフラは、3 年後の理想とする Phase が高く、11 業種中唯一 Phase3 が 5
割を超える。情報通信・インフラから卸売までは、3 年後の Phase2 以上の割合が 8 割前後に達しているが、小
売、建設、運輸の 3 業種は 7 割前後と、やや開きがみられる。
(図 7)
図 8. 営業活動における IT の活用度合「3 年後の理想」
:業種別
Phase0
Phase2
0%
3年後の
IT活用到達度が
低い
運輸
11.9
23.7
サービス 5.4
17.4
卸売 4.9
18.8
36.9
35.7
15.3
35.2
金融 5.6
16.5
32.9
16.6
ソフトウェア 4.7
16.4
保険 5.2
14.4
11.6
35.3
31.4
32.0
30.7
2.85
36.9
3.02
37.4
3.06
41.5
32.7
製造業:組立て 5.9
製造業:素材 3.4
33.0
33.8
19.8
今回
Avg.
100%
31.3
24.1
小売 5.9
情報通信・インフラ 2.9
Phase3
50%
建設業 5.2
3年後の
IT活用到達度が
高い
Phase1
3.13
43.7
3.15
43.6
3.17
44.9
3.17
44.6
3.21
47.5
3.22
48.3
3.23
54.8
3.37
※平均値は、Phase0=1点、Phase1=2点、Phase2=3点、Phase 3=4点として計算
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2-2. ビジネスドライバごとにみる IT の活用 34 の質問項目と再分類
今回の調査では、IT 活用度をはかるための 39 項目(新規追加 5 項目含む)を、4 つのビジネスドライバ(顧客
分析、日々の営業活動の最適化、営業コラボレーション、ビジネス状況の分析・把握)に再分類して、傾向を比較
している。4 つのビジネスドライバと、その中に含まれる設問項目を以下にあげる。
(図 9)
図 9. 4 つのビジネスドライバの再分類(全 39 項目、新規追加 5 項目)
日々の活動報告の効率化
提案書・見積書の効率的な作成
他 全11項目
日々の営業活動の最適化
Optimize sales cycle
営業チーム内でのコミュニケーション
組織的なアフターサービス
他 全10項目
営業コラボレーション
Sell better together
効果的な販売促進施策の実施
顧客の課題に対応した提案営業
他 10項目
顧客分析
Know your customer
予算・見込み・実績管理の効率化
業務管理の為のレポーティング・KPI管理
他 全8項目
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ビジネス状況の分析・把握
Better Decision Making
-11-
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現状で最も Phase0 の割合が高いのは、
「ビジネス状況の分析・把握」で、回答企業全体の 39.9%がここに位置
している。
「営業コラボレーション」も、39.3%が Phase0 に留まっているが、一方で、Phase3 または Phase4
の割合も 24.1%と 4 つのビジネスドライバの中では最も高く、業種間、企業間での違いが出ていると推測され
る。
(図 10)
現状で最も Phase0 の割合が低いのは、
「日々の営業活動の最適化」である。Phase3 または Phase4 の割合
も、
「営業コラボレーション」とほぼ同率で、平均値も 1.94 と 4 つのビジネスドライバの中で最も高い。
「日々の
影響活動の最適化」は、3 年後の理想でみても期待度が最も高く、営業活動の中での活用を進めやすい分野と考え
られる。
図 10. 4 つのビジネスドライバの再分類
現状
Phase0
0%
Phase1
Phase2
3年後
Phase3
50%
100%
Phase0
今回
Avg.
Phase1
0%
Phase2
Phase3
50%
100%
今回
Avg.
