患者向医薬品ガイド 2014 年 5 月作成 5-FU 注 250mg 5-FU 注 1000mg 【この薬は?】 販売名 5-FU 注 250mg 5-FU Injection 250mg 5-FU 注 1000mg 5-FU Injection 1000mg フルオロウラシル Fluorouracil 一般名 含有量 (1 ビン中) 250mg 1000mg 患者向医薬品ガイドについて 患者向医薬品ガイドは、患者の皆様や家族の方などに、医療用医薬品の正しい理解 と、重大な副作用の早期発見などに役立てていただくために作成したものです。 したがって、この医薬品を使用するときに特に知っていただきたいことを、医療関 係者向けに作成されている添付文書を基に、わかりやすく記載しています。 医薬品の使用による重大な副作用と考えられる場合には、ただちに医師または薬剤師 に相談してください。 ご不明な点などありましたら、末尾に記載の「お問い合わせ先」にお尋ねください。 さ ら に 詳 し い 情 報 と し て 、「 医 薬 品 医 療 機 器 情 報 提 供 ホ ー ム ペ ー ジ 」 http://www.info.pmda.go.jp/ に添付文書情報が掲載されています。 【この薬の効果は?】 ・この薬は、抗悪性腫瘍剤(抗がん剤)のなかの代謝拮抗剤と呼ばれるグループ に属する薬です。 ・この薬は、DNA の合成阻害や RNA の機能障害により、がん細胞の増殖を抑えま す。 ・次の病気の人に、医療機関で使用されます。 ○下記疾患の自覚的並びに他覚的症状の緩解 胃癌、肝癌、結腸・直腸癌、乳癌、膵癌、子宮頸癌、子宮体癌、卵巣癌 ただし、下記の疾患については、他の抗悪性腫瘍剤又は放射線と併用するこ とが必要である。 食道癌、肺癌、頭頸部腫瘍 - 1 - ○以下の悪性腫瘍に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法 頭頸部癌 ○レボホリナート・フルオロウラシル持続静注併用療法 結腸・直腸癌、治癒切除不能な膵癌 【この薬を使う前に、確認すべきことは?】 〇患者さんまたは家族の方は、この薬の効果や注意すべき点について十分理解でき るまで説明を受けてください。説明に同意した場合にこの薬の使用が開始されま す。 〇次の人は、この薬を使用することはできません。 ・過去に 5-FU 注に含まれる成分で重篤な過敏な反応を経験したことがある人 ・テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤を使用している人および 使用中止後 7 日以内の人 〇次の人は、慎重に使う必要があります。使い始める前に医師または薬剤師に告げ てください。 ・骨髄機能抑制(白血球減少、貧血、血小板減少)がある人 ・肝臓や腎臓に障害がある人 ・感染症にかかっている人 ・心臓に障害がある人、または過去に心臓に障害があった人 ・消化管潰瘍(かいよう)または消化管出血のある人 ・水痘(みずぼうそう)にかかっている人 ・小児 〇この薬には併用してはいけない薬(テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウ ム配合剤)や、併用を注意すべき薬があります。他の薬を使用している場合や、 新たに使用する場合は、必ず医師または薬剤師に相談してください。 - 2 - 【この薬の使い方は?】 この薬は医療機関で使用される注射薬です。 ●使用量および回数 使用量と使用方法は、あなたの体重あるいは体表面積(単位:m2、身長と体重 から計算)や症状などにあわせて、医師が決めます。 使用方法の詳細は、以下の表を参考にしてください。 適応癌腫 5-FU 注を単独 で使用する場合 A 法 胃癌 肝癌 乳癌 膵癌 ○* 子宮頸癌 子宮体癌 卵巣癌 食道癌 肺癌 頭頸部腫瘍 頭頸部癌 結腸・直腸癌 ○* 治癒切除不能 な膵癌 B 法 C 法 D 法 ○* ○* ○* 他の悪性腫瘍剤 または放射線と 併用する場合 E 法 他の悪性腫瘍剤 と併用する場合 F 法 G 法 H 法 I 法 ○* ○* ○* J 法 ○ ○ * ○ * ○ * ○ ○ *使用方法はあなたの症状にあわせて、選択されます。 