I III II IV

実績と成長戦略
営業概況
経営基盤
財務・会社情報
中期経営計画 E-Plan2016
新興国を中心とした人口増加やその経済発展に伴う生活水準の向上、先進国におけるインフラ施設老朽化な
グループ共通の中長期的目標
どを背景に、エネルギー・水インフラ・環境関連施設などの社会・産業インフラの整備や、その構成要素となる
「世界トップクラスの
産業機械メーカ」
高効率なシステム/機器類に対する需要が従来にも増して高まっています。これらの「社会的ニーズ」は荏原
グループの事業領域そのものであり、それらのニーズに対して製品・サービスによるソリューションを提供する
ことが、まさに当社グループの使命と言えます。
当社グループはこれらの事業活動を通じて社会的責任(Corporate Social Responsibility)を果たすことを
目指すものであり、その事業活動の基本骨格を示すものが本中期経営計画「E-Plan2016」になります。
E-Plan2016
経営基盤強化から
“
”
成長 へと明確に舵を切る変換点
E-Plan2013
より確実で安定した事業構造を
産業インフラ需要の高まり
確立するための期間
社会インフラ需要の高まり
E-Plan2016 グループ全体基本方針
I
市場の成長を確実に当社ビジネスに
取り込むこと
海外市場での
量(売上)の成長
→詳細は 14 ページ
10
II
製品・プラントのライフサイクル全体を
対象とするサービス業たること
III
産業機械メーカとしての
Core Competence(技術力)を
継続的に強化していくこと
国内外での
質(利益)の成長
スピード感を持った
変化と成長
IV
グローバル事業展開を支える
経営インフラの拡充を図ること
内外リソースの
機動的・集中的な活用
→詳細は 15、16 ページ
EBARA CORPORATION Annual Report 2014
11
実績と成長戦略
営業概況
経営基盤
財務・会社情報
中期経営計画「E-Plan2016」の解説
代表取締役社長の前田より、中期経営計画
「E-Plan2016」
策定の背景や事業戦略の骨子についてご説明します。
E-Plan2016 策定の背景
グループ全体基本方針
前中期経営計画「E-Plan2013」では、
「より確実で安定し
「社会的ニーズ」は当社グループの事業領域そのもので
た事業構造を確立するための期間」と位置付け、各種施策に
あり、それらのニーズに対して製品・サービスによるソリュー
取り組んできました。具体的には、地域戦略に基づいた最適
ションを提供することが、まさに当社グループの社会的使命
Ⅰ 市場の成長を確実に当社ビジネスに取り込むこと
地生産および製品供給体制の構築を進めるとともに、事業
です。
Ⅱ 製品・プラントのライフサイクル全体を対象とするサービス業たること
領域のグローバル化に即した本社機能の拡充や生産革新
言い換えれば、当社グループはこれらの事業活動を通じ
Ⅲ 産業機械メーカとしての Core Competence(技術力)を継続的に強化していくこと
運動の国内外への展開に注力してきました。その結果、
て社会的責任(Corporate Social Responsibility)を果た
Ⅳ グローバル事業展開を支える経営インフラの拡充を図ること
売上、利益が着実に伸び、財務体質の改善と経営基盤におけ
すことを目指しています。その事業活動の基本骨格を示す
る一定の厚みを実現しました。
ものが本中期経営計画 「E-Plan2016」 なのです。
基本方針ⅠおよびⅡについては、次ページ以降で詳細に
一方、荏原グループを取り巻く事業環境は、新興国を中心
今回の E-Plan2016 は、前計画期間を通じて安定した
説明します。
とした人口増加やその経済発展に伴う生活水準の向上、
経営基盤を実現した今、世界中で高まる「市場ニーズ」に
基本方針Ⅲについては、メーカとしての原点に立ち戻り、
先進国におけるインフラ施設老朽化などを背景に、エネル
応え、成長市場を着実に当社ビジネスへと取り込んでいく
製品競争力の源泉である「コア技術」を継続的に強化する
ギー・水インフラ・環境関連施設などの社会・産業インフラ
ターニングポイント、つまり、
「成長へと明確に舵を切る
ことを掲げています。特にポンプ事業については、全社の
の整備や、その構成要素となる高効率なシステム/機器類
変換点」と捉えています。
リソースを投入して、設計レベルから抜本的に見直します。
に対する需要が従来にも増して高まっています。これらの
E-Plan2016 におけるグループ全体の基本方針を以下の通り、設定しました。
また、
E-Plan2013から継続して実施している生産革新運動、
荏原グループの目指すもの、E-Plan2016 の位置付け
これによる
「ものづくり」
プロセスの最適化をさらに進めて、
人
材の育成とともに海外生産拠点に対する展開を加速します。
当社グループは、中長期的には「世界トップクラスの産業
となって経営課題に取り組んでいく必要があります。そのた
基本方針Ⅳについては、グローバル展開に必要な本社部
