-文字か?図形か?-

-文字か?図形か?-
【審判の種別】拒絶査定不服審判
【審判の番号】不服2010-5508
【審決日】平成23年(2011年)1月28日
【事
案】
本願商標の「ROHm」(指定商品:第9類に属する商品)は引用商標に類似し、商標法第4
条第1項第11号に該当する、とした審査官の判断(拒絶査定)が取り消され、本願商標は登録
されるべきものである、と判断された事例です。
[本願商標]
【審決理由の要点】
本願商標は、赤地の長方形図形を背景とし、その図形の中央部に、
白抜きで「ROHm」の欧文字を横書きにし、「ROHm」の文字
の下に、該文字より小さく、「SEMICONDUCTOR」の欧
文字を白抜きで、横書きされているものである。
本願商標の構成中、「ROHm」及び「SEMICONDUCT
[引用商標]
OR」の文字は、常に一体不可分のものとして看取されなければな
らない特段の事情は認められないから、構成文字全体に相応して
「ロームセミコンダクター」の称呼のほか、「ROHm」の文字部
分に相応した「ローム」の称呼をも生ずるものである。
他方、引用商標は、黒地の四角形内に、「R」の文字と、3部分に切れ込みの入った円図形の
上に2個の小さな四角形を並べた図形(以下単に「円図形」という。)と、「Hm」の文字とを
白抜きで横書きされてなるものであるが、たとえ、円図形が構成中の「R」の文字と「Hm」の
文字との間に位置するものであるとしても、かかる円図形に接した需要者等が、直ちに、これを
欧文字「O」であると認識し、引用商標が「ROHm」の文字からなるものと看取するとはいい
難い。
そうすると、引用商標は、その構成態様から「ローム」の称呼を生ずるものと判断しなければ
ならない特段の事情はなく、引用商標は、「R」と「Hm」の文字から、「アールエイチエム」
の称呼を生ずるとしても、「ローム」の称呼は生じないものであり、本願商標から生ずる「ロー
ム」の称呼と引用商標から生ずる「アールエイチエム」の称呼とは、明らかに相違するものであ
る。
したがって、本願商標と引用商標とが「ローム」の称呼を共通にする類似の商標であるとし、
本願商標が商標法第4条第 1 項第11号に該当するとした原査定は、取消を免れない。
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鈴木由充特許事務所
-ひとこと-
円図形はそれほどデザイン化されているとはいえず、文字列の中間に位置していることを考え
れば、容易に「O」と認識できるもので、引用商標から「ローム」の称呼が生ずるのではないか
と思われます。どちらかといえば、びっくり審決です。文字列中の一部の文字がデザイン化され
ている場合、その文字列中の文字を、文字と見るか図形と見るかは個別に判断すべきですが、特
許庁の判断にばらつきがあり、その判断基準を明らかにしてもらいたいものです。
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鈴木由充特許事務所