〔5-FU 注を単独で使用する場合〕 次に示す量を静脈内に注射または点滴します。 A法 最初の 5 日間は毎日体重 1kg あたり 5~15mg、 その後、1 日おきに体重 1kg あたり 5~7.5mg を注射または点滴しま す。 B法 1 日おきに体重 1kg あたり 5~15mg を注射または点滴します。 C法 10~20 日間毎日体重 1kg あたり 5mg を注射または点滴します。 D法 1 週間に 1 回、体重 1kg あたり 10~20mg を注射または点滴します。 ※必要に応じて、体重 1kg あたり 5mg を動脈内に注射します。 〔他の抗悪性腫瘍剤または放射線と併用する場合〕 E法 一回量 体重 1kg あたり 5~10mg 使用 回数 使用方法(A~D法)に準じるか、または 1 週間に 1~2 回使用します。 - 3 - 〔頭頸部癌に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法の場合〕 体表面積 1m2 あたり 1000mg まで 一回量 4~5 日間連日で持続点滴します。繰り返す場合には少な くとも 3 週間以上の間隔をあけます。 F法 使用 回数 1 週目 1 日 目 2 日 目 2 週目 3 日 目 4 日 目 3 週目 5 日 目 〔レボホリナート・フルオロウラシル持続静注併用療法〕 レボホリナート点滴終了直後に使用します。 一回量 体表面積 1 m2 あたり 400mg を静脈内注射、さらに体表面 積 1 m2 あたり 600mg を 22 時間かけて持続静注します。 2 日間連続して行い、2 週間ごとに繰り返します。 1 クール G法 使用 回数 一回量 1 週目 1 日 目 2 週目 2 日 目 体表面積 1 m2 あたり 2600mg を 24 時間持続静注します。 1 週間ごとに 6 回繰り返した後、2 週間休薬します。これ を 1 クールとします。 1 クール 1 週 2 週 3 週 4 週 5 週 6 週 7 週 8 週 目 目 目 目 目 目 目 目 H法 使用 回数 1 日 目 8 日 目 16 日 目 - 4 - 22 日 目 29 日 目 36 日 目 一回量 体表面積 1 m2 あたり 400mg を静脈内注射、さらに体表面 積 1 m2 あたり 2400~3000mg を 46 時間持続静注します。 これを 2 週間ごとに繰り返します。 1 クール I法 使用 回数 一回量 1 週目 2 週目 1 日 目 体表面積 1 m2 あたりフルオロウラシル 400mg を静脈内注 射、さらに体表面積 1 m2 あたりフルオロウラシル 2400mg を 46 時間持続静注します。 2 週間ごとに繰り返します。 1 クール J法 使用 回数 1 週目 2 週目 1 日 目 【この薬の使用中に気をつけなければならないことは?】 ・骨髄機能抑制(からだがだるい、発熱、めまい、出血が止まりにくいなど)や 激しい下痢などの重篤な副作用がおこることがあります。特に、メトトレキ サート・フルオロウラシル交代療法、レボホリナート・フルオロウラシル療法 では、致命的な経過をたどることがあります。このような症状があらわれた場 合にはただちに医師に連絡してください。このため、定期的(特に使用開始初 期は頻回)に臨床検査(血液検査など)が行われます。 ・重篤な腸炎等により脱水症状(のどが渇く、意識がうすれる、深く大きい呼吸) がおこることがあります。このような症状があらわれた場合には、ただちに医 師に連絡してください。 ・からだの抵抗力が弱まり、かぜなどの感染症にかかりやすくなることがありま す。人ごみを避けたり、外出後は手洗いやうがいなどをしたり、感染症にかか らないように気をつけてください。 ・出血しやすくなることがあります。出血傾向(歯ぐきの出血、出血が止まりに くい、あおあざができる、鼻血など)の症状があらわれた場合には、医師に相 談してください。 ・頭頸部がんで放射線療法と併用の場合、放射線の照射部位に皮膚炎、皮膚の繊 維化、口内炎、口から摂取しにくい、血液毒性(からだがだるい、発熱、めま い、出血しやすいなど)や唾液が減るなどの症状が強くあらわれることがあり ます。 - 5 - ・テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤使用中止後にこの薬を使 用する場合は、少なくとも7日以上の間隔をあけます。 ・男女とも性腺(生殖腺)に副作用があらわれやすくなることが報告されていま す。特に、小児の場合や今後子供を望まれる場合は、医師に相談してください。 ・妊婦または妊娠している可能性がある人は医師に相談してください。 ・授乳中の人は授乳を中止してください。 ・他の医師を受診する場合や、薬局などで他の薬を購入する場合は、必ずこの薬 を使用していることを医師または薬剤師に伝えてください。 副作用は? 特にご注意いただきたい重大な副作用と、それぞれの主な自覚症状を記載しまし た。副作用であれば、それぞれの重大な副作用ごとに記載した主な自覚症状のう ち、いくつかの症状が同じような時期にあらわれることが一般的です。 このような場合には、ただちに医師または薬剤師に相談してください。 重大な副作用 主な自覚症状 汗をかく、吐き気、激しい腹痛、水のような便、泥状 激しい下痢 はげしいげり の便 脱水症状 だっすいしょうじょう 重篤な腸炎 じゅうとくなちょうえん 骨髄機能抑制 こつずいきのうよくせい ショック アナフィラキシー 白質脳症 はくしつのうしょう うっ血性心不全 うっけつせいしんふぜん 心筋梗塞 しんきんこうそく 安静狭心症 あんせいきょうしんしょう 急性腎不全 きゅうせいじんふぜん からだがだるい、尿量が減る、のどが渇く、意識がう すれる、深く大きい呼吸、手指のふるえ、考えがまと まらない、判断力の低下 発熱、吐き気、嘔吐(おうと)、激しい腹痛、下痢、 発熱、鼻血、歯ぐきの出血、息切れ、あおあざができ る、出血が止まりにくい、出血しやすい 冷や汗、めまい、意識がうすれる、考えがまとまらな い、血の気が引く、息切れ、判断力の低下 からだがだるい、ふらつき、意識の低下、考えがまと まらない、ほてり、眼と口唇のまわりのはれ、しゃが れ声、息苦しい、息切れ、動悸、じんましん、判断力 の低下 けいれん、ふらつき、ぼんやりする、意識がなくなる、 しゃべりにくい、覚えられない、物忘れ からだがだるい、全身のむくみ、吐き気、息苦しい、 動く時の息切れ 息苦しい、急激に胸を強く押さえつけられた感じ、狭 心痛、冷や汗 胸をしめつけられる感じ、胸の痛み、胸を強く押さえ つけた感じ からだがだるい、からだのむくみ、疲れやすい、意識 の低下、頭痛、眼がはれぼったい、息苦しい、尿がで ない、尿量が減る - 6 - 間質性肺炎 かんしつせいはいえん 発熱、から咳、息苦しい、息切れ 肝機能障害、黄疸、肝 不全、肝・胆道障害(胆 嚢炎、胆管壊死、肝実 からだがだるい、白目が黄色くなる、吐き気、嘔吐、 質障害等) 食欲不振、かゆみ、皮膚が黄色くなる、尿の色が濃く かんきのうしょうがい、おうだ ん、かんふぜん、かん・たんどう なる 、尿が褐色になる、羽ばたくような手のふるえ しょうがい(たんのうえん、たん かんえし、かんじっしつしょうが いなど) 消化管潰瘍 しょうかかんかいよう 重症な口内炎 じゅうしょうなこうないえん 急性膵炎 きゅうせいすいえん 高アンモニア血症 こうアンモニアけっしょう 手足症候群 てあししょうこうぐん 嗅覚障害、嗅覚脱失 きゅうかくしょうがい、きゅうか くだっしつ 吐き気、嘔吐、胃の痛み、血が混ざった便、黒色便 口の中が荒れて痛い 発熱、吐き気、嘔吐、急に激しくおなかが痛む、急に 激しく腰や背中が痛む ぼんやりする、どうしたらよいかわからない、 考えが まとまらない、手足のふるえ、意識の低下、手のはば たき振戦 手のひらや足の裏の感覚が鈍くなったり過敏になる、 赤くはれ上がる、痛み、皮がむける、水ぶくれ、ただ れ 臭いがわからない 「同類薬の重大な副作用」 同類薬(テガフール製剤)であらわれる、特にご注意いただきたい重大な副作用と、 それぞれの主な自覚症状を記載しました。この薬でもあらわれる可能性があります。 副作用であれば、それぞれの重大な副作用ごとに記載した主な自覚症状のうち、いく つかの症状が同じような時期にあらわれることが一般的です。 このような場合には、ただちに医師または薬剤師に相談してください。 