蛍光眼底造影検査とは? 眼科疾患に用いられる造影剤(色素)には

蛍光眼底造影検査とは?
眼科疾患に用いられる造影剤(色素)にはフルオレセインとインドシアニングリーンの 2
つがあり、特殊なフィルターを通した光をあてると蛍光を発する性質を持っています。こ
れらの性質を利用した検査が蛍光眼底造影検査です。腕の静脈に造影剤を注射すると心臓
を経て眼底の血管に流れていきますので、その様子を眼底カメラで数十枚連続して撮影し
ます。青色光または赤外光フィルターを通して眼底を照明し、造影剤(色素)から発して
いる蛍光のみを撮影していきます。この検査を行うと、血管内の血液の流れの状態や、通
常の眼底検査では見つけられない病変を詳しく調べることができ、レーザー治療や手術な
どの治療方針を決めることができます。
①フルオレセイン蛍光眼底造影(FA):網膜血管の病変の検査に用いられます。
網膜の毛細血管の解像度の高い画像が撮影できます。正常では、血液に入った色素は蛍光
を発しますので、フィルターを通すと血管自体は白く写ります(図 1)。もし毛細血管が詰ま
っている部分があると色素が流れていかないため暗く写りますので、正常な部分とはっき
り区別することができます(虚血)(図 2)。また正常な網膜血管から造影剤は漏れませんが、
血管が炎症などで脆くなると、蛍光色素の漏れを生じ白く写ります(血管透過性亢進) (図 2)。
同様に異常な血管があっても蛍光色素の漏れを生じ白く写ります(新生血管) (図 2)。
(図 1)
(図 2)
②インドシアニングリーン蛍光眼底造影(IA):脈絡膜血管の検査に用いられます。
使用波長が近赤外領域にあり、蛍光の透化性が高いため、フルオレセインでは検出が困難
な網膜下に存在する脈絡膜血管病変の評価に向いています。またポリープ状脈絡膜血管症
の診断にも有用です。
どんな病気に行うの?
よく蛍光眼底造影検査が行われる病気は以下の 3 つで、診断に大変有用です。
①糖尿病網膜症:糖尿病による高血糖状態が長い間続くと、網膜の血管が障害され血液の
成分がしみ出てきたり(血管透過性亢進)、血管がつまって血液の循環が悪くなり、充分な血
液が網膜にいきわたらなくなってきます(虚血)。この状態が広がると異常な血管が生じてき
ます(新生血管)。
②網膜静脈閉塞症:動脈硬化で動脈が硬くなると、動脈と静脈は隣り合って一緒に走って
いるため、静脈が圧迫され網膜静脈閉塞症を発症します。すると帰り場所を失った静脈の
血液が血管の外へ漏れ出てきます(血管透過性亢進)。さらに充分な血液が網膜にいきわたら
なくなってきます(虚血)。
③加齢黄斑変性:加齢により脈絡膜から異常な血管を生じたり(新生血管)、網膜内や網膜下
に水や出血が溜まっているのがわかります(血管透過性亢進)。
所要時間
1 つの検査の所要時間は 15 分程度で、両方行うと 30 分程度かかります。
検査前
①検査時に瞳孔を開く目薬を点眼します。点眼薬が効いて検査が出来るようになるまでに
は 30 分前後かかります。
②腕の静脈から点滴をとります。
検査中
①顎を器械の顎台に乗せます。
②最初は、表示された機械の中の目標点をじっと見つめ下さい。
③その後、視能訓練師から向く方向を指示されますので、その方向に目を向けて下さい。
④撮影時は、フラッシュをたきますので、まぶしいです。
⑤検査が終了したら顎を台から外します。
検査後
①フルオレセインは主に腎臓から尿中に排泄、インドシアニングリーンは肝臓から胆汁へ
と排泄されます。FA 検査後は尿が黄染、IA 検査後は便が緑色になりますが、1–3 日で体外
に排出されますので特に心配ありません。
②造影剤に対する副作用が出ることがあります。特に薬物アレルギー(特にヨードアレル
ギー)や心・腎疾患がある人は注意が必要です。副作用の症状としては吐き気、動悸、か
ゆみを伴う発疹やくしゃみがでることもあります。まれに呼吸困難・意識障害・血圧低下・
腎不全などのショック症状を起こすことがあり、この場合は救急医が緊急の処置を行いま
す。
③瞳孔を広げてから 4 時間から 5 時間は、眩しくて物が見づらいので、注意して下さい。 原
則として車の運転は行わないで下さい。