On the Nature of Dative and Double Object Constructions in English 清 水 香 名 Abstract 本論 文 で は 、 学 校 英 文 法 に お い て、 第 四 文型 と し て 知 ら れ る 二 重 目的 語 構 文 SVOOと、しばしばそのパラフレーズとして見なされる与格構文SVO to O を扱 う。 第一章では、二つの構文の研究を、構造・派生・意味の観点から概観する。構 造に 関 し て 、Oehrle (1976)やAmano 論 文 で は 、Larson (1988)やKayne (1998)では 三 項 分 岐 が支 持 され て い る が、本 (1984)が 提案 す る 二項 分岐 を採 用す る。 派 生 に 関し て は 、 三 種 の アプ ロ ー チ が 提 案 さ れ て い る。 与 格 構 文 か ら 二 重 目的 語 構 文 の派 生 、 二 重 目的 語 構 文 か ら 与 格 構 文 の 派 生 、 派生 関 係 を 想 定 し ない アプ ロ ー チ が 存在 す る。こ の うち 、派 生 関 係 を 想 定 し ないHarley (2002)の 分 析 に 着 目す る。 Harley は 、 与 格構 文 は「 移 動」 、 二 重 目的 語 構 文 は「 所 有」 の 概 念 を 表 す とい う 構 文 間 の意 味 の 違 い か ら 、別 々 の基 底 構 造 を 仮 定 す る。 第 二 章 で は 、Harley が 展 開 す る派 生 に 対 す る議 論 とイ デ ィ オ ム 形 成 の 分 析 を み る。 Harleyは 、与 格 構 文 か ら 二重 目的 語 構 文 の 派 生 を 仮 定 す るLarson に 対 し 、 二つ の構 文 が 持 つ 主 題 役 割 や 意 味 の違 い 、お よ び イ デ ィ オ ム の 交 替 不 可 能性 の 観点 か ら異 議 を 唱 え る。 イ デ ィ オ ム形 成 に 関 し て 、Harley は 、Larson の 提案 す る「 イ デ ィ オ ムは 構 成 素 を 成 す」 分析 を 支 持 す る。 ま た 、 こ の 構 成 素性 に 基づ く イデ ィ オ ム形 成 の分 析 に 対 して 、 二つ の 疑 問 を 提 示 す る。 一 つ 目に 、構 成 素 を成 さな い イ デ ィ オ ムの 存 在 を挙 げ る。 Bruening (2010) は 、give it to やgive rise to は、構成素性分析では説明できないと指摘する。さらに、本論文では、put one's all into や、put the creeps into、reveal one's cards to など、Brueningが挙げる例とは 異 な る性 質 を 持つ イ デ ィ オ ム の 存 在 を 指 摘 す る。 こ れ ら も 同 様 に 、 構 成 素 性 分 析 で は 捉 え る こ とが で き な い と 論 じ る。 二 つ 目に 、Harley の 分 析 で は 、 イ デ ィ オ ム形 成 にお い て 、 動 詞 全 体 の 意 味 内 容 が 含 ま れ ない こ と を 指 摘 す る。 Harley の構造においては、真のイディオムgive X the bootに対し、send/tell X the boot の非 イ デ ィ オ ム 性 が 説 明 で き な い。 第 三 章 で は 、 第 二 章 で 指 摘 し たHarley の 分析 に対 す る 二つ の 問題 点を 、 Bruening のchain に 基 づ く イ デ ィ オ ム分 析 の 視点 か ら捉 え なお す。一 つ 目の 問題 に 関し て 、Bruening で 指 摘 され たgive it toやgive rise to に加 え 、 本 論 文 で 指 摘 す るput one's all intoとい っ た イ デ ィ オ ム の 分 析 が正 しく な さ れ る こ と を確 認 す る。 さ ら に 、put one's all into が 二 重 目的 語構 文 に交 替 しな い 事 実 を 、Voice の 導 入 に よ っ て 説 明 す る 。 二 つ 目 の 問 題 に 関 し て 、Bruening が 提案 す る イ デ ィ オ ム 形成の原理および制限を利用する。これらに基づくと、give X the boot はイディ オ ム とし て の 解 釈 を 受 け るが 、send/tell X the bootは 、 必 ず し も イ デ ィ オ ム と し て解 釈 され る 必 要 は な い こ とを 示 す。 References Amano, Masachiyo. 1998. A Generative Approach to the Syntactic Structure of Double Object Constructions in English.Tokyo: Bruening, Benjamin. 2010. Ditransitive Asymmetries Eichosha. and a Theory of Idiom Formation. Linguistic Inquiry 41: 519-562. Harley, Heidi. 2002. Possession and the Double Object Construction.Yearbook of linguisticVariation 2: 29-68. Kayne, Richard. 1984. Connectedness and Binary Branching. Dordrecht: Foris Publications. Larson, Richard K. 1988. On the Double Object Construction. Linguistic Inquiry The Grammatical Status of theEnglish Dative Alternation. 19:335-391. Oehrle, Richard T. 1976. Doctoral dissertation. Cambridge, Massachusetts: MIT Press.
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