Page 1 Page 2 学位授与の日付 平成ーー年3月23日 学位授与の要件

KURENAI : Kyoto University Research Information Repository
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Compensated endocytosis of LDL by hamster cells coexpressing the two distinct mutant LDL receptors defective in
endocytosis and ligand binding( Abstract_要旨 )
Yoshida, Hiroyuki
Kyoto University (京都大学)
1999-03-23
http://hdl.handle.net/2433/181746
Right
Type
Textversion
Thesis or Dissertation
none
Kyoto University
氏
名
島
岩
士
違
学 位 (専 攻 分 野 )
博
学 位 記 番 号
医 博
学 位 授 与 の 目付
平 成 11年 3 月 23 日
学位 授 与 の要件
学 位 規 則 第 4条 第 1項 該 当
研 究 科 ・専 攻
医 学 研 究 科 内 科 系 専 攻
学 位 論 文題 目
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(
エ ン ドサ イ トー シス欠 損 及 び リガ ン ド結 合 とい う異 な る二種 類 の変 異
型 低 比 重 リポ蛋 白受 容 体 を ともに発 現 したハ ムス ター 細 胞 にお い て は
低 比 重 リポ蛋 白のエ ン ドサ イ トー シス の補 填 的 な改 善 が認 め られ る)
(
主査)
論 文 調 査 委 員
教 授 中 尾 - 和
論
文
内
教 授 西 川 伸 一
容
の
要
教 授 北
徹
旨
動脈硬化症 の最大の リス クファクターであるコ レステ ロール は,主に低比重 リポ蛋 白 (
以下LDL)粒子 に含 まれ て血液
中を運搬 されてい る。 LDLはLDL受容体 によ り血 中か ら主に肝臓 に取 り込 まれ ,LDL受容体 は血 中 コレステ ロール値 を制
以下FH)は,著明
御す る上で最 も主要な分子 である。 LDL受容体 の変異 による疾患 である家族性高 コ レステ ロール血症 (
な高 コ レステ ロール血症 をきたす疾患 として最 も高頻度で, 日本 人の心筋梗塞患者 の内の十数パーセ ン トがFHを基 に発症
す ると考 え られ てい る。従来の研究か ら,細胞表面においてLDL受容体は多量体 として存在す る可能性 が示唆 されてい る。
多量体が形成 され るのであれ ば,FHにおいては異なるLDL受容体分子間に-テ ロ多量体が形成 され る可能性 が考 え られ る
が,その病態 に及 ぼす影響 はいまだ不 明である。 異 なるLDL受容 体分子間に多量体 が形成 され ることを示 し,それ がLDL
の取 り込みに及 ぼす影響 を検討す ることが本論文の 目的である。
LDL受容体欠損細胞株 l
dl
A7に二種類 の変異 ヒ トLDL受容体遺伝子 を リン酸カル シウム法で導入 して永久発現株 を作成 し
0
7ア ミノ酸がチ ロシンか らシステイ ンに置 き換わ りエ ン ドサイ トーシスが障害 されている (
以下Y8
0
7
C
た。 一方 の変異 は第8
受容体)。他方 の変異 は第 1
8
9ア ミノ酸 がイ ソロイ シンか らアスパ ラギン酸 に置 き換 わ りLDLの結合 が障害 されてお り, さ
らにY8
07
C受容体 と異なる抗体で区別す る 目的で受容体機能 に影響 のない部位 をラ ッ ト配列 に置 き換 えたキメラである (
以
1
8
9
Dh/
r
受容体)0 LDLのエ ン ドサイ トー シス効率 は,1
2
5
Ⅰ
標 識 したLDLのl
nt
e
r
na
l
i
z
at
i
o
nl
nde
x(
Ⅰ
.
Ⅰ
∴ 分解 +取 り込
下1
み/表面結合) で評価 した。蛍光免疫組織法で二種類 のLDL受容 体 を二重染色 し,蛍光お よび共焦点顕微鏡 でその細胞 内
と表面にお ける分布 を検討 した。
1
8
9
Dh/
r
受容体 は野生型受容体 と同様 に細胞 内の核周辺 に集 中 していたが,Y8
0
7
C受容体は細胞表
単独 で発現 した時,1
07
C受容体がⅠ
1
8
9
Dhノ
r
受容体 とともに発現 した時,細胞表
面 にび漫性 に散在 し核周辺 には見 られ なかった。 一方, このY8
面のび漫性 の分布 とともに核周辺の強い集 中が見 られた。 これ を共焦点顕微鏡 で観 察 した ところ,核周辺 において二つの変
.
Ⅰ
.
を1
0
0% とした とき,Y8
0
7
C受容体 のみ を発 現 した細胞株 のⅠ.