同類薬の 主な自覚症状 重大な副作用 発熱、意識がなくなる、意識の低下、考えがまとまら ない、頭痛、白目が黄色くなる、吐き気、嘔吐、食欲 劇症肝炎 げきしょうかんえん 不振、羽ばたくような手のふるえ、皮膚が黄色くなる、 尿の色が濃くなる、判断力の低下 あおあざができる、白目が黄色くなる、皮膚が黄色く 肝硬変 かんこうへん なる、からだがだるい 心室性頻拍 しんしつせいひんぱく 息切れ、動悸、脈が速くなる ネフローゼ症候群 ネフローゼしょうこうぐん 全身の著明なむくみ、尿量が減る - 7 - 中毒性表皮壊死融解 からだがだるい、発熱、食欲不振、全身の赤い斑点と 症(TEN) ちゅうどくせいひょうひえしゆ 破れやすい水ぶくれ(水疱)、関節の痛み うかいしょう(テン) 皮膚粘膜眼症候群(ス ティーブンス・ジョン からだがだるい、高熱、発熱、まぶたや眼の充血、結 ソン 症候群) 膜のただれ、ひどい口内炎、唇や口内のただれ、食欲 ひふねんまくがんしょうこうぐ 不振、赤い発疹、中央にむくみをともなった赤い斑点、 ん(スティーブンス・ジョンソン 陰部の痛み しょうこうぐん) 溶血性貧血 ようけつせいひんけつ からだがだるい、疲れやすい、ふらつき、立ちくらみ、 めまい、頭が重い、白目が黄色くなる、皮膚が黄色く なる、動く時の動悸や息切れ、褐色尿 以上の自覚症状を、副作用のあらわれる部位別に並び替えると次のとおりです。 これらの症状に気づいたら、重大な副作用ごとの表をご覧ください。 部位 自覚症状 全身 汗をかく、からだがだるい、発熱、高熱、冷や汗、ふらつき、け いれん、全身のむくみ、からだのむくみ、疲れやすい、立ちくら み、全身の著明なむくみ、全身の赤い斑点と破れやすい水ぶくれ (水疱) 頭部 意識がうすれる、考えがまとまらない、めまい、意識の低下、ぼ 顔面 眼 口や喉 胸部 腹部 んやりする、意識がなくなる、頭痛、頭が重い 鼻血、臭いがわからない、血の気が引く、ほてり 眼と口唇のまわりのはれ、眼がはれぼったい、白目が黄色くなる、 まぶたや眼の充血、結膜のただれ のどが渇く、歯ぐきの出血、眼と口唇のまわりのはれ、しゃがれ 声、しゃべりにくい、から咳、口の中が荒れて痛い、嘔吐、ひど い口内炎、唇や口内のただれ 深く大きい呼吸、息切れ、動く時の息切れ、息苦しい、動悸、胸 をしめつけられる感じ、胸を強く押さえつけた感じ、急激に胸を 強く押さえつけられた感じ、狭心痛、胸の痛み、動く時の動悸や 息切れ 激しい腹痛、吐き気、食欲不振、胃の痛み、急に激しくおなかが 痛む - 8 - 部位 背中 手・足 皮膚 便 尿 その他 自覚症状 急に激しく腰や背中が痛む 手指のふるえ、手足のふるえ、羽ばたくような手のふるえ、手の はばたき振戦、手のひらや足の裏の感覚が鈍くなったり過敏にな る、赤くはれ上がる、痛み、皮がむける、水ぶくれ、ただれ、脈 が速くなる、関節の痛み あおあざができる、じんましん、かゆみ、皮膚が黄色くなる、全 身の赤い斑点と破れやすい水ぶくれ(水疱)、赤い発疹、中央にむ くみをともなった赤い斑点 水のような便、泥状の便、下痢、血が混ざった便、黒色便 尿量が減る、尿がでない、尿の色が濃くなる、尿が褐色になる、 褐色尿 出血が止まりにくい、出血しやすい、判断力の低下、覚えられな い、物忘れ、どうしたらよいかわからない、陰部の痛み 【この薬の形は?】 販売名 性状 5-FU 注 250mg 5-FU 注 1000mg 無色~微黄色の澄明な注射液 容器の形状 【この薬に含まれているのは?】 販売名 5-FU 注 250mg 5-FU 注 1000mg 有効成分 日局フルオロウラシル 添加物 トロメタモール 【この薬についてのお問い合わせ先は?】 ・症状、使用方法、副作用などのより詳しい質問がある場合は、主治医や薬剤師 にお尋ねください。 ・一般的な事項に関する質問は下記へお問い合わせください。 製造販売会社:協和発酵キリン株式会社(http://www.kyowa-kirin.co.jp/) くすり相談窓口 フリーダイヤル 0120-850-150 受付時間:9 時~17 時 30 分 (土・日・祝日および弊社休日を除く) - 9 -
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