MYTEK DIGITAL 192-DSD の活用 (12) ―HQPlayer の Version 違い

オーディオ実験室収載
MYTEK DIGITAL 192-DSD の活用 (12)
―HQPlayer の Version 違いその他―
1. 始めに
オーディオ仲間の A 氏が拙宅の音を聴かれて HQPlayer を導入されました。PC の
OS の違いや HQPlayer の Version-up もあっていろいろと紆余曲折があったようで
すが、一応解決されたものの、音の印象が違っているとおっしゃるのです。また、こ
れまで MYTEK DIGITAL 192-DSD の活用 (11)までの方法はすべて HQPlayer
Desktop 3 ASIO を起動して DSD Native 再生で行いましたが、HQPlayer Desktop 3
ではどうなるか、DoP 再生もできるかどうかの検討も行うことにしました。そのた
めに A 氏同席のもとに両者の PC を並べて相互にこれらの問題の検証を行うことに
しました。
2.検証の方法
2-1)再生ルート
USB 入力の試聴ルートとしては下記のルートとします。
PC→FIDELIX HiFi USB→MYTEK DIGITAL 192-DSD(なし/88.2KHz)
ここで、DSF, 5.6MHz の音源を再生するために MYTEK DIGITAL 192-DSD には
GPS-777 から 88.2KHz のクロックを供給します。
USB ケーブルはインフラノイズの USB-W4 とし、PC 側に FIDELIX の USB ノイ
ズフィルターHiFi USB を装着しています。
2-2)PC と再生ソフトの設定
拙宅の PC は次の仕様です。
・OS:Windows7 Home Premium 64bit(Toshiba)
・PC 実装メモリー:4GB
・PC 実装 CPU:Corei7-2670QM プロセッサー 2.2GHz
A 氏の PC は次の仕様です。
・OS:Windows8.1 Pro 64bit(Fujitsu)
・PC 実装メモリー:16GB
・PC 実装 CPU:Corei7-3632QM プロセッサー2.2GHz
拙宅の PC には HQPlayer v.3.3.1 がインストールされ、A 氏の PC には HQPlayer
v.3.3.3 がインストールされています。
再生ソフトは、それぞれの HQPlayer から HQPlayer Desktop 3 ASIO と HQPlayer
Desktop 3 を立ち上げて試聴します。
Mytek Digital 192-DSD M 本体のファームウエアーは v.1.7.6 であり、拙宅の PC、
A 氏の PC ともドライバーは Windows 版 USB PAL v.1.34.10 をインストールしてい
ます。
左:A 氏 PC
右:拙宅 PC
3.MYTEK DIGITAL 192-DSD における DSD 再生の結果
A 氏の PC の HQ Player v.3.3.3 も拙宅の PC の HQPlayer v.3.3.1 も、DSF, 5.6MHz
の音源の再生が問題なく動作しました。また、ともに Plextor Premium 2U から CD
を読み込み、リアルタイムに DSD, 5.6MHz に変換する再生も問題なく動作しました。
肝心の音質ですが、A 氏の語っておられた印象のとおり、HQ Player v.3.3.3 の方が
くっきりはっきり系で若干硬質感があります。PC の HQPlayer v.3.3.1 の方は広が
り感がありソフトタッチでクラシックの弦やオーケストラにはこちらの方が好まし
い印象です。端的に言えば、HQ Player v.3.3.3 は音像描写的、HQPlayer v.3.3.1 は
音場描写的と言えなくもありません。しかしながらポップス系統では、HQ Player
v.3.3.3 の音像描写が好ましい方向に働くと感じる向きもあるかもしれません。
GPS-777 からのクロック入力は、ともに大きな効果が認められ、HQ Player v.3.3.3
の硬質感も薄らぎました。
4.MYTEK DIGITAL 192-DSD における DoP 再生の結果
A 氏の PC の HQ Player v.3.3.3 も、拙宅の PC の HQPlayer v.3.3.1 も、HQPlayer
Desktop 3 を立ち上げての DoP 再生は、いろいろ条件を変え、DSF, 2.8MHz の音源
も準備したのですが、歪っぽい、スローテンポの音が出るだけで正常な再生ができま
せんでした。A 氏が、MYTEK DIGITAL 192-DSD のディーラーから得た情報では、
HQ Player v.3.3.3 の 場 合 、 DoP 再 生 は 非 推 奨 条 件 と い う こ と で し た の で
HQPLAYER v.3.3.1 も同様と思われます。
5.まとめ
A 氏が HQ Player のディーラーから得た情報では、今回の Version-up はバグの修正
のみということでしたが、音質的にも違いがあるようです。しかしながら、MYTEK
DIGITAL 192-DSD の推奨条件でない外部クロック入力により HQ Player v.3.3.3 で
も音質向上が認められました。なお、A 氏は試用段階で HQPlayer v.3.3.0 をインス
トールされていたそうですが、その時の印象は現在の HQ Player v.3.3.3 とは印象が
異なる記憶があるとのことでした。また、MYTEK DIGITAL 192-DSD と HQPlayer
との組み合わせでは DoP 再生は出来ないようです。
以上のように、ユーザーの購入段階で Version-up の内容や、推奨/非推奨使用環境
や推奨/非推奨設定条件が不透明で、導入後にリスクを残すことは望ましくなく、情
報提供の在り方に改善の必要があると考えます。
ちなみに、KORG の AudioGate3 への Version-up の内容は明確にアナウンスされて
おり、A 氏同席での拙宅での比較試聴やオーディオ誌の記事でも Version-up に伴う
音質向上が確認されております。
以上