今回調査:全体
38.0
39.4
16.4
6.2
1.91
今回調査:全体
17.5
5.5
33.5
43.5
3.15
1.顧客分析
(Know your
customer)
36.8
42.1
15.0
6.1
1.90
1.顧客分析
(Know your
customer)
18.5
5.0
34.8
41.7
3.13
2.日々の営業活動の
最適化(Optimize
sales cycle)
36.1
18.0
1.94
2.日々の営業活動の
最適化(Optimize
sales cycle)
16.0
5.0
39.9
6.0
3.営業
コラボレーション
(Sell better together)
39.3
4.ビジネス状況の
分析・把握(Better
Decision Making)
39.9
36.6
39.7
17.8
6.3
14.0
6.3
3.営業
16.6
コラボレーション
(Sell better together) 6.3
1.91
4.ビジネス状況の
分析・把握(Better
Decision Making)
1.87
19.7
33.2
33.3
32.6
45.8
3.20
43.8
3.15
42.1
3.11
5.6
:最上位
:最下位
無断複製を禁じます
-12-
:最上位
:最下位
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2-3
各ビジネスドライバごとの IT 活用例と現状(As Is)~3 年後の理想(To Be)
次に各ビジネスドライバごとに、代表的な IT 活用例を紹介しながら傾向を比較したい。
2-3-1.顧客分析
顧客分析には、市場/顧客の動向を分析し、顧客ニーズの把握、クロスセルの可能性を分析するといった取り組
みがあげられる。具体的な質問項目として次の例を紹介する。
「自分(自組織)の担当する顧客の情報取得度合いについて現状と 3 年後の理想をお選びください」
(Q17)
Phase 0
基本情報(事業内容、事業規模、業績等)は把握しているが、顧客
の最新動向は管理していない。
Phase 1
基本情報(事業内容、事業規模、業績等)のみならず、顧客の最新
動向を新聞記事・ニュース等で情報収集し、組織的に管理・蓄積し
ている。
Phase 2
選択肢2に加えて、顧客の意思決定プロセスの情報、次の顧客ニーズ
の発生時期(新設・リプレース予定等)の情報、競合のアプローチ
状況の情報も収集し、組織的に管理・蓄積している。
Phase 3
選択肢3に加えて、顧客の購買関係者ごとに、権限/関心事項/判断
基準/予算スケジュール感/説明すべきレベル感の情報収集・整理
が組織的に実施できている。
現状
理想(3年後)
38.1
4.3
18.1
40.6
35.4
15.3
5.9
42.2
現状の課題として 1 位にあげられている「より高度な顧客情報の収集と分析」に直結する質問項目であるが、現
状では、基本情報に加えた日々の情報収集活動に留まっており、
「情報収集」レベルの域を脱していない。組織的
に行われる情報収集活動の結果を、IT の活用により、分析・活用フェースへと推進していくことが期待されてい
ると推察される。
無断複製を禁じます
-13-
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2-3-2.日々の活動を企業の資産に
現場の担当者が使いやすく、事務処理にかかる時間を削減し、プロセスを効率化するといった取り組みがあげら
れる。具体的な質問項目として次の例を紹介する。
「作成・提出している資料について現状と 3 年後の理想をお選びください」
(Q2)
Phase 0
重複が多く、管理目的が明確でない資料が多い上、殆どを一から手
作業で作成している。
Phase 1
重複が多く、管理目的が明確でないものはあるが、基幹システムや
営業支援システムのデータを加工して作成できる
Phase 2
重複は殆どなく、管理目的が明確であり、基幹システムや営業支援
システムのデータを加工して作成できる。
Phase 3
基幹システムや営業支援システムのデータを元に、レポートが自動
表示され、形式を自由に変えたり、ドリルダウンで詳細なデータの
確認も可能な為、報告書資料作成作業は極力効率化されている。
現状
理想(3年後)
38.9
4.5
11.8
42.0
33.9
14.1
5.1
49.8
営業力強化に向けたデータ活用・分析の重要課題としてあげられる、
「分析ノウハウの属人化」や「分析担当者
のワークロード(時間)
」などに関連する質問項目である。
現状では、手作業から脱却しつつはあるものの、依然重複作業を回避できないなどの効率の悪さが懸念される。
IT の活用によるシステム化で、作業時間、コストともに大きく削減することが期待できる業務分野であり、より
高度な業務内容へのシフトを推進したい企業側の意向が推察される。
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2-3-3.ビジネス状況の分析・可視化
タイムリーな案件進捗把握、売上動向の分析、経営層へのレポート作成の自動化といった取り組みがあげられる。
具体的な質問項目として次の例を紹介する。
「予算・見込み・実績のデータについて現状と 3 年後の理想をお選びください」
(Q3)
Phase 0
営業担当者が紙やエクセルベースで作成し、営業マネジャーが手作業でそれ
らを取りまとめている。
Phase 1
システムに入力し管理できるようになっているので、手作業による集計を行
う必要はないが、日々の商談情報とは別に管理されている。
Phase 2
営業支援システム上で商談情報とリンクしているが、予算・見込み・実績の
データがすべてシステム上で連携されていないのでオフラインによる作業が
入り、タイムリーに報告されないことも多い。
Phase 3
営業支援システムの商談情報とリンクしており、変更があった都度リアルタ
イムで更新されているため、予算・計画・予測の作成・管理が極力効率化さ
れている。
現状
理想(3年後)
43.7
5.4
14.7
32.2
24.0
17.0
7.1
55.9
現状の営業組織の課題として、「営業戦略に沿った活動計画とその管理」「予算・見込み・実績の管理の高度化」
などに関連する質問項目である。
現状では、紙ベースや Excel への手入力など、担当者の手作業の部分も多く、システム導入されていても一元管