機械メーカの地位を確保する」ことを目指します。この達成
めのイメージを明確にするため、まずは 6 年後の「ありたい
門の専門機能の深化とサポート機能強化を図るとともに、
のために、熾烈なグローバル競争の中で当社グループ一丸
姿」を設定しました。
生産・販売・在庫管理・調達を含めた事業活動のあらゆる
側面のモニタリング、コントロールにおいて ICT を活用した
荏原グループのありたい姿(2020 年 3 月期末時点を想定)
マネジメント・システムを構築します。
• 世界的規模で事業展開を行う中で、グローバルに存在感を発揮する高収益体質(売上高営業利益率 12% 以上)を構築する。
• 各事業領域において確固たる地位を構築する。特にポンプ事業においては、M&Aも経営の選択肢と捉えたうえで、世界シェア
トップ 3メーカとしてのポジションを確保する。
• 性別、国籍などによらず個々の従業員の能力を伸ばし最大限に発揮させるための環境の整備、および発揮された能力に相応
しい対価で報いるための制度を導入する。
12
E-Plan2016 では、いまから 3 年後に、6 年後の「2020 年
長率は約6%です。新興国を中心とした市場の成長を確実に
3 月期にありたい姿」への道筋を見通せるところまで到達
取り込んでいくとともに、製品競争力の強化や新領域への
することを目指しています。
展開などによるシェアの拡大が鍵となります。一方、日本な
E-Plan2016 における事業規模の目標を売上高 5,350 億
ど高い成長性は望めない市場においては、収益性の向上を
円と設定しました。3 年間の計画期間であるため、年平均成
主眼とした施策をとっていきます。
EBARA CORPORATION Annual Report 2014
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実績と成長戦略
I 量(売上)の成長
Focus
営業概況
経営基盤
財務・会社情報
II 質(利益)の成長
Focus
市場の成長を確実に当社ビジネスに取り込むこと
製品・プラントのライフサイクル全体を対象とするサービス業たること
荏原グループのビジネス領域は、海外を中心に成長し続けています。市場の成長を確実に取り込んでいく
荏原グループのビジネス領域は、顧客に製品・プラントを納めるまでではなく、納入後の製品・プラントの
ために、以下の 3 点に積極的に取り組み、事業規模の拡大を図ります。
ライフサイクル全てが対象となります。つまり当社グループは製造業でもありサービス業でもあるのです。サー
ビス&サポート(S&S)事業を強化するため、以下の 3 点に積極的に取り組み、収益性の最大化を図ります。
1 海外市場では、特に S&S 事業において、納入済機器に対するカバー率を向上させるために、
1 地域/業界の両面において、成長市場の中での注力領域を定め、各領域での事業遂行責任体制を
納入実績の多い地域を中心に体制の強化を図ります。
明確にしたうえでシェアの拡大に取り組みます。
2 国内市場では、豊富な納入実績を有する強みを生かし、成熟した市場において納入済機器・プラントからの
2 市場ニーズに適合する新製品を継続的に供給するための製品企画力・開発力を強化します。
収益最大化を図るための諸施策を実行します。
3 新規領域への進出については、M&A
& も一つの選択肢と捉え積極的に取り組みます。
&A
3 「製造業」という既存の枠組みを超えた新しいビジネスの仕組みの導入を図ります。
E-Plan2016 期間中の地域別売上高の推移見通し
E-Plan2016 期間中の地域別 S&S 売上高の推移見通し
(グラフは3月期を示す)
+21%
(グラフは3月期を示す)
+10%
+2%
+40%
+35%
2014
2014
2017
2014
2017
欧州・アフリカ
2014
+56%
2017
2014
2014
2017
アジア
(日本を除く)
2017
+23%
2014
欧州・アフリカ
日本
石油・ガス
水インフラ
電力
建築設備
半導体
中東
14
2014
+17%
2017
注力領域
2014
2017
北米
アジア
(日本を除く)
+20%
+22%
2017
+37%
2014
2016
南米
北米
日本
+29%
+32%
2014
2017
2017
中東
2014
2017
海外全体
2014
2016
南米
ポンプ事業の量的成長戦略
コンプレッサ・タービン事業の量的成長戦略
海外事業の質的成長戦略
更新などを対象とした提案による新規需要の創出を図る
ポンプ事業は石油・ガス市場、水インフラ市場、建築設備
コンプレッサ・タービン事業はエネルギー関連市場、特に
海外事業については、特にポンプ事業について S&S を
ことを主要な施策としています。
市場、発電市場など、幅広い需要先があります。このような
エチレンプラントなどの石油・ガス市場の下流領域で存在感
強化していきます。販売、サービス、パッケージング機能を
特に、海外のカスタムポンプ事業においては、S&S 売上高
さまざまな需要に対応するために、品質や価格、納期といった