Ⅰ
.
は3
1
%
異受容体 の局在 は一致 していた。 野生型受容体 のⅠ
であった。 二つの変異受容体 を ともに発現 した細胞株 のⅠ
.
Ⅰ
.
は平均 5
5
%であ り,1
1
8
9
Dh/
r
受容体 の発現 レベルが同程度 な ら
0
7
C受容体 の発現 レベル が低 い細胞株 ほ どⅠ.
Ⅰ
.
が高い傾 向が見 られた。 ニつの変異受容体 を ともに発現 した細胞株 にお
ばY8
0
7
C受容体の発現 レベル に正比例 し,Ⅰ
1
8
9
Dhノ
r
受容体の発現 レベル とは無 関係 であった。
いてLDLの結合量はY8
Y8
0
7
C受容体 は1
1
8
9
Dh/
r
受容体 と共 に発現 した時エ ン ドサイ トーシスが改善 され る。 この際LDLのエ ン ドサイ トーシス
07
C受容体のエ ン ドサイ トーシスの増加 に伴 うも
も改善 され るが, これ はLDLの受容体-の結合親和性 の変化 によ らず,Y8
1
8
9
Dh/
r
受容体 とY8
0
7
C受容体の発現 レベル比 とⅠ
.
Ⅰ
.
との関係 は,Y8
07
C受容 体のエ ン ドサイ トー シスの
の と考 え られた。 Ⅰ
-6
2
2-
改善の機序 が-テ ロ多量体形成 に よる可能性 を示唆す る と考 え られ た。従来 のL
DL受容体 の研 究 は単一 の変異受容体 を細
DL受容体分子 が共存 した場合 に起 こ りうる現象 については見過 ご
胞やマ ウスに導入す るものがほ とん どであ り,異 な るL
H-テ ロ接合体お よび複合型-テ ロ接合体患者 の遺伝子診 断 を行 うにあた り,異 な るLDL受容体分子 間の相
されてきた。 F
互作用について考慮す る必要がある と考 え られた。
論
文
審
査
の
結
果
の
要
旨
DL)受容体 の変異 による疾患,家族性高 コ レステ ロール血症 において,異 な るLDL受容体分子
低比重 リポ蛋 白 (
以下L
DL受容体欠損細胞株 に二種類 の変
間に-テ ロ多量体 が形成 され る可能性 があるがその病態 に及 ぼす影響 は不 明で ある。 L
DL受容体遺伝子 を導入 して永久発現株 を作成 した。一方の変異 (
以下Y8
0
7
C受容体)はエ ン ドサイ トー シスが障害
異 ヒ トL
されてい る。他方 の変異 (
以下1
1
8
9
Dh
/
r
受容体) はL
DLを結合 できず,一部 をラ ッ ト配列 に置 き換 えたキメラ分子 である。
LDLのエ ン ドサイ トー シス効率 は, 125Ⅰ標識 したLDLのⅠ
n
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r
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l
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z
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o
nf
nd
e
x(
Ⅰ
.
Ⅰ
.:分解 +取 り込み/表 面結合) で評価
0
7
C受容体 は細胞表面 にび漫
した。蛍光免疫組織法で二種類 の変異受容体 を二重染色 し分布 を検討 した。 単独 で発現 したY8
性 に散在 し細胞 内には見 られず,Ⅰ
.
Ⅰ
.
は野性型受容体 の31
%で あった。 このY8
0
7
C受容 体がⅠ
1
8
9
Dh
/
r
受容体 とともに発現 し
DLの結合量 はY8
0
7
C受容体 の発現 レベル に正比例 し,Ⅰエの改善
た時,細胞 内-分布 が移行 し,Ⅰ
.
Ⅰ
.
は平均 55% であった。 L
はL
DLと受容体 との親和性 に関係 な く,Y8
0
7
Cの受容体のエ ン ドサイ トー シスの増加 に よる と考 え られ た0 I
1
8
9
Dh
/
r
受容
0
7
C受容体 の発現 レベル が低 い細胞株 ほ どⅠ
.
Ⅰ
.
が高 く,改善の機序 が-テ ロ多量体形成 に
体の発現 レベル が同程度 な らばY8
よる可能性 が示唆 された。
以上の研 究は単一の変異分子 を用いた従来の研究では見過 ごされてきた分子 間相互作用が病態 に影響 を与 え得 るこ とを示
し,今後診断す る際に意義 をもつ と思われ る。
したがって,本論文 は博士 (
医学)の学位論文 として価値 あるもの と認 める。
なお,本学位授与 申請者 は,平成 11
年 3月 1日実施 の論文内容 とそれ に関連 した試 問を受 け,合格 と認 め られ た ものであ
る。
-6
23-