理には至っておらず、即時性に乏しい様子が窺える。3 年後の理想としては、自社をとりまく環境や、顧客の状況
の変化に応じて、IT の活用により、柔軟に営業戦略を構築するためのリアルタイム性がより強く求められていると
推察される。
無断複製を禁じます
-15-
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2-3-4.営業コラボレーション
場所と時間を問わず、部門間に横断して顧客情報や、競合情報を共有するといった取り組みがあげられる。具体
的な質問項目として次の例を紹介する。
「社内のコミュニケーションについて現状と 3 年後の理想をお選びください」
(Q7)
Phase 0
口頭・メール・電話が主であり、担当者不在の場合やオフィスが別
の場合は連絡に時間がかかる。
Phase 1
インスタントメッセンジャーやWeb会議を活用できるので、遠隔地
でもスムーズに対応できる。
Phase 2
選択肢2に加えて、社内のネットワーク上で情報共有可能であり、
ワークフローも自動化されているため、社内の調整・連絡が極力省
力化されている。
Phase 3
選択肢3に加えて、共通のネットワークで繋がれたワークスペースの
各種機能は、個別のカスタマイズが柔軟にできるようになっており、
使い勝手が改善されている。
現状
理想(3年後)
55.8
7.5
25.6
18.0
34.3
13.3
5.2
40.3
自社の営業力強化のための施策として、
「モバイル端末の活用」があげられ、社内外での IT の活用の場が広がる
中、ともすれば分散しがちなコミュニケーションをどのように一元化し、社内の情報共有を進めていくのかは今後
の課題である。
現状では半数以上がまだ Phase0 であり、メール以上のコミュニケーションツールの導入が進んでいない状況が
伺える。3 年後の理想は一気に Phase2 以上へと進み、社内における円滑でかつ迅速、有効なコミュニケーション
環境導入への期待が高いと推察される。
無断複製を禁じます
-16-
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2-4. 営業担当者の役割からみる IT の活用
ここまでは、営業部門の回答者全体の結果をみてきたが、
「営業」部門のなかでも、役割によって意識に違いはあ
るのだろうか。営業担当者を、より直接顧客に触れる機会の多い「営業フロント」
(営業、カスタマーサービス)
と、
「営業」部門の中ではバックヤードに含まれることの多い「営業管理」
(営業企画、マーケティング、経営企
画、事業統括)の 2 つに分類して、認識の差違をみていく。
図 11. 営業担当者の役割別にみるビジネスドライバの現状
Phase0
Phase1
0%
営業管理
1.顧客分析
(Know your customer)
営業フロント
2.日々の営業活動の
最適化(Optimize
sales cycle)
営業フロント
3.営業コラボレーション
(Sell better together)
営業フロント
4.ビジネス状況の
分析・把握(Better
Decision Making)
営業フロント
営業管理
営業管理
営業管理
営業管理
Phase3
50%
営業フロント
今回調査:全体
Phase2
41.4
37.5
31.6
43.0
40.1
45.9
39.5
38.0
29.7
43.5
42.9
40.2
43.2
6.2
2.00
6.2
1.86
17.7
5.9
1.99
16.3
6.1
1.89
5.7
2.03
6.3
1.86
6.4
2.01
6.1
1.82
6.7
1.96
13.6
16.2
20.8
37.9
33.8
1.86
21.1
34.6
32.6
6.2
14.9
19.2
40.1
30.5
今回
Avg.
100%
43.1
12.8
16.4
※平均値は、Phase0=1点、Phase1=2点、Phase2=3点、Phase 3=4点として計算
※営業フロント:営業、カスタマーサービス。営業管理:営業企画、マーケティング、経営企画、事業統括
:最上位
:最下位
現状については、営業フロントの担当者の方が、営業管理の担当者よりも、IT 活用度を低く感じる割合が全般的
に高い。
(図 11)各ビジネスドライバでみても、営業フロントと営業管理とでは、Phase0 と感じる意識割合が
10 ポイント程度開きがあった。
3 年後の理想についての期待度をみると、営業管理の担当者の方が、営業フロントの担当者よりも、高い活用度
を望む割合が高い。現状での IT 活用の認識が進んでいる営業管理担当者の方が、将来に対してもより具体的なイ
メージを持っている割合が高いものの、現状の開きと比較すると、営業フロント担当者の期待値も総じて高い。
(図 12)
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図 12. 営業担当者の役割別にみるビジネスドライバの 3 年後の理想
Phase0
Phase1
0%
今回調査:全体
営業フロント
4.2
1.顧客分析
(Know your customer)
営業フロント
5.5
2.日々の営業活動の
最適化(Optimize
sales cycle)
営業フロント
3.営業コラボレーション
(Sell better together)
営業フロント
4.ビジネス状況の
分析・把握(Better
Decision Making)
営業フロント
営業管理
営業管理
営業管理
Phase3
50%
6.2
営業管理
営業管理
Phase2
3.9
5.7
3.7
7.0
5.1
6.5
4.1
18.7
15.4
35.6
20.0
15.8
17.0
14.0
100%
32.3
33.2
3.12
44.8
3.21
42.5
3.19
32.4
44.8
3.16
47.7
32.3
42.9
35.1
20.5
45.4
31.2
35.1
3.11
3.21
41.7
3.08
3.16
※営業フロント:営業、カスタマーサービス。営業管理:営業企画、マーケティング、経営企画、事業統括
-18-
3.26
42.7
※平均値は、Phase0=1点、Phase1=2点、Phase2=3点、Phase 3=4点として計算
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3.10
37.9
17.8
18.1
42.8
41.3
34.6
14.4
今回
Avg.