を発揮しています。現在、この市場が大きく伸長している
有する拠点をグローバルに拡大し、販売と S&S を連携させ
比率を 30% 以上に上げていきます。
顧客のニーズに即した製品を迅速に開発して競争力のある
中で、製品競争力を高め、日本と米国の製造拠点の生産
た新たなビジネスモデルを構築していくこと、修理・改造・
製品(「グローバル基幹製品」 「リージョナル製品」)を市場に
能力を強化していくことで確実に受注を拡大していきます。
投入していきます。ポンプ事業における海外売上高比率の
また、製品ラインアップの拡充やグローバル・サプライ
目標値は 45% 以上(E-Plan2016 最終年度)としています。
チェーンの整備を進めていきます。
EBARA CORPORATION Annual Report 2014
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実績と成長戦略
II
Focus
営業概況
経営基盤
財務・会社情報
数値目標
質(利益)の成長
製品・プラントのライフサイクル全体を対象とするサービス業たること
最後に、ここまでにご紹介した基本方針にそって事業を進
めていくうえで、達成すべき数値目標とそれを評価する重要
国内事業の質的成長戦略
E-Plan2016 期間中の国内 S&S 売上高の
日本国内は総じて成熟した市場であり、市場の急拡大は
期待できません。しかし長い歴史の中で積み上げてきた豊
推移見通し
(グラフは3月期を示す)
指標についてご説明します。
最終年度(2017 年 3 月期)の
重要経営指標
荏原グループでは、E-Plan2013 から引き続き、投下資本
利益率(ROIC)を「重要経営指標」と位置付け、その改善を
投下資本利益率(ROIC)
図ります。達 成すべき目標は、E-Plan2016 の 最 終 年 度
富な納入実績を有する強みを生かし、納入済の製品・プラン
+2%
トからの収益最大化を図るための諸施策を実行していき
7% 以上
(2017 年 3 月期)において 7% 以上です。
ます。さらに 「製造業」 という既存の枠組みを超えた新しい
この目標値を、財務の安定性と資本の効率的な利用の両
ビジネスの仕組みの導入を図ります。
面から偏ることなく達成していくために、安定性指標として
D/Eレシオ
(安定性)
0.4∼0.6
ROE
の D/E レシオと効率性指標としての自己資本利益率(ROE)
(効率性)
11∼12%
を経営管理上留意すべき指標と位置付け、それらの均衡の
とれた改善を図っていきます。E-Plan2016 の最終年度に
2014
おいて、D/E レシオを0.4 ∼ 0.6、ROE を11 ∼ 12% とする
2017
日本
ことを目安とします。
ROIC7% 以上の実現に向けて、この 3 年間で特に必要な
のは ROE の分子である当期利益の改善です。そのため、
ROEとD/Eレシオをバランス良く改善していく
投下資本利益率
(ROIC)=当期利益/投下資本
=当期利益/
(有利子負債+自己資本)
D/E レシオ=有利子負債/自己資本
=当期利益/自己資本
自己資本利益率
(ROE)
各事業部門としては、売上高営業利益率を「事業遂行上の重
点指標」と位置付け、その管理を行います。E-Plan2016 の
納入済機器・プラントからの収益最大化:
運転管理・メンテナンスの事業の強化
EPC
O&M 事業の強化
新設・更新
設計・建設
O&M
運転管理・
メンテナンス
施工
製品と S&S をパッケージにして提供
更新
自社製品
納入
定期点検
予防保全
また、各事業部門としての売上高営業利益率の目標値もそ
れぞれ右の通り設定しています。主力の風水力事業の売上
売上高
7.2%
営業利益率 (2014 年 3 月期)
(2017 年 3 月期)
緊急対応
日常点検
各事業部門としての売上高営業利益率
風水力
事業
エンジ
ニアリング
事業
精密・電子
事業
16
8.0
% 以上
0.8 ポイント増
高営業利益率改善には、ポンプ事業の収益性改善が鍵と
20 ページ以降にてご紹介していますので、ご覧ください。
製造業を超えたビジネスモデルの導入:
プラント回転機器
(他社製品)
最終年度のグループ全体での目標値を 8% 以上とします。
なると考えています。詳 細 な 事 業ごとの 施 策につ いて
EPC: Engineering(設計)、Procurement(調達)、Construction(建設)
O&M:Operation(運営)&Maintenance(維持管理)
プラント機器の一括メンテナンスの提供
事業遂行上の重要指標
6.9%
1.1 ポイント増
9.0%
(2014 年 3 月期)
(2017 年 3 月期)
10.0
1.0 ポイント増
6.5%
(2014 年 3 月期)
8.0
% 以上
(2014 年 3 月期)
2.5 ポイント増
% 以上
(2017 年 3 月期)
9.0
% 以上
(計画期間平均)
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