乳酸菌とその多糖に免疫賦活・炎症抑制効果を確認 ―2014 年 12 月 13 日(土)実施の第 12 回日本機能性食品医用学会総会にて発表― OTC 医薬品の製造販売を手がける日東薬品工業株式会社(本社:京都府向日市、代表取締役社長:北尾哲郎、 以下「日東薬品」)は、石川県立大学 生物資源工学研究所(山本憲二教授、松﨑千秋博士)、広島大学 大学院生 物圏科学研究科(田辺創一教授)との共同研究で、乳酸菌(Leuconostoc mesenteroides subsp. mesenteroides NTM048 株、以下「NTM048 株」)とその菌体外多糖(以下「EPS」)に免疫力を高める効果があることを明らか にしました。 本研究結果を、2014 年 12 月 13 日(土)から実施された「第 12 回日本機能性食品医用学会総会」のランチョン セミナーにて発表しました。 ■免疫力を高める乳酸菌と菌体外多糖 ─乳酸菌 NTM048 株とその EPS─ 近年、乳酸菌には整腸作用などの健康効果があることが報告されており、そんな中、乳酸菌が産生する物質に ついても注目が集まっています。 日東薬品は石川県立大学 生物資源工学研究所(山本憲二教授、松﨑千秋博士)との共同研究を通じ、日東薬品 の乳酸菌ライブラリー約 170 株の中で、エンドウマメから単離した乳酸菌(NTM048 株)に免疫力を高める効果が あることと、独特なネバネバ物質である菌体外多糖(EPS)を多く産生することを確認しました。 さらに、広島大学 大学院生物圏科学研究科(田辺創一教授)との共同研究により、NTM048 株が産生する EPS には、免疫機能の異常によって引き起こされる疾患(以下「免疫疾患」)における炎症を抑制する効果があること を明らかにしました。 ■実験結果 (1)マウスを用いた実験で、NTM048 株に以下の効果があることを確認しました。 ・腸管粘膜での抗体(IgA[※1])分泌量を増加 ・脾臓のヘルパーT 細胞[※2]の機能を調節 (2)細胞(マウス脾細胞)を用いた実験で、NTM048 株の EPS に以下の効果があることを確認しました。 ・免疫疾患の原因となる炎症性サイトカイン(IL-17)[※3]産生量を抑制 以上の結果から、NTM048 株の菌体とその EPS には、免疫力を高める効果があることが示唆されます。また、 炎症性サイトカインである IL-17 の産生を抑制することから、アトピー性皮膚炎、乾癬などの IL-17 に関連した 免疫疾患の予防や治療に役立つ可能性があると考えられます。 本研究結果より、NTM048 株とその EPS の医薬品分野、機能性食品分野への応用が期待できます。日東薬品 は NTM048 株とその EPS について、食品分野での 1 年後の事業化を目指すと共に、引き続き NTM048 株及び EPS が持つ有用性の研究に取り組み、応用分野への可能性を模索していきます。 [※1]IgA とは: ヒトの自然抗体である免疫グロブリン A のこと。侵入してきた抗原に応答することにより腸管上皮細胞から多 量に分泌され、腸管粘膜を保護し、抗原の腸管への侵入を防御しています。 [※2]ヘルパーT 細胞とは: 免疫応答に関与するリンパ球の 1 つ。抗原の情報を B 細胞へ伝えて抗体の産生を誘導したり、免疫応答を誘導 する液性因子を放出することにより、免疫反応の司令塔として働きます。 [※3]炎症性サイトカイン(IL-17)とは: 血管内皮細胞、マクロファージなど種々の細胞に作用して、様々な炎症性メディエーターの発現を誘導する分 子のこと。
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