:最上位
:最下位
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2-5. 営業関連システムの導入状況と IT の活用に対する意識
企業の営業活動において重要かつベースとなる IT システムとして、
「顧客データベース管理システム」
「分析
ツール」
「営業支援システム(SFA)
」の 3 つのシステムについて、現在の導入状況と IT 活用に対する認識を比べ
てみた。
現状の IT 活用度の認識としては、3 つのシステムとも、未導入企業よりも導入企業の方が進んでいる意識が高い
が、導入企業でも Phase0 または Phase1 に留まっているとする回答者が約 7 割を占める。
(図 13)3 年後の理想
は、導入企業の 8 割は、Phase2 または Phase3 への移行を期待している。
(図 14)
未導入企業と比較すると、IT 活用のための基盤はやや整いつつあるものの、現状では運用開始に留まり、より高
度なシステム活用を期待している状況が窺える。
図 13. 営業関連システム導入状況と IT 活用:現状
営 業関連システム導入状況とIT活用:現状
営業支援
システム
( SFA)
分析ツール
(顧客分
析、
収益分析
等)
顧客データ
ベース管理
システム
0%
20%
【未導入】
40%
60%
44.4
【導入】
18.5
38.2
30.2
21.2
43.7
37.2
33.7
4.9
9.0
13.2
40.2
4.4
7.5
13.7
39.6
【未導入】
【導入】
12.7
38.9
43.1
【導入】
100%
38.5
35.1
【未導入】
80%
19.4
5.9
6.7
図 14. 営業関連システム導入状況と IT 活用:3 年後の理想
営 業関連システム導入状況とIT活用:3年後の理想
営業支援
システム
( SFA)
分析ツール
(顧客分
析、
収益分析
等)
顧客データ
ベース管理
システム
0%
無断複製を禁じます
【未導入】
【導入】
【未導入】
【導入】
【未導入】
【導入】
20%
7.2
5.4
21.4
15.0
7.1
4.1
32.0
12.4
80%
47.7
31.9
-19-
39.3
51.6
32.5
33.5
100%
36.7
33.6
20.3
14.6
60%
34.7
20.0
7.7
4.5
40%
39.5
47.4
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まとめ
今回の調査では、IT 活用度をはかる 39 項目について、国内の従業員規模 1,000 人以上の企業の営業関連職に対
してアンケート調査を実施した。結果として、回答企業の約 8 割が IT 活用レベルが Phase1 以下に留まった。現
状の活用レベルを受けて、3 年後の理想としても、一気に Phase3 へのシフトを期待する割合が高まることはな
く、Phase2 を経て Phase3 へと段階的な推進を想定している様子が窺える。
競合他社と比較した場合に、自社のシステム化をどう思うかという問いに対しては、
「同程度」が約半数となっ
た。自社のシステム化の進捗意識は、業種間での開きがややみられた。
「進んでいる」とする業種、
「遅れている」
と考える割合の高い業種のいずれにおいても、営業組織における課題は「より高度顧客情報の収集と分析」
「顧客
への提案や、販促施策の品質向上」に集中しており、現状の進捗状況を問わず、共通した営業課題としてあげられ
る。
現状と理想とのギャップは依然として大きく、各社、各業種におけるシステムの導入、活用の状況や優先度もさ
まざまであるが、クラウドやモバイル端末の導入など、情報へのアクセス、発信手段が多様化し情報量も飛躍的に
拡大する中で、情報の一元化、知識としての蓄積、社内での利用、事業戦略への活用を即時性をもって行う、IT
活用によってこれらを実現したいという期待度は高い。
自社との比較、業種ごとの傾向については、追加レポートという形で、今後の公開を予定している。
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