OB OA h h F W Fh Wh = = → = 2

暮らしの力学 KK24-1
簡単な機械装置
(1)てこ
てこというのは図 24-1 のように、ある支点の周りを回転できる剛な棒により、重いものを小さな
力で持ち上げる装置である。O 点(支点)に関するモーメントの釣り合いから、
W OA

F OB
となることは直ちにわかると思うが、この関係を仕事の概念を用いて導いてみよう。
図 24-2 に示したように両端が変位すると考えると、重さ W の物体になされた仕事と力 F のなした
仕事は等しくなくてはならない。棒が剛であることを考慮すると、
Wha  Fhb

W hb OA


F ha OB
(24.1)
なる関係が得られる。
W の重量物になされた仕事と力 F のなした仕事は等しく、しかも同じ時間になされるから、てこ
の支点からの長さの比は運動の速度の比と等しい。すなわち、てこを用いることにより運動の速度を
変えることができる。
図 24-1
てこ
図 24-2
てこにおける仕事
(2) 滑車
綱や鎖で軸の周りに回転できるようにした装置を滑車という。滑車には、軸の位置を固定した定滑
車(図 24-3)と軸の位置が動くことができる動滑車(図 24-4)とがある。
定滑車は物体を引き上げるのに必要な力 F
の向きを変えるが、その力の大きさは物体の重
Wh  FL 
W
L
2
 L  2h
(24.3)
さ W と等しい。動滑車では、その中心に重さ
となり、重さ W の物体をある高さ引き上げる
W の物体をつるすとき、滑車自体の重量を無
には、その高さの2倍の距離を曳かなくてはな
視すれば、点Cまわりのモーメントの釣り合い
らない。
から、
F 2r  Wr
 F
W
2
(24.2)
となり、引き上げるのに必要な力 F は引き上
げる物体の重さ W の 1 となる。
2
重さ W の物体が h だけ引き上げられたとす
ると、力 F のなした仕事は、重さ W の物体に
なされた仕事と等しくなくてはならないから、
力 F の移動距離を L とすると、
図 24-3
定滑車
図 24-4
動滑車
複合滑車
滑車は単独で使われることが少なく、ほとんどは定滑車と動滑車を組み合わせて使う。そのような
滑車を複合滑車と総称する。複合滑車はおおよそ図 24-5(a)~(d)に示した4つのタイプに分類できる。
図 24-5
複合滑車
図 24-5(a)に示した複合滑車では、重量 W の物体を引き上げるのに必要な力 F は次式である。


W  w 2n  1
F
2n
(24.4)
ここで、 n は動滑車の数、 w は動滑車1個の重量である。
図 24-5(b)、(c)に示されているような複合滑車に対しては次式となる。
F
W  wp
(24.5)
m
ここで、 m は動滑車をつっている綱の数、 w p は動滑車の重量である。
図 24-5(d)に示された複合滑車に対しては次式となる。
F

 
W  w 2 2n  1  n
2 n 1  1
(24.6)
ここで、 n は動滑車の数、 w は動滑車1個の重量である。
上記の議論において、各動滑車の重量は等しいと考えているが、もしも等しくない場合は、滑車一
つ一つを部分系として、順次釣り合い方程式を解く必要がある。
(24.4)~(24.6)式からわかるように、動滑車の数を増やせば増やすほど、物体を引き上げるのに必要
な力は軽減されるが、仕事の原理から、同じ高さまで引き上げるのに必要な力を与える距離(綱など
を曳く距離)は、物体を引き上げるのに必要な力が軽減されたと同じ割合で増大する。
暮らしの力学 KK24-2
簡単な試験装置(続き)
(3)差動滑車
図 24-6 のように半径 R, r の同一軸に固定され
た2個の定滑車と1個の動滑車を綱等で連結し
た滑車を差動滑車という。動滑車の中心に重量
W の物体をつるし、滑車Aにかけてある綱など
を F の力で曳くとすると、定滑車中心に関する
モーメントの釣り合いから、
W
W
R  r  FR  0
2
2
 F
図 24-6
差動滑車
W R  r 
2R
(24.7)
となり、つり上げようとする重量 W とつり上げるために必要な力 F の関係が求まる。ただし、動滑
車の重量を無視している。引き上げる高さを h 、綱などを曳く距離 L との間には仕事の原理、すなわ
ち、 FL  Wh が成り立っていなくてはならない。
(4)輪軸
図 24-7 のような同じ軸に半径の異なる円筒を
固定したものを輪軸と言う。大きい方を車輪、小
さい方を軸という。車輪に巻かれた綱を F の力
で引き、軸に巻かれた綱で重さ W の物体を引き
上げる。
中心点 O に関するモーメントの釣り合いから、
RF  rW
r
 F W
R
図 24-7
輪軸
(24.8)
なる関係が得られる。このように輪軸は径の比を大きくすればするほど小さな力で物体を引き上げ
ることができる。ウィンチはこれを応用したものである。引き上げる高さを h 、綱などを曳く距離 L
との関係は仕事の原理により決まる。
例題 24-1
図 24-8 に示されたような直径の等しい4個の滑車からなる複合滑車により質量
m  500kg の物体をつり上げるには綱の先に作用させなければならない力の大きさ F はいくらか。
ただし、動滑車の重量は無いものとする。重力加速度を g  9.8m/s とする。
2
例題解答 24-1
この複合滑車は図 24-5(b)と同じタイプである。物体の重量は W  mg であるので、
(24.5)式より、力の大きさ F は下記である。
F
500  9.8
 1225( N)  1230( N)
4
例 題 24-2
図 24-6 の 差 動 滑 車 に お い て 、
R  25cm, r  24cm で あ る と き 、 質 量
m  500kg の物体を引き上げるのに必要な力
F はいくらか。また、この物体を 1m 引き上げ
るのに滑車Aを何回転させなくてはならないか。
重力加速度を g  9.8m/s とする。
2
例題解答 24-2 物体の重量は W  mg であるの
で、(24.7)式より、物体を引き上げるのに必要な
力 F は次のようになる。
F
500  9.825  24
 98( N)
2  25
図 24-8
綱を曳く距離 L は、仕事の原理により、重量物
を h  1m 引き上げるので、
L
Wh 500  9.8  1

 50(m)
F
98
であり、滑車Aが一回転するには、 2R だけ綱を曳かなくてはならないから、 50m 曳くのに必要な
回転数 n は下記となる。
n
50
 31.85  32 (回転)
2  0.25
例題 24-3 図 24-7 で R  20cm, r  5cm とし、質量 m  500kg の物体を 5rpm で巻き上げるとき、
ロープを引く力 F 及び必要動力 P を算定せよ。
例題解答 24-3 物体の重量は W  mg であるので、(24.8)式より、ロープを引く力 F は、
F
r
5
W
 500  9.8  1225( N)  1230( N)
R
20
である。また、物体が上昇する速度 v は、回転数 n  5rpm だから、角速度   2n
60
より、
2  5
 0.0262(m/s )
60
である。重量 W  mg を上記の速度で持ち上げるのだから、それに必要な動力は下記となる。
v  r  0.05 
P  Wv  500  9.8  0.0262  128(W)