1 I はじめに(p1-)、ならびにIV-1.2.2(p170)格納容器 破損防止対策

川内原発審査書案/原発再稼働への市民からの意見書
http://www.iwanami.co.jp/kagaku/20140810.html
匿名 20140815-4
I はじめに(p1-)、ならびに IV-1.2.2(p170)格納容器
肺部の機能診断への使用が知られているが(肺から血
破損防止対策 に関する意見
中への取り込み率は5∼8%)、乳幼児への使用は禁
平成24年6月施行の原子力規制委員会設置法第一
じられているのは衆知である。
条には、「原子力利用における事故の発生を常に想定
放射性希ガスによる被曝効果は、ICRP など専門家間
し、その防止に最善かつ最大の努力をしなければなら
では、外部被曝であるサブマージョン被曝として取り
ないという認識に立って、・・・その委員長及び委員
扱われる。ICRP Publication 68 の付属書 D では、放
が専門的知見に基づき中立公正な立場で独立して職権
射性希ガスに対する成人の実効線量率が与えられてお
を行使する原子力規制委員会を設置し、もって国民の
り、例えば Xe-133 の場合 5x10-9 mSv/h/Bq/m3 とされ
生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国
る。
の安全保障に資することを目的とする。」とある。そ
原子力発電所の敷地境界での一般公衆被曝の目安線
の設置目的は、国民の生命、健康及び財産の保護、等
量としては100mSvが国際的に認められている。
100 mSv
であると明確に規定している。
に相当する Xe-133 の 地上濃度 X 被曝時間 は、
2X1010
同委員会が平成26年7月16日に発表した川内原
[Bq/m3]X[h] となる。重大事故時に格納容器から環境
発の設置変更許可申請書に関する審査書(案)では、
中に放出される可能性のある Xe-133 の場合、
周辺住民
緊急停止後の原子炉格納容器外への放射性核種の放出
の生活空間での濃度 時間は、他の放射性ヨウ素、セ
に関する規定は、
IV-1.2.2のp170の脚注に示さ
シウムなどが同時に放出される可能性を考慮すると、
れるように、「Cs-137 の放出が 100TBq を下回ってい
成人に関しては少なくともこれを充分下回る必要があ
ること」(T:1012) としており、炉心のメルトダウ
る(幼児など成長期の住民に対しては、更にその数分
ンのような重要事故時の格納容器内に漏れ出た放射性
の一以下)。つまり、放出時間を10時間とすると 2
核種の環境への放出の可能性を認めている。
x109 [Bq/m3] が規制濃度となる。
川内原発の定格電気出力は 1 号機、2 号機を合せて
原発敷地周辺に放出される放射性希ガスの地上濃度
178 万キロワットであり、炉緊急停止時点の炉心内の、
は、放出高さ、放出率、地上付近の鉛直方向の温度分
例えば放射性希ガス
(Kr および Xe)
の蓄積量は、
0.5MeV
布、風速などに大きく依存するが、放射線防護の観点
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換算で3万PBq(P:10
)を超える。PWRの
からは、その最も厳しい条件を想定するのが当然であ
格納容器の容積が大きいとしても、数十年前の建設時
る。冬季の夜間沿岸部で見られる逆転層の形成下での
には、重大事故は想定されておらず、現在考え得るあ
微風条件下では、風下方位数十度以内の地上濃度は最
らゆる事故の可能性を考慮して設計されているわけで
も高くなることが予想される。JAERI-Data/Code
はない。格納容器の密閉機能の喪失可能性を否定出来
2004-010 に示される放射能雲の風下濃度評価法によ
ず、その場合、フィルターで捕捉し得ない放射性希ガ
ると、仮に 10 時間をかけて Xe-133 を放出する場合、
スは最終的にほぼ全量が放出される事となる。
風下における最大地上濃度は川内原発の場合、最低で
緊急停止時の原子炉からは非圧縮性で化学的に不活
も 2x109 [Bq/m3](スタック放出)、地上放出では静
性とされる放射性希ガス Xe-133 は、
例えば東京電力福
穏な気象条件の場合、
その100倍の 1011 台となる
(幼
島第一原子力発電所の 2011 年 3 月 11 日以降の事故の
児の場合は、更にその数倍)。
場合、その総放出量は11万PBq で、100%が格
このように、重大事故時には、初期被曝の重大な放
納容器外に放出された。
射性核種として放射性希ガスが 100mSv を超え、
更に重
一般に放射線防護の基本思想は、考え得る最も過酷
大な放射性ヨウ素がこれに加わる。審査(案)にある
なケースを想定し対策することであり、事業者も規制
ような、Cs-137 のみで規制する事は、即刻改めるべき
当局側も「想定外」として事故後に国民に言い訳する
点と考える。
ことは許されない。それが今回制定された原子力規制
委員会設置法の趣旨でもあろう。
放射性希ガスの代表的な核種は半減期 5.29 日の
Xe-133 であるが、Xe-133 はまた、医学分野で頭部及び
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