2014.10.8 Vol.40 アクティビストはどのような企業をターゲットにし

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アイプリオ・ファンド情報
2014.10.8 Vol.40
アクティビストはどのような企業をターゲットにしているのか?
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日本だけではなく、米国においても「アクティビスト」による活動が目立つようになっています。アクティビスト・
キャンペーンの数はここ数年で増加傾向にあります。アクティビズムとの対峙は従来からIR活動においての重要な要素の1つであり
ましたが、最近ますますIRオフィサーの大きな懸念となっています。アクティビズムはこの数年でどのように変化したの
でしょうか?またアクティビストはどのような特徴を持った企業をターゲットにしているのでしょうか?
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アイプリオでは、北米におけるアクティビストの最近の動向について調査したレポート「What are Activists Looking For?」
(アクティビストは何を求めているのか?)をまとめました。市場で認識されているアクティビスト像と実際のデータの間には
ミスマッチがあり、その実態についてはいくつかの誤解があるようです。アクティビストはもはや「行き詰っている」企業や余剰
キャッシュを抱えている企業をターゲットにするだけではありません。最近アップルやマイクロソフトにおいても
アクティビスト・キャンペーンがありました。より深く企業とかかわりを持って変化を起こすことで未実現の株主価値を実現させ
ようとする動きが出てきているのです。
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今回のファンド情報では当レポートの一部をご紹介いたします。オリジナルの英文レポートまた日本語の全文翻訳資料にご興味
のある方は弊社担当までご連絡ください。
北米におけるアクティビスト・キャンペーン数の推移
2000年以降の北米におけるアクティビスト・キャンペーン数
Souce: S&P capital IQ, Ipreo Research
誤解:アクティビストは、大きなキャッシュ・ポジションを抱えている企業をターゲットにする
キャッシュ・ポジションそのものだけに着目すると、豊富な手元資金を抱える企業はアクティビストの標的になりやすいことを示して
いるようにも見えます。しかしながら、実際にはターゲットとなった企業の総資産に対するキャッシュ・ポジションの比率の平均は減
少しているのです。アップルやマイクロソフトは例外になりますが、かつて信じられていたほど、キャッシュはアクティビストを魅了
する重要な要因ではなくなってきています。
企業におけるキャッシュ・ポジション(百万ドル)
Souce: S&P capital IQ, Ipreo Research
ターゲットとなった企業の総資産に対するキャッシュ比率
Souce: S&P capital IQ, Ipreo Research
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誤解:アクティビストは、無配当や配当の低い企業をターゲットにしている
アクティビストは、無配当や配当額の低い企業を攻撃するよりも、むしろ増配している企業をターゲットとしています。2009年と2010
年を除いては、ターゲットとなった企業の20%以上は配当を出している企業でしたし、その比率は2013年で30%近くになっています。
これらの企業の配当利回りの平均値は約1.8%で、これは市場平均よりも若干低い水準にすぎません。アクティビストは確かに配当する
よう求めたり、増配するようターゲット企業にプレッシャーをかけることができますが、それ自体はアクティビストがキャンペーンを行
うための魅力的な理由ではなくなってきています。
ターゲットとなった企業のうち配当を実施している企業の比率
Souce: S&P capital IQ, Ipreo Research
アクティビストとどう向き合うか?
アクティビストが活躍する環境下で、多くの変化があった結果、アクティビスト投資家たちは取締役の席や増配を求める、というような
単純な要求を超えて、企業の変革を求めて深く、かつ長期にわたって関わってくることが増えてきています。2012年と2013年を通じて、
企業の長期戦略や企業運営に関わるアクティビストが増えてきたことが確認できました。アクティビスト業界の進化に伴い、株式市場も
アクティビストの行動に対して敏感に反応することが増えてきました。特にターゲットになった企業が、増配や債券の発行、自社株買い
などを既に行っているケースが増えているためです。
アイプリオでは、アクティビストと呼ばれるような投資家が自社の株式を少額購入したり、面談リストにあがってきた際に、非常に不安
がる発行体が多いと感じています。しかしながら、それは売買回転率の高いアクティビスト投資家が株価の値上がり益を狙って短期資金
でポジションを保有しているのかもしれないし、単に調査目的であったり他の投資機会のために面談を求めているだけかもしれないので、
その点を発行体はしっかり見極める必要があります。
言うまでもなく、発行体はアクティビストがその企業の株式に興味を持った時はいかなる時でも、彼らに対処するための戦略を採らなく
てはなりません。利益成長に苦戦している企業や成長の初期段階にある企業は、常にアクティビズムに巻き込まれた時のための準備をし
ておかなければならないでしょう。成熟企業では、アクティビストが自社株を保有したり複数回の面談を要求して来た時に(通常は突っ
込んだ内容での面談を求められたり、トップマネージメントとの面談の要求があると考えられます)そのリスクを確認する最良の方法は、
1)アクティビストの過去の行動を分析すること、2)彼らがターゲットにしてきた企業の特徴を確認すること、3)13Dのファイリング
や議決権争奪戦、経営陣への手紙等、彼らが過去にどのような活動を行ってきたかを確かめること、そしてこれらの分析結果に基づいて
アクティビストごとの対策を練ることです。
著者:David Shi
アイプリオ:企業分析チーム
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この資料は、2014年10月現在の情報を基にアイプリオ・ジャパン・エルエルシーが作成したものです。最新の情報については弊社担当までお問い合わせください。当資料のいかなる